ピンク・フロイドそしてロジャー・ウォーターズを語るときの参考文献4(特別企画・事典=日本)
① 「ブリティッシュ・ロック集成 ENCYCLOPEDIA OF BRITISH ROCK」 」progressive rock & its periphey マーキー別冊 マーキームーン社 1990
雑誌「MARQUEE」はプログレッシブ・ロックの日本に於ける重要な役割を果たした雑誌だった(残念ながら現在はその姿を変えている)。
その企画本としてプログレッシブ・ロックを中心にブリティッシュ・ロックの集大成本として極めて価値あるものである。そしてピンク・フロイドといえば松本昌幸だ。彼の愛したピンク・フロイドは、そのリアルタイムな彼の解説と分析と評価で、当時はファンを納得させてきた。今でもその内容には感動すらある。是非とも見て頂きたい一冊だ。彼もここで言っているように、ピンク・フロイドがニュー・ウェーブの波の中で生き残り、確固たる地位を築いたのは、コンセプトであることを指摘している。又ロジャーの偏執さなくしてフロイドはないとも言わしめている。
② 「ヤング・パーソンズ・ガイド・トゥ・プログレッシブ・ロック」 監修:大鷹俊一 ONTOMO MOOK 発行所:株式会社音楽の友社 1991
保科好宏が「アニマルズ」「ザ・ウォール」以降は従来の実験的・幻想的サウンドが陰をひそめ、よりシンプルでストレートな方向になったのは、ロジャー・ウォーターズの主導のバンドに変貌しつつあったことを指摘している。しかしギルモア中心の再結成したフロイドにはもはや時代を牽引したかつての音楽的マジックは無かったと評している。
③ 「British Rock Vol.2」 レコード・コレクターズ増刊 発行所:株式会社ミュージック・マガジン 1995
ここでは、小野島 大の「内なる狂気を暴く シリアスな表現者集団」という記事が極めて的を得たピンク・フロイド評論を展開している。”ロジャー・ゥオーターズがバンドを去るまでのピンク・フロイドは極めて真摯な表現者集団であった。ロジャーは巨大化した産業ロック・バンドという表面のイメージだけでは決してはかることのできない生真面目なメッセージを持っていた”と記している。又”異端の天才シド・バレツト、その影と常に格闘し続けたロジャー・ウォーターズ。この二つの才能が火花を散らしながら作り上げていった巨大な表現体こそがピンク・フロイドであった”と言い切っている。
④ 「ロック大教典」 渋谷陽一 発行所:株式会社ロッキング・オン 1997
渋谷陽一のライナー・ノーツ集である。「アニマルズ」のアルバムについて、”これから自分達がやつていこうとすること啓蒙主義的とかイージー・リスニングとか言われようが、これしかないのだ。これが自分たちの骨をうずめる場所なのだ。・・・・・・今自分たちがすることはこの社会をしっかり見据え、正確に批判することだ。そしてそれを音にして訴えていくのは、現在一番レコードを売る力のある自分たち以外ないじゃないか、という強い決意を明らかにしている”と評し、フロイドの新しい出発の記念すべきアルバムと記している。リアルタイムに当時、このことが解らない評論家が多かったことは笑える。ただ、ギルモアがその後、ソロを出した意味が渋谷には解っていなかったと思われる。つまり、ギルモアには体質的にそうしたことの価値感が持てない社会に目を向けた感覚とは別世界の極めてサウンド志向の人間であったということだ。そこにロジャーとの悲劇が生まれる。
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