2016年9月23日 (金)

イタリアン・ロックの軌跡(7)ムゼオ・ローゼンバッハ「ツァラトゥストラ組曲」

イタリア・プログレの真骨頂~そこには人間復興への歌

<Progressive Rock>
    MUSEO ROSENBACH  「ZARATHUSTRA」
       BMG / BVCM-37425 / 1973
       KING /  JAPAN / K32Y 2117 /1982

Zarathustra
Stefano "Lupo" Galifi / vocals
Enzo Merogno / guitar, vocals
Pit Corradi / Mellotron, Hammond organ, vibraphone, Farfisa el. piano
Alberto Moreno / bass, piano
Giancarlo Golzi / drums, timpani, bells, vocals

 1970年代初めに一口にプログレッシブと呼ばれるロックであっても、それには多種多様なパターンがあった。特にイタリアでは、アレアのようなジャズ・ロックも当然一つの形であったが、やはりなんと言ってもイタリアの特徴はクラシック音楽の伝統をバックに壮大なオーケストレーションを加え、時に合唱をも取り込み、そしてドラマチックな手法や様式美を築き、しかもそこにカンツォーネの歌心が盛り込まれるという叙情性も加味されたヘビー・シンフォニックである。そしてその代表とも言えるのが、1アルバムで消えたこのムゼオ・ローゼンバッハMuseo Rosenbachである。

Museo1_2
 当時”ヘビー・シンフォニック・ロック”と言う言葉が生まれた対象ともなったこのアルバム、日本ではマニアに圧倒的人気があり、再発前は簡単に手に入らず数万円で取引されていたもの。それもキング・レコードから「EUROPIAN ROCK COLLECTION」としてリリースされファンは歓喜した。更にCDブームで1982年には、CDのリリースもあって、ようやく一般人に広げられた。なんとそれはイタリアでのリリースから10年後であった。私も彼らの音源はそれなりに持っていたが、このCD発売の恩恵に与った人間である。

Zarathustralist ニーチェの哲学叙事詩「ツァラトゥストラはかく語りき」を元にしていると言うが、そのあたりは詳しくないので解らないが、反キリスト教的思想が貫かれていると言うことは間違いない。(イタリア、時の政権は右翼キリスト教民主党)
 ”パワフルなキーボード・オーケストレーションを駆使した、エネルギッシュかつ交響曲的高揚を持つヘヴィ・ロックの傑作”と表現されるが、まさにそのどうりの圧巻の一大叙情詩。
 当時プログレの代表楽器のキーボードであるオルガン、メロトロンが雄大に響き、それに止まらずギターのハード・ロックなプレイが絡んで重厚なる深遠なる世界を描いている。

 スタート”最初の男”はギターによる物語の始まりで、歌心あるヴォーカル、そしてキーボードの盛り上がりといったところ。
 ”昨日の王”は深遠な世界、ここでもカンツォーネの流れを感ずるヴォーカルが聴ける。
 ”善悪の彼方に”はハードにスタート、ヴォーカルも力が入る。ギターとオルガンのコンビネーションによるハードロック調のヘヴィなプレイ。
 ”超人”再び世界を歌い上げる。
 ”砂時計の宮殿”全楽器でハードでシンフォニックな世界を盛り上げる。そして壮大なテーマのメディーが再び流れる。
 
 組曲とは別の”女について”ではギターの泣き、ハードなオルガン、高らかに唄うヴォーカルと、イタリアものらしい曲である。”自然”はE.L.Pを思わせる。”永遠の回帰”は彼らの主張をハードに。

Rare とにかく当時は1アルバムのロック・グループとして重宝がられたわけだが、その後、まさにイタリアンなドラマティック・ポップで一世を風靡したバンドのマティア・バザールMatia Bzar(このバンドにも一度焦点を当てる予定)にも流れていった訳だが、当時プログレ・ファンにはこのアルバムが忘れがたく、その為1992年には当時のレア・トラックのアルバム「Rare & Unreleasd」(→)というアルバムを産むほどであった。

(社会背景からのロック)
 しかし、重要なことは、当時のイタリアの社会情勢である。当時のオイル・ショック(1973年10月)は日本と同様に資源の無いイタリアには大打撃で有り、社会危機と政権交代(キリスト教民主党)などはロック・コンサートの否定と走り、イタリア・ロック界は撃沈される。そんなところを予知しての彼らの高貴な支配者を期待したゾロアアスター教(ツァラトゥストラ)への永遠の回帰を期待する世界、人間復興が歌われているのである。そしてこのバンドは解散。
 こうした時代背景は常にロックの形を作り上げてきた重要因子であったことを知らねばならないだろう。これこそがロックの醍醐味なのだ。

 そして1アルバムで消えた彼らも2000年には(Stefano “Lupo” Galifi(vo)、Alberto Moreno(key)、Giancarlo Golzi(dr/per/vo)のオリジナル・メンバー三人を中心として)再結成となってアルバム「EXIT」のリリースをみたのである。

<MUSEO ROSENBACH ~Discography>
1973  Zarathustra
1992  Live72 ,  Rare and Unreleased
2000 Exit
2012 Zarathustra- Live In Studio
2013 Barbarica

(参考)
当シリーズ過去の「イタリアン・ロックの軌跡」に登場バンド
1.I Giganti
2.Il Volo
3.Lucio Battisti
4.Mario Panseri
5.Premiata Forneria Marconi (PFM)
6.Il Rovescio Della Medaglia (RDM)

(試聴)

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2016年9月22日 (木)

「灰とダイアモンドと月の裏側の世界」<女性ジャズヴォーカル編>1巻・2巻 完成 =総索引=

世界の94歌姫登場 二冊に収納

 ここ10年間に、当ブログ「灰とダイアモンドと月の裏側の世界」に登場したジャズ畑の女性ヴォーカリストはなんと94名となってしまった。そこで取り敢えずその彼女らのCDアルバムやDVD映像ものの紹介を中心にしたアーティクルをここに纏め製本化してみたものである。当初は一冊に納まると思っていたが、なんと二冊の計約750頁に及んでしまったもの。

1bw2









<総索引>
  (日本語読みアイウエオ順) (巻)- 頁

アイリン・クラール  (2)-235
アガ・ザリアン
 (1)-9,12,15,19
アデル 
 (1)-22,25,28
アリーチェ・リッチャルディ
  (2)-346
アレクシス・コール  
 (1)-32,35,38,41
アンナ・マリア・ヨペク
 (1)-44,48,52,54,59,64,68,72
アンヌ・デュクロ
      (2)-226
イーデン・アトウッド
 (1)-77,80,82
イヴィ・メンデス  (2)-369
 
イヴォンヌ・ウォルター
    (2)-310
イメルダ・メイ
 (1)-85,89,91,93,95,98
イリアーヌ・イリアス
(1)-101,103,105,108,110,113116,119,122,128,131
ウィリマコ・ブラック
(2)-359
ウィンタープレイ
        (2)-259
ウンサン 
(2)-257
エミリー・クレア・バーロウ 
(1)-135,139
エヴァ・キャシディ
    (1)-142,147,150,154,157
カリ・ブレムネス
    (2)-266
カレン・ソウザ
       (1)-163,166,169
カロ・ジョゼ
      (2)-251
ガブリエラ・アンダース    (1)-173
キアラ・バンカルディ 
(2)372
キアラ・ホラトゥコ
    (2)-331
キャロル・ウェルスマン
(1)-177,180,182,185,
キャロル・キッド
     (2)-214
クレア・マーチン
     (1)-189,192,195
グレッチェン・パーラト
   (2)-286
グロリア・エステファン
   (2)-232
ケイティ・メルア
(1)-200,202,204,206,209,212
ケイト・リード
      (1)-215
コニー・フランシス
 (1)-217,220,223,
サーシャ・ダブソン (
2)-297
サスキア・ブルーイン
  (1)-226
サラ・ガザレク
      (2)-324
サラ・マクラクラン
 (1)-228,231,233,236,238,240
サラ・レンカ
 (2)-303
シーネ・エイ
    (1)-243,246
シェイナ・タッカー 
(2)-342
シェリル・ベンティーン
   (1)-249,252
シゼル・ストーム
    (1)-256,259
ジャシンタ
      (2)-261
ジャネット・リンドストレム
   (2)-300
ジェニファー・ウォーンズ   
(2)-362
ジュリー・ロンドン
    (2)-217
ジューン・テイバー
    (2)-229
ジョアナ
    (2)-277
シンディ・ローパー 
(2)-242
スー・ゲルガー
     (2)-314
スーザン・トボックマン 
(1)-262
スザンヌ・アビュール
        (1)-265
スールヴァイグ・シュレッタイェル 
(2)-320
ステイシー・ケント
   (1)-270
セリア・ネルゴール
   (1)-273,276
ダイアナ・クラール
   (1)-280,282,285,288,292,296,299,302,307,313,318
ダイアナ・パントン
   (1)-325,329,332,337,340345
ダイアン・ハブカ 
   (1)-351
ダイアナ・ペイジ 
   (2)-280
ダナ・ローレン 
(2)-254
ティアニー・サットン
    (2)-282
ディナ・ディローズ
 (1)-354,357
デニース・ドナテッリ
(1)-360,363
トールン・エリクセン
   (2)-294
ニコレッタ・セーケ
   (2)-9,13
ニッキー・シュライア
   (2)-366
ニッキ・パロット
  (2)-15,18,21,24,26,29,32,37,40,43,47,50,53,56,59
パカカル・ラボーレ   
(2)-62,65
パティ・ページ
     (2)-223
パトリシア・バーバー
   (2)-68,74,79
バーブラ・リカ
    (2)-328
バーボラ・ミンドリーヌ
   (2)-291,335
ヒラリー・コール
    (2)-82
フェイ・クラーセン 
(2)-338
フランチェスカ・タンドイ   
(2)-85,88,92
ブランディ・ディスターヘフト
 (2)-273
ブリジット・ミッチェル 
(2)-354
フレドリカ・スタール
    (2)-357
ヘイリー・ロレン
   (2)-96,98,100,102,105,108,112
ペギー・リー
      (2)-220
ベッキー・キルゴア
   (2)-47
ヘティ・ケイト
    (2)-317
ホリー・コール
    (2)-115,118121
マデリン・ペルー
  (2)-124,126,130,133,136
メッテ・ジュール
    (2)-141
メラニー・デ・ビアシオ
  (2)-144,147,150
メロディ・ガルドー 
 (2)-154,157,159,162,164,167,170,174,178,182,186,188
モニカ・ボーフォース   
(2)-192,196
モニカ・ボジム
    (2)-270
ラドカ・トネフ
    (2)-203
リサ・リンズレイ   
(2)-264
リザ・ヴァーラント
    (2)-306
リン・スタンレー 
(2)-247
ルース・キャメロン
    (2)-239
レベッカ・ラーシュドッター
   (2)-351
ローズマリー・クルーニー    (2)-206,209,212

(尚、本文中には、アルバム・ジャケ、演者並びに内容の写真など公表されたものが取り入れられている。この冊子は私の記録で有り、研究用に利用させていただいたもので、営利目的には利用しているものではありません。従って著作権法32条によりに著作権に抵触しないものと判断しております。問題があるようでしたらご連絡ください)

 

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2016年9月19日 (月)

イタリアン・ロックの軌跡(6)ロヴェツィオ・デッラ・メダリア「CONTAMINAZIONE汚染された世界」

イタリアン・クラシック・シンフォニック・ロックの美と哀愁の世界

<Progressive Rock>
          IL ROVESCIO DELLA MEDAGLIA
    「CONTAMINAZIONE汚染された世界」

        BMG / BVCM-37503 / 1974
        BMG - EDISON / JPN / ERC-32010 / 1989

Cont
Engineer : Rodolfo Bianchi
Producer : Luis Enriques Bacalov
Techncian : Franco Finetti
Written By Vita,Enriquez,Sergepy,Bardotti 


   秋の夜長を迎えて、ふと懐かしき時代に想いを馳せるのである。
 やっぱりイタリアン・プログレッシブ・ロックの感動は今でも忘れられない。それは私のミュージックとの関わり合いにおいても大きな役割を果たしてきた。
 何年も前に「イタリアン・ロックの軌跡」シリーズを、ここに開始したが中途半端で中断してしまっていたので(PFM)、今年はそれをそれなりのところまで纏めてみたいと言う気持ちなのである(暇があったらの話で、どうなるやら)。

A76576313707564667893_jpeg そして復活第一号がこのロヴェツィオ・デッラ・メダリアIL ROVESCIO DELLA MEDAGLIA だ(イタリア語で、”メダルの裏側”という意味)。そして最も最高傑作がこの彼らの3rdアルバム「CONTAMINAZIONE汚染された世界」
 このグループはRDMと呼ばれ、当初はサイケデリック・ヘビー&アート・ロック・グループとして親しまれた。メンバーは下記。

  • Pino Ballarini (voce, flauto)
    Enzo Vita (chitarra)
    Stefano Urso (basso)
    Franco Di Sabatino (tastiere) - dal 1973
    Gino Campoli (batteria)
  •  過去に1stアルバム「La Bibbia」(1971)、2ndアルバム「Io Come Io」(1972)があって、2ndアルバムからプログレッシブな感覚が盛り込まれている。
      そしてFranco Di Sabatino(キーボード)が1973年に加入して、当時のイタリア・プログレ・バンドの流行形は整った。そしてこの3rdが最後のアルバムであり、77年解散してしまった。
     (なおこのバンド、1993年ギターのVitaにより再結成、2013年来日)
  • Contlist_2 このアルバムは13曲構成だが(左)、あのバロック音楽のバッハの曲をモチーフとしている。それはバカロフLuis Enriques Bacalovによって企画されたものだ。このバカロフはイタリア・プログレを世界に知らしめた男で、オザンナにはアルバム「ミラノ・カリブロ9」ニュー・トロルスにはアルバム「コンチェルトグロッソ」にてオーケストラを導入して、クラシック・シンフォニック・ロックの形を作り上げ、我々のようなプログレ・ファンを痺れさせた男だ。

     とにかくヴォーカルの美しさは勿論だが、M1”消滅した世界”のスタートで、シンセの永遠なる響き、次第に表れるバッハの旋律、そしてロックの醍醐味へと流れて行く導入のうまさには感動だ。
     そしてダイナミックM3”静寂なる響き”を経てM4”目覚め・・そして再び夢の中”ではストリングス・オーケストラとオルガンの喩えられないほどの美しさが響き、イタリア独特の哀愁あるヴォーカル、壮大な盛り上がりはまさに当時のロック界に衝撃であった。

      M6”君に捧げる歌”、これはかってのLPではA面最後の曲だが、美しさと哀愁とをキーボードとカンツォオーネのヴォーカルの冴えたるもので描き、心に響く。

     しかし後半に入って驚くのは、ヘビー・ロックの味をしっかり盛り込んでのクラシック・シンフォニック・ロックを作り上げているところである。
      M9”独房503号室”、M10”汚れた1760年”におけるアコースティック・ギターの美しさとフルート、チェンバロ、オーケストラのアンサンブルの技、そしてパイプオルガンの響きの壮大さを加味して当にプログレッシブ。
     そしてM12”絢爛豪華な部屋”の内省的静寂の対比的登場はお見事。

     多分、こうした世界を全く知らずに、クラシック、ジャズ、ロック、ポップなど多岐に渡る現代ミュージックを楽しんでいる輩が殆どあろうと思う今、もし機会があったら一度これを聴けば驚きの世界だろうとここで紹介するのである。

     久しぶりにかってのイタリアン・プログレッシブ・ロックの並ぶ棚に目をやり、まず一番にこのRDMのアルバムに手を付け、この「秋の感傷」をスタートさせた私であった。

    (試聴)

    (視聴)  2013年ジャパン・ライブ

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    2016年9月15日 (木)

    ピンク・フロイドPink Floydを動かした女達(3~番外編)

    (ほぼ雑談です)
    バンド・メンバーが共に何かを求めている時の姿は美しい

     さて、この秋、途轍もないピンク・フロイドもの(「The Early Years 1965-1972」=CD&Blu-ray 27枚組)がリリースされると言うことで、私のピンク・フロイド関係に関心を刺激してくれているのであるが・・・・

    Rogerwaterslauriedurning201 そんな時に、ロジャー・ウォーターズはここ十数年のお付き合いのロリー・ダーリングと今年離婚したらしい話もあり、フロイド・メンバーと女性軍達の話もまだまだ続きそうである。

     もう7-8年前だから、いやはやあっという間に昔の話になってしまったが・・・・・ 
     「ピンク・フロイドを動かした女達」
    として2回に分けて、最もピンク・フロイドのその活動性の高かった頃のウーマン・パワーの迫力(?)に考察を向けたのだった。
     それは
     リビー・チスマン、リンゼイ・コーナー、メアリー・ウォーターズ、ジュリエット・ゲイル、リンディー・ルーター、ジュディ・トリム、ジンジャー・ギルモア、キャロライン・クリスティー、アネッテ・リントンと・・・・9人の女性達であった。

     (参照)
    「ピンク・フロイドPink Floydを動かした女達(1)」
      http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/pink-floyd-2103.html

    「ピンク・フロイドPink Floydを動かした女達(2)」
      http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/pink-floyd-0457.html

     さてそんな女性達とピンク・フロイドのメンバーの雰囲気が十分感じ取れる写真がある。それはピンク・フロイドのアルバムで言えば「原子心母Atom Heart Mother」が完成し「おせっかいMeddle」に向かわんとしている頃、つまり彼らの共同作業の確信を得た頃である1970年、そんな時の写真であるが、私の最も好きな彼らの集合写真であるのでここに紹介したい(↓)。

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        (On the beach at St Tropez , summer 1970)

     前列に、ギルモア、メイスン、ウォーターズ、ライト(娘Jamie Wrightを抱いて)と座っていて、家族が集合している。
     後列左より四人目が(メイスンの後ろに)メイスンの妻のLindy Mason 、その右ひとりおいて(ウォーターズの後ろに)ライトの子Gaia Wrightを抱いてウォーターズの妻Judy Waters、更に一人於いて ライトの妻Juliette Wrightが立っている(この頃はギルモアは独身)。
     とにかくピンク・フロイドのメンバーが家族ぐるみで仲良く休日を楽しんでいる様が撮れている。特に子供に恵まれなかったウォーターズの妻Judyが、ライトの女の子を抱いている姿が何とも言えないほほえましいところである。
    (この写真には、Naomi Watts が、母親に抱かれているところも見どころで(後ろ左)、その横に父親のPeter Wattsがいる。彼はサウンド・エンジニア兼ツアー・マネージャーだった。又マネージャーのSteve O'Rourke夫妻も最後部中央にいる。又最後列右にAlan Styles、彼はあの「原子心母」の”Alan's Psychedelic Breakfast”の立役者)

     上へ上へと共に目指している頃の彼らの姿が実にほほえましく撮れている。これぞ和気藹々としていて良い写真なので紹介するのだ。こんな頃が一番よい時なんでしょうね。

    Insideout ここに見る姿から、後のウォーターズとライト、ギルモアの確執に至るところはみじんもかんじられない。”上を目指しているとき”と”頂点に立ってしまったとき”の人間関係の変化というものは実に複雑であることを知るのである。

     近年の彼らの女房は、メイスンはアネッテ・リントン、ギルモアはポリー・サムソン、ウォーターズはロリー・ダーリングと変わってしまっているが・・・・ウォーターズの離婚話などで、結構話はこれからも続くのである。

    (写真は、Nick Mason著「INSIDE OUT A PERSONAL HISTORY OF PINK FLOYD」から~この自叙伝は、発刊に理由はよく解らないがギルモアが反対したもの。しかしメイスンは出版した)

    (視聴) "Atom Heart Mother"~私はこの当時のオーケストラなしの演奏の方が好きなんです

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    2016年9月11日 (日)

    繊細にして好音質盤が聴きたくなる「秋」の到来

    ヘンデル「ハープ協奏曲」

     昼間はまだ暑いとは言え、夜になると秋の到来も感ずる今日この頃。なんとなくそんな夜には繊細にして好録音の音が聴きたくなる。私はそんな時には、もう何十年繰り返して聴いているアルバムがある。

    <classic>
    G.F.Händel 「KONZERT FÜR HARFE UND ORCHESTER ハープ協奏曲」
    Deutsche SchallPlattan / 徳間ジャパン / 32TC-38 / 1985

    Photo
    ユッタ・ツォフJutta Zoff :ハープ
    ハインツ・レーグナーHeinz Rögner : 指揮
    シュターツカペレ・ドレスデンSächsische Staatskapelle Dresden」

     1973年7月11-14日 ドレスデン・ルカ教会 録音

     LPからCD時代になって、その当時かってのLP好録音盤がぞくぞくCDで発売されたことがあった。このCD盤もそんなときの一枚である。

    Haendel ヘンデルのハープ協奏曲は、音楽史上最初のハープ協奏曲といわれている。もともとはオルガン協奏曲第6番変ロ長調から生まれてたものだが、現在はハープ協奏曲として知られているもの。
     ハープの調べは非常にエレガントと言って良いだろうか、典雅な響きが魅力的で気持ちを安らげてくれるので私は好きだ。気持ち的には真夏向きでは無いが、ふと静かな秋を感じた時には、まことにおあつらえ向きなのである。

     このアルバムはなんと1973年録音であるがとにかく音が良い。ハープの響きは繊細さのある切れの良い音で広がる。ストリングスも繊細な高音、低音の響きで美しい。特徴はホール感の充実であり、非常に品がある。

     このレーベル「Deutsche SchallPlattan ドイツ・シャルプラッテン」は、旧東ドイツ時代に、唯一の国営レコード公団として1946年に設立されて以来、実に数多くのクラシックの名演を残してきた。このレーベルの振るっているのは、クラシックばかりでなくロック、ポップス、現代音楽と多岐に渡っている。
    Dresden_lukaskirche_2 又名演、名録音で名高いのが、このアルバムの録音場であったドレスデンの「ルカ教会」ものである。この教会は住宅街の中に古びた外観のものであるが、1945年2月に連合国軍がおこなった無差別空爆(ドレスデン爆撃)で被爆、教会内部までも破壊されたが、戦後になって修復され、東ドイツで唯一の国営レコード会社であったドイツ・シャルプラッテンによって、レコーディング専用の施設として使われることになったというもの(現在も空爆による破壊で尖塔が無い)。
     ここは「名盤の聖地」と呼ばれ、最近オリジナル・アナログマスターの持つ音質を楽しむために、かっての録音ものをキングでハイレゾ配信も行った。
     とにかく天井も高く、技術陣によって響きも改良され、ここの地元の名門楽団シュターツカペレ・ドレスデン(ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)をはじめ、オペラから室内楽、歌曲まで数々の名録音を残している。

    Juttazoff2_2 このハープ協奏曲も、この名門楽団もので有り、ハープ奏者は女性ユッタ・ツォフJutta Zoff で(←)、この楽団シュターツカペレ・ドレスデンの首席ハープ奏者である(1967年以降)。
     彼女は東ドイツを代表する存在で、ヨーロッパ各国に知られていた。
     幼いときはピアニスト、その後はサキソフォン奏者の経験もある。とにかく演奏はノーブルという表現がぴったりの品のあるものであった。

    Hrogner 指揮はハインツ・レーグナーHeinz Rögner (1929-2001)で(→)、既に十数年前に亡くなっているが、彼はどちらかというと地味な指揮者であったが、ブルックナー、ワーグナー等の名演がある。1958年、ライプツィヒ放送交響楽団の首席指揮者、1962年、ベルリン国立歌劇場の常任指揮者、1973年、ベルリン放送交響楽団の首席指揮者。1983年4月から1992年3月には読売日本交響楽団の第5代常任指揮者。

     この「ヘンデルのハープ協奏曲」は、3楽章構成。
     第1楽章は、4分の4拍子。テンポは「アンダンテ アレグロ(歩くように快速で)」でリズムカルで快調。オーケストラは静かな時が多く、ハープの響きを堪能できる。
     第2楽章は、4分の3拍子。ラルゴの短調の緩徐楽章、哀愁感が見事。ハープの高音も美しい。
     第3楽章は、8分の3拍子。テンポはアレグロ・モデラート。かなりハープの弾きが最高潮に響く章。

    61viubfhckl_2
     なお、参考までに、現在
    『ハープ協奏曲 ツォフ・レーグナー&シュターツカペレ・ドレスデン』(KING / KICC3599)
    というCD盤(→)が手に入るが、多分これはここで紹介した1985年リリースものと録音日も同一であり、確認はしてないが同一で、これが現在売られている盤だと思われる。なかなか長生きのもの。

    収録曲
    ■ヘンデル/ハープ協奏曲変ロ長調作品4-6
      第Ⅰ楽章 アンダンテ・アレグロ
      第Ⅱ楽章 ラルゲット

      第Ⅲ楽章 アレグロ・モデラート
    ■ディッタースドルフ/ハープ協奏曲イ長調

      第Ⅰ楽章 第Ⅱ楽章 第Ⅲ楽章
    ■シャン・フランセー/ハープとオーケストラのための六楽章の詩的な遊戯
      第Ⅰ楽章 第Ⅱ楽章 
    第Ⅲ楽章 第Ⅳ楽章 第Ⅴ楽章 第Ⅵ楽章

    (参考試聴) 当”ツォフ、レーグラーもの”が無いため、参考までに別演奏者の「ヘンデル・ハープ協奏曲」の試聴

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    2016年9月 7日 (水)

    メラニー・デ・ビアシオMelanie De Biasioの1st「a stomach is burning」

    ブルーな世界、憂鬱なる哀愁によって描かれる「メラニーの奥深い心情の世界」

    <Contemporary Jazz,  Soul>
    Melanie De Biasio 「a stomach is burning」
    Igloo / EU / IGL193 / 2007


    Astomachw
    <a atomach is burning> was a "3 days live session"recorded and mixed in Dec.2006 at Igloo Studio by Daniel Léon

    MELANIE DE BIASIO (vocal)
    PASCAL MOHY (P)
    PASCAL PAULUS (HAMMOND他)
    TEUN VERBRUGGEN (DS)
    AXEL GILAIN (B)
    FEAT.STEVE HOUBEN (SAX,FL)

    Melaniedebiasio ベルギーの個性的異色女性シンガーのメラニー・デ・ビアシオは、有能なコンポーザーでもあり、どうも私の気になるところである。
     その為なんとなくいろいろと知りたくなるのだが、その結果、この1stアルバムも、しばらく前に海外発注で手に入れてみたものである(今から9年前のリリースものであるのだが)。
     そこで、このアルバムを考察してみたいのだが、彼女を取りあげるのはこれで3回目ということになってしまった。

     彼女には自己名義のアルバムが3枚ある。その3枚を私の場合は、2nd『No Real』2014)から聴いて、次に3rd『Blackened Cities』(2016)を、そしてその後この1st(2007)という順に聴いたんですが、異色性は1st<2nd<3rdの順にニューアルバムに従って濃くなり、この1stも異色ではあるが最も一般ジャズに近いアルバムだった。

     このアルバムでも、彼女のヴォーカルは近代ジャズ演奏とともにその芸の域は深い。声の質も中低音に幅の広さがあり端麗ヴォイス、高音域はクリアーで快感。2ndで受けた印象通りのブルーな世界、憂鬱なる哀愁が漂っていて、しかしそこには彼女の不思議な魅力が溢れている。歌詞は英語であるが歌詞カードが無いため詳しくは知り得ていないが、ここには彼女の奥深い心情の世界が訴えられているのでは?と思うところ。
     ”a stomach is burning”という曲があり、アルバム・タイトルにもなっているのだが、”胃が焼ける”という意味なのか”欲望が燃える”との意味なのか?不明だ。
     しかし既にこの1stから、独特な「メラニー・デ・ビアシオ世界」が築かれていてお見事。

    (Tracklist)
    1 DWON *
    2 A STOMACH IS BURNING *
    3 NEVER GONNA MAKE IT *
    4 MY MAN'S GONE NOW *
    5 BLUE
    6 LET ME LOVE YOU *
    7 THE LATEST LIGHT OF LOVE
    8 CONVICTIONS *
    9 ONE TIME *
    10 LES HOMMES ENDORMIS
    (*印 Comp. M. De Biasio)


    Bando5  曲は彼女自身の手によるものと、このアルバム・メンバーの曲が中心で、基本的にはオリジナル曲構成のアルバム(←)。

     アメリカン・スウィング・ジャズの軽快にして気持ちを高揚させるものとは全く異なるところで、ジャズ形式も多彩で゛、ブルースあれば、ファンクそしてスウィングもみられる。
     そのバック演奏は、全体にスローではあるがそこにあるスリリングな演奏によって緊張感たっぷりの陰影を描ききる。このあたりからも、かなり洗練されたバンド・メンバーであることが解るが、特にヴォーカルとのバランスにおいてもその締める位置も控えめではあるが、ジャズ演奏の質の高さは、クールな中に繊細な演奏を極め、キラリと光るものを感ずる。特にピアノ、サックスのジャズィーな競合は聴くに十分な味を堪能させる。そしてメラニーの物語調のバラード歌唱を支えるのだ。

     いや~~、これも埋もらせては惜しい異色の名盤である。

    (視聴)

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    2016年9月 2日 (金)

    キング・クリムゾンKing Crimon 「RADICAL ACTION (To Unseat The Hold of Monkey Mind)」

    フリップの逆襲=ライブ総集編「ラディカル・アクション~ライブ・イン・ジャパン+モア」 ~ ライブはやっぱり映像版だ!
    (CD3枚+BLu-ray1枚)

    <Progressive Rock>

    King Crimon「RADICAL ACTION (To Unseat The Hold of Monkey Mind)
    WOWOW / JPN / IEZP108 / 2016

    Radicalaction1_4



    Robert Fripp : Guitar & Keyboard
    Jakko Jakszyk : Guitar, Voice & Flute
    Tony Levin : Basses & Stick
    Mel Collins : Saxes & Flute
    Gavin Harrison : Drums
    Bill Rieflin : Drums & Keyboards
    Pat Mastelotte : Drums

    Radicalaction2_2 しかしロバート・フリップも元気といえば元気ですね。もうミュージシャンとしての活動は止めたと言いながらも、ちゃっかりと「ア・キング・クリムゾン・プロジェクトA King Crimson ProjeKct」から発生した現行の「King Crimson 7人バンド」をもとに、世界にあしかけ3年(2014-2016)のライブを展開し又こんなアルバムをリリースして頑張っている。今回はオフィシャル・ジャパン・ライブものだ。

     (参照) 新キング・クリムゾンKing Crimson -その4-「2015ジャパン・ツアー」
                 新キング・クリムゾンKing Crimson -その3-「Orpheumライブ・アルバム」
                 新キング・クリムゾンKing?Crimsonの復活の謎

      やっぱりキング・クリムゾンというのは、ロックの歴史から無くなることのないピンク・フロイド同様ロックの一角として君臨し、商業ベースとしてはこの上ない美味しいところにあるんですね。それはフリップ自身の考えとは別に(フリップ自身もなかなかの策師だが)それ以上に独り歩きしているといっても良いのだろう。

    Stage
     また、人間というものは、諸々に於いて”ここで手打ち”と思っても最終的にやっぱり止めれるものでないというのも習性というか?実状というか?、演ずるキング・クリムゾン、それを聴くファン、そこには”歴史的産物”とただ決めつけられないところの”現行の世界”を実感したいのであろう。

     まあそんな中で、何回か反省してもやっぱりクリムゾンとなると無視できない。また今回はライブ・アルバムであり、既に良質のブートで多く聴いてきたもの。しかしオフィシャルものとなれば・・・・、更にその上、映像物もあるとなると、その病気は再発してこうして手に入れてしまうのである。

    3cd 2015年ツアーのシンボル・キャラクターのサイクロプス(一つ目の人物キャラ)をジャケに4枚組アルバムという迫力もの。

      さて、その中身は2015年ワールド・ツアーからの日本公演、特に高松公演(2015年12月15日)をベースに一部各地の公演録音から成り立っている。なんとCD3枚組で、それぞれテーマごとに纏められた全27曲(←)。私のようなオールド・リアルタイム・ファンにとっては、やっぱりDisc-2、3が楽しめます。

     まあこのツアーものは、オフィシャルに『Live at the Orpheum』(これは今となると意味の無いアルバムだ)、 『Live in Toronto』が既にリリースされているが、ようやく演奏も脂がのってきての、このジャパン・ツアーが究極のライブ・アルバムとなりそうだ。
     しかも音楽以外の全てのノイズを取り除いてのライブ演奏版。雑音なしで演奏を楽しめるところがミソ。それも2HD HQCD の高音質盤。

    【Blu-ray映像版】
     いずれにせよ更にこれらの映像がBlu-ray版に納められている。それも嬉しいことにサウンドにも力が入っていて24bit/48kHzLPCM&DTS HD-MAサラウンド・サウンドで楽しめる。(このアルバムの注目点は映像にあると思うので、内容は末尾に記載、参照)

    Fripp  映像はステージ全景をベースに、それぞれの曲の中心演奏者をアップしてダブらせるというタイプ。従ってライブ会場のように、見たいところを観るということが出来てなかなか良い。ところで久々ですね、ここまでフリップのギター演奏姿をアップでじっくり見れるというのも。しかし残念であるが、映像の質はBlu-rayとは言っても良くない。つまりDVD2枚分を収納したと言うだけの映像で、残念ながら一昔前のDVD映像だ。
     この「7人新クリムゾン」の楽しみは3人ドラムスというところにあったが、でも久々のMel Collinsも注目するところ。 彼の昔の暴れものぶりを知っている者とすれば、随分紳士になったなぁ~と思うのだが、サックス、フルートで昔のクリムゾンの音を思い出させる。特に”レターズ”、”船乗りの話”、”イージー・マネー”のあたりは少々涙ものである。
     そうそうJakko Jakszyk を忘れてはいけない、このバンドの第2の中心人物だ。ヴォーカルを全てこなしているのだが、若干線の細いところはまあ許すとするところ。それでもこの新クリムゾンでは貢献大。

    Photo_2 フリップRobert Frippは「過去の再現バンド」でなく、これは「新しいクリムゾンを展開するバンド」だと強調していたが、それでもやっぱり懐かしの再現版である。ただ。”ラディカル・アクションⅠ”~”メルトダウン”~”ラディカル・アクションⅡ”とメドレー形式で演奏された新曲は、21世紀のクリムゾンが提唱する“ヌオヴォ・メタル”のイメージとして受け入れよう。
     とにかく重低音空間を生み出していた今回のバンドは、私とすれば、”The Hell Hounds of Krim /ザ・ヘルハウンド・オブ・クリム”、”Devil Dogs of Tessellation Row /デヴィル・ドッグス・オブ・テセレーション・ロウ”のような3人ドラムスの展開が結構面白かった。まあPat Mastelottoのドスン・バタン・ドラムスなんですけどね。
     Bill Rieflinがどういう位置なのかと思いきや、ドラムス・プレイもいいけど、キー・ボードで昔のメロトロンの音を再現して健闘している姿がよく見れる(今年2016年脱退)。

     映像版は、やっぱりそれぞれの演奏者の介入がどのように行われているかが解って、クリムゾンの場合は特に意味ありますね。

    <Blu-ray-Tracklist>
    Threshold Soundscape /スレッショルド・サウンドスケープ
    Larks' Tongues in Aspic Part One /太陽と戦慄 パート1
    Pictures of a City /冷たい街の情景
    Peace /平和
    Radical Action (to Unseat The Hold of Monkey Mind) I /ラディカル・アクション(トゥ・アンシート・ザ・ホールド・オブ・モンキー・マインド)I
    Meltdown / メルトダウン
    Radical Action II /ラディカル・アクションII
    Level Five /レヴェル・ファイヴ
    Epitaph /エピタフ~墓碑銘
    The Hell Hounds of Krim /ザ・ヘルハウンド・オブ・クリム
    The ConstruKction of Light /コンストラクション・オブ・ライト
    Scarcity of Miracles /スケアシティ・オブ・ミラクルズ
    Red /レッド
    Backstage Adventures Of The Crimson Kind /バックステージ・アドヴェンチャー・オブ・ザ・クリムゾン・カインド
    VROOOM /ヴルーム
    Banshee Legs Bell Hassle /バンシー・レッグス・ベル・ハッスル
    Easy Money /イージー・マネー
    Interlude /間奏曲
    The Letters /ザ・レターズ
    Sailor's Tale /船乗りの話
    The Light of Day /ザ・ライト・オブ・デイ
    The Talking Drum /ザ・トーキング・ドラム
    Larks' Tongues in Aspic Part Two /太陽と戦慄 パート2
    Starless /スターレス
    Devil Dogs of Tessellation Row /デヴィル・ドッグス・オブ・テセレーション・ロウ
    The Court of the Crimson King /クリムゾン・キングの宮殿
    21st Century Schizoid Man /21世紀のスキッツォイド・マン

    Extras:
    Suitable Grounds for the Blues /ブルースに適した環境
    One More Red Nightmare /再び赤い悪夢

    (視聴) (目下、Jakko Jakszykのヴォーカルもの以外ライブ映像なし)

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    2016年8月29日 (月)

    フレッド・ハーシュ・トリオThe Fred Hersch Trio のライブ・アルバム 「sunday night at the vanguard」

    繊細にして瑞々しく緩急メリハリのある粋なピアノ・トリオ

    <Jazz>
    The Fred Hersch Trio  「sunday night at the vanguard」
    Palmetto Records / USA / PM2183 / 2016

    Sundaynightw

    Recorded Live at the Village Vanguard,NYC on March 27, 2016
    <Personnel>
    Fred Hersch(piano)
    John Hébert(bass)
    Eric McPherson(drums)

     そろそろピアノ・トリオの話題も・・・・、と言うことでフレッド・ハーシュFred Hersch (1955年オハイオ州、シンシナティ生まれ)の今年録音のライブ・アルバム。

     彼の活動はもう35年以上の歴史を刻んできて、私もここで何回か取りあげたのだが、難病からの復活を見てから、このところ精力的な活動に復帰していることは何よりというところ。
     このアルバムは、ライブものの有名なニューヨーク・ヴィレッジ・ヴァンガードでの今年3月の録音で、彼の相変わらずの繊細なピアノを中心としたトリオ・プレイに、その味を堪能できる。

    Fhw

    1. A Cockeyed Optimist (Rodgers & Hammerstein)
    2. Serpentine (Hersch)
    3. The Optimum Thing (Hersch)
    4. Calligram (for Benoit Delbecq) (Hersch)
    5. Blackwing Palomino (Hersch)
    6. For No One (Lennon/McCartney)
    7. Everybody's Song But My Own (Wheeler)
    8. The Peacocks (Rowles)
    9. We See (Monk)
    10. Solo Encore: Valentine (Hersch)

     M2, M3, M4, M5とハーシュのオリジナル曲が続くアルバムで・・・・
     M2.”Serpentine”は浮遊感覚の美しい曲で、ピアノのみでなく、トリオとしてのそれぞれの味が出ている。冒頭のピアノとベースのシンクロが美しく、中盤からのベースのソロ・パートも繊細なプレイでじっくり聴かせこの曲の展開に大きな効果を発揮している。
     M3.”The Optimum Thing ”は、一転してテンポ・アップして4ビートでハーシュのピアノが前面に出て聴かせてくれるが、ここでは叙情性のメロディー世界と異なって、やや前衛的な難解な曲展開を聴かせる。
     M4.”Calligram”は、やはりスタンダード曲演奏の拘束から放たれての独創性重視の自己の世界だ。ジャズ・ピアノの奥深さを見せつける。
     M5”Blackwing Palomino ”も、ここには彼のリズムカルな心情を思いのまま弾いてみせる。
     この4曲は、ハーシュが健康回復の充実感を謳歌している様として私は歓迎する部分だ。

    Fredherschtrio そして後半はがらっとイメージを変えて、Paul McCartneyの曲M6.”For no one”の心にゆったりと響く優雅な曲として演奏され、心を休ませ豊かさに導いてくれる。
     続くM7.”Everybody's Song But My Own ”はハイ・テンポの展開だが、私にはあまり意味をなさない曲だった。
     M8.”The Peacocks ”は叙情的メロディーの曲というのではないのだが、次第に引き込まれていくこのトリオの繊細な交錯プレイに、彼らのトリオの存在感を十分感じ取れる曲。何回と聴き込んでみたい。
     M10.”Solo Encore: Valentine ”のアンコールの締めの曲。ハーシュのピアノ・ソロで抒情的にしてしんみりと味わえる曲。こうゆうところを実はもう少し私は聴きたかったのだが、それは又次作に期待。

    (視聴)

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    2016年8月25日 (木)

    カロ・ジョゼCaro Josée 「Turning Point」

    ムーディーな洒落たジャズを~これもベテランの味

       <Jazz>
        Caro Josée「Turning Point」
        Skip Records / Germ /LC10482 / 2012

    Turning_point

    Produced by Martin Scheffler, Andreas Paulsen & Caro Josee .
    Recorded 2011 in Bendestorf and Hamburg, Germany.

    Jazzaudio5 カロ・ジョゼCaro Josée、日本でそれ程馴染みのある歌手では無いが、ドイツのベテラン・ジャズ・シンガーだ。1958年生まれだから現在57歳というところか。
     このアルバム、もともと寺島靖国の『for Jazz Audio Fans Only vol.5』(TERASHIMA RECORDS / TYR-1031 / 2012 →)に、アルバム冒頭の曲”La Terrazza”が取りあげられ注目されたと言って良いだろう。

    51_2 彼女のアルバムは、調べるとライブものを除いて過去に9枚あるが(末尾参照)、現在我々の手に入るのは2枚のアルバムぐらいしかなく、近作は、 『Summer Ease』(SkipRecords / GER / SKP9129 / 2016 →)である。しかし話題性からは、この2012年の『Turning Point』が勝るので、ここに取りあげたと言うところ。

     もう30年以上前の1978年にドイツの音楽の祭典ECHOの前身にあたるGerman Record Prizeにおいてナショナル・ポップ・アーティストを獲得したという話(当時20歳)があるので、ドイツでは長く愛されてきたシンガーなんだろうと推測される。
     このアルバムは彼女の取り巻きの総力を挙げてというところか、バック演奏陣が多彩で、ドイツの名門放送局バンドの「NDR ビッグバンド」のトランペッターReiner Winterschladenの名前も見える。

    (MEMBERs)
    Caro Josée- Vocals
    Reiner Winterschladen - Trumpet
    Manusch weiss - Guitar
    Enzo Weiss - Rhythm Guitar
    Martin Scheffler - Guitars
    Thomas Biller - Double Bass
    Julien Kravetz - Drums
    Robbie Smith - Drums, Percussion
    Andreas Paulsen - Piano
    Jean Jacques Kravetz - Fender Rhodes
    Pascal Kravetz - Organ
    Zwetelina Haubold - Violin
    Okko Becker & Alexander Hopf - String Arrangements;

     彼女のややハスキーな、そしてスモーキーに、更に年齢の割にはキュートなヴォイスによって、ムーディーに魅力たっぷりに唄われるアルバムである。
     やはりドイツだけあって録音もリアル。そんなところも寺島靖国に選ばれた一つの因子だと思うが、それにも増して彼女のヴォーカルはM1.は軽快なスタートであるが、その中にも女性らしいムードがあり、M2.になるとさすがベテラン、その歌い込みが見事な曲で、ストリングスをバックにピアノ、ギターの調べが効果を上げる中で、見事な大人のムードを盛り上げる。
     更にM3.では、ミュートを効かせたトランペットの登場で、彼女の唄は更に味付けがジャジーにしっとりとして、一層そのムードは深遠な世界に導く。
     M7.、M10.、M11.などスロー・ナンバーが良いですね。
     しかしM5.を聴くと、かっては結構ポップな曲をこなしていたのではと想像もする。ちょっと昔のアルバムも聴いてみたいところだ。

    Caro20607grunw(Tracklist)
    1.  La Terrazza
    2.  Paris
    3.  The Lawyer's Wife
    4.  Night Time
    5.  Bouillabaisse
    6.  Mona Lisa Liut
    7.  A Love Like This
    8.  No Stars In My Sky
    9.  SOS
    10.  It's Impossible
    11.  Mi Amor

    (参考:Caro Josée  Discography )
    1977 Caro & JCT Band It's Nothing But Higher Pinball Records (TELDEC)
    1980 Caro Caro (WEA Records)
    1983 Caro The Boy is Mine (WEA Records) (Europa)
    1984 Caro The Boy is Mine (Rocshire Records/MCA-Universal) (USA)
    1988 Caro Josy T. (Intercord) (Soundtrack zum Film)
    1991 Caro Volcano (Virgin Records)
    2005 Caro Eternity (Adhip Records/Moon Sound Records)
    2012 Caro Josée Turning Point (Skip Records) *
    2016 Caro Josée Summer Ease (Skip Records)

    (視聴)Caro Josée ”It's Impossible”

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    2016年8月20日 (土)

    メラニー・デ・ビアシオMelanie De Biasioの問題作「BLACKENED CITIES」

    ロック、ソウルからの発展型?=異色の女性ヴォーカル・ジャズ

       <Soul, Jazz, Alternative Rock
       Melanie De Biasio「BLACKENED CITIES」
       Play It Again Sam / UK / PIASLO-50CD / 2016

    Blackenedcities3

      (Tracklist)
       M1.Blackened Cities   24:14

     ベルギーの異色の個性派女性ジャズ・シンガーのメラニー・デ・ビアシオ。彼女の最新作3rdアルバムだ(このアルバムは約25分の1曲のみ)。
     これを取りあげたいために、先日彼女の前作2ndアルバム(2014年『ノー・ディールNo Deal』((参考) ”Melanie De Biasio「No Deal」” ))を紹介した訳だが、この3rdアルバム『BLACKENED CITIES』は、更に負けず劣らずの衝撃の問題作である。私にとっては今年の注目作の最右翼。

      このアルバム(というかこの曲)は、明らかに社会派の作品とみれる。まずジャケからみても暖かさの感じられない工業都市のモノクロ写真。真っ黒な雲の合間からさす逆光によって浮き出る工業建造物の影は印象深い。そこに果たして人間の世界はどのように構築されているのか?、そして人間性の回復は得られたのか?、まずそんなテーマを感ずるアルバム・ジャケなのだ。
     この”Blackened Cities”という作品、”黒ずんだ工業都市”ということなのだろうが、メラニーが18歳までに過ごした事のある街、マンチェスター(英国)、デトロイト(米国)、バルバオ(スペイン)そして地元でもあるシャルルロワ(ベルギー)などの脱工業地域の街の風景から、インスピレーションを得て完成させたものだという。
    Mdb
     曲は深く暗く静かにして荒涼たる世界を聴く者に描かせるところから始まり、メラニーの美しい中・低音の訴えかけるようなヴォーカルが静かにスタートする。繰り返し歌え上げる”goldjunkies”という言葉が焼き付けられる。
     明らかに、「黒ずんだ工業都市」にうごめいてきた人達の生活は・・・・・そこにはこの曲が描くところにみるとおり”明るさ”というものは感じとれない。彼女はこの曲によってこのような都市の再生を期して歌うのであろうか?・・・それに関しては、今聴いている私には解らない。
     前作『ノー・ディール』とはテーマは異なるところであろうが、その暗さはやはり共通している。しかしそこに響くメラニーの歌声が、妙に暖かく美しく心に響いてくるのである。

    Bcs このアルバム製作に当たっては、メラニー自身の発想と曲づくりから行われているが、ブリュッセル王立音楽院で出会ったバンド・メンバーや気の知れたアーティスト達と本作を作り上げようだ(←参照)。

    Melanie De Biasio : Voice, Flute
    Pascal Mohy - Piano
    Sam Gerstmans - Double Bass
    Dre Pallemaerts - Drums
    Pascal Paulus - Synth, Backing Vocals
    Bart Vincent - Backing Vocals

    Mdb1

     メラニー・デ・ビアシオは、1978年7月12日、ベルギーのCharleroiに生まれ38歳、フルート奏者にしてコンポーザー。紹介は前回アーティクルを見てもらうことで省略するが、彼女のアルバムは既に世界的に評価が高く、2015年度「ヨーロピアン・ボーダーブレーカーズ(EBBA)賞」を受賞している。

     コンセプティブな発想が盛り込まれていることや、その曲のタイプからも、Jazz分野から見ればContemporary Jazz、 Crossover Jazz、Club Jazz、 Experimental Ambientと言えるのか、一方Rock側からも、Alternative Rock として評価されたりで、一種のProgressive Rockとも言えるところにある。こんなところからもおおよその彼女の世界が見えてくるところである。
     とにかくJazz界からは、その曲の異色性からも関心度が高く、抜群の歌唱力と相まってクールにして、聴きようでは熱い心が感じられ、その矛盾した世界は高評価を持って注目されているわけだ。
     ある紹介によると、彼女は、影響を受けたミュージシャンとしてNina Simone, Betty Davis, Abbey Lincoln, Betty Carter, Funkadelic, Billie Holiday,Siouxsie and The Banshees, Duke Ellington, Sly and The Family Stone, Delroy Washington, burning spearなどの名が挙げられている。

      取り敢えずの評価としては、私が興味を持った前作『No Deal』を彼女のアルバムとしては、お勧めだ。

    (視聴) ”Blackened Cities”

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