2021年1月15日 (金)

エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi JAZZ ENSEMBLE 「TIME'S PASSAGE 」

欲張りのヴォーカル入りのクインテット・ジヤズ

<Jazz>

Enrico Pieranunzi JAZZ ENSEMBLE 「TIME'S PASSAGE 」
Abeat For Jazz / IMPORT / ABJZ 219 / 2020

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Enrico Pieranunzi (piano, arrangement) (electric piano on 1, 9)
Luca Bulgarelli (bass except 7)
Dede Ceccarelli (drums except 7)

*special guests:
Simona Severini (vocal except 3, 5)
Andrea Dulbecco (vibraphone except 7)

  日本で圧倒的人気の エンリコ ・ピエラヌンツィ(1949年ローマ生まれ)のピアノトリオを基軸とし、しかも彼のオリジナル曲を中心としたアルバムだが、ヴィブラフォン&女性ヴォーカルのゲスト二人を迎えてのやや異色のアンサンブル編。
 実はエンリコと言うとあのクラシック・ムードのある情緒あるメロディーのピアノの美旋律トリオを私はどうしても期待してしまうので、その世界とは明らかに異なる彼の近年のアグレッシブな姿勢がやはり前面に出てのアルバム。その為少々評価が難しい為に年を越してここに取上げたという次第。

Vvj106_hqf_extralarge  9曲中7曲に登場する女性ヴォーカルのシモーナ・セヴェリーニの歌声が、先ずは重要な役割を果たしている上に、近年ややジヤズ界から後退気味のヴィブラフォンが登場してのピアノの取り合わせが又微妙で、ちょっと意外な世界に流れていくのである。
  そしてもう一つピエラヌンツィとこの女性セヴェリーニのコンビというと、2012年からの関係で、2016年にはアルバム『My Songbook』(VVJ106/2016)(→)だ。これはピエラヌンツィが彼女を全面的にフューチャーしアレンジ、プロデュースを担当した本格ヴォーカル・アルバムだった。その後あのドビュッシーへの想いというちょっと中途半端だったアルバム『Moisieur Claude』(BON180301/2018)にも登場している。そんな流れの中での今回のアルバムなのである。

(Tracklist)
1. Time's passage (Enrico Pieranunzi) 5,40
2. Valse pour Apollinaire (Enrico Pieranunzi) 4,13
3. Biff (Enrico Pieranunzi) 4,33
4. In the wee small hours of the morning (David Mann & Bob Hilliard)*Quartet version 4,58
5. Perspectives (Enrico Pieranunzi) 5,15
6. A nameless gate (Enrico Pieranunzi) 5,04
7. In the wee small hours of the morning (David Mann & Bob Hilliard) **Voice&piano version 3,56
8. The flower (Enrico Pieranunzi) 7,10
9. Vacation from the blues (Arthur Hamilton/Johnny Mandel) 5,53

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 上のように、8曲中6曲はピエラヌンツィのオリジナルと言うことで、さてさてどんな美旋律ピアノの世界かと興味津々といったところ。しかし驚くなかれ、ここは期待に反してと言ったところでもあるが、今回のピエラヌンツィ(p)は、主役の座をヴォーカルのセヴェリーニやパーカッシブにメロディーを演ずるデュルベッコのヴィブラフォンに多くは譲っていて、むしろ引き立て役やリード役に徹した感がある。従って控えめに節度を保ちつつ、ゲスト陣の演ずるところに、端麗な味わい深いピアノを添えて演ずる。ただし時にアクセント聴かせてのリズムカルなプレイも披露もしている。そんなところで所謂ピアノ・トリオものとは全く別のアンサンブルな音作りのアルバムになっているところが特徴だ。

Simonaseverinijbw_20210114205401  そして重要なシモーナ・セヴェリーニのヴォーカルは、なかなかテクニックのある上クラスではあるが、中・低音に質量があるハスキー・ヴォイスでのその発声と声の質にはおそらく好みが分かれそう。

 M1."Time's passage "は、アルバム・タイトル曲で、ピアノ・トリオとゲストのヴォーカルとヴィブラフォンの演奏だが、美しさという世界でも無く、ヴォーカル曲というのでも無く、アンサンブル尊重なのか、意味のあまり理解できない曲。
 まあ、彼女のヴォーカルを主体に聴くならM2., M4.といったところか。M2."Valse pour Apollinaire"は、リズムカルにして、メロディーがよく、彼女は生き生きとしていてパリ・ムード、演奏も躍動感あって良い曲に仕上がっている。一方M4., M7. " In the wee small hours of the morning"はフランク・シナトラが歌った名曲で、しっとり歌い上げて聴き応えあるし、ヴィブラフォンとピアノとの相性が良い美しいヴォーカル曲として上出来。
 ところがM6."A nameless gate"あたりは、ヴォーカルと演奏におけるピアノの美しさが中途半端。何に感動して良いのか考えてしまうという状態。
 とにかく聴くにポイントはそれぞれ多々あるのだが、例えばM7.のヴォーカルと続くM8." The flower"で盛り上げた何か訴えてくるムードはかなり良い線をいっているにもかかわらず、M9."Vacation from the blues "のアンサンブルで全く別世界に連れてゆかれ、描いた世界が台無しになってしまう。描く世界の主体がハッキリしない変わったアルバムであった。

 結論的には、それぞれの曲には聴き所があるにもかかわらず、ヴォーカル・アルバムか演奏のアルバムなのかの聴いた後の感想がまとまらない作品だ。まあヴォーカル込みのクインテット・アルバムとしておこう。


(評価)

□ 曲・演奏・ヴォーカル    80/100
□ 録音            85/100

(視聴)

 

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2021年1月11日 (月)

モニカ・ホフマン Monika Hoffman 「TEN MUSES」

かなり手慣れた華やかなジャズ・ヴォーカルを展開

<Jazz>

Monika Hoffman 「TEN MUSES」
Mochermusic / sweden / MOM-0031 / 2020

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Personnel:
Monika Hoffman - vocals (+ violin on 3)
Arno Haas - saxes on 3,5,8,10
Klaus Graf - alto sax solo on 9
Alexander Buhl - tenor sax solo on 1
Peer Baierlein - trumpet/flh on 2,6,8,10
Marc Godfroid - trombone solo on 6
Christoph Neuhaus - guitar on 4,5,8,10
Patrick Tompert - MD + piano (except 1,9)
Martin Schrack - piano on 1,9
Jens Loh - double bass on 2,4,7,10
Benny Jud - electric bass on 3,5,8
Axel Kuhn - double bass on 1,6,9
Fulgencio Medina Jr. - drums on 2,4,7,10
Alvin Mills - drums on 3,5,8
Guido Joris - drums on 1,6,9
The Jazzfactory Orchestra - on 1,6,9

 昨年聴いてはいたが、ここに登場出来なかったものを少々取上げようと、まずはこのスウェーデンの女性ヴォーカリストのモニカ・ホフマンだ。彼女は1982年生まれの38歳。父はスウェーデン人、母はハンガリ人という歌手。流暢なハンガリー語、スウェーデン語、英語を話す国際派。3歳の時にヴァイオリンを弾き始め、サキソフォンも弾き始めたと。 子供の頃、そして10代の頃、彼女は様々な音楽学校に通い、その後バークリー音楽大学に進学した。彼女は奨学金を受け、マイケル・ブレッカーやチャーリー・ヘイデンとステージを共有するという機会を得ている。 いずれにしても華やかなアメリカン・ジャズに寄っている。しかもし豊かな声量で、ジャズだけでなくクラシック、ポップス、ラテンと幅広くこなす。
 彼女のスタートは、もう15年前の2005年にハンガリー ・メガシュタル(アイドル)のオーディションを受け、総合9位と好評価は得られなかったがその反面、高い人気を獲得して成功した。これにより歌手としてのキャリアをスタートさせ、最高のジャズピアニストの一人、ローベルト・ラカトースとも共演しスタジオ・アルバムが成功。
 本作は彼女のスタジオ・アルバム5作目あたりか。
 
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1. First Time
2. Sway
3. Fading Like a Flower
4. Cheek to Cheek
5. Where Do I Begin
6. Besame Mucho
7. Bang Bang
8. Lover Man
9. What are You Doing the Rest of Your Life
10. Lullabye of Broadway
11. Over the Rainbow

 まあどちらかというと、ジャズの中でもポピュラーな曲が続く。それも自身の敬愛する 10人の女性ヴォーカリスト の Doris Day, Judy Garland, Ella Fitzgerald, Rosemary Clooney, Marie Fredriksson, Shirley Bassey, Cezalia Evora, Cher, Barbra Streisand, Etta James に関係した作品を採り上げて歌い込んだと言うことのようだ。

 M1."First Time", M6." Besame Mucho" など期待したが、なんとビックバンドによるヴォーカルで、騒々しくて私向きで無かった。しかし彼女はジャズ・ステージは相当こなしてきているようで、その曲での歌い込みはかなり手慣れていて堂々と歌い上げている。
   とくに、M4."Cheek to Cheek"などは、ジャズの典型的なスタイルをオーソドックスに、しかも彼女らしさも出して危うさがない。
 私の場合は、M2."Sway"がバラード調に流れ、バックも静かな中で彼女なりきの編曲も多彩に込められて、後半のトランペットもバックにピアノと共に入るが、落ち着いていて好感度が高かくこの線なら期待度高い。

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 M5."Where Do I Begin(Love Story)"は懐かしい曲だ。最近聴いていなかったせいか、熱唱とバックのギターの味と妙に気に入ってしまった。
 M7."Bang Bang"ベースのリズムの刻みが効を呈して、ピアノの演奏も快調で彼女の熱唱に盛り上がって、この曲の編曲も面白く聴ける仕上げ。
 M9."What are You Doing the Rest of Your Life"バック演奏も、彼女のヴォーカルが始まると当時にサポートに変化して彼女の情感を盛り上げる。
 M11."Over the Rainbow" 彼女のオリジナル旋律の歌から始まって、この曲本来のメロディーがすぐに出てこないが、締めくくりに相応しくしっとりと歌い込むところは充実感ある。

 彼女のジャズ・ヴォーカリストとしての経験の豊富さが感じられる曲の展開と歌い込みがアドリブも含めて見事である。後は声の質など好みの問題だが、ユーロ系を感ずるよりアメリカン感覚でありその点が私的には気になるところ。しかし所謂ジャズ・ヴォーカルとしてはそれなりの評価は十分出来る。

(評価)
□ 選曲・編曲・歌   85/100
□ 録音        80/100

(視聴)  "Sway"

 

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2021年1月 7日 (木)

EL&Pからブニアティシヴィリ、ブレンデル、プレヴィンの「展覧会の絵」

ムソルグスキーの前衛性からの世界は・・・・

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 ロシアの作曲家ムソルグスキー(Modest Petrovich Mussorgsky, 1839.3.21 - 1881.3.28)は、民族主義的な芸術音楽の創造をした作曲家集団「ロシア五人組」の一人だ。ロシアの史実や現実生活を題材とした歌劇や諷刺歌曲を書いた。歌劇『ボリス・ゴドゥノフ 』や管弦楽曲『禿山の一夜』、ピアノ組曲『展覧会の絵』などが代表作だ。

 ここで取上げる組曲『展覧会の絵』(1874年作曲、楽譜は10年後にリムスキー・コルサコフにより編集出版)は、19世紀ロシアの生んだ最も独創的なピアノ音楽とされている。絵画にちなび彼の世界で発展させた10の楽曲と、全曲の冒頭と曲間に変奏されながら挿入される「プロムナード」より構成された曲。ムソルグスキーならではの独創性が全曲に漲っていて、その音楽的前衛性によって現代においても過去の物にならない。フランス印象派をはじめ各方面に大きな影響を及ぼした。民主主義的な理想のために闘う前衛的なロシア・リアリズムが宿っている。

 そしてそれは現代に於いてロックからクラシックに至る世界で重宝がられているのだ。ここでこの新年に聴いた四枚のアルバムを紹介したい。

█ 「展覧会の絵」 ロック盤

<Rock>
(DVD 映像盤)
 EMERSON,LAKE & PALMAR 
「MONTREAL 1977 COLLECTORS' EDITION」
Olympic Stadium,Montreal, Quebec   PRO-SHOT

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 EL&Pはクラシック曲をロックにアレンジしたグループの代表格だが、このムソルグスキーの「展覧会の絵」やチャイコフスキーの「くるみ割り人形」、アルベルト・ヒナステラの「ピアノ協奏曲第1番」などだ。
 これはもともとこのコンセプトはエマーソンがEL&P結成以前に在籍していたザ・ナイスで行ってきたもの、それがEL&Pに引き継がれたいた。

 これは1977年のオーケストラ共演ツアーのモントリオール公演のライブ映像版。かってライブアルバム『IN CONCERT』としてお目見えしたものだか、現在廃盤。そこで実際にショーどおりに再編集してのバージョンを加えての復刻版。
 とにかく「Pictures at an Exhition 展覧会の絵」が素晴らしい。ロックを過去のクラシックにプログレさせたという離れ業。しかもオーケストラを競演させるというエマーソンの野望の結晶。

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  EL&Pのバンド構成は、キーボード、ベース(ボーカル)、ドラムの、いわゆるキーボード・トリオである。所謂ロック・サウンドには、あの歪んだ破壊的パワーを出すギターは欠かせないものだが、このバンドの構成の場合はギター・サウンドはない。ときにベースのレイクがアコギを使う程度。そしてキーボード・プレイヤーはステージを自由に動き回れず、ロックにとって大きなインパクトとしてのパフォーマンスに制約が大きい。

 しかしキーボードのエマーソンは、ハモンド・オルガンでは攻撃的な音出しに成功し、モーグ・シンセサイザーの音色をうまく取り入れた。C-3とL-100という2台のハモンドオルガンを使い、L-100の出力にギター・アンプを使って破壊的なサウンドを出した。又アンプに近づけてノイズを出したり、鍵盤の間にナイフを突き立てて二つの鍵盤をオンにするエマーソン独特のパフォーマンスにより攻撃的・破壊的イメージ作りをした。さらに演奏面でも「PIANO CONCERTO No.1」にみるように、オーディエンスを虜にした。

 レイクもヴォーカルでの魅力も訴えたし(「C'EST LA VIE」)、パーマーとのドラムスも迫力演奏(「TANK」)。こうしてEL&Pは70年代末期に頂点に立った。しかしこの1977年のパフォーマンスがその後の彼ら自身に重圧となる。
 こんな衝撃は今のロック界では観られない。そんな意味でも貴重盤だ。

 

 

█ 「展覧会の絵」クラシック盤 (1)  ピアノ組曲版

<Classic>

Khatia Buniatishvili  「KaLEidoScope」
Sony Classical / EU / 2016

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Khatia Bunatishvili : piano

0d2926fc5f6c9861573b (Tracklist)

1. Modest Mussorgsky / PICTURES AT AN EXHIBITION
2. Maurice Ravel / LA VALSE
3. IGor Stravinsky / THREE MOVEMENTS FROM PETRUSHKA

   いまや売れっ子のピアニストKhatia Bunatishviliの異端のクラシック・アルバム。この新年の冒頭に当たり、彼女のメリハリのあるピアノ演奏を聴き込みました。
 このアルバムは、既にここで取上げているのでそちらへ (↓)
   (参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/khatia-buniatis.html

 

█ 「展覧会の絵」クラシック盤 (2)  ピアノ組曲版

<Classic>

ALPRED BRENDEL 「PICTURES AT AN EXHIBITION」
PHILIPS / JPN /PHCP-1157 / 

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Alfred Brendel : piano
Recorded on 1985

Alfredbrendelb2   もともとのこの「展覧会の絵」はこのピアノ版であるピアノ組曲であるのだが、それはムソルギスキーが、彼の友人の急進的建築家ヴィークトル・ハルトマンの遺作展から影響を受けて作曲されている。原題は《展覧会からの絵》という意のようで、ハルトマンの絵をそのまま音楽において描出した訳ではなく、あくまでそこからインスピレーションを受けて彼の世界から作られた楽曲という。

  そしてこのブレンデルの演ずるところは、ブニアティシブィリと違ってどちらかと言うと、優しさに溢れているという印象。何度となくよく聴いてきたアルバム。

 

 

█ 「展覧会の絵」クラシック盤 (3)  オーケストラ版

<Classic>

ANDRE PREVIN , Wiener Philharmoniker 
「PICTURES AT AN EXHIBITION」

PHLIPS / Germ. / 416 296-2 /

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Wiener Philharmoniker 
conducted by ANDRE PREVIN

Live Recording , Musikvereinssaal , Wien, 20&21/4/1985

Previn219x219  これはラヴェルによるオーケストラ版「展覧会の絵」を、アンドレ・プレヴィン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が演奏したアルバム。指揮者によってはこうしたオーケストラ版においては、原曲のピアノ組曲のロシア的世界に近づけるものと、あくまでもオーケストラ版としてのラヴェル的世界に広げる者と居るようだが、プレヴィンは特にどちらかにも偏らず、彼の世界で演じたようである。テーマが変わる間にプロムナードという散歩的繋ぎを挿入した組曲だが、そのプロムナードがそれぞれの状況や心理を描くに役立ったところをプレヴィンはかなり慎重に描いているような印象である。


█ 我々が受けるところとしては、オーケストラ版よりは、ピアノ版の方がスリリングな印象であり、その辺はこうして比べて聴いていると面白い。そこに更にEL&P版のようなロックで迫ってみると、これ又ムソルグスキーの世界が印象深くなってくるのである。

 ムソルグスキーに関して・・・・当時ロシアには、「移動派」という民主主義的な理想を求めての闘う前衛的なロシア・リアリズム美術の画家集団が存在していて、この運動を、ドストエフスキー、トルストイ、チェーホフといったロシアの歴史的作家たちは擁護したのだが、音楽界ではムソルグスキーのみ支持したというのだ。こんな貴族生活から大衆の世界に根を下ろした彼の心が前衛的な曲作りに向かわせたのか、興味ある「展覧会の絵」なのである。音楽というものもその時代の中で生きて存在しているところに価値はあるのだと思う次第だ。

(視聴)
EL&P

  

*

Khatia Buniatishvili

*

Alfred Brendel

 

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2021年1月 2日 (土)

2021年の幕開け -「原子心母」「原子心母の危機」

今年は辛丑(かのとうし)年(牛)・・・・・「帰馬方牛」を願いつつ

「帰馬方牛」
戦争が終わって平和になることのたとえ。
または、二度と戦争をしないことのたとえ。
戦争のための馬や牛を野性にかえすという意味から。
(殷の紂王を討ち取った周の武王は、戦争で使った馬を崋山の南で放ち、牛を桃林の野に放って二度と戦争に用いないことを示した故事から)
出典 『書経』

 2019年は全世界「コロナ渦」にのまれ、影に隠れていた世界情勢、そして日本の情勢には、甚だ疑問の姿を感じざるを得ない。歪んだポピュリズム、ナショナリズムの台頭、戦後の平和を維持するリベラリズムに対しての新自由主義の負の部分の支配、人種問題。そして日本での安倍政権以来顕著となった政府の独裁化と道義崩壊、対近隣諸国との政策の危険性、原子力政策の危険性、国民無関心化の助長などなど、新年に当たって多くの問題を考えざるを得ない。

 「丑(牛)」にちなんで、Pink Floyd「原子心母 Atom Heart Mother」そしてMORGAUA QUARTET「原子心母の危機 Atom Heart Mother is on the edge」へと流れるのである
 それはウォーターズの"人間と社会への不安"から荒井英治の"音楽は現実から逃避してはならない"へとの流れである。

 

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   「原子心母」 Atom Heart Mother
    Harvest / UK / SHVL-781 / 1970

 
 (Tracklist)

    1. Atom Heart Mother, 2.If, 3.Summer'68, 4.Fat Old Sun, 5.Alan's Psychedelic Breakfast 



1970年発表。
 全英チャート初登場1位、全米でも55位を記録するなど世界的にヒットして、ピンク・フロイドを世界的バンドとして押し上げられたアルバム。
 プログレッシブ・ロックというものを世界をはじめ日本でも認知させた。
 ここには、ペース・メーカーで生き延びている妊婦を見てのウォーターズの人間観から生まれた不思議なタイトル「原子心母」、ロックとクラシック更に現代音楽を融合させたロン・ギーシン。そして既にB面には、ウォーターズにまつわる人間や社会への不安が頭を上げ、それを美しく歌ったM2."If"が登場、これ以降彼の曲はその不安との葛藤が続くのである。M4."Fat Old Sun"はギルモアのギターによる音楽的追求が始まっている。
 アルバム『モア』以降、ギルモアを呼び込んでバンド造りに努力したウォーターズ。しかし四人の音楽感の違いから分裂直前であったが、この『原子心母』ヒットで彼らは嫌が上でもバンド活動を続け、その後の『おせっかい』、『狂気』と最高傑作に向かう。

 

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  <Classic> MORGAUA QUARTET
 「原子心母の危機」 Atom Heart Mother is on the edge
     日本コロンビア/ JPN / CD-COCQ85066 /2014


 

 


(Tracklist)
1. レッド(キング・クリムゾン) Red(King Crimson)
2. 原子心母(ピンク・フロイド) Atom Heart Mother(Pink Floyd)
3. 平和~堕落天使(キング・クリムゾン) Peace~Fallen Angel including Epitaph(King Crimson)
4. ザ・シネマ・ショウ~アイル・オヴ・プレンティ(ジェネシス) The Cinema Show~Aisle of Plenty(Genesis)
5. トリロジ-(エマーソン・レイク&パーマー) Trilogy(Emerson Lake and Palmer)
6. 危機(イエス) Close to the Edge(Yes)
    i) 着実な変革 ⅱ) 全体保持 ⅲ) 盛衰 iv) 人の四季 
7. ザ・ランド・オブ・ライジング・サン(キ-ス・エマ-ソン) The Land of Rising Sun(Kieth Emerson)

Arai0618 MORGAUA QUARTET
荒井英治(第1ヴォイオリン、東京フィル交響楽団ソロ・コンサートマスター)
戸澤哲夫(第2ヴォイオリン、東京シティ・フィル管弦楽団コンサートマスター)
小野富士(ヴィオラ、NHK 交響楽団次席奏者)
藤森亮一(チェロ、NHK 交響楽団首席奏者)

編曲:荒井英治
録音:2013年 9 月 30日、2014 年1月27日、2月7日、クレッセント・スタジオ

   プログレ至上主義者、ヴァイオリンの荒井英治による入魂のアレンジにより、クラシック・カルテットの演奏アルバム。宣伝文句は「この危機の時代に、新たな様相で転生するプログレ古典の名曲群」で、まさにそんな感じのアルバム。
 このモルゴーア・カルテットは、ショスタコーヴィッチの弦楽四重奏曲を演奏するために結成されたカルテット。東大震災に衝撃を受けたキース・エマーソンが書き上げたピアノ小品の弦楽四重奏編曲に荒井英治(第1ヴァイオリン)は心を打たれた。震災に伴っての世紀の世界的人災「福島の危機」とピンク・フロイドの「原子心母」、そしてその同一線上にクリムゾン「レッド」、イエス「危機」を見ることで、このアルバム製作となったと。

「音楽は現実からの逃避になってはならない。逆に立ち向かうべきことを教えてくれるのではないか」 (荒井英治)

 

(視聴)

pink floyd "Atom Heart Mother"

*

morgaua quartet "Atom Heart Mother is on the edge"

*

morgaua quartet "atom heart mother"

 

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2020年12月29日 (火)

ウォルター・ラング Walter Lang Trio「TENS」

コロナ渦における欧州活動のみの制限から生まれた名曲再演盤

<Jazz>

Walter Lang Trio「TENS」
ENJA Yellowbird / Germ / ENJA9785 / 2020

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Walter Lang : piano
Thomas Markusson : bass
Magnus Öström : drums]

   今年もあとわずかになりました。とにかく今年はCovid-19の世界的流行の年、全てが人類原点に戻っての対応が強いられたような年でした。今だに第三派の波が襲ってきて、本来の活動が取り戻せない環境に甘んじなければならない状態である。これが今年の締めくくりとは情けない現実だ。

 さてそこで今年最後は、そんな事情であるからこそは出来たアルバムを取上げる。それはあの過去の名曲が新しいアレンジで収録で登場した一枚。Covid-19の流行の中、ミュージシャンは活動をいやが上でも制限された。日本でのライブもキャンセル。そこで新生ウォルター・ラング・トリオのセカンド・アルバムとも言えるものの登場なのだ。実はこのウォルター・ラングはなんとドイツ人でありながら、欧州より日本の方に圧倒的に知名度が高い。従って、現在彼は欧州圏内にての活動に制限されたため、まずは今となってドイツにてのプロモーション活動を行わざるを得なかった。そんな事情から、過去の名曲に目を付けここに再出発のような展開をしたわけだ。

 そしてこの2月にドイツにての録音となり、ドイツのジャズ・レーベル enja / Yellowbird Recordsと澤野工房のコラボレーションによるものという結果になったのである。
 又、これもいろいろと私の場合不手際があって、このアルバムの到着が遅れた。従って今になってレビューということになった。
 このメンバーでの前作『PURE』(2019)が良かったため、前作からのドラムスの元E.S.T.のMagnus Ostom もこの刺激の少ない美旋律にどう対応するかも聴きどころだ。

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1. The Beginning And The End
2. Soon
3. Little Brother
4. Meditation in F mi
5. Snow Castle
6. Branduardi
7. Misty Mountains
8. No Moon Night
9. Kansas Skies
10. I Wonder Prelude
11. I Wonder
12. When the day is done

 M1."The Beginning And The End"はアルバム『The Sound of a Rainbow』からだが、タイトルからして何やらこの現状の彼らを物語っている雰囲気ですね。そしてこのアルバムを聴いてみて、アレっこんな曲があったのかと思うのは、彼のトリオ・アルバムというのは刺激の無い優美にして安心感の強い曲だけあって、意外に覚えていないことに気がついた。

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 M2."Soon "のバラッド曲は、アルバム『Translucent Red』からで、私の好きな曲。落ち着いた心の流れを感じ取れる。
 アルバム『PURE』からの2曲、M3."Little Brother "は、7分以上の長曲で、愛情の感じられる曲であり、終盤に高揚してゆくところが聴きどころ。さらにM4."Meditation in F mi"も良いですね。スローな流れの中に、やや不安げな心の描写。
 M5、M6は、いつものラング流の軽い展開。
 アルバム『Starlight Reflections』からは、M7."Misty Mountains "M8."No Moon Night"で、M7.は広大な山岳風景をイメージさせる。M8.は、ちょっと現実離れの不思議な世界に、そして深遠な美しいメロディー。
 M9."Kansas Skies" カントリー・ロックの登場、『FULL CIRCLE』から。
   M10."I Wonder Prelude" ベースの物語からら始まる。なんと不思議な世界へ導かれることか。アルバム『Moonlight Echoes』の締めの曲。

 相変わらず、メロディーとピアノの音からウォルター・ラングと解る優しく何か整った安心感のある世界が展開している。トーマス・マークソンのベースも歌心を展開しているし、マグナス・オストロムもラングの世界にブラシ、スティックなど多彩な音で盛り上げている。特にオストロムはBugge Wesseltoft Trioとの関係もあるので、何かいろいろと微妙なところがありそうだ。かえってラングのもう一つの顔であるTRIO ELFの世界に意外にマッチングが良さそうにも思える、これからラングのトリオもいろいろと変化があるかも知れない。 

 みなさん、良いお年をお迎えください。

(評価)
□ 曲・演奏     85/100
□ 録音       85/100

(視聴)  "Meditation in F MI"

 

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2020年12月25日 (金)

アンドレア・モティス Andrea Motis 「do outro lado do azul もう一つの青」

女流 「歌うトランペッター」の世界を演ずる

<Jazz>

andrea motis 「do outro lado do azul もう一つの青」
VERVE / JPN / UCCM1251 /2019

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Andrea Motis : Vocals, Trumpet, flugelhorn, sax
Josep Traver : Guitar
Ignasi Terraza : piano
Joan Chamorro : double bass
Eateve Pi : drums
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 アンドレア・モティスは1995年バルセロナ生まれの若き女流トランペッターにしてシンガーのジャズ・ミュージシャン。彼女はスペインの天才少女的存在で、7歳からトランペットを吹いてきたと言うが、サン・アンドレウ市立音楽学校でジャズを学び、2012 年クインシー・ジョーンズが彼女をステージに上げたことがきっかけとなり一躍脚光を浴び2017 年にデビュー。まだ二十歳代半ばというには日本では名が売れている。再三の来日効果であろうが、それなりのジャズを演ずるからこそ、そして若き女性の魅力とともに話題を誘うのである。

 実は私はちょっと敬遠していたのだが、今年の秋の「ジャズ批評218」の"いま旬の歌姫たち2020"にもトップを飾って紹介されていて、それならばとアルバム入手に踏み切ったというところ。
  どちらかというと、ヴォーカルはキュート系でスペイン語、カタルーニャ語、ポルトガル語などもこなす言語達者、トランペット・プレイは可愛い彼女から発する音に聴く者はうっとりしているようだ。これは彼女のセカンドアルバムでブラジル音楽の世界へ接近していて彼女の歴史になろうと言われる作品。コロナ騒ぎのこのところは、丁度出産もあってお休みしているようだ。

Andreamotisemotionaldance (Tracklist)

1.Antonico
2.Sombra De La
3.Brisa
4.Sense Pressa
5.Mediterraneo
6.Filho De Oxum
7.Pra Que Discutir Com Madame
8.Danca Da Solidao
9.Saudades Da Guanabara
10.Choro De Baile
11.Record De Nit
12.Samba De Um Minuto
13.Baiao De Quatro Toques
14.jo vine

 

 曲は、オリジナル及びカヴァーの曲によって構成されている。
   M1."Antonico" やや物憂いように歌うサンバが意味ありげで気を引きますね。
 M2."Sombra De La"は、彼女のオリジナル曲で、ヴォーカルとFlugelhornが演じられている。特に印象に残るという程ではない。
 M3."Brisa" 快調なテンポで展開する。トランペット、ヴァイオリン、ピアノ、ドラムスのソロを後半並べて展開するが、聴く方より演者が楽しんでいるような曲仕上げ。まあメンバー紹介のようなものとして聴きました。
 M4."Sense Pressa"も彼女自身の曲。スローに展開する中にバックも小コンポで控えめ、何か意味深に訴えているようで、Flugelhornもしっとりしていて若き彼女としては成熟感あり聴き応えあり。
 M5."Mediterraneo"は典型的ラテン・タッチでありながら、スペイン・ムードを描く。彼女のソプラノ・サックスが後半に聴かせるところが味噌。
 M6."Filho De Oxum" 彼女のアカペラで始まり、カヴァキーニョ(ギター)の弦の響きに乗って艶のあるヴォーカルに焦点のある曲。

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 M7."Pra Que Discutir"はサンバの古典をハイテンポで、M8."Danca Da Solidao"は三つのローカル色の高いギターが列び、クラリネットが旋律を流し、彼女の充実ヴォーカルはこうだとブラジルの名曲をフラメンコ調でゆったりとひとりコーラスを含めて聴かせ魅力的。
 M9."Saudades Da Guanabara"はコーラスとトランペット・ソロというだけのもの。
 M10.".Choro De Baile" インスト・ナンバー、彼女のミュート・トランペットが登場しこれが聴きたかったがようやく登場。ヴァイオリンとの共演が珍しくテンポの良く明るめの曲であるが、私的にはちょっと期待外れ。
 M11."Record De Nit" なかなか味わい深い7弦ギターと彼女のヴォーカルのデュオ。この世界はいいですね。
 M12."Samba De Um Minuto" は、ムードはどっちつかず。
 M13.".Baiao De Quatro Toques"は、彼女のポルトガル語世界で締めくくる。このアルバムの意味づけがここにあることを強調している事が解るが、挿入曲からしてもブラジルをも関連して意識させるところがにくい。

 彼女のスペイン、ポルトガル、ブラジルの世界のそれぞれの文化や言語、リズムの意味に入っていこうとしての意欲が強く感ずるアルバムだ。若き天才と言われるのもそうした姿勢にも現れているのか、聴き応えのあるアルバムである。さて年輪を重ね侘(わ)び寂(さ)びがもう少し加わるとこれ又魅力が増すと思われた。

 

(評価)
□ オリジナル曲、カヴァー選曲、歌、演奏  85/100
□   録音・ミックス             80/100

(視聴)

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2020年12月21日 (月)

年末恒例の寺島靖国プレゼンツ「Jazz Bar 2020」

ピアノ・トリオ一点張りから、今年はサックスものも登場

<Jazz>

Yasukuni Terashima Presents 「Jazz Bar 2020」
Terashima Records / JPN / TYR-1094 / 2020

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 しかし驚きですね、なんとこのコンピレーション・アルバムは20年の経過で20巻目のリリースとなったことだ。今こうしてみると過去のアルバム全てが棚に並んでいて、私にとっては好きなシリーズであったことを物語っている。

 プロデューサー寺島靖国(右下)は常々「歳と共に変化を楽しみ、常に新鮮な気持ちと興味を維持すべし」と口にしているとか。ピアノトリオへのこだわりは相変わらずだが、オーディオ的好みはその録音やミキシングのタイプにも確かに変化は出てきている彼だ。近年は前へ前へと出てくるリアル・サウンドから、音楽としての臨場感、奥行きの感覚に磨きがかかってきた感がある。
 そして「哀愁の名曲」探しは相変わらずで、我々日本人の心に沁みるメロディーを追求くれている。その為私も好きな欧州系をかなり探ってくれたという印象がある。新世代のミュージシャンの発見にも寄与してきてくれているし、私にも大いに影響を与えてくれたこのコンピレーション・アルバム・シリーズはやはり楽しみなのである。

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01. Night Waltz / Enrico Pieranunzi Trio
02. Elizete / The Chad Lawson Trio
03. Morgenstemning / Dag Arnesen
04. C'est Clair / Yes Trio
05. Tangorrus Field / Jan Harbeck Quartet
06. Danzon del Invierno / Nicki Denner
07. Bossa Nova Do Marilla / Larry Fuller
08. Contigo en la distancia / Harold Lopez-Nussa
09. La explicacion / Trio Oriental
10. Soft as Silk / David Friesen Circle 3 Trio
11. Vertigo / Opus 3 Jazz Trio
12. The Miracle of You / Niels Lan Doky
13. New York State of Mind / Harry Allen

 冒頭のM1."Night Waltz"は、昨年ここでレビューしたエンリコ・ピエラヌンツィのアルバム『NEW VOSION』(2019)(下左)からの曲。そしてM3."Morgenstemning "が北欧ノルウェーのダグ・アネルセンのかなり前の三部作のアルバム『NORWEGIAN SONG 2』(LOS 108-2/2011)(下中央)からであり、この2枚のアルバムが私の所持しているものであった。その他11曲は、幸運にも私にとっては未聴のアルバムからの選曲であり、初聴きで期待度が高い。
 そもそもこのアルバムを愛してきたのは、結構日本にいる者にとって一般的に知られていないモノを紹介してくれていること、又私のジャズ界では最も愛するピアノ・トリオものが圧倒的に多い、更にどことなく哀愁のある美メロディーを取上げてくれていることなどによる。そして初めて知ったものを私なりに深入りしてみようという気持ちになるモノが結構あることだ。更になんとなく欧州系のアルバムも多いと言うことが私の好みに一致しているのである。

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   M1."Night Waltz"と続くM2." Elizete "は、哀愁というよりはどちらかというと優美という世界。
 M3."Morgenstemning" 聴きなれたグリークのクラシックからの曲。ノルウェーのミュージクですね。美しい朝の光を浴びて・・・と言う世界。とにかく嫌みの全くないダグ・アネルセンの細工無しの美。
 M5."Tangorrus Field" (上右) 寺島にしては珍しくテナー・サックスの登場。デンマーク出身のヤン・ハルベック。私はうるさいサックスはちょっと苦手だが、彼の演ずるは豪放と言うが、この曲では何故か包容感のある優しさと幅の広さが感じられ、ピアノとの演じ合いに美しさすらある。今回のアルバムには、最後のM13."New York State og Mind"にはHarry Allenのサックスがやはり登場する。
 M7."Bossa Nova Do Marilla" は、ボサノバと言いながらも、驚きのLarry Fullerのピアノの旋律を演ずる流れはクラシックを思わせる。
 M8." Contigo en la distancia"(下左)、キューバのHarold Lopez-Nussaにしては、信じれないほど哀愁の演奏。いっやーー驚きました。
 M10."Soft as Silk" (下中央)、ベーシストのDavid Friesenの曲。どこか共演のGreg Goebelのピアノの調べが心の奧に響くところがあって、この人の造る曲にちょっと興味を持ちました。ベーシストって意外に美旋律の曲を書く人が多い気がしますが・・。
 M12."The Miracle og You" (下右)、このピアニストの Niels Lan Dokyって、実は過去に聴いて来なかった一人で、今回ちょっと興味をそそる技巧派ピアノに聴き惚れて、興味を持たせて頂きました。

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 今回は大きな獲物に飛びつけたという衝撃は無かったが、やはり寺島靖国の選曲にはやはり優美さ、美しさ、哀愁などはそれぞれにどこかに感ずる処があって、やはり年末恒例でこうして聴くことはベターなコンピレーション・アルバムと言うことことが出来る。
 とにかく20周年の成人となったこのシリーズにお祝いしたいところであった。

(評価)
□ 選曲、演奏           88/100
□ 録音(全体的に)      85/100

(参考試聴)

jan Harbeck Quartet "TANGORRUS FIELD"

*
Dag Amesen  " MORGENSTEMNING"

 

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