2017年7月26日 (水)

ダン・テファー・トリオDan Tepfer Trio 「 ELEVEN CAGES 」

並では納まらないフランス気質のニューヨーク流ピアノ・トリオ作品

<Jazz>
Dan Tepfer Trio 「 ELEVEN CAGES 」
SUNNYSIDE / US / SSC1442 / 2017


Elvencages

Dan Tepfer (p)
Thomas Morgan (b)
Nate Wood (ds)

 ユーロ・ジャズ界の活躍も近年華々しいが、その中でのピアノ・トリオ作品は、なんとなくECM系が一つの有力な世界を造りつつあるような感がある。しかし、ここに取りあげたのは、フランス気質のニューヨーク流作品である。パリ生まれニューヨークで活躍中の新進気鋭ピアニスト=ダン・テファーDan Tepfer(1982年~、両親は米国人)の最新作で、なかなか技巧派をイメージさせる作品に仕上がっている。そして自身のピアノ・トリオ作品としては7年ぶりらしい。
 彼は、ピアノとの接触はクラシックから始めたが、しかし若くしてジャズに開眼し、フランス・ジャズ・ピアニストの巨匠マーシャル・ソラルの指導を受け、その後渡米しフレッド・ハーシュに師事した。既にリリースした作品は様々な賞を獲得し注目されている。最も注目を浴びたのは、2011年にバッハのゴールド・ベルグ変奏曲に挑戦したことだろう(アルバム 『Goldberg Variations/Variations』 (Sunnyside, 2011))。古くはフランスのジャックルーシェが試みたのが懐かしいが、しかしそれとは又異なったジャズ的解釈が評価されている。

1532022w(Tracklist)
1. Roadrunner (Dan Tepfer)
2. Minor Fall (Dan Tepfer)
3. 547 (Dan Tepfer)
4. Cage Free I (Tepfer/Morgan/Wood)
5. Converge (Dan Tepfer)
6. Hindi Hex (Dan Tepfer)
7. Little Princess (Dan Tepfer)
8. Cage Free II (Tepfer/Morgan)
9. Single Ladies (Stewart/Nash/Harrell/Knowles)
10. For It (Dan Tepfer)
11. I Loves You, Porgy (G. Gershwin/I. Gershwin)

  さて、このアルバムの収録曲は上のようで、ほゞダン・テファー自身のオリジナル曲による構成だが、M9.はビヨンセ、最後にガーシュウィンの曲が登場する。
  スタートM1.“Roadrunner”からのハイピッチな展開は圧巻。精密なドラマーの展開にリードされ、押さえた音量で演ずるピアノ、ベースの繊細にして流麗に演ずるセンスに驚かされる。
 M2.“Minor Fall”は、一転して静かに物思いに耽るバラード曲。トーマスのベースが曲の抑揚に魅力をつけ、テファーのピアノは美しいメロディー・ラインを聴かせる。この2曲でただ者で無いぞと思わせるに十分。
 M6.“Hindi Hex”は、いやはやこれぞと複雑なリズム・パターンを乱れなく演じ切る。まさにテクニシャン集団。
 とにかくしっとりとした甘いメロディーと美しい旋律と静謐な世界というところを期待するとしっぺ返しが来る(しかし彼らはその持ち味も持ち合わせていることは、M12.”I Loves You, Porgy”で知れるのだ。つまり十分その味付けをして聴かせるつつ、そしてこの曲でアルバムを終わらせるところがニクイ)。
 しかし彼らの演ずるところ、即興性を加味したコンテンポラリー・ジャズとして聴くと、その魅力を十分に発揮していることが解る。ECM的世界から時にこの世界に塡まるとなかなか新鮮で魅力たっぷりの世界である。これからも期待するに十分な逸材。

(視聴)

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2017年7月22日 (土)

キアラ・シヴェロChiara Civello「ECLIPSE」

ボサノヴァ系ラテンムード・ヴォーカルでのイタリア世界

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<Jazz>
Chiara Civello「ECLIPSE」
Sony / EU / 889853595327 / 2017

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Chiara Civello : Vocals
Produced by Marc Collin


 ふと思うのだが、ジャズとロック、ポップも多様化して、どうもその境もかなりオーバーラップしてきたように思う。
 このアルバムも、ジャズ分野で取り扱われているが、サンバ、ボサノヴァの流れは実感できるが、M1.M3.M4.M8.M11.など誰もが聴けるポップといってもかまわない曲作りである。
  イタリア出身のキアラ・シヴェロChiara Civello(1975年ローマ生まれ)、イタリアの曲をも取り上げてはいるが、何故か所謂イタリア的では無いという仕上げである。成る程経歴をみると、バークリー音楽院卒業以来ニューヨークをベースとしていて、やはりジャズの世界にいるのだが、ヨーロッパというよりは世界へ羽ばたいている彼女の通算6作目となるアルバムだ。そんな彼女だが、なんと2005年にデビューしていて既に10年選手、しかし私は今回が初めてのお付き合い。
 しかし世界を意識しているとは言っても、全曲イタリア語ですね、そこに何か意味があるのか無いのか?。英語も取り入れて欲しかったような気がするのだが。

C_4_foto_w(Tracklist)
1. Come vanno le cose
2. Eclisse twist
3. Cuore in tasca
4. Qualcuno come te
5. Sambarilove
6. Parole parole
7. Amore amore amore
8. La giusta distanza
9. Um dia
10. New York City Boy
11. To Be Wild
12. Quello che conta

 プロデュースがフランスのボサノヴァ・プロジェクトの”ヌーベル・ヴァーグNouvelle Vague”のマーク・コリンということによるのか、彼女の目指しているところによるのか、M5.”Sambarilove”のサンバとか、その他ボッサの流れが根底にあって従ってラテン風味が感じられるアルバムなのだ。その中でもM10.”New York City Boy”がイタリア語ではあるが、なかなかジャズっぽくこのアルバムでは私にとっての聴きどころ。M2.”Eclisse twist”は聴いたことがあるなと思ったら、イタリアのミーナの”太陽はひとりぼっち”ですね。M7.”Amore amore amore”これもイタリアの有名曲”あまい囁き”だ。オリジナル曲もあるようだが、全体のムードと反して、こんな風に、なんとなくイタリアを意識したアルバムのようにも感じられる。

  こんなところで、ラテン・ムードで仕上げたイタリア世界というところで、考えて見ると不思議なアルバムであった。とにかく夏の夜にはそれなりにゆったりと開放的に聴くには抵抗がなくてよい。

(参考)-Chiara Civello Discography-
①Last Quarter Moon (Verve, 2005)
②The Space Between (Universal, 2007)
③7752 (EmArcy, 2010)
④Al Posto del Mondo (Sony, 2012)
⑤Canzoni (Sony, 2014)
⑥Eclipse (2017)

(視聴)

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2017年7月18日 (火)

ラーシュ・ダニエルソンLars Danielsson 「Liberetto III」

欧州各地の民族性を網羅したような・・・異色性は更に

<Jazz>
Lars Danielsson 「Liberetto III」
ACT / GERM / ACT9840-2 / 2017

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Lars Danielsson (b, cello, p intro 5 & 8, wah-wah cello & guembri 9),
Grégory Privat (p),
John Parricelli (g),
Magnus Öström (ds, perc)

Guests:
Arve Henriksen(tp 1, 2, 6, 9, voice 6),
Dominic Miller(ac-g 10),
Hussam Aliwat(oud 4 & 7),
Björn Bohlin (english horn 2, 3, 8 & oboe d'amore 1),
Mathias Eick (tp 10)

 ラーシュ・ダニエルソンのカルテット・タイプの恒例バンド“リベレット”によるシリーズの第3作目。過去に「Liberetto 」&「LiberettoⅡ」の2作に魅了された私であり、当然手に入れたこのアルバムだ。この3作目で変わったのはカルテット・メンバーのあの話題のピアニスト・ティグランだ。彼に変わってグレゴリー・プリヴァが新メンバーとして加入している。
 そしてカルテットと言っても、上のように更にトランペットなどのゲストも迎えての作品だ。

Larsdw とにかく全ての曲はダニエルソンのオリジナルによるものだが、彼はスウェーデン出身、しかし印象は全く北欧とは違った世界である。それはこの3作目にして更に強まっているのだ。かってTigranが影響していたかと思っていたが、どうもそうでは無かったようだ。とにかくサウンド、曲の旋律、そして醸し出すムード、これらはカラフルそのもので、いやはや欧州を広く総なめの感ありだ。

(Tracklist)
1. Preludium (2:09)
2. Agnus Die (4:56)
3. Lviv (4:34)
4. Taksim By Night (4:15)
5. Dawn Dreamer (6:26)
6. Orationi (4:02)
7. Sonata In Spain (4:07)
8. Da Salo (6:02)
9. Gimbri Heart (3:56)
10. Mr Miller (3:31)
11. Affrettando (5:18)
12. Berchidda (4:46)

 とにかくこのバンドは、タニエルソンがベース、チェロ、民族楽器グエンブリを演じ、過去の2枚は、アルベニアのティグランTigranのピアノが一つの核でもあったと思う。それが、カリブ海、マルティニークで生まれたというプリヴァGrégory Privatに変わったわけだが、しかしピアノの流れはこれ又快調で、実はこのピアノの占める位置がもっと多くても良いのではと思うぐらいであった。それもノルウェイの注目トランペッターArve Henriksenがゲスト参加し、4曲で重要な流れの位置にあってのこと。それに加えBjörn Bohlin のenglish horn などが、今回のアルバムの一つの特徴を築いていることなどで、少々出番が少なかった感がある。実は、私にとってはピアノが旋律を流してくれるM5,M8,M12などの曲に魅力を感じているのである。

 又かつてエスビョルン・スヴェンソン・トリオE.S.T.で活躍していたドラマーのMagnus Öströmの味もM3, M9あたりで聴き取れてなんかホットしているのである。
  M4.はトルコですかね、M7.はスペインでしょうね、といった具合で、多様な欧州の異国的民族性も盛り込んでいて、更にM6,M10は、トランペットとベースで醸し出す世界は、日本からみると明らかに異国そのものであり、そしてその哀愁を聴かせてくれる。
  とにかくこうしてみると欧州は様々な多様性が基礎にある諸国の集合体で有り、そんな世界をダニエルソンらしい好感メロディーで広く網羅し聴かせてくれたアルバムであった。ただ私の好みからはピアノの役の多かったアルバム「Ⅰ」「Ⅱ」の方に軍配は上がる。

(視聴)

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2017年7月14日 (金)

アナセマAnathemaのニューアルバム「the optimist」

美しいモダン・プログレッシブ・ロックと評価されて・・・・・

Anathema1


<Progressive Rock>
Anathema 「the optimist」
Kscope / UK / Kscope356 / 2017

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Personnel:
Vincent Cavanagh (vocals, guitar, keyboards, programming);1990-
Lee Douglas (vocals);2000-
Daniel Cavanagh (guitor, Piano, Keybord, Vocals)1990-2002, 2003-
John Douglas (keyboards, drums, programming); 1990-1997, 1998-
Daniel Cardoso (drums). 2012-
Jamie Cavanafh (Bass); 1990-1991, 2001-

 こんなところで、ちょっとアナセマAnathemaも聴いておかねばと、ニューアルバムを手に入れた。なにせ美しいサウンドでモダン・プログレッシブ・ロックとも言われるようになってきたのだから。
810n2oxspilw 昔はゴシック・メタルってとこでしたかね。次第にプログレっぽくなって・・・・、実はそんな変化するこのバンドも2012年の『weather system』Kscope/UK/KSCOPE367/2012)(→)で取り敢えずは締めくくっておこうと思ったのですが・・・・・、あのアルバムはリーダーのヴォーカリスト=ヴィンセント・カヴァナー Vincent Cavanagh と女性ヴォーカリスト=リー・ダグラス Lee Douglas の心に響く歌声が素晴らしいと高評価。更にバンド演奏を支えたドラマチックに盛り上げたたデイヴ・スチュワートのオーケストラ・アレンジ、やっぱり英国としてのなんとなく哀愁を漂わせたところが聴く者の心を捉えたのであった。
 あれから五年経って、彼らの11枚目の作品が登場して、やっぱり何となく手に入れることになるのであった。

 アルバム・タイトルは「ジ・オプティミストThe Optimist=楽観主義者」と銘打って、どうも主たる作曲者のダニエル・カヴァナーDaniel Cavanagh  (ギター/ピアノ/ヴォーカル/ループ)が「半・自伝的」と説明する作品のようだ。

(Tracklist)
1. 32.63N 117.14W
2. Leaving it behind
3. Endless ways
4. The Optimist
5. San fransisco
6. Springfield
7. Ghosts
8. Can't let go
9. Close your eyes
10. Wildfires
11. Back to start

  •    Anathemavcwこのアルバム、冒頭からロジャー・ウォーターズ流のSEを多用している。やっぱりピンク・フロイドがお手本なんですね。
     そしてこのバンドの特徴のミニマル奏法がここでも取られている。特にM5. ”サンフランシスコ”ではその流れが顕著、メタリツクなヘビー・サウンドのミニマルの流れは良いのだが、この手のキーボードによるものはどうも私は苦手だ。
     このグループの曲は、かってそれぞれの曲において同じ手法をとる為か、過去のアルバムでは、どの曲も同じに聴こえてしまうという感想を持ったことがある。
     今回のアルバムは、その意味ではそれぞれの曲の個性も出ていてアルバムをトータルに観賞出来るところは更なる発展を遂げたと言っても良いかも知れない。
     相変わらずリー・ダグラス Lee Douglas の声は美しい。又M6. ”スプリングフィールド”にみるように、静かな流れから次第に盛り上げていく曲の展開はやはり上手い。
     タイトルにみる「楽観主義者」の生き行く道程の波乱に満ちた姿を描こうとしたのか、そんなコンセプト・アルバムとしても仕上げているところが興味ある。M9. ”クローズ・ユア・アイズ”などは、彼らとすれば精神的な世界を描いた感のある異色な曲であり、又M10.”ワイルドフィアーズ”なども高揚感は圧巻の仕上げで、じっくり聴いてみるとその価値が感じられる。(尚、隠しトラックもあって探して聴いてください)

     さてなんと言ってもこのところは、ロジャー・ウォーターズの近作アルバム『is this the life we really want?』に圧倒されているところであって、そこにこのアルバムを聴いたわけだが、どうもそのタイミングはあまり良くなかった。つまりロジャー・ウォーターズと比較と言うことになってしまって、このアルバムは、余りにもその社会感覚と深刻さ、そして曲のスケールと展開などが中途半端な印象なのである。まあ誰がみてもそれは当然比較する相手が悪かったということで致し方ないところであり・・・・もう少し間隔を開けてよく聴き直した方がよいと思っているところだ。
     しかし彼らの一歩又前進したプログレ・アルバムとして、その価値を感じさせる一聴に値するアルバムであることは間違いないところ。
  • (視聴)

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    2017年7月10日 (月)

    女優フローラ・マルティネスFlora Martinezの1stアルバム 「FLORA」

    カナダ-コロンビア映画女優のヴォーカル・アルバム

    Mv5bmtm5nzg

    <Jazz>
    Flora Martinez 「FLORA」
    Music Brokers Arg / Arg / MBB9331 / 2016


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    Prodused by José Reinoso (Arrglos, pianos, guitarras y programaciones)

      またまた”美女狩りシリーズ”です。
     このアルバムの女性ヴォーカルのフローラ・マルティネスFlora Martinezは、カナダのコロンビア映画女優であり又テレビでの活躍も盛ん、その上歌手でもある。カナダ人の母親とコロンビア人の父の間にモントリオールで生まれ(1977)、ボゴタとノースバンクーバーで育った。

    Sexiestl1 私が知ったのは、あの若干奇怪なるアルバム『JAZZ SEXIEST LADIES』(Music Brokers/MBB7238/2017)(→)に登場していたことに他ならないが、映画は全く知らない。しかし1999年の最初の映画とおもわれる「Scopolo」は、フランス・ビアリッツ映画祭で最高女優賞に輝いたり、
    なかなかのものであったようだ。一般的には映画「Rosario Tijeras」(Colombian Film 2005)が有名らしい。

     71fmdg2_2日本でも2000年の「Tuya siempre 抱かれる女」(→)が結構知られているようだし(ジャズが主力の音楽で良かったようだ)、スペインの監督ビセンテ・アランダの「Lolita's Club」 (2007) にも主演した。

     ・・・・と、映画話は、私はどれも観ていないのでこんなところだが、彼女のこの1stアルバムの話にしよう。

    (Tracklist)
    1 Happy
    2 The Captain of Her Heart 
    3 Make You Feel My Love   
    4 The Scientist 
    5 Los Aretes de la Luna
    6 Let's Stay Together
    7 Safe and Sound
    8 De Musica Ligera   
    9 True Colors
    10 Gimme Shelter


    Mvfm2 トラックリストは上の如くのボブ・ディランなどの曲(M3.)が登場している。歌は英語で歌われているが、曲によってはスペイン語(M5.)も登場する。彼女はカナダの市民で英語は勿論だが、流暢なフランス語、スペイン語を話すようだ。
     これは彼女の個性的な声に、ちょっと注目しての昨年リリースされたアルバムを取り寄せてみたもの。
     とにかく意外に低音が豊富で厚く広がり、高音部はやや繊細にと言った歌声だが、まずは特徴はあどけない発音をしてコケティッシュなんですね。曲のタイプはやっぱりジャズというところだが、なかなかポップに近い展開するのでジャズ・ヴォーカルの範疇と言ってもあまりジャンルを問わず広い層で聴けるというところ。それはバックの演奏がピアノ、サックスなどで、ジャズ・タイプであるが聴きやすいことによる。ゆったりとしたそんな展開をするやや異色のアルバムだが、非常に取っ付きやすいのだ。
     多分、映画を観ていて彼女のファンならたまらないアルバムなんでしょうね。

     こうした聴き慣れない女性ヴォーカルものをたまには聴くのも良いものである。

    (視聴)

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    2017年7月 6日 (木)

    ダイアナ・クラールDiana Krall 「FLY ME TO THE MOON」

    15年前の三年間のカルテット・メンバーでの演奏
                                       (
    CD+DVD映像版)

    Dkrallcreditmarkseliger_20120702_85


    <Jazz>
    Diana Krall 「FLY ME TO THE MOON」 (deluxe Edition)
    Live at Marciac Jazz, Marciac, France  July 29, 2002

    Flymetothemoon

    Diana Krall (p, Voc),   Dan Faehnle (g),  Ben Wolfe (b),  Rodney Green (dr)

     ダイアナ・クラールのこのところのJazzy not Jazzに近い路線から原点回帰して、かってのジャズ・ピアノ及びヴォーカルを楽しもうと、2002年のフランスのマルシアック・ジャズ出演の演奏もの(CD +DVD版 = non-official)を仕入れた。
     これはライブ映像版がカップリングされているのだが、今や正規版やブート版などでかなり映像モノも多くなって、我が棚には結構並んでいる現状。この盤はメンバーがDiana Krall (p, Voc),   Dan Faehnle (g),  Ben Wolfe (b),  Rodney Green (dr) というカルテット・スタイルで、この組み合わせの映像版は手持ちに無かったので興味があった。当時、ダイアナ・クラールはこのカルテット・スタイルを3年ほど続けたと思う。

    Dk2
     彼女のCDアルバムの初期のものでも1993年の1st『Stepping out』この時既にJohn Clayton, Jeff Hamilton と組んでいる)から2001年の6th『The Look of Love』までをみても、このメンバーものはなかったと思う。この後の7th『The Girl in The Other Room』(2004)は勿論Anthony Wilson, John Clayton, Jeff Hamiltonだ。
     そんなことで、このカルテットスタイルはかって何かで聴いたことがあるのか無いのか、ふとそんなことを思いつつ視聴した次第。

    Flymetothemoon1 Tracklistは右のようだが・・・・
     M1.”Under my skin”が、静かなギターをバックにスタートしてヴォーカルと共にしっとりしていて良いですね。M2. ”Love being here”はいつも通りの快テンポ・ジャズで、彼女のピアノ・プレイも快調。
     私の好みからはM4. ”Cry me a river”がやっぱりお目当てで納得(正規アルバムのものはストリングス・オーケストラがバックに入るため、こちらの方がジャズっぽい)。M5.”A case of you”はなかなか説得力あるヴォーカル。M9.”Fly me to the moon”は中間部のジャズ演奏がスウィンクして楽しいです。

     この頃のダイアナ・クラールはジャズ・ピアノ演奏家+ヴォーカルで売り出していて(今もライブはそうですが・・・)、そんな姿が楽しいです。

     当時のオフィシャル映像モノは『LIVE IN PARIS 』(Verve, Eagle Vision /YMBZ-20028 /2002=2001年録画)で、John Clayton, Anthony Wilson, Jeff Hamilton等との演奏で人気があるが、この映像のカルテットもなかなかダイアナ・クラール節をうまくリードしていて納得モノ。
     Delux Version として、結構録音のサウンドにも自信があってのことか、CD盤をカップリンクしていていろいろと楽しませてくれる。まあホール感があって良いですが、所謂”CD的”と言われる表現の音ですがね。

    (視聴)

     

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    2017年7月 2日 (日)

    アンナ・マリア・ヨペクとスティングの共演 STING with ANNA MARIA JOPEK 「SPECIAL IN TORUN 2016」

    あの"Fragile" をデュエットで・・・・・・

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                                                  ( Anna Maria Jopek )

    < Rock,  Jazz>
    STING with ANNA MARIA JOPEK 「SPECIAL IN TORUN 2016」
    MEGADISC / Poland / 2017

    Stingwithamy

    Sting : Guitar & Vocals
    Anna Maria Jopek : Vocals
    Live at Torun, Poland Dec.8, 2016

    Sting  ポーランドの憂愁の歌姫アンナ・マリア・ヨペックについては、先日6年ぶりの久々のニュー・アルバム『Minione』 をここで紹介したところだが、彼女をお気に入りとなると、いやはやその名の見えるアルバムはついつい手に入れたくなる。
     このアルバムはスティングStingが2016年12月8日にポーランドで、これも久々のなんと13年ぶりのポリスのDNAを繋ぎ込んだロック・アルバム『57TH&9TH』をリリースしてのプロモーション・テレビ・スペシャルに出演。放映は今年の2017年1月1日に行われたモノ。そこになんとアンナ・マリア・ヨペックが登場。その様子を納めたブート・アルバムである。

     中身は下の様な内容で、私から見ると叱られそうだが、どうしてもヨペックに注目がいってしまうのである。と言うところで、とにかくあの”Fragile”を、スティングとヨペックがデュエットで唄っているところがハイライトです。いやはやこれは考えもつかなかった共演であった。

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     とにかくヨペックのインターナショナルな活動はお見事である。それもその彼女が興味を持った国のミュージックを吸収していくところ、しかもそれをポーランド流に解釈して仕上げてしまうのだ。今回のニューアルバム『Minione』においても、マイアミにてミュージックの宝庫キューバに焦点を絞って、名ピアニストのゴンザロ・ルバルカバとの共演により彼女なりの哀愁のアルバムとして作り上げてしまった。それも彼女流のポーランド・ミュージックを忘れていないところが凄い。

    Vldamj_sting

     このアルバムに納められているスティングに彼女が果敢に挑戦している姿は素晴らしい。是非ともファンは一度は聴いておきたいところです。
      登場する彼女の曲である”Szepły Lzy”や”Upojenie”の編曲による歌がこれ又新鮮ですね。

    (視聴) ”Fragile” by Sting  ft.Anna Maria Jopek

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    2017年6月28日 (水)

    トップ・モデル=カレン・エルソンKaren Elsonのヴォーカル・アルバム「DOUBLE ROSES」

    刺激の無いお行儀の良い(?)ポップ・アルバム

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    <Rock, Pop>
    KAREN ELSON 「DOUBLE ROSES」
    1965Records , Hostess / UK / HSEY4040 / 2017

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       Vocals & Composed by Karen Elson
       Produced by Jonathan Wilson


     これは完全に「美女狩りシリーズ」です。
     とにかく英国のトップ・モデルであるカレン・エルソンのヴォーカル・アルバム。彼女は1stアルバム『The Ghost Who Walks』をリリースしたのが2010年(これは私は申し訳ないが聴いてない)、従ってこのアルバムは7年ぶりの2ndアルバムとなる。そしてプロデューサーに今回のロジャー・ウォーターズの北米ライブでギターとヴォーカルを担当しているジョナサン・ウィルソン。

     まあこんなにお行儀が良くてよいのかと思わせる曲群である。カレン・エルソンのシンガー・ソングライターとしての作品。テンポも早くなくゆったりしたポップ曲。バックにはストリングスも入った刺激度は低いどちらかというと美しさの演奏(こうゆうのも”Rock”として受け止めているようだが、いやはや一口に”Rock”と言ってもその占める範囲はまさに広いですね)。
     そんな中でもM8.”A Million Stars #”は、珍しくエレクトリック・ギターをバックに聴かせます(このほうが私の趣味ですけどね)。そしてM9.”Wolf”はサックスがバックで歌いあげてくれて、一番盛り上がった曲ですかね。
     まあとにかくやさしく語り聴かせる如くタイトル・トラックのM2.”Double Roses”などを代表に美しく聴かせてくれます。
     いずれにしても彼女の歌声は高中低音至るところ美しいのです。モデルとしての美貌と難点のないプロプォーション。そしてこの美しい声と、天は幾つのモノを彼女に与えたのでしょうかね(”天は二物を与えず”というのは嘘ですね)。

    Karenelson1jpg(Tracklist)
    01.Wonder Blind
    02.Double Roses
    03.Call Your Name
    04.Come Hell And High Water
    05.The End
    06. Raven
    07. Why Am I Waiting
    08. A Million Stars #
    09. Wolf
    10. Distant Shore

     Karen Elson は、1979年生まれ、今年で38歳になる。2003年にロバート・プラントの「Last Time I Saw Her」にヴォーカルとして参加して以降、英国出身のこの美貌のシンガーは、ファッションの世界から更に多方面での活動を展開してきたのだという。
     どこかで見た彼女の紹介記事によると、彼女の音楽活動というのは、創設メンバーでもあるニューヨークのキャバレー・グループ「ザ・シチズン・バンド」というものなのだそうだ。ミュージシャン、パフォーマー、アーティスト、アクロバットなど、多種多様な才能が参加するパフォーマンス集団らしい。なかなか現代風の感覚での活動のようだ。このあたりは私の知らない世界であって、何かの機会に覗いてみようとも思っているところ。

     まあ、彼女のフォトと歌声をここで堪能してください。
      ( フレさん、この手は如何でしょうか^^) )

    Bodeniconscollectionfall


    (視聴) ”Call Your Name

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    2017年6月24日 (土)

    サラ・マッケンジーSarah McKenzie 「PARIS IN THE RAIN」

    華々しくヨーロッパを歌いあげるアルバム

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    <Jazz>
    Sarah McKenzie 「PARIS IN THE RAIN」
    impulse !, UNIVERSAL MUSIC / JPN / UCCI-1037 / 2017


    Parisintherain_3
    Sarah McKenzie (vocal on 1-12) (piano on 1-7,10-13)
    Jamie Baum (flute on 1,5,7,11)
    Dominick Farinacci (trumpet on 1,5,11,13)
    Scott Robinson (alto saxophone on 1,5,13)
    Ralph Moore (tenor saxophone on 1,3,5,12-13)
    Mark Whitfield (guitar on 1-2,4-6,8,10-11,13)
    Romero Lubambo (nylon string guitar on 7,9)
    Warren Wolf (vibraphone on 1-2,5-6,10-11)
    Reuben Rogers (double bass on 1-7,9-13)
    Gregory Hutchinson (drums on 1-7,9-13)

    13962907_10w こうした溌剌とした華々しい演奏とヴォーカルを聴くと、なんか良き時代の古典ジャズって感じがしてしまうのは私だけであろうか?、まさにそんなアルバムだ。
     オーストラリア・メルボルン出身のピアニストにしてシンガーのサラ・マッケンジーだが、ウエスト・オーストラリアン・アカデミー・オブ・パフォーミング・アーツにてジャズの学士課程を修了。2012年リリース『Don’t Tempt Me and Close Your Eyes』はオーストラリア・レコード協会のベスト・ジャズ・アルバムを受賞したという。そしてボストンのバークリー音楽大学への進学を志す。そこで奨学金を獲得すると共にフェスティバルでパフォーマンスする権利も得た。そして、2015年5月に同大学をジャズ・パフォーマンス専攻で卒業した後、有名ジャズ・フェスティバルに多く出演。更にニューヨークを始め、パリ、ロンドン、ウィーン、ミュンヘン、シドニーのトップ・ジャズ・クラブなどでもライブを行って来たようだ。
     このアルバムは、特にヨーロッパを旅した"旅の記録"をテーマに選曲し、その後パリに移住してヨーロッパを目下堪能している彼女の自作曲も含めてのジャズ名曲のアルバム。

    (Tracklist)
    1. Tea For Two (Vincent Youmans / Irving Caesar)
    2. Paris In The Rain (Sarah McKenzie)
    3. One Jealous Moon (Sarah McKenzie)
    4. Little Girl Blue (Richard Rodgers / Lorenz Hart)
    5. I'm Old Fashioned (Jerome Kern / Johnny Mercer)
    6. When In Rome (Cy Coleman / Carolyn Leigh)
    7. Triste (Antonio Carlos Jobim)
    8. Embraceable You (George Gershwin / Ira Gershwin)
    9. In The Name Of Love (Kenny Rankin / Levitt Estelle)
    10. Don't Be A Fool (Sarah McKenzie)
    11. Onwards And Upwards (Sarah McKenzie)
    12. Day In Day Out (Rube Bloom / Johnny Mercer)
    13. Road Chops (Sarah McKenzie)

     これは、2015年にアルバム『We Could Be Lovers』でimpulse!デビューを果たしたマッケンジーの2年ぶりimpulse!2作目となるもの。

     ピアニストらしくアレンジも全て彼女自身で手がけている。いずれにしても彼女のヴォーカル・アルバムではあるが、ピアノ・プレイもM11”Onwards And Upwards ”などで聴かせてくれる。
     又、バックも曲に合わせて豪華である。ジャズ好みの各種楽器陣が後押しする。
     とにかく曲も曲だが、冒頭M1.”Tea For Two”はまさに華々しいです。そしてつづく彼女の曲M2.”Paris In The Rain”と、まあ明るくて良いと言えば良い。 なにせパリは女性の憧れの街ですからね。そして更に続く彼女の曲M3.”One Jealous Moon”もジャズ典型のアイテムのテナー・サックスが歌いあげ、ピアノとの交わりもジャズの楽しさだ。
     M8. ”Embraceable You” は、このアルバムでは珍しく、ギターのみのバックで彼女はしっとりと唄ってみせる。そして続くM9.” In The Name Of Love ”のサンバへの転調もアルバムの流れとしては上出来。
      M10. ”Don't Be A Fool ” は彼女の曲だが、意外にジャズというよりポピュラー曲ですね。ゆったりとした美しい曲。ここではビブラフォンが美しい。
     いずれにしても、全体的には溌剌とした華々しさが前面に出ている嫌みの無い明るいアルバムで、まあ好感度は高いといったところ。

    Donttemptmew 余談であるが、私はサラ・マッケンジーのアルバムへの初めての接点は、2011年ABCレコードからのリリースの『don't tempt me』 (ABC Records/Australia/2770600 →)であった。あのアルバムは、”You'd be so Nice to Come Home”で華々しくスタートする比較的明るさがあるところは同じだが、実は印象は大人っぽいと言うか、ジャズの深さをじっくり演じていたように思う。一方彼女の今作は華々しさとむしろ爽快な軽さが売り物で、これはこれで承けるところもあって、商業的にはよさそうだが、あとは好みの問題で別れるところでもあろうかと思われる。実は私自身は、もうその6年前のアルバムにむしろ軍配を挙げてしまうのであった。

    (視聴)

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    2017年6月20日 (火)

    アナト・フォート・トリオAnat Fort Trio 「Birdwatching」

    自然界から人間を知らしめるアルバム

    <Jazz>
    Anat Fort Trio   Gianluigi Trovesi  「Birdwatching」
    ECM / JER. / 4732357 / 2016

    Birdwatchingw

    Anat Fort: piano
    Gary Wang: double bass
    Roland Schneider: drums
    Gianluigi Trovesi: alto clarinet

    Recorded November 5-7, 2013 at Auditorio Stelio Molo RSI, Lugano
    Produced by Manfred Eicher.

    Af3trw  これはイスラエル出身の女流ピアニスト、アナト・フォートAnat FortのECM3作目で、昨年にリリースされたアルバム。
     実はこのピアニストに関しては白紙であって、ここに来て2007年のカルテット作品『A Long Story』から、トリオもの『And If』(2010)、そしてこの近作『Birdwatching』と、一気に彼女のECMアルバム3作を聴いてみたということになった。

     さてこの近作アルバムだが、トリオ・メンバーのGary Wang(b)とRoland Schneider(ds)は、長年一緒の仲と言うことであり、スペシャル・ゲストにイタリアのリード奏者Gianluigi Trovesiをフィーチャーしたカルテット作品。

    (Tracklist)
    1 First Rays 2 Earth Talks 3 Not The Perfect Storm 4 It's Your Song 5 Jumpin' In 6 Milarepa Part 1 7 Song Of The Phoenix I 8 Song Of The Phoenix II 9 Murmuration 10 Meditation For A New Year 11 Inner Voices 12 Sun

      収録12曲の11曲がFortのオリジナル、他の1曲(M11)はメンバー4人の共作。録音は、2013年11月、スイスにて行われている。

     静かにして、穏やかなピアノ・ソロM1.”First Rays ”からスタート、”最初の光、輝き”ということで、朝の光景だろうか?既に真摯な気持ちにさせる。
     そして続くM2.”Earth Talks ”から Gianluigi Trovesiのalto clarinetが登場。クラリネットの音色から優しさの満ちた世界に。
     しかし、M3.”Not The Perfect Storm ”は意外に荒々しさを感じさせる曲に変わる。
     M4.”It's Your Song ”はクラリネットなしのピアノ・トリオで描く希望に満ちた世界に。
     M5.”Jumpin' In ”は又々印象は変わって不安感が・・・・これは自然界の一つの厳しさを表現か。演奏も極めて現代音楽的で、彼らの内包しているアグレッシブな部分を見る思いだ。
     M6.”Milarepa Part 1”は、再び一荒らし去っての安堵が漲る。
     M7.M8.”Song Of The Phoenix”不死鳥の如く自然の静かにして力強い姿を感ずる
     M9.”Murmuration ”クラリネットが響き、彼女のピアノが追従して不思議な広がりが。
      M10.”Meditation For A New Year ”自然界の姿か、ピアノは躍動と美しさを演じている。
     M11.”Inner Voices ”かなりフリーな演奏で有りながら、4者の思が結ばれる自然への不思議感。
     M12.”Sun”明るい未来感のある静かなピアノ・ソロの響きで終わる。

     予想外のフリーでダイナミックな曲にも驚くのだが、その感情に自然に対応しつつ、やはり静謐にして抒情的、自然の持つ深遠さなどを見事に描ききった作品に思う。今回のアルバム・タイトルを『野鳥観察』にしての”自然の厳しさと美しさとの対話”にしたのは、過去の作品からもごく自然な流れと感じた。

    Anathateiva2trw

    R1632410w_2 アナト・フォートは、テルアビブ近郊にて1970年3月8日生まれ。ニュージャージー州のウィリアムパターソン大学で音楽を学び、ジャズの即興の探究や彼女のスキルを開発するために1996年にはニューヨークに移動もしている。こうした経過で最初のアルバム『Peel』(Orchard, 1999)を製作した。その後2007年、37歳の時に、Poul Motianのドラムスでアルバム『A Long Story』(→)にてECMデビューをした。
     今回三アルバムを聴くことになって、その結果、これからの彼女の次作も私にとっては気になる存在となった。

    (視聴)

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