2022年5月15日 (日)

ジョバンニ・ミラバッシ Giovanni Mirabassi NYtrio「The Sound Of Love」

ミッシェル・ルグランのトリビュート・アルバム

<Jazz>

Giovanni Mirabassi New York Trio featuring Tatiana Eva-Marie
「The Sound Of Love - tribute to Michel Legrand」
VENUS Records / JPN / VHVD-1299 / 2022

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ジョヴァンニ・ミラバッシ Giovanni Mirabassi (piano)
アレキサンダー・クラフィー Alexander Claffy (bass)
ジョー・ペリ Joe Peri (drums)
*Special Guest :タチアナ・エヴァ・マリー Tatiana Eva-Marie (vocals #1,3-7,9)

Recorded at Big Orange Sheepp Studios,Brooklyn,New York on Nov.17,18,19th and 20th 2021

 日本のVENUS Recordsの企画で、出来上がったアルバム。人気のピアニスト:ジョバンニ・ミラバッシ自身も日本にはいろいろと接点があって、結構乗り気であったようだ。特にフランスのポピュラー・ミュージックの大御所で誰もが知ってるミッシェル・ルグランのトリビュートものということと、以前に約束したアバロン・ジャズ・バンドのタチアナ・エヴァ・マリー(1985年生まれ)とのアルバム造りと、いろいろと条件は揃ってのアメリカにての録音ものだ。
 これはニュー・ヨークでの初めて組んだトリオによるもので、単なる女性ヴォーカルものでなく、彼が演じたかったトリオ・ジャズに彼女の歌の色を添えてもらったという感じだの出来。

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(Trackliat)

1.シェルブールの雨傘 Les Parapluies De Cherbourg (I Will Wait For You) 〈J.Demy-M.Legrand〉
2.思い出の夏 Un Ete 42 (The Summer Knows) 〈M.Legrand〉
3.シュフォールの恋人たち Chanson De Maxence (You Must Believe In Spring) 〈J.Demy-M.Legrand〉
4.リラのワルツ La Valse Des Lilas (Once Upon A Summertime) 〈E.Mmarnay-M.Legrand〉
5.アモール・アモール Amour Amour Je t'aime Tant 〈J.Demy-M.Legrand〉
6.サウンド・オブ・ラブ The Sound Of Love 〈Tatiana Eva-Marie-G. Mirabassi〉
7.ウォッチ・ホワット・ハプンズ Watch What Happens 〈J.Demy-M.Legrand〉
8.これからの人生 What Are You Doing The Rest Of Your Life 〈A&M.Bergman-M.Legrand>
9.風のささやき Les Moulins De Mon Coeur (The Windmills Of Your Mind) <A&M.Bergman-M.Legrand>

 もともとイタリア人のミラバッシは、独裁政権下にフランスへの亡命によりパリで活躍することとなったという経過からも、もうすっかりフランス・ムードに包まれている。
 そもそもこの企画は、呼ばれた女性歌手タチアナによるものだったようだが、彼女はスイス生まれだが11歳で演劇を学び、15歳にパリに移住してソルボンヌ大学にて勉学、したがってやはりフランス文化が体にしみこんでいる。そして2011年からニューヨークで音楽・演劇で活躍している。
 従って、このアルバムは昨年ミラバッシが渡米して録音している。そして現地にて若者2人( Alexander Claffy (bass 下左)、Joe Peri (drums 下右))と初トリオをこのアルバムのために組んでの作品だ。しかし、やっぱりフランス・ムードに満ち満ちている。

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 収録曲は9曲だが、8曲はルグランの曲だが、M6."The Sound of Love"のみミラバッシの曲で、ゆったりとしたバラード曲。タチアナのヴォーカルはやや押さえた情感たっぷりの途切れそうに響くトリビュート曲。

 アルバム・スタート曲は、超ヒット作M1."シェルブールの雨傘"で、なるほどこのムードかと、タチアナのヴォーカルは、基本的には美しい声での優しさに満ちているものだ。言葉はフランス語で歌い上げ、ミラバッシのピアノが流れるように展開したトリオ演奏で、なんと後半は主旋律は顔出さずに終わる。
 M2." Un Ete 42" 、M8."What Are You Doing The Rest Of Your Life"は、トリオのみのインスト・バージョンで、M2は、トリオ演奏の醍醐味が伝わってくる演奏で、ゆったりとした説得力ある序奏からはじまり、中盤以降のピアノが躍動、例のミラバッシならではのパッセージの乗りが聴ける。リズム隊それに伴って躍動して面白い。そしてM8は、異色のベースが大きく役割の果たしている曲だ。流れはベースのテーマ演奏がゆったりと低音で響き、ピアノの洒落た静かな支えが見事。
 M4."La Valse Des Lilas"は、しっとりムードの歌と後半のミラバッシのピアノは別世界、そんな洒落た変化が楽しい。
 M5."Amour Amour Je t'aime Tant "は、タチアナの芸達者な歌のムードの中に、ピアノの流れとともに引っ張り込まれる。

 締めのM9.".風のささやき"は、又々有名曲でしっとりと訴えるところはしっかり押さえて、後半のピアノのメロディーは美しさに満ち、ソロ演奏での盛り上がりも見事で、そして静かにヴォーカルとのデュオで幕を閉じる。

 これは単なるヴォーカルものに終わっていないところが聴き応えある。ミラバッシなりの流麗なピアノは全編満ち満ちていて期待を裏切らないし、原曲から彼のジャズ世界に引っ張り込んでゆくところが見事である。 

(評価)
□ 編曲・演奏・歌  88/100
□ 録音       85/100

(視聴) 現在、当アルバム『The Sound Of Love』に関するものが、まだ見当たらないので・・・・G.MirabassiとTatiana Eva-Marie ものを参考までに

 

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2022年5月10日 (火)

リン・エリエイル Lynne Arriale Trio 「THE LIGHTS ARE ALWAYS ON 」

今起こるアメリカならではの社会問題に対峙する人々や民主主義を守る人たちに捧げたアルバム

<Jazz>

Lynne Arriale Trio 「THE LIGHTS ARE ALWAYS ON 」
CHALLENGE Records / Austria / CR73532 / 2022

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Lynne Arriale リン・エリエイル (piano)
Jasper Somsen イェスパー・サムセン (double bass)
E.J. Strickland E.J.ストリックランド (drums)

Recording location : The Bunker Studio NYC,Jacksonville,Florida,USA & Wagenningen,the Netherlands
Recording dates : August & September 2021

   ここでも過去に取り上げてきたアメリカの名女流ピアニスト、リン・エリエイル(1957年生まれ)のオランダのChallenge Recordsからの第3弾。「コンテンポラリー・ジャズのもっともエキサイティングなピアニストの1人」と言われていて、私自身も実は結構難解な印象がありながら、それなりに魅力があって聴いてきたミュージシャンだ。
 今回のアルバムは、この2年間に起こった激動の"パンデミック"や"民主主義の危機"に触発され、一つには、医療従事者、介護者など、そして二つには、真実を語る者、民主主義を守る者として活動した人々を称えるために、このオリジナル音楽集を作曲したことのようだ。重い社会問題をテーマにしながらも、ありがちな悲壮感に満ちた世界に陥ることなく、美しく力強いメロディーを持ってして、むしろ勇気を与えるような世界に聴こえてくるところが魅力となっている。アルバム・タイトルは"光は常に点灯している"というプラス志向の世界だ。
 又一方昨年この世を去った夫へささげられたアルバムだともいわれているものでもある。
 前作は、ここでも取り上げた2020年の『Chimes Of Freedom』であるが、今回も共演トリオ・メンバーは同一である。

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(Tracklist)

01. March On (4:59)
02. The Lights Are Always On (3:23)
03. Sisters (5:15)
04. Honor (dedicated to Lt. Colonel Alexander Vindman) (4:26)
05. Loved Ones (3:27)
06. Sounds Like America (4:43)
07. The Notorious RBG (dedicated to Ruth Bader Ginsburg) (4:47)
08. Into The Breach (4:37)
09. Walk In My Shoes (dedicated to John Lewis) (4:24)
10. Heroes (4:17)

 ノース・フロリダ大学のジャズ科プロフェッサーでもあるリン・エリエイルの教育者としての誇りある美しく堅実なタッチのピアノが展開する。今回のアルバムはそんな中での、熱情的に訴えてくるところが印象的で、私好みの美メロ的なところからの甘さはというものはむしろ無く、スマートなメロデイックにしてスウンギ-・プレイで展開に変化を見せた感じだ。もともとハード・バップを基礎にしてのコンテンポラリーな展開にあっても、オーソドックスなジャズ主張してきた彼女のそれでもやや遊び的なところに私は興味があったのだが、今回は彼女の目的としたテーマには「世界中での活動家への敬意」であり、そんな甘さも許されず、堅実さがこのアルバムでは特に感ずるところで、若干硬さが感じらるアルバムであった。ベース(Jasper Somsen 下左)&ドラム(E.J. Strickland 下右)の迫力ある機動性も抜群のリズム・サポートも、曲の真摯な流れを崩さず安定感ある曲展開に貢献している。

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 M1."March On"は、人種差別などにテーマが向いていて甘くなるはずもなく、やや重苦しい。
アルバム・タイトル曲のM2."The Lights are Always On"は、それでも抒情的なメロディーが顔を出してほっとする。Covidと戦うPrakash Gada博士に代表される医師とすべての最前線の医療従事者に感謝。
M3."Sisters"のジェンダー問題に立ち上がる女性への共感。ちょっとよりどころがない曲。
M4."Honor"アレキサンダー・ヴィンドマンの勇気ある弾劾証言に捧げる曲。裏にウクライナ情勢からのトランプの再起画策の危機感。
M5."Loved Ones" 我々にとっての大切な人たちへの感謝。
M6."Sounds Like America" ようやく楽観的なメロディーとソロが出現、活動家による成果を祝す和音。
M7."The Notorious RBG"ジェンダー平等と女性の権利の擁護者ルース・ベイダー・ギンズバーグへの熱烈な捧げ物
M8."Into The Breach" 民主主義を救った英雄たちを思うに、あの2021年1月6日アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件の不吉な記憶がよぎる。
M9."Walk In My Shoes"公民権運動の象徴の粘り強い指導者ジョン・ルイスに捧げられた曲。
M10."Heroes" 暗い時代を啓発し、人類の最大のヒューマニズムの美徳を体現した人々を称えての彼女からの心のこもったバラード。

 とにかく今回のテーマはアメリカの予期せぬこと、そして逆行的不安に対面しての彼女の偽らざる危機感をテーマにしていて、それは暗く重い。しかし彼女はそれを献身的な努力の人たちによって救われた感謝の気持ちと展望をテーマにしていて、憂鬱な暗さだけには描かない。むしろ展望への道筋を示すべく演じていて前進的だ。ジャズの道も、こうした社会問題に積極的に対峙してのコンセプト・アルバムは、今やその重要性が問われる時代となったのか。
 ちょっととっつきにくい印象だったが、数回聴いていると意外に親しみがわいてくるところがあるアルバムだ。

(評価)
□ 曲・演奏  88/100
□ 録音    88/100

(視聴)

 

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2022年5月 5日 (木)

ケイテイ・ジョージ「PORTRAIT of CAITY GYORGY」

キュートで軽妙小粋な歌声だが・・・

<Jazz>

Caity Gyorgy「PORTRAIT of CAITY GYORGY」
MUZAK / Canada / MZCF-1448 / 2022

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Caity Gyorgy : Vocals

#01-#07:"No Bounds"
Jocelyn Gould  (guitar)、Thomas Hainbuch  (bass)、Jacob Wutzke  (drums)
(2021年作品)

#08-#12:"New Pronouncing"
Kyle Pogline  (trumpet, flugelhorn)、Nick Forget  (trombone)、Eric Wong (flute)、Virginia MacDonald  (clarinet)
Daniel Barta (alto saxophone)、Lucas Dubovik  (tenor saxophone)、Kyle Tarder-Stoll  (baritone saxophone)
Felix Fox (piano)、Thomas Hainbuch  (bass)、Jacob Wutzke (drums)
(2021年作品)

87a16bf49cf844ebb47e93fd93ff1707_square  私にとっては初物です。カナダはトロントとモントリオールを拠点として活動する女性ジャズ・シンガー (ソング・ライターでもある)のケイティ・ジョージ(Caity Gyorgy、1998年5月生まれ24歳になるところ →)の日本デビュー・アルバム。彼女は自己のオリジナル曲"Secret Safe"(M8.)で2021年のJohn Lennon Songwriging Contestのジャズ部門グランプリを受賞とか。日本では、ドン・トンプソンのアルバム『Lazy Afternoon - A Place That's Quiet』で、ベテランのサックス、ピアノ演奏の中で対照的な若さと淑やかな魅力の歌声が響いて注目された。すでにビバップ、スウィングミュージックを歌うキャリアを積んできているようだ。なかなかキュートでクリアな歌声と曲作りも堅実で今後の活躍が期待されている。

 このアルバムは、本国で2021年にリリースされた1stアルバム『No Bounds』(M1.ーM7.)と同年7月にリリースされたEP『Now Pronouncing』(M8.ーM12.)をカップリングし、ボーナス・トラックを1曲追加したフル・アルバム。『No Bounds』にはカナダで評価の高い女流ギタリストのジョセリン・グールドが全面参加して、ギター、ベース、ドラムスのトリオをバックを務めている。
 一方『Now Pronouncing』の方は、バックがピアノトリオに加えて、トランペット、トロンボーン、フルート、クラリネットそしてアルト・テナー・バリトンの3サックスというビック・コンボでの古き時代のジャズ・アンサンブルもの。
   収録曲は下のように、彼女のオリジナル曲は8曲(*印)で、5曲はカヴァー曲。

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1 Postage Due *
2 East of The Sun (Brooks Bowman)
3 I Can't Get Started (Vernon Duke, Ira Gershwin)
4 A Certain Someone *
5 I Can't Give You Anything But Love (Jimmy McHugh, Dorothy Fields)
6 Undefined *
7 Bye Bye Blackbird (Ray Henderson)
8 Secret Safe *
9 There by the Door *
10 12th Avenue *
11 Why'd You Gotta *
12 The B *
13 Embraceable You (George Gershwin, Ira Gershwin) 

   彼女の歌声は、ちよっと低音はやや弱いが、ダイアナ・パントンのようなキュートな味付けのある高音の伸びる比較的澄んだところにある。軽妙小粋という表現もあるようだが、非常に一生懸命歌っているという印象。しかし、カナダというと私はキャロル・ウェルスマンとかソフィー・ミルマン、そしてホリー・コールなど頭に浮かぶが、そうそうダイアナ・クラールを忘れてはいけませんね、そんな大御所と比較すると、まだまだ曲の味付けは彼女らには追いつけない。まあ、日本デビュー盤ですから、今後に期待するということにする。
 後は、女性ヴォーカルって好みが結構分かれるので、彼女の受けはどうかと思いながら聴いているが、おそらくジャズ・ヴォーカルとして50%50%のところかと思う。私的には高音部はもう少しソフトに、そして全体的に強弱がもっと欲しいとか結構要求がある。どこか歌い方に余裕が感じないんですね、そしてバラードものももっと情感もって迫ってきて欲しいし、全体にぬくもり感が少ない。
 しかし、スキャットを交えたり結構芸達者なのかもと思わせるところも随所にあるので、これが彼女のパターンなのかもしれない。曲をかなり正確に清楚可憐に歌い上げているところは好感もある。やっぱり後は好みの問題になってゆくところだ。

Artworks00067414087006txplt500x500  私的には曲作りは前半(M1.-M7.)の小コンボをバックにした雰囲気が好きですね。ジョセリン・グールド(→)のギターがなかなか洒落た良い世界を描いている。特にM7."Bye Bye Blackbird"のヴォーカルの合間のトリオで演奏しているところでは、ギター、ベースがメロディーを流し、ドラムソロも入って情景が浮かんでくる演奏で、その後のケイテイのヴォーカルも生き生きしている。

 後半(M8.-M12.)はやっぱり音作りが50-60年前の古くささがある。M8."Secret Safe"は、評判の良かった曲のようだが、私的には突然管楽器陣の古めかしい合奏でがっくり、せっかくのM7.のムードが壊れた(こうゆうオールド・タイプが好きだという人もおられるかもしれませんが)。
 やはりアルバム作りというのは、こうした2つのアルバムの結合が、どんな効果をもたらすか繊細な感覚で対応して欲しい。
 結論的には、今後に期待されるジャズ・ヴォーカリストの出現としてとらえたいところではある。

(評価)
□ 曲・演奏・歌  85/100
□ 録音      88/100

(試聴)

 

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2022年4月30日 (土)

ロルフ・クリステンセン ROLF KRISTENSEN 「INVITATION」

しっとりと仕上げたギター曲。女性ヴォーカルも説得力あるソフトにして優しさに満ちる

<Jazz>

ROLF KRISTENSEN 「INVITATION」
LOSEN RECORDS / IMPORT / LOS270 / 2022

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Rolf Kristensen : Electric and Acoustic Guitars

Hilde Hefte(Vo),Torun Eriksen(Vo),Hilde Norbakken(Vo), Kari Iveland(Vo)
Allen Hinds(electric G)

 私には初物のノルウェーのピアニストでありギタリストでもある作曲家のロルフ・クリステンセンRolf Kristensen(1955-右下)のアルバム。彼は英国とノルウェーの異色二人組ニュー・エイジ・ミュージックのSecret Gardenのメンバー(Rolf Iveland)。ここでの彼の武器はギターだが、ノルウェーの女性ヴォーカリストを大学で教鞭をとっている合間に、曲により別人をフューチャーして大学のスタジオなどで録音したというアルバムだ。更にバックにも多彩なミュージシャンが参加しているが、全曲には当然ロルフ・クリステンセンはギターで参加し、それぞれ曲により共演ミュージシャンが異なっている。

 彼のアルバムとしては2枚目だが、1stアルバム『Timelines』(LOS 200-2)につづくLosen Recordsの第2作。前作は自己の曲が主であったようだが(私は未聴)、このアルバムはすべてジャズ・ミュージシャンなどの曲(『Great American Songbook』の美しくオリジナリティのある曲)のカヴァーである。癒し系の曲を得意としている彼なので、そんなアレンジと演奏が期待できる。
 

(Tracklist)

Rolfkristensen3 1 Blue in Green(Meredith DʼAmbosio/Miles Davis/Bill Evans) 05:20
Rolf Kristensen(G), Hilde Hefte(Vo), Jan Mathiasson, Jango Nilsen, Bjørn Rønnekleiv, Bernt Moen  

2 Iʼll Be Seeing You(Irvin Kahal/Sammy Fain) 05:07
Rolf Kristensen(G), Torun Eriksen(Vo), Kjetil Dalland  

3 Invitation(Paul Francis Webster/Bronislau Kaper) 06:35
Rolf Kristensen(G), Hilde Norbakken(Vo), Torjus Vierli, Jango Nilsen  

4 Broadway Blues(Ornette Coleman) 03:10
Rolf Kristensen(G), Bernt Moen(P), Håvard Henriksen, Andreas Skorpe Sjøen, Bjørn Rønnekleiv, Mengran Wu, Trygve Rypestøl, Anders Skjerdal, Reidun Ottersen  

5 Love for Sale(Cole Porter) 05:23
Rolf Kristensen(G), Kari Iveland(Vo), Håvard Henriksen, Andreas Skorpe Sjøen, Bjørn Rønnekleiv, Mengran Wu, Trygve Rypestøl, Anders Skjerdal, Reidun Ottersen  

6 Crystal Silence(Chick Corea) 07:44
Rolf Kristensen(G), Allen Hinds(electric G), Johannes Hetland, Per Elias Drabløs, Jango Nilsen  

7 You Must Believe in Spring(Michel Legrand) 04:00
Rolf Kristensen(G), Jan Mathiasson  

 単なるヴォーカル・アルバムではないが、ノルウェーで活躍している4人のベテラン女性ヴォーカリストがなかなか味があっていい。

Hildehefte680x680  Miles DavisとBill Evansの曲M1."Blue in Green"ヒルデ・ヘフテ(1956- →)は、学生時代にピアノ、そしてギター、アルト・サックス、クラリネットをマスター。作詞・作曲・編曲までもこなし、音楽の何たるかを知り尽くしたベテラン歌手とか。その活動範囲はシンガーとしてだけでなく、女優、音楽教師などもと広い。1991年に待望の初ソロ作『'Round Chet's Midnight』を発表。ダウンビート誌では" She's making waves on the Norwegian scene "と評され、その実力をとどろかせた。2001年にはビル・エヴァンスに迫り、今なお評価の高い名作『 Playsong – The music of Bill Evans 』を発表。北欧ジャズ・シーンでとびぬけた存在として現在に至る。ここでは、クリステンセンのギターとともに、その彼女の情感たっぷりにして優しくしっとりとした歌が聴かれる。

Toruneriksen  M2."I'll be seeing You"トルン・エーリクセン(1977- →)は、6歳から様々なゴスペル合唱団で歌い、19歳までに注目のソリストになったようだ。ソウル、ジャズ、ポップの味があり、合唱の経験を通して彼女は作曲もする。ジャズスタンダードの世界に大きく影響を受け、1997年にオスロに引っ越した後、ノルウェーの舞台・スタジオ研究所に入学しているという歌手。ここでも非常に聴き心地の良い易しさ溢れる好印象の歌を聴かせてくれる。

Hildenorbalken2wjpg  M3."Invitation"ヒルデ・ノルバッケン(→)は、アグデル大学美術学部のポピュラー音楽研究所でボーカルとソングライティングを教えている。歌手として活躍し、ソリスト、バックアップシンガー、ピアニストとして、ノルウェーの多くのアーティストとコラボレーションしてきている。ボーカル教師としての彼女の専門分野は、ボーカルと芸術的なキャラクター、ボーカルフィールドのジャンル知識、ボーカルテクニックとソングライティングの開発だそうだ。ポピュラー音楽の学士号の研究プログラムリーダーでもあるとか。やはりこの曲でも美しく広い世界に響くソフトな美声でしっとりと迫る。

Kari-iveland-1trw  M5."Love for Sale"カーリ・イーヴェラン(1962- →)は、インドのビハール州で生まれ,1970年にノルウェーへ。引っ越す前,宣教師の子供と娘としてバングラデシュで生活。カリは、音楽の演奏、ノルウェー音楽アカデミー/オスロ大学、ロサンゼルスのディックグローブ音楽学校で音楽/声楽研究の学士号を取得しているベテラン。やはり説得力ある音域の広い美しい歌声で聴かせる。

 クリステンセンのフューチャーした4人のノルウェーの実力ヴォーカリストは、なかなか味があって魅力的。彼の安定感たっぷりの落ち着いた説得力あるギターとともに、こうした有名ミュージシャンの曲を、彼のニュー・エイジ・ミュージックに通ずるムードの下に編曲し女性ヴォーカルの魅力を彼の世界に作り上げていて素晴らしい。

Allenhindsmasw  またChick Coreaの曲M6."Crystal Silence"は、アレン・ハインズ(→)のエレクトリック・ギターを招いて、ギター曲として聴きごたえたっぷりの味を出して納得。ハインズは、1986年にバークリー音楽大学に在籍時にアメリカのギター雑誌の『Guitar Player Magazine』のコンテストでラリー・カールトン賞を受賞し、奨学金を貰いミュージシャンズ・インスティチュートへ入学しロサンゼルスで音楽活動をスタートさせた。 現在、ジャズ・フュージョンのソロ活動をメインにナタリー・コールやボビー・コールドウェル、ロバータ・フラックなどのライブサポートを行っていると。また現在、ミュージシャンズ・インスティチュートの講師やシェファード大学やCornel School of Contemporary Musicなどでも客員教授としても教鞭をとっている。 

 とにかく気持ちが休まる安堵感を誘うアルバムいに仕上がっていて心地いい。こんなアルバムもいいものである。

(評価)
□ 編曲・演奏・歌  90/100
□ 録音       88/100

(視聴)

*

 

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2022年4月24日 (日)

トルド・グスタフセン Tord Gustavsen Trio 「Opening」

瞑想性をもって繊細でリリカルな美旋律が溢れてくる

<Jazz>

Tord Gustavsen Trio「Opening」
ECM Records / Germ / ECM 2742 / 2022

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Tord Gustavsen (p, electronics)
Steinar Raknes (b, electronics)
Jarle Vespestad (ds)

Engineer : Stefano Amerio
Produced by Manfred Eicher
 

 初期からのトリオを築き上げたベーシストHarald Johnsenが2011年死亡してから、トルド・グスタフセン(ノルウェー出身)はトリオ演奏アルバムを封印していたのか、3rdアルバムから11年経っての2018年に、ようやくトリオ作品に復帰、4thアルバム『The Other Side』をリリース。そしてそれから4年経ってここにトリオ5作目の待望のアルバムが登場した。
 思い起こせば、2003年、デビュー・アルバム『Changing Places』をECMからリリースして以来、そのリリシズムあふれるヨーロッパならではの美旋律、しかもそれに留まらず哲学的な深みにも及ぶ世界が多くのピアノ・トリオ・ファンを魅了した。勿論私もそれに魅了された一人だ。

 本作では前作とは異なって、ベースはノルウェーの実力派ベーシスト、スタイナー・ラクネスが参加している。グスタフセンの洗練された微妙な味を描き繊細に試みられるコードとヴェスペスタッドのパーカッシブな音やスティックとブラシワークの間にいかにトリオとしての味を構築しいるかも興味の湧くところだ。

(Tracklist)

51ch0ohi0l_acw 1. The Circle
2. Findings / Visa fran Rattvik
3. Opening
4. The Longing
5. Shepherd Song
6. Helensburgh Tango
7. Re-Opening
8. Findings II
9. Stream
10. Ritual
11.Floytelat/The Flute
12. Varsterk,min sjel

 スウェーデンの伝統的な民謡だという「Visa från Rättvik」、Geirr Tveittの「Flutelåt」、美しい曲Egil Hovlandの「Varsterk,min sjel」を除いて、12曲はすべてグスタフセンによって書かれたオリジナル曲で構成されている。

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  オープニングM1."The Circle"では、内省を誘う瞑想的な曲だが意外に深刻にならず優美さがグスタフセンのピアノが美学を追求し、ラクネスのベースもメロディックで、かってのグスタフセンのトリオと特に逸脱することなく、ヴェスペスタッドの繊細なスティックとブラシワークとともに旨く支える側でまとめ上げて居る。
 M2."Findings / Visa fran Rattvik"は、珍しくドラムスの響きからリズム感を盛り上げ、それにピアノはおもむろにうねりをもって歌いあげる。
 テーマ曲M3."Opening"そしてM4."The Longing"は、静かな希望が描かれている。それは美そのもののようでありピアノとベースの相互の作用が生きている。
 M5."Shepherd Song"では、静かに語るようなピアノ、ヴェスペスタッドがライドシンバルとスネアで展開する、ラクネスがアルコ(おそらく)からハーモニックな演奏に移り、グスタフセンは答えるように妖艶なる表現から盛り上がる。
  M6."Helensburgh Tango" 哀愁漂うピアノと電子的に強化されたアルコベースラインのコードからは、沈鬱な世界が迫ってくる。ブラシ、シンバル音がさらにそれを助長して・・・・
  M7."Re-Opening" このアルバムの物語の再開、ベースのアルコ奏法による広がる世界。ドラムス・のシンバル音がメリハリを・・・そして後半には、ピアノの音がかってのアルバムに通ずる懐かしさを誘う。そしてM8."Findings II"の波のように押し寄せるピアノの美しさとダイナミックさが聴きどころ。
 M9."Stream" ここで再びグスタフセンのピアノが描く深淵な世界に流れるが、ベースもその音を次いで描く世界が美しい。
   M10."Ritual"儀式と訳してよいのだろうか、このアルバムでは、トリオがそれぞれが異様に盛り上がる唯一の曲。不吉な、サスペンスフルでロックに通ずる世界だ。グスタフセンは低音和音のリズム、ヴェスペスタッドはピアニストの勢いを強調するためにスネア、ハイハット、キックドラムで応戦。ラクネスのベースは電子的増幅によりエレキギターのような歪んだ音で響く。波のように押し寄せてくる様は、このアルバムの面白いアクセントの曲。
  M11."Floytelat/The Flute"優しさから広がる世界へ、M12."Floytelat/The Flute" 賛美歌の世界か、未来への希望と展開が感じられる。

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 相変わらず、グスタフセンの世界は、繊細で音空間が微妙なずれも許さずモチーフを忍耐強く発展させてゆく様は見事。リリカルにして抒情的な世界が時に瞑想性も描きつつ展開する。どこか精神性の追求感が感じられるのは、オスロ大学での心理学や宗教学を学んだ世界感であろうか。
 このアルバムでも相変わらず彼のピアノのタッチそしてメロディーの流れは美しく迫ってくる。今回はベーシストの交代があったが、ヴェスペスタッドの手慣れたドラムスとの関係も含めて、自らの特徴も見せながらグスタフセンの世界を十二分に描いてくれた。

 又、エンジニアのステファノ・アメリオは、グスタフセンのピアノの弱音をも生かすためか、ドラムスを後方に置き、広く広がる響きを持たせる手法を取って立体性を考えた世界を構築して、曲のイメージを高めたミックス・マスターリングを行っている。こうした曲の描くところの世界を考えての録音が聴けるのも素晴らしい。そんなところは、今や、CDから聴かれる音楽は、ミュージシャンとエンジニアの総合芸術の色が益々濃いですね。

(評価)
□ 曲・演奏  90/100
□ 録音    90/100
(視聴)

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2022年4月19日 (火)

ヘルゲ・リエン Helge Lien Trio 「REVISITE」

ピアノ・トリオの原点に戻り、回顧と新しい出発への心意気か

<Jazz>

Helge Lien Trio 「REVISITED」
Ozella / Germany / OZ101CD / 2022

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Helge Lien (piano)
Johannes Eick (bass)
Knut Aalefjaer (drums)

  ノルウェーの我が期待のヘルゲ・リエン(1975年ノルウェー リングサーケルのモーエルヴ生まれ)の久々のピアノ・トリオのニュー・アルバム(前作は2019年の20周年記念アルバム『10』)。中身はちょっと珍しいパターンである過去に発表した自己のオリジナル曲群のセルフ・カヴァー集である。今回はベースにベテランのヨハン・エイクが加わり、ドラムにはかってのトリオ・メンバーのクヌート・オーレフィアールが戻ってきたというトリオ体制によるもので、アルバムの録音記録からは、曲はスタジオ録音とライヴの両方である( 半分が Tøyen 教会で録音されたもの、その他はハーマル市の Hamar Theater - AnJazz フェスでのライヴ)。


Helge-l2w  かってのアルバム『NATSUKASII』(oz036cd/2011)以来お気に入りになって、すでに10年以上の経過であるが、彼はトリオ演奏のほかにいろいろなミュージシャンとの共演をしてきてのアルバム・リリースも続いたが、やはり私の期待はピアノ・トリオだ。
 彼は何回か来日しており日本好きであり、又カメラの愛好家で、NIKONの愛用者でもあった。今回のジャケ写真も彼によるもののようだ。又2014年に来日時(丁度皆既月食があって、彼は会場の庭に出てその撮影をしてからライブという楽しいひと時もあった)には、話ができたのだが(上は、その時の彼とのツーショット、後ろには当時のベーシストのフローデ・ベルグがお茶目に顔をだしている)、彼はピンク・フロイドのファンで私と共通したところもあってなお親近感が持てたものだ。又当時のベーシストのこのベルグはなかなか楽しい人であったが、オーケストラのベーシストの方に専念で、現在は彼のトリオから離れている。

 

(Tracklist)

1. Hymne Revisited (from What Are You Doing The Rest Of Your Life)
2. Liten Jazzballong Revisited (from Spiral Circle)
3. Spiral Circle Revisited (from Asymmetrics)
4. Gamut Warning Revisited (from Hello Troll)
5. Meles Meles Revisited (from Natsukashii)
6. Folkmost Revisited (from Badgers And Other Beings)
7. Jasmine Revisited (from Guzuguzu)
8. Krystall Revisited (from 10)
9. Nipa Revisited (from 10)

 冒頭のM1." Hymne"から、透明感のあるシャープなキレのある美しいピアノのメロディーが流れ、ロマンティシズムや詩情を感じさせる。
 M2."Liten Jazzballong "は、ゆったりとした美旋律、静かな世界。

 今回のアルバムは、その録音もかなり冴えていて、エンジニアはJan Erik Kongshaugが担当しているが、かってのアルバムよりはドラマーの演ずるシンバル音などがかなり明瞭に前面に出ていて効果的でちょっと刺激的。

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 M3." Spiral Circle "リエンの特徴のどこか牧歌的なムード。後半ベースのソロが新鮮。
 M4."Gamut Warning"原曲と大きな変化はないが、躍動感ある演奏が魅力。
 M5."Meles Meles"は、再び美しく展開。そして原曲より若干短くなっているが変化がみられ、ベースのアルコ奏法とジンバル音の主張が面白くしている。
 M6."Folkmost"この曲は特に録音の改善が明らか、力の入った鍵盤音。
 M7."Jasmine"原曲と異なって冒頭からベースのソロ演奏が続き、ドラムスがリードして、次第にピアノの主メロディーに流れ珍しく異世界に流れる原曲に。
 M8."Krystall"アルバム『10』の3分弱の原曲が、6分以上に変化。パーカッション風のドラムスから、リエンらしいクリスタル風のピアノが耽美的に迫ってくる(M9.も同様だ)。
 
 録音・ミックス・マスターリングの技が加味していると思うが、トリオとしてのベース、ドラムスの演奏のリアルな線が、リエンのメロディアスにしてちょっと刺激的な味を感じさせる詩情豊かなピアノ演奏に加味して、かなりその味を高めた演奏が聴ける。セルフ・カヴァーではあるが、単なる焼き直しでないところが良かったと思うアルバムであった。

(評価)
□ 曲・演奏 90/100
□ 録音     90/100

(視聴)

 

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2022年4月14日 (木)

カルロス・フランゼッティ Carlos Franzetti 「IN THE WEE SMALL HOURS」

再起のジャズは、アコースティックなピアノ・トリオだった

<Jazz>

Carlos Franzetti 「IN THE WEE SMALL HOURS」
SUNNYSIDE / IMPORT / SSC 1647 / 2022

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Carlos Franzetti - piano, Fender Rhodes, conductor (track 12)
David Finck - bass
Billy Drummond - drums
Allison Brewster Franzetti - celesta (track 12)
The City of Prague Orchestra (track 12)

  アルゼンチン出身の大御所ピアニスト・作編曲家でジャズ、クラシック、映画音楽、ラテン・・と各方面、ジャンルを越えて実力を発揮するカルロス・フランツェティ(1948年生まれ)による最新作。私の彼のイメージではラテンものといった感じが強いのだが、その為という事でもなく、それほど今日まで聴いてきたということではなかった。しかし彼が新型コロナウイルスに感染し、その後硬膜下血腫で入院。重篤な状態に陥った経過の中で3回の脳外科手術と数ヶ月のリハビリを経て奇跡の再起を果たした。隔離の孤独と生命危機を乗り越えての彼にはそんな人生の闘争にも近い経験から、新アルバムの録音に着手した。選んだ素材(曲)は、第二次世界大戦を取り巻く約数十年の間の憧れと希望、混乱、分断など多彩の時代であった厄介で混乱した時代に作曲されたものだという。しかし、ここに完成したアルバムは、聴く者にとっては、"再会のメッセージ、障害の克服の希望ある世界"という評価が聞かれ、しかもジャズの原点に立ったアコースティック・トリオの作品であるということで、とにかく聴いてみようと思ったアルバムである。

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1. In the Wee Small Hours of the Morning
2. Memories of You
3. How Deep is the Ocean
4. How Long Has This Been Goin’ on
5. Put on a Happy Face
6. Time Remembered
7. I’ll Be Seeing You
8. Alone Together
9. How Deep is the Ocean (Alternate Version)
10. In the Wee Small Hours of the Morning (Alternate Version)

(Bonus Tracks)
11. Memories of You (Alternate Version)
12. Piccola Musica Nocturnabyu

  トリオのメンバーは、ベースは多彩なピアニストとの共演の経験豊富なデヴィッド・フィンク(米国1958 - 下左)で、カルロスとは30年以上のコンビネーション。ドラマーのビリー・ドラモンド(米国 1959 - 下右)も名人級。このような円熟期にあるピアノ・トリオの奥深さやその味を知るメンバーとの共演によって、再起を図った気持ちは何となくわかるところだ。

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 M1."In the Wee Small Hours of the Morning"いっやー-、カルロスの繊細なピアノ・タッチの音で、優しくむしろ優雅さの感ずる演奏でスタートだ。
 M2.,M11."Memories of You"の有名なジャズの原点的なスタンダードが出てくるところは。いかにも回顧ですね、しかしこのトリオは、平然とためらうことなく2つのバージョンを、しかもなんとなく優雅な雰囲気で演じているところが、やっぱり回復の喜びでしょうね。
 M3."How Deep is the Ocean"も2バージン登場(M.9と)、ドラムスが主張してラテン・ムードもなんとなく加味しながら演奏の深さを知らされる。
 M8."Alone Together"これも超有名、私自身もジャズの歴史を思い起こして楽しくなるのだが、トリオ・メンバーの溌溂とした演奏が聴ける。
 M6."Time Remembered" Bill Evansも登場、しかも彼ららしい感情たっぷりのアレンジが新鮮。
 M12."Piccola Musica Nocturnabyu"はBonus Trackだが、オーケストラがバックで、それにfender Rhodesの音などが広がり、ムードは変わるが、静かにこのアルバムを収める。
 
 このような聴いていて難しくもなく、特別な心構えも必要なく、心和む世界のジャズもそれなりに良いものである。

(評価)
□ 選曲・演奏   88/100
□ 録音      85/100

(試聴)

 

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