ロジャー・ウォーターズ(genuine Pink Floyd)の世界に何を見るか?-2-
[bootleg]ROGER WATERS「THE PROS & CONS OF LIVE HITCH HIKING 」Silver Rarities SIRA45-46(2CD) BIRMINGAM 27 june 1984
ロジャー・ウォーターズは予てからの構想であるアルバム「the pros and cons of hitch hikingヒッチハイクの賛否両論」を1984年リリース。直ちにツァーにでる。もともとこのアルバムの構想は「THE WALL」制作前に、フロイド・メンバーに示しているものであったが、採用されなかったものだという。「the final cut」作成時、ロジャーはフロイドのその他のメンバーではとてもピンク・フロイドとしての活動は無理と信じていた。ロジャーはギタリストとして、かってから親交のあったエリック・クラプトンを招きこのアルバム制作に入ったのだ。フロイドメンバーのリック・ライトは意欲低下、能力の限界にあり、ニック・メイスンは既にドラマーとしての評価は得られない状態にあった。従って、ギルモア以上の評価のあるクラプトンを擁して作られたアルバムは、ピンク・フロイドはロジャーからみれば敵ではなかった。
しかし、その思惑は崩れる。大衆は、かってのピンク・フロイドの類似サウンドであれば、後はどうでも良かったのだ。コンセプトもいらない。このアルバムはあまりにも難題であった。夫婦の生活のテーマから深層心理をつく、非常にレアなアルバムで、クラプトンのギターも、聴かせ所をつかんだ見事なものだった。しかし、セールス的には、そしてツアーの入りはピンク・フロイドを名乗るバンド当時にはかなわなかった。
ここに紹介するCDは、このツアー前半はクラプトンも同行して行われ、それを収録したものである。そして一回の公演の前半にはクラプトンもピンク・フロイドの曲を弾いて見せている貴重盤。"set the controls for the heart of the sun"からスタートし、"money"ではキーボードとクラプトンのギターがアレンジされて共演していて、楽しい。"the gunners dream"なども、なかなか聴かせる。後半は「PROS &CONS・・・」全曲を演奏し、あらためて聴いてみると実に素晴らしい演奏である。しかし一般大衆はかってのピンク・フロイドとの類似点を見いだせず、喝采を浴びせることはなかった。そしてこのツアー後半はクラプトンは参加していない。(一部には音楽論でロジャーと対立してしまったという話も出ていたが、近年クラプトンとロジャーの共演もあり、親交は相変わらずであるようだ)多分、ロジャーにとっては、この時初めてピンク・フロイドという巨大な存在を知ったのであろう。自分で作り上げてきたものの大きさを初めて知ったのであろう。ソロ活動はその比でないことを。まさにその後、既にソロの評価の少なさをかってから知っていたギルモアは1986年、ピンク・フロイド立ち上げ宣言をするのである。機能的にも低下した仲間を否定したロジャーは、そのメンバーから否定される結果となった。
その後実はギルモアとニックで作られた「道」という最悪のレーザー・ディスク盤がある。彼らの奈落ぶりが浮き彫りされている。これではロジャーは否定するのも当然と思われる。しかし立派な評論家達もこれを取り上げない。多分知らないのであろう。ロジャーが否定する彼らがここに見える。
(ここに取り上げたブート・アルバムのジャケなどはクリックすれば大きく見れます。参加ミュージシャンなども見て下さい)
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