CDの高音質化における諸々の方法論~その一つの”xrcd24”
アナログLPに変わって、1980年代のCDの登場以来既に30年という歴史が刻まれようとしているわけであるが、その後、CDの高音質化を求める流れも無視できない。そして”SACD”、”DVDオーディオ”などのFormatの異なるものの登場などをみている。中でもSACDは、それなりの音質の高度化が計られクラシックやジャズのジャンルでは結構普及もしてきているとは言え、従来のCDにとって変わるほどの勢いはない。
しかし一方、近年は従来の普通のCDであっても、更なる高音質を求め諸々の方法論が動いている。それには主として2つの方法に別れていると言っていい。一つは、CD盤そのもの(マテリアル)の改良による高音質化、もう一つの方法は、録音マスタリングからCD製造過程における劣化を極力防ぐという方法だ。
最初のマテリアルの改良によるものの代表は、2007年にデビューした「SHM-CD」だ。そしてその後に続いて出現した「HQ CD」、更に「Blu-spec CD」などある。これらは従来のCDと同じプレイヤーで再生して、高音質を得ることが出来る。極めつきはビクターの「K2HD MASTERING + CRYSTAL」というガラス盤まで出現した(一枚十数万円)。
そしてもう一方の、従来のCDではあるが、その規格内でオリジナルマスターの音質の劣化を極力製造過程で防いでゆく方法。それが既に10年以上の歴史を経た 「xrcd (Extended Resolution Compact Disc)」である。これはオーディオ・マニアにはそれなりの評価を得て、2002年には「xrcd24」 に進化し現在も進行中である。これはマテリアルの改良でなく、音楽などの録音過程とCD盤製造過程の高精度な音質管理プロセスによるもの。そして今それなりにやはりクラシック、ジャズなどの世界で地道に進行中だ。
「TOCCATA UND FUGE D-MOLL BWV 565 Orgelwerke von J.S.BACH / ZSIGMOND SZATHMA'RY 」 JVC jM-XR240 , 2003
この xrcd24 を聴いてみるには恰好の代物が左のバッハの”トッカータとフーガ”の教会オルガンもの。楽器の中の王様と言われるぐらいのパイプ・オルガンの音はオーディオ・ソースとしては最も適している。とにかく音域が広くその響きの雄大さを何処まで再生できるかというCD製造側では最も神経を使う音源である。
このCDを聴いてみると、なるほどxrcd24の威力を十分に知ることとなる。低音の広い響きから高音に至る流れが澄んでいてしかも充実している、そしてホール感も見事で圧巻だ。
「JACINTHA / Autumn Leaves」 Tbm FIMXRCD 028 , 2000
オーディオ・マニアでは知る人ぞ知るジャシンタ。彼女のジャズ・ヴォーカルは非常に優しく美しく唄われ。そしてバック・バンドの演奏がこれまた美しい。しかし日本では意外に浸透していない。
彼女はインド人(スリランカ)の父と中国人の母の間に生まれ、シンガポールで活躍しているのだ。
そしてこのアルバムは音質の良さも一級で、又選曲も最もポピュラーなスタンダード・ナンバーをたっぷり唄い挙げ、いろいろな意味で隠れファンは多い。このアルバムも xrcd24 の音質の良さに惹きつけられる。
「Jheena Lodwick / Singing In The Rain」 JVC XRCD24-1019SDA , 2010
これはフィリピン人で香港での活躍中のベテラン女性ヴォーカリストのジィナー・ロドウィクのアルバム。これも xrcd24の高音質盤でオーディオ・ファンに人気のあるもの。
彼女の唄も非常に優しく美しく、そして誰にも解るスタンダード・ナンバーを収録している。しかしあまりにも優等生で若干張り合いがないというところもある。
こうしたCDを聴いていると、まだまだ一般のCDも制作側の努力によって高音質を追求することが出来ることが実感できる。
さてこの”xrcd”は、ビクターが、もともとアナログ・マスターテープを如何にCDに生かせるかと言うところ出発したようだ。これは日本ビクターのK2技術が基本にある。
これには、アナログのオリジナルマスターから24bit K2A/Dコンバーターでダイレクト変換してマスタリングされる ”xrcd24 super analog” が主体であったが、現在はデジタルマスターから制作する”xrcd refined digital” の2種類がある。
日本で一般にソフト制作は、オリジナルのマスターから作られたセカンド・マスターから行われているが、この xrcd は、オリジナル・マスターから制作することにこだわり、ビクターの誇るデジタル高音質化技術(K2技術など)による高音質デジタル変換技術とディスク高品位製造技術によるところによるという。通常のCD制作は量産のため大幅に処理が簡略されていて音楽的品質が低下しているらしい。それを意識しての高音質化を計ったものである。
通常のFormatCDでも、ここまで高音質化が出来ることは、今、音源のダウンロード時代となり、しかもその高音質化がそこまで来ている時に、CDは過去のものとなりつつあるとは言え、またまだCDも馬鹿にしたものではないと言うところか。
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