2016年12月 3日 (土)

マルチン・ボシレフスキ絡みで・・・マヌ・カッチェManu Katché 「PLAYGROUND」

ドラマー(マヌ・カッチェ)の作品でのマルチン・ボシレフスキの名プレイ

Marcinw  ポーランドのピアニスト=マルチン・ボシレフスキ好きの私であって、こまでに彼のピアノ・トリオ「シンプル・アコースティック・トリオ」(近年のECMからのリリース・アルバムは同メンバーでも「マルチン・ボシレフスキ・トリオ」と名乗っている)のアルバムは手に入るモノは全て聴いてきているが、次第に彼がフィーチュアーされたアルバムも聴きたいと言うところで、先頃トーマス・スタンコTomasz Stankoとのカルテット・スタイルによるアルバム(『Suspended Night』、『Lontano』)など回顧したのだ。しかしまだその他、トランペッターやドラマーとの共演作もあって、先頃ECMから2007年のアルバムを遅まきながら手に入れたのでここで取りあげる。

<Jazz>

Manu Katché 「PLAYGROUND」
ECM / GERM / ECM 2016 / 2007

Playground

MATHIAS EICK(tp), TRYGVE SEIM(ts,ss), MARCIN WASILEWSKI(p), SLAWOMIR KURKIEWICZ(b), MANU KATCHE(ds)
Recrded jan. 2007, Avatar Studios, New York

 フランス系アフリカ人ドラマーのマヌ・カッチェが放つECMからの第二弾。期待通りシンプル・アコースティック・トリオのマルチンMARCIN WASILEWSKIとスワヴォミルSLAWOMIR KURKIEWICZ(b)が良い役をこなしている。
 全体に非常に落ち着いた世界を描く曲群で占められている。全曲マヌ・カッチェによるものだ。
 基本的には、どんな場面に於いてもマルチンのピアノが冷静で静かな情景を描く。それをベースが支え、そしてMATHIAS EICKとTRYGVE SEIMによる二管が、やや押さえられた演奏で旋律を歌いあげ、美しい響きを展開する。
 ドラマーのアルバムとしては、ドラムスは意外に控えめで、ゆったりとした曲の流れにメリハリをうまく付けていくところはさすがで、曲をうまく洗練された世界に描ききる。
 M10.” Inside Game ”では、ピアノとドラムスが共にリズムカルなリズムを刻んでゆくところは面白い展開で、こうしたクインテットでは有りなんだと、なるほどと思わせる。
 アルバムの印象は都会の夜、影を感じさせ、私にとっては納得の作品だった。

(Tracklist)
1. Lo
2. Pieces Of Emotion
3. Song For Her
4. So Groovy
5. Morning Joy
6. Motion
7. Project 58
8. Snapshot
9. Possible Thought
10. Inside Game
11. Clubbing
12. Song For Her


Neighbour_2<参考1>
(前作)Manu Katché 「NEIGHBOURHOOD」
     ECM / GER / UCCE1068 / 2005

 マヌ・カッチェがECMでの最初のリーダー作(→)。タイトルどおりのECMファミリーの仲間達、トーマス・スタンコ のベテラン・トランペッターに、シンプル・アコースティック・トリオのマルチンとスワヴォミルの二人など錚々たるミュージシャン達を従えマヌ・カチェらしいヨーロッパ風味の美しい作品。
MANU KATCHE(ds),TOMASZ STANKO(tp),JAN GARBAREK(ts),MARCIN WASILEWSKI(p),SLAWOMIR KURKIEWICZ(b)

Mi0003439625<参考2>
(マヌ・カッチェのプロフィール)
 1958年生まれ。父親はアフリカ出身、母親はフランス人。7歳からピアノを習い、音楽大学でパーカッションを習得した。ユニークでありながら洗練されたドラム演奏が好評。1986年にリリースされたピーター・ガブリエルのアルバム『So』のセッションに加わった事で一気に有名になった。
 もちろん作曲にも才能を発揮し、ポップやロック音楽の分野での活動が主力であったが、2005年、ソロ・ジャズ・アルバム『Neighbourhood』をECMからリリース(上記)。ヤン・ガルバレク(サクソフォーン)、トーマス・スタンコ(トランペット)、マルチン・ボシレフスキ(ピアノ)などの蒼々たるメンバーでのジャンルを超えた作品で注目された。
 近作にManu Katché『UNSTATIC』(SongsJapan / JPN / SONGX037 / 2016)がある。

(視聴)

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2016年11月30日 (水)

ロベルト・オルサーRoberto Olzer Trio ニュー・アルバム「DREAMSVILLE」

クラシカルで美しく、そして哀愁感で迫ってくるが・・・・・・・

<Jazz    piano trio>

Roberto Olzer Trio 「DREAMSVILLE」
ALTELIER SAWANO / JPN / AS152 / 2016

Dreamsville

Roberto Olzer (piano)
Yuri Goloubev (bass)
Mauro Beggio (drums)

Recoded in Aug. 2016 at Artesuono,Cavalicco,Udine,Italy

 ロベルト・オルサーのピアノ・トリオ第3作。クラシカルなタッチのピアノ演奏はやはりこのアルバムでもその魅力は発揮している。ピアノはFazioli Grand Piano F278 を使っての演奏だ。
 彼のピアノ・トリオの第1作『Steppin' Out』  (2012)があまりにも素晴らしく、聴く私は今でもそれが頭に浮かんでしまう。

 さてこのアルバム、とにかくオープニングのM1”Novembre”の出来が良すぎた。この美しい哀愁感はそう描けるものでない。これは完全に降参してしまった。

Robertoolw

 しかし、さてそれからが問題だ。このアルバム全12曲、意外に受ける印象は単調なのだ。何故だろう、それなりに演ずるピアノ・タッチの変化も見せるのだが・・・。
 今アルバム、カヴァー曲が中心で、聴く人へのサービスを意識しての為、あまり旋律を聴かせようと追いすぎての結果、曲展開の味が薄れてはいないだろうか?、一つの曲においてリズムはそのままで流れるためメロデイーの旋律が変化しても単調で、バツクグウンド・ミュージックになってしまうのでは?。もう一味Jazzyな変調を期待してしまうのだが・・・。多分今回のアルバム造りまでに、曲の演奏の練りが足りなかったのでは?と、つい推測してしまう。(確かに前作『THE MOON AND THE BONFIRES』  (2015)からかなり早いリリースだ)
 まあ、しかしこうしたクラシカル・タッチで真面目な清々しいインプレッションの演奏は評価は十分にあるところと思うところだが・・・・。
 結論から言ってしまおう、このアルバムで私のお気に入りの曲と演奏はM1とM12、つまり最初と最後の曲であった。そうは言っても、中盤のM6、M7も聴きどころは十分ありましたが・・・。

(Roberto Olzer のFacebookより ↓)
A new flower from our garden, 'Dreamsville' with amazing partners Yuri Goloubev on double bass and Mauro Beggio on drums. Recorded, mixed & mastered by Stefano Amerio, beautiful cover art by Loud Minority, it will be released in Japan by Atelier Sawano on November 11th. Thanks to Minoru & Yoshiaki Sawano, to Chikara Inada and to Yasuhiro Fujioka.

(Tracklist)
1. Novembre *
2. Dreamsville
3. Beau Piece
4. Violin Concerto
5. Ferragosto
6. New Old Age
7. The Oldest Living Thing
8. Unlikely Taiko
9. Fragile
10. Com'è lunga l'attesa
11. Maybe Next Time *
12. Morgen                 (* 印 Olzerの曲)


(参考視聴) Roberto Olzer Trio  2ndアルバムより

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2016年11月26日 (土)

ピンク・フロイドPINK FLOYD ボックス・セット 「THE EARLY YEARS 1965-1972」~その4

このボックス・セットの目玉はやっぱりCD(10枚)とBlu-ray Audioである

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PINK FLOYD ボックス・セット 
「THE EARLY YEARS 1965-1972」

Columbia/Legacy  / U.S.A. / 88985361952 / 2016

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 このところこのピンク・フロイド・ボックス・セットに圧倒されていたが、やはり中でもCDとBlu-rayに納められた良質音源が感動的ですね。いろいろと映像モノは若きフロイド・メンバーが見れて実に楽しいのだが、そう新しいものの出現もやたら数多いという事でもないので、最終的には彼らの成してきた結晶であるミュージックそのものを、いろいな角度から味わえることが・・・貴重だ。
 特に今回のリミックス盤やその他ライブもの等も、サウンドが特に高音域は繊細に伸びており、低音域は落ち着いたものに作り上げており、センスの良さを感じた。それが非常に快感であった。そこで若干チェックをしたところを書いておく事にする。

4br シド・バレット時代(1965年~)からその後のウォーターズ、ギルモア、メイスン、ライトの4人体制(1968年)の新展開ピンク・フロイドまでは、既に取りあげたので・・・
(バレットとウォーターズの明るい表情が印象的→)、
 それ以降のCD盤を中心にポイントに触れてみたい。

4gilm■ ”Embryo”  ロジャー・ウォーターズの傑作曲

 1968年、これは私の好きな曲。ブートで各種何度も聴いたのが懐かしい。発表が曰く付きだったが(1983年の「WORKS」でようやく公式発表)、ギルモアもシドの影から脱して4人スタイルの役目も明解になり、彼のブルース流から泣きギターもうまく聴かせるようになる。こうしてピンク・フロイドは彼らの世界になって行くのだ。この曲はSE効果(子供の声など)も上手に入れられ、その後のウォーターズ流の原点をみる。Early Yearsの重要な曲。

■ BBC Radio Session もの ( 1967.9 、 1967.12 、1968.6、 1968.12.2 、1968.12.20、 1969.5、 1970.7、  1971.9、 計8回  ) 

  BBCはピンク・フロイドのSessionものとして重要なものを数多く残してくれた。その為、このボックス・セットで過去を知るため音源として採用されているものが多く、最も大きな役割を果たしている(数えると上記の8回の放送分が納められている)。しかも音質も良く、有り難いところである。
 リアルな音源として、ライブ録音ものと双璧をなすところだ。

4wright「More」 Album alternative Version, non  album version

 ここに映画「More」も画像改良が試みられて全編収納されているが、そのサントラ関係は、原点である「The Man & The Journey」組曲として、ライブ(アムステルダム)もので納得の音源が聴ける。更にアルバム『More』に納まらなかった曲のアウトテイクの公開もここにされていて・・・・納得。
 曲”Thema” は、映画「More」の冒頭に聴かれるもの。私はこの後の映画「The Vallee」は好きになれなかったが、この「More」は感動映画だった。その為この曲を聴くと今でも心に響いてくる。あのピンクの字で”Music : The Pink Floyd”と画面に出たときは興奮したものです。 
 その他の曲”More Blues”は、まさにブルースで、こうゆうものもなかなかの聴きモノ。”Embryo”もこのアウトテイクに入る。
 この頃の曲の作曲は、ピンク・フロイド立て直しに頑張ったロジャー・ウォーターズよるものが多く、演奏ではリック・ライトのキー・ボードの因子が非常に重要な役を果たしていた。デヴィット・ギルモアはギターよりむしろヴォーカルで魅力を発揮といった形がとられている。

4m「Atom Heart Mother」

 この曲は、多くのVersionが、これでもかこれでもかと襲ってくる。
 まあピンク・フロイドがこの曲がヒットしたことによって、分解せずにグループとして存在して行く事になった訳だから、当然と言えば当然。これがなかったら間違いなく”Echoes”はなかった。
①ブラス・オーケストラ合唱無し: Montrewux Live , Early Studio Version Band onlyなど。私はこのオーケストラ、コーラスなしの方がフロイドらしいロック・バンドの味を感じられて好きなんですね。中盤の手法は”Echoes”にも通ずるところがあって聴きどころ。いろいろと過去に於いてもブートで聴いてきたところです。
②チェロ、合唱、ブラス・アンサンブル付き: これもブートで過去にいろいろとお目見えしたが、ここにも好録音が納まっている。ブートではこのタイプの方が人気はあったが、私は①の方なんですね。

4w■ 「ZABRISKIE POINT」Soundtrack 全16曲 (第4巻)

 今回、この映画そのものは、このセットに納まっていない。当時、映画サントラに関心のあったフロイドは、曲作りに結構頑張ったが、映画に実際に採用された曲が少なかった。その為、彼らをガッカリさせたというか怒らせたというか・・・。私はしっかり映画及びLPを持っていました。
   後の”Us and Them”となる原曲”The Riot Scene”や”Careful with That Axe, Eugene”ばりの”Explosion” 、”One of These Days”となる”Take Off”など興味深い原曲が聴ける。
しかし、それ以外にも”Love Scene”と言う曲など、ピンク・フロイドとは思えない優しい曲もあって是非聴いておくべきもの。

■ 「Echoes」

   「原子心母Atom Heart Mather」の成功によって(英国アルバム・チャート1位)、このバンド・メンバーは自ずから諸々の問題があっても(実は既に解散ムードもあった)一つにならざるを得ない流れに入ることになる。
 それは各方面から次作への期待と要求が高まって、次なるアルバム製作を試みることになる。その為メンバー4人で”Nothing ~”と命名された多くの曲を生み出して(実に24曲の存在が解っている)、これが”Echoes”として組み立てられてゆくわけたが、その辺りも納得のゆくようにこのボックス・セットでは企画されている。
 このセットで、LiveそしてBBC Radio sessionものなど、非常に多くのVersionものに接することが出来る。又おまけとして”74年Wembley Live”ものまで収録されていて、これはSaxがフューチャーされ旋律を奏でるという異色タイプ。

 久しぶりにこの「Early Years」ボックス・セットの出現で、ピンク・フロイドの始動期から頂点への歩みの道に関して振り返ることが出来た。このブログの4回の私の感想アーティクルは、あまり系統的で無く、適当に聴いたり観たりしたものを取り敢えず書かせて頂いた。まだ何か落としているかもと思うところだが、まあ取り敢えずこんなところでした。

(参考視聴)
”Green is The Colour” (music & Words : R.Waters,  Vocal : D.Gilmour)

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2016年11月23日 (水)

ピンク・フロイドPINK FLOYD ボックス・セット 「THE EARLY YEARS 1965-1972」~その3

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宇宙空間から人間社会へ 

(「おせっかい」・「雲の影」から「狂気」へ)

PINK FLOYD ボックス・セット 
「THE EARLY YEARS 1965-1972」

Columbia/Legacy  / U.S.A. / 88985361952 / 2016

Floyd72

 1969年から1972年の4年間でピンク・フロイドは作られたと言っても過言で無い。この4年間こそピンク・フロイドの全てが試みられ、そして形作られ、彼らの頂点の「狂気」に繋がるのだ。その過程を多くの資料を収載してくれたこの「THE EARLY YEARS 1965-1972」の企画はみるに充実感がある。

■ ”Atom Heart Mother ”は、ブラス・オーケストラ・合唱付きのものと彼ら4人によるモノの2タイプがあるが、それを紹介すべく数多く納められている。しかし残念なことにこの当時から彼らのライブはオフィシャルな完璧な良質映像録画モノがない。これがピンク・フロイドの体質であったのだ。おそらく彼らは自身で納得した状況でのもの以外は収録拒否していたのであろう。
 取り敢えず、映像なしでは、CDにはこの両タイプを楽しめるべく良質録音ものが収められている。
 そんな訳で、当時のライブ映像としては、「ポンペイ・ライブ」は貴重なのだ。

Meddle(注目経過)
1969年「The Man & The Journey 」(ライブ全曲)
    映画「ZABRISKIE POINT」サウンドトラック収録(全16曲CD収納)
▲1970年『原子心母Atom Heart Mother 』(Original 4.0 Quad Mix盤+ライブ録音もの)
▲1971年4月「Ehoes」 完成 (Original 4.0 Quad Mix盤 +ライブ録音もの)
▲1971年8月「Hakone Aphrodite Open Air Festival」(テレビ放映Video)
▲1971年10月「Live at POMPEII」撮影
▲1971年11月『おせっかいMEDDLE』リリース
▲1972年2-3月映画「LA VALLEE」サウンドトラックをレコーディング(映画収録、CDに全曲)
▲1972年6月『雲の影Obscured by Clouds』リリース(2016 remix 盤+アルバム未収録曲)
▲1972年9月「Live at POMPEII」公開(映像5.1 surround Mix 版)
▲1972年11月-1973年1月「Roland Petit-Pink Floyd Ballet」公演 (放映Video)
()内、当ボックス・セット内容

 この4年間の注目経過はこんなところだが、1971年に「Echoes」を完成させ(Original 4.0 Quad Mix を納めたのは歓迎)、彼らの宇宙空間的ミュージックの完成を見た。そして彼らの評価は既にヨーロッパ諸国ではProgressive Rockとして右に出る物なしの感覚すら生まれていた。しかし一方ロック界は多様で、ロックの精神であるメッセージ性のなさに”Echoes”のネガティブ評価も生まれたのである。

Photo■ 「Hakone Aphrodite Open Air Festival」    6-7,Augast 1971映像

 実は完全に近いアフロディーテ映像に期待していたのだが、残念ながら、過去に何度か見てきたブート映像と比べるとこちらはカラーであるが同じものであった。テレビ放映用に組まれたもので、これは私の期待を裏切った一つ。もう少し別物でマシなものがないのであろうか。
 これに関しては、今回この企画の製作スタッフが、オリジナル映像をかなり探したようだが発見できず、現存しないと判断したらしい。ほんとは完璧な映像を見たいところであるのだが。

映画「LA VALLEE」、アルバム「雲の影Obscured by Clouds」

 映画「LA VALLEE」:全編改良映像で収録
 アルバム「雲の影Obscured by Clouds」: 2016年Remix盤(CD)

 72年には”Careful with that axe, Eugene”、”Set the controls for the heart of the sun”、”Atom heart mother”、” Ecoes” を中心に世界でのライブは圧倒的支持を得る中で、彼らの当時の関心事である映画サウンドトラックにも着手した。そこでは彼らの持つもう一つの世界である牧歌的な大地に足を付けたミュージックにも目を向けアルバム『雲の影Obscured by Clouds』の完成となったのである。

Obs_4 しかしこの「雲の影」は、ピンク・フロイドとしては一般にあまり評価が高く無い。それは彼らの築いたコスミックなスペーシーなサウンドでないためだと思うが、実はこれも彼らの持っている貴重な一面であって、牧歌的にして簡素なフォーク調の曲を中心に納められ、”Wot's...Uh The Deal”(Waters,Gilmour)、”Free Four”(Waters)など良く聴くと実に味があるのだ。(アコースティックな演奏→)
  彼らのそれまでの凝ったサウンドでなく、ストレートなギターの音、そしてヴォーカルなど”素材そのまま”であるだけに、ファンとしては彼らと現実に接している感覚となるだけでなく、彼らを知ることのために意味あるアルバムだった。

 そして今回このアルバムは2016年リミックス盤として、音質の改良も加えられ全編第6巻に納められてお目見えしたのである。実はこれを歓迎しているファンも多い。

■ 「Roland Petit-Pink Floyd Ballet」

 フランス・ツアーにおけるローラン・プティのマルセイユ・バレエ団との共演。過去に無い一つの実験であったと思うが、この映像モノは結構多数収められている。これに関しては、私はその意義について特にコメントは無い。

 1972年までの結論

72rog_3 こんな映画サントラ作業の一方では、ロジャー・ウォーターズの心には、”Echoes”のメッセージのなさに対しての批判を受けた事のショックは大きく、ここに彼にはもともと持っている”現代人の生活に疑問を抱いていた心”に大きな刺激を受けたのである。
 そして人間の持つ”狂気・我が儘、生と死、人間社会の矛盾の意味”に的を絞って、全ての曲にウォーターズが詩を付けてメッセージを込めた作品作りに着手。それが世界的作品となる『狂気The Dark Side of The Moon』である。


72gil_3 この多忙極めた1972年に「狂気」構想は練られ、曲作りされ収録を開始した。そしてロジャー・ウォーターズの得意とするコンセプトの確立が行われたのだ。そして翌年1973年3月にリリースされた。

 この1972年の「狂気」作成の過程においては、それぞれ異なったメンバーの個性が、ライブを重ねながら有機的に絡んでエネルギーを増していったことは事実である。つまり彼らの意識は別として、ピンク・フロイドとしての4人バンドの頂点に到達すべくそれぞれが挑戦的な作品作りに邁進したのであった。

 つまりこの『狂気』作成への1972年までが、ピンク・フロイドの”Early Years” としての大きな意味ある時であり、それに関する資料を纏め上げたのがこの企画である。その後の彼らの姿は誰もが知っているところに落ち着くわけで、ここまでの”Early Years” が最もピンク・フロイドとして私にとっては面白いところなのだ。

( 「THE EARLY YEARS 1965-1972」考察その4 に続く)

(参考視聴:Grantchester Meadow)

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2016年11月19日 (土)

ピンク・フロイドPINK FLOYD ボックス・セット 「THE EARLY YEARS 1965-1972」~その2

シドのサイケデリック時代の回顧とプログレへの道の歩み

PINK FLOYD 「THE EARLY YEARS 1965-1972」
Columbia/Legacy  / U.S.A. / 88985361952 / 2016

  「1965-1972」ボッス・セットの考察2回目である。これは確かに充実度は高い。しかしかなりマニアックと言えマニアックで、ここまでの要求は、フロイド病でなければ・・・・?と、いったところでしょうかね。とにかく座右に置いて何時でも視聴したいというより、ここにあるぞといったところに満足するタイプのものだ。

Floydsid
1967(若き学生時代からの4人ロジャ-、シド、リック、ニック)
             ↓
Floyssyd3b
(1968 ギルモア加入5人体制)
            ↓
Floyd4b
(1969 シド脱退4人体制へ)

「1965-1972」ボッス・セットは全7巻のセット構成だが・・・・

■ ピンク・フロイド始動初期の第一巻(1965-1967年もの)
   (CD2,DVD1,Blu-ray1)

Floyd67
 <CD1>には「ザ・ピンク・フロイド」と名乗っての、シド・バレットの活動性の高い時の音源だ。
 特に注目は、バンドとしての最も古いものが納まっていて、それは1965年の6人体制ものだ(バレット、ウォーターズ、メイスン、ライトに加えてボブ・クローズ、既に離れたはずのジュリエット・ゲイルのヴォーカルも聴ける)。この頃はブルース基調のいわゆるロック・サウンドと言われるとおりで、まだサイケデリックというところにはない。この時のもの6曲収納されているが昨年まで公に聴かれなかったもので、マニアには貴重品と言えるもの(参照:下の1~6)である。これはデッカ・スタジオ収録だが、多分初めてのレコーディングと思われる。私は初めて今回聴いたが、学生バンドらしい若々しいもので、バレットと思われるヴォーカルは結構味がある。

 続いて、1966年から67年の曲群の登場。本来のバレット、ウォーターズ、メイスン、ライトの4人体制になってからのもので、放送禁止になった経過のある”Arnold Layne”始め、良く聴いた懐かしの数々が登場する。今まで初期フロイドものと言うのは一般的にはこの時からの曲であった(7~16)。

Vol1cd_2

 <CD2>には、ライブ音源が収録されている。この1967年STOCKHOLMライブはヴォーカル抜きの収録もの。ここにウォーターズの”Set the controls for the heart of the sun”が既に異色を放ち始めている。これがアルバム『神秘』への流れの開始であったのだ。”Reaction in G”、”Scream the last scream”などの未発表テイクも聴ける。
 更に、初お目見えの約30分の映像作品の為のサウンドトラックとして収録されたスタジオ・ライブ・セッションもの(’67年)。これは未公開もので、今回初の正規リリース。

  DVD、Blu-ray収録映像には、シド・バレットと言うと難しい顔つき画像が多いのだが、ここでは意外に明るい表情の映像で結構画質も良好で問題なく見れるモノが多くあることだ。勿論ピンク・フロイドのメンバーとしてだが、彼らの学生ムードの残っている初期の映像から始まって、当時の4人体制の息の合った姿がみれる。この頃の4人は実に未来に夢のある若者グループというイメージそのものだ。
 そして1967年からのUFOクラブのサイケデリックな彼らの姿が堪能できる。50年前のロンドンのアンダー・グラウンドの姿を見るという意味でも貴重。

■ 第2巻 1968年ギルモア加入から5人体制そしてバレット脱退
   ~リーダーは、シド・バレットからロジャー・ウォーターズに
   (CD1,DVD1,Blu-ray1)


1969 ここでは、シドの抜けた後のウォーターズの奮戦がピンク・フロイドの歴史としては最も重要であるのだが、その姿が後の世界的なバンドに成長する芽生えとして見ることが出来て楽しい。
 シド・バレットの不完全状態から脱退までの不安定状態の補充としてウォーターズが引っ張り込んだフレッシュなギルモアを加えての5人体制が姿を現すが、これもつかの間で、結局シド抜きの4人体制となる。
 
 <CD> シドに変わってウォーターズが作曲するようになり”Julia Dream”(後に「RELICS」に収録)の美しい曲が登場する。
 又未発表曲の”Song1”、”Roger's Boogie”が納められていて初聴きだ、これは貴重もの。
 1968年BBC Raio Sessionものとして、彼らの当時の代表的曲となる異様であり美しい曲”Murderotic Woman”(後の”Careful with that axe, eugene”)、”The massed gadgets of hercules”(後の”神秘A Saucerful of secrets”)も登場。更に彼らにとっての当時大事な曲”Embryo”(ウォーターズ作詩作曲、1983年「WORKS」で陽の目を見るも、回収騒ぎとなったもの)も聴ける。こうして如何にもピンク・フロイドだと味わえる時を迎えるのだ。ここから世界を駆け上がる。

Photo アルバム『神秘A Saucerful of secrets』リリース期でロジャー・ウォーターズ主導により、コズミック・サイケデリック・サウンドを強調している。又ここでは曲”太陽讃歌”、”神秘”がメインだが、ロジャー・ウォーターズの”Corporal Clegg”の反戦歌の登場に注目しなければいけない。又曲”神秘”も実は戦争に纏わるもので戦争・戦後の風景を描いている(4パートに別れる小組曲で後の曲作りの原点)、これから彼のこの”反戦世界”が延々と今日まで続くのである。

 この第2巻の1968年の映像ものは価値が高い。ウォーターズのマスコミ嫌いは有名だが、まだ当時は彼らも売り出しに躍起になっていたんでしょうね、多数のライブ、テレビ映像があって、それらが良好映像で納められていて楽しめる。(この後の世界的ロッカーになっての”Atom heart mother”、”Echoes”などはプロ・ショットが激減するのだ)~このボックス・セット企画の映像ものの最も価値あるところである。
  ここでライブは、ウォーターズの”Set The Control for The Heart Of The Sun”が彼らの演奏の中心となり、又”Interstellar Overdrive”のウォーターズ流に演奏の変化が出てきており("Pop68",Rome, Italy, 06 MAY1968)その迫力が凄い。

(この企画考察は、どうもまだ続きます・・・・・・・)

(参考視聴)

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2016年11月15日 (火)

ピンク・フロイドPINK FLOYD ボックス・セット「THE EARLY YEARS 1965-1972」

驚異の27枚組12時間30分の物量に圧倒されて・・・・

注目の・・・
感動の4チャンネル”Echoes”
良質サウンド”The Man & The Journey”72分完全版

 とにかく前代未聞の物量で、初期ピンク・フロイドの多くの未発表音源、映像。そしてピンク・フロイドの膨大なアーカイヴから未発表音源・映像を含む全7巻の書籍形式に収納された27枚組のヘビーなボックス・セット『The Early Years 1965-1972』である。
 今作には12時間33分、130トラックからなる音源(未発表音源・アウトテイク・デモ音源・テレビ音源・BBCでのセッションなど7時間分の未発表ライヴ音源とともに20以上の未発表音源)と、15時間を越える映像(5時間分以上に及ぶレアなコンサート映像、映画他)が新たなサウンド・ミックスとともに収録されている。まあこれはピンク・フロイドだから出来た企画ものですね。(内容は既に紹介

<Progressive Rock>
PINK FLOYD 「THE EARLY YEARS 1965-1972」
Columbia/Legacy  / U.S.A. / 88985361952 / 2016

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 とにかく、このボックスの大きいことと重いこと、やっぱりそれぞれ7巻のブックに収納されての27枚組(CD10枚、DVD9枚、 Blu-ray8枚、 7インチシングル5枚)となれば当然というところでしょうが・・・・。

 取り敢えず、まだ好きなところから1/2位しか視聴していないので全体の感想は書けないが、私の興味のあるところを拾っての感想第1回だ。

■ 幻のアルバム「The Man & The Journey」完全版(1969年)

Themanthejourney  ピンク・フロイドを愛するものなら、彼らのシド・バレットから離れての新しい試みとして、アルバムとして作成することを念頭に企画され作曲し、ライブでの実験を始めた組曲「The Man & The Journey」('69.4英国から'70.2フランス・ライブ)に関心があるだろう。(→)
 これは結局のところリリースすることはなく、我々はこれはかってはライブもののブートでしか聴けなかったものだ。
 私は1970年代には、この実態を詳しく知りたかったし、ブートでも最も手に入れたく聴きたいと思ったもであった。
 しかし今回のこの企画ものに、ついに好録音良好サウンドの全15曲の完全版の登場となったのだ。

69rogergilmour かって私はこの組曲はブートで何枚か集めたが、最も良好な音質ものは、何時ぞや紹介したように”THE SWINGIN' PIG”もの(「AMSTERDAM'69」TSP-CD-052)であったが、あれは完全収録ではなかった。
(参照: 「Bootlegから見るPink Floydの真髄”ザ・マン””ザ・ジャーニー”」
  今回ここに日の目を見たものは、同じSep.17 1969 アムステルダム・ライブものであるが、全15曲トータル76分の良好音質の完全収録版である。
 これは今回リミックスを施したのであろうか、これ程の良好サウンドで聴けるとは思わなかった。これはまずは驚きの収穫である。
 これらの組曲は映画「モア」のサウンド・トラック用に使われて分解してしまい、この組曲としてのリリースはならなかったのもので、ロック界の歴史においても最初に試みられた組曲として注目されたもの。後のアルバム「モア」には、このうち何曲かは収録されたわけだが、しかしこうして組曲として聴くと、これまた印象は全く異なるところが面白い。今回のこのボックス・セット企画を評価する一つである。

Themanphoto

■ ライブ映像「Live at  Pompeii」サラウンド・サウンド版
    ~2016 5.1 Audio Remix~


  映像は、最新版の「The Director's Cut」の画像改良が加えられ、なんとサウンドは5.1サラウンドで楽しめることになり、サウンドの改良も凄い。特に高音部の繊細な音は素晴らしいし、低音も伸びた。ここまで改良できる事に驚きだ。
 これで私はこのポンペイものはLDやDVDなどを含めて4枚目となるが、その度に改良が加えられ、とにかくご機嫌である。

■ 名曲”ECHOES”の4チャンネル・立体音響もの
      ~Original 4.0 QUAD MIX 1971~
  (Blu-ray : 4.0 DTS HD MASTER AUDIO 96KHZ/24-BIT)

Floyd19712 これほどフロイドの曲でも立体音響にぴったりの曲も少ないが、かってLP盤でリリースされた”4.0 QUAD MIX”を更に音質改良されてBlu-ray4チャンネル立体音響盤 として聴くことが出来る。なんとライトのキー・ボードとギルモアのギターが聴く者の周囲をゆっくり旋回し、ウォーターズのベースが頭上から響くという残響を十分堪能できる曲仕上げで、まさに”エコーズ”を楽しむには最高だ。こうしてサラウンド化すると、それぞれの楽器が分離して聴くことが出来て、”なるほどこうした演奏であったか”と、彼らのサイケデリック・プログレッシブ・ロックを改めて感ずることが出来る。
 今にして驚くのは、彼らはこの70年スタート時に、”原子心母”(このQUAD MIXも、収録されている)以来のモノをこうしてマルチチャンネル立体音響をいち早く試みていたのである。

 私はフロイドものの多くの楽しみ方として、リアル・タイムに彼らと歩んできたため、「狂気」に至るまでの彼らの姿が実に興味深いし懐かしいのである。なにせ60年-70年の当時は現在のように情報も多くなく、又ブート探しも簡単で無かった。従って今にして今日までの長い間の過去に得た資料がこのように改良され再び接することが出来ることに感動がある。こんな重量感ある歴史絵巻は多分このセットまでであろうと思われるところだ。 
 「モア」や「ザ・バレイ」の映画も、画像が見事に改良されて収録もされているし、その他のピンク・フロイド誕生物語やシド・バレット時代の資料、「原子心母」の多彩なライブものなど又次回に触れることとする。

(参考)

 

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2016年11月11日 (金)

リサ・ハニガンLisa Hanniganのニュー・アルバム「AT SWIM」

何故か、心安まる魅力の歌声に浸れる・・・・

 他が真面目じゃないと言う訳じゃないのですが、このアルバムは何となく真面目な印象を受けるんですね。その”真面目って何だ?”と言われるとそれも困るのですが・・・。とにかく襟を正して聴かないと・・・と言った世界。
 しかしこうした世界も時には心が洗われて良いものです。
 とにかくアイルランドの歌姫リサ・ハニガンLisa Hanniganの第3作目の魅力のアルバム。

<Indie Falk,   Alternative/Indie Rock>
Lisa Hannigan 「AT SWIM」
Play It Again Sam/Hostess / UK / HSEY3618 / 2016


Atawim_3

 ”楽天的な明るさの世界”ではない。どちらかというと”やや陰影のある美しさ”といったところか。久しぶりに聴き入ってしまったアルバム。
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  これは彼女の5年ぶりの3rdアルバムであるが、ちょっと彼女の経歴を見てみると・・・・アイルランド出身(1981年生まれ)、名門トリニティ・カレッジで美術史を学んだ才色兼備の女性シンガー・ソングライターということだ。。2008年にデビューアルバム『シー・ソウSea Sew』を発表し話題になる。その後2011年、2作目『パッセンジャーPassenger』は、"誰もがリサと恋に落ちる"という見出しを付けたほどの魅力の作品となり、アイリッシュ・アルバムチャートで1位を獲得。一躍アイルランドを代表する歌姫としての地位を確立。2012年に初来日している。
 2015年、アカデミー賞にもノミネートされたアイルランドのアニメーション作品『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』で声優としても出演しているらしい。

 このアルバムのM1.”Fall”は、そのデモ映像に見るように”己の内になる何かと戦っている姿を表現した”という世界のようで、”精神的な力の意味”などが唄う気持ちの中では描かれているのか?。
 M2.”Prayer For The Dying”の美しさは格別である。ここには愛と死が歌い込まれているようだ(この曲の雰囲気は、ちょっとRumer を思い出してしまったが)。
 いずれにせよ、このアルバムは、リサのやわらかで浮遊感ある優しい歌声により、しかも囁くような癒やしのヴォーカル技法によって、聴く者にはアイルランドという風土を感じつつ不思議な世界に導かれるのである。
 基本的には、人間の愛と死、歴史的な不幸な過去と現在の姿、人の悲しみや幸せを感じ合うことなどを唄う世界の作品とみて良いようだ。従ってややダークではあるが、歌声の美しさ、優しさでその我々に迫るところは”安らぎ”となる。
 ちなみにこのアルバムのプロデュースを手掛けたのはザ・ナショナルのギタリストであるアーロン・デスナーAaron Dessnerで、リサ・ハニガンも名前を連ねている。

51i9jgea8l これを書いていて思いだしたのだが、このリサ・ハニガンは、あのジャズ界の大御所ハービー・ハンコックと共演していて、ハンコックの2010年の異色のアルバム『IMAGINE PROJECT』の中のBob Dylanの曲”The Times,They are A' Changin' ”を唄っており、一味加えるのに貢献していた。あのアルバムでは私の好きな曲なので参考までに。

(Tracklist)
01. Fall
02. Prayer For The Dying
03. Snow
04. Lo
05. Undertow
06. Ora
07. We The Drowned
08. Anahorish
09. Tender
10. Funeral Suit
11. Barton

(視聴)

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2016年11月 7日 (月)

トーマス・スタンコTomasz Stanko とシンプル・アコースティック・トリオ

ECM世界を描くポーランドのベテラン・トランペッター

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 これも秋の夜の回顧シリーズである・・・・・。
 ポーランドのベテラン・トランペッターのトーマス・スタンコTomasz Stanko(1942-)と、マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski(1975-)のシンプル・アコースティック・トリオの結合でのカルテット・スタイルによる十年前のアルバムを回顧している。
 この私の愛するシンプル・アコースティック・トリオの近作は、昨年リリースされたサックス奏者とのカルテット作品「Speak Of Life」であった訳だが、以前に同じこのECMから、トーマス・スタンコとのカルテットで2枚がリリースされている。マルチン・ボシレフスキ自身、おそらくスタンコから自己のピアノ・トリオへのトラペットやサックスを加えたカルテットの面白さ多くを学んだのではないかと想像し、その結果、もう一度聴き直しと言うところなんです。

<Jazz>
Tomasz Stanko Quartet「Lontano」
ECM / GERM / ECM 1980 9877380 / 2006

Lontano

Recorded Nov. 2005, Studio La Bussonne,Pernes-les-Fontaines
Prodused by Manfred Eicher


TOMASZ STANKO(tp), MARCIN WASILEWSKI(p), SLAWOMIR KURKIEWICZ(b), MICHAL MISKIEWICZ(ds)

Lontanolist  スタンコ本人が”これまでで最高の作品になると思うよ”と予告していたECMからの作品で評判になったモノだ。母国ポーランドの私の好みのピアニスト・マルチン・ボシレフスキのシンプル・アコースティック・トリオを従えたカルテットでの作品。
 とにかくマルチン・ボシレフスキのピアノの叙情性と美しさをバックにしてのスタンコのミュートを効かせたトランペットが永久な響きで歌いあげるわけで悪いわけが無い。
 そこに又Eicherが絡むわけで、そりゃー理知的であり、哲学的世界でもあり、深遠な世界の異空間の構築はお見事なのだ。
 オープニングはボシレフスキの澄んだピアノが響き、冷徹とも言える世界を描いたところにスタンコのトランペットがむしろ暖かさと深遠さを交えた響きが重なるというECM世界、とにかく痺れきったアルバムだった。

              *           *          *

<Jazz>
Tomasz Stanko Quartet「Suspended Night」
ECM / GERM / ECM 1868 / 2004

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TOMASZ STANKO(tp), MARCIN WASILEWSKI(p), SLAWOMIR KURKIEWICZ(b), MICHAL MISKIEWICZ(ds)
(Tracklist) 1.Song for Sarah    2. Suspended Variation I-ⅹ


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 75年生まれのボシレフスキが30歳になろうとしているころのスタンコの指揮下での作品。彼のピアノは、キース・ジャレットに惚れ込んでピアニストを志したと言うだけあって、ビル・エヴァンスからのスタイルを見事に演じている。そしてこのスタンコとの共演が又若きシンプル・アコースティック・トリオを大きく育てたとも言われている。ゆったりと叙情的に流しながらも、スタンコのトランペットのメロディーを支える技術はお見事である。
  このアルバムもかなりクールな世界といって良いのでしょうね。トランペットが深遠な緊張感もって迫り、一瞬の叫びで切り込んでくるところが凄い。とにかく2曲目から11曲までの10のバリエーションでアルバム一枚を埋めてしまう。とにかく繊細さは、スタンコに勝るとも劣らないボシレフスキの持つピアノであって、その
兼ね合いの見事なインプロヴィゼーションの世界としてはバラエティにもとんでいて多分Eicherも満足の一作であったと思う。

(試聴)

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2016年11月 4日 (金)

「灰とダイアモンドと月の裏側の世界」--------- ジャズ  ピアノ・トリオ編 =索引=

Blog「灰とダイアモンドと月の裏側の世界」(2006~2016年)に登場した音楽ジャズのピアノ・トリオをここに集約し製本化出来た。バンドは77に上った。その索引である。
http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/

Cover19_2

[ピアノ・トリオ 索引]    

 (ミュージシャン)       (頁) 

アヴィシャイ・コーエン   136,286
アダム・バーンバウム   425
アレッサンドロ・ガラティ  119.123.170.242.343
アンドレアス・マイヤーホーファー  336
イゴール・ゲノー・トリオ  150
イニャキ・サルヴァドール・トリオ 144
イリアーヌ・イリアス   55.57.59.60.207
ヴァシリス・ツァブロプ-ロス・トリオ  263
ウォルター・ラング・トリオ  246.260.324
ヴォルフェルト・プレデローデ・トリオ  394
ウカシュ・オイダナ   309
エイドリアン・フレイ・トリオ  203
エスビョルン・スヴェンソン・トリオ  79.84.88.90
エスベン・バルグ・トリオ  366
エンリコ・ピエラヌンツィ  189.332
オルガ・コンコヴァ・トリオ  316

カプサ・レイニンガニー・フロウ  321
キ-ス・ジャレット    29.31.34.36.38.127
キャロル・ウェルスマン  70.326
クラウディウス・コバク   116
クレイグ・テイボーン    68
ケニー・ドリュー       440
ゴーゴー・ペンギン・トリオ 213.369
コリン・バロン・トリオ    76.221

サイラス・チェスナット・ピアノ・トリオ  372
ジャック・ルーシェ  11.15.18.21.23.25.27.49.53
ジャン・フィリップ・ヴィレ・トリオ  210
ジョー・ギルマン・トリオ       173
ジョエル・レンメル・トリオ  131.235
ジョバンニ・グイディ・トリオ  293.297
ジョバンニ・ミラバッシ   95
ジョルジュ・パッチンスキー・トリオ  193.303.311
ジョン・ディ・マルチーノ   141
ジル・エキミアン・トリオ   162.306
ソレン・ベベ・トリオ      81

ダイアナ・クラール  41.288
ダニーロ・レア     348
ダニエル・サボー・トリオ  182
チャーリー・ヘイデン  277
ティエリー・ラング・トリオ  159.195.411
ディナ・ディローズ   44.437
ティングヴァル・トリオ   230
デヴィド・ヘイゼルタイン・トリオ  168
デビー・ポーリス   374.376
トーマス・エンコ・トリオ  147
トルド・グスタフセン・トリオ  65.72.355

ニコライ・ヘス   382
コッキ・アイルズ・トリオ  257
ニッキ・パロット  176.398

パトリシア・バーバー   110
ハロルド・メイバーン・トリオ   165
ビル・エヴァンス   389.401
ビル・チャーラップ  413.421
フランチェスカ・タンドイ・トリオ  232.274.386
ブルノー・アンジュリーニ  249
フレッド・ハーシュ・トリオ  224.359.430
ブラッド・メルドー・トリオ  92.98.101.103.418
プルゼミスロウ・ラミニアク  313
ペドロ・ネヴィス・トリオ  219
ヘルゲ・リエン・トリオ   63.227.237.330

マーク・ヴァン・ローン   352
マック・チャラップカーラ・トリオ  185
マッズ・ヴィンディング・トリオ   133
マティアス・アルゴットソン・トリオ 267
マルチン・ボシレフスキ・トリオ   46.106.253
ミシェル・ビスチェリア・トリオ  178.216.379

ヨーナ・トイヴァネン・トリオ  301
ヨーナス・ハーヴィスト・トリオ  139.362
ユス・ヴァン・ビースト・トリオ  239.427

ラーシュ・ダニエルソン  156
ラーシュ・ヤンソン・トリオ  318
リッチー・バイラーク   154
レシェック・モジュジェル  156.433
ロニー・リン・パターソン・トリオ   200
ロバート・グラスパー  340
ロバート・ラカトシュ・トリオ   271.282
ロベルト・オルサー   244.407

 

 

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2016年11月 1日 (火)

ケニー・ドリュー・トリオKenny Drew Trio 回顧「Impressins パリ北駅着、印象」他

1961年パリに、自分の発見とユーロ・ジャズへの寄与
   
~黒人ピアニストの悲哀と新天地での開花~

 ちょっと秋の感傷で、諸々回顧をしているところです。近年はユーロ・ジャズの隆盛で、どちらかと言うとそれにはまっている私ですが、そんなことも考えつつちょっと懐かしの30年前のアルバムを聴いているんです。登場するはケニー・ドリュー、彼の欧州から受けた印象と、彼のピアノ・トリオのユーロ・ジャズへ及ぼした影響などに思いを馳せているんです。

Kennydrew ケニー・ドリューは1928年NY生まれで、クラシックを学んだジャズ・ピアニスト。そしてチャーリー・パーカーの影響を受け、所謂ビーバップ・ジャズに傾倒。そして1950年代後半には自己のトリオを結成。しかし当時の社会はなかな彼らのような黒人を受け入れる環境は表向きとは変わって厳しく、人種差別の問題からの解放に望みを託し、つまるところヨーロッパに流れる事も多かった。ドリューもそうした流れの例外で無く、1961年パリに彼は降り立ったのだ。そしてアメリカの世界と異なった人間的暖かさの世界を感じつつ、1964年にデンマークのコペンハーゲンを活動の拠点とし第二のミュージシャンとしての人生を始めた訳だ。(1993年満64歳没)

<Jazz>
KENNY DREW TRIO 「Impressions パリ北駅着、印象」
Alfa Music / JPN / ALCB-9501 / 1988

Photo_2
Recorded Aug. 1, 2 & 3. 1988 at Easy Sound Studio, Copenhagen

Kenny Drew : piano
Niels-Henning Ørsted Pedersen : bass
Alvin Queen : drums

 このアルバムは、ケニー・ドリューがヨーロッパの地に完全に住み着き、ヨーロッパの女性を妻とし音楽活動に華を咲かせるのだったが(遅咲きの名ピアニストと言われるところ)、その当時を思い起こしての印象を綴ったアルバムなのだ。

Photo_5 盟友のベーシスト、ニールス・ペデルセンNiels Pedersenと出会って、黒人のジャズを差別無く愛してくれる欧州の聴衆との出会いが相乗効果となり、ドリューの心には演奏にも変化をもたらす生きがいが生まれたのであろう。そしてこのアルバムはそれから20年以上経ってのこの時彼は60歳。

 そんなことからか、このアルバムの10曲を右にみるが、彼のオリジナル曲4曲と、彼のトリオのベースのペンデルセンが1曲と、単なるスタンダード曲集と異なるところも聴きどころ。
 特にオリジナル曲のM1.”Impressions”が彼の心を描いている。哀愁と美しさが満ちているし、中盤はジャズのスウィングする醍醐味も備えている。
 そしてM2、M3の2曲では、魅力あるこの地の明るい表現が伝わってくる。
 その後には、シャンソンの”枯葉”を登場させて愛するパリを表現している。
 ここに彼の再々スタートのアルバムは、叙情詩的な趣をみせながらも、ジャズの楽しさをも描いたものとなった。

<Jazz>
KENNY DREW TRIO 「Recollection 欧州紀行」
Alfa Music / JPN / ALCB-9502 / 1989

Photo_3
Recorded May. 14 & 15. 1989 at Easy Sound Studio, Copenhagen

Kenny Drew : piano
Niels-Henning Ørsted Pedersen : bass
Alvin Queen : drums

 

List_2 さて、こちらはアルバム「Impressions」の翌年に発表された続編的アルバムだ。(日本タイトルは「欧州紀行」となっているが「回想」とか「追想」と訳すべきでしょうね。リスト→)
 こちらは、やはり過去への回想、特に欧州がテーマであろうが、そこには彼がアメリカという地では為しえなかったジャズ・ピアニストとしての満足感が、このヨーロッパで得られたことの喜びに満ちたアルバムになっている。
 それは極めて明快で解りやすい華々しい演奏にみられるところだ。このアルバムにはやはりドリューの本質的なところである叙情的な面を見せながらも、躍動感、疾走感のあるダイナミックでメリハリのあるピアノ・トリオが展開される。M2”シェルブールの雨傘”にみる哀愁感と軽快感の異なるタイプをミックスしての演奏は他のピアニストの演奏とは異なるところが聴けるのである。
 又M7,”サマー・ノーズ”なんかは如何にも追想している心が伝わってくる。
 ケニー・ドリューの影と華に秋の夜長を迎えて思いを馳せてみた。
 
(試聴)

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