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2007年2月27日 (火)

ロジャー・ウォーターズにみるギタリスト・ベスト10

ロジャー・ウォーターズの世界に携わったギタリスト・ベスト10

 ロジャー・ウォーターズはベーシストであるがゆえん彼の目指す曲作りにはギタリストとの関係は重要である。と、言うことは彼が40年以上の歩みの中で試みてきたROCKにおいて、その時の彼の目指したものそして試みたものが、ギタリスト選びに見えてくる。ここで名作に携わったギタリスト・ベスト10を私なりきの偏見で評価してみたい。

① Eric Clapton エリック・クラプトン

Ericclapt  まさしく、ロジャー・ウォーターズにかかわったギタリストのNo1は、シドでもなく、ギルモアでもなくこの人である。彼の「the pros & cons of  HICH-HIKING」-WORLD TOURをみれば、そのすばらしさは一目瞭然。当時のライブ・ビデオを見ると、フロイド時代の曲をロジャーと展開しているときはかなりよそ行きの感じの演奏であったが、この「The pros & cons ・・・」になると俄然彼の実力が我々を圧倒してくる。テクニック、サウンド、そして感動を与える微妙な音色は、他を寄せ付けない。ライブにおいては、正規レコード盤の演奏から数段上の威力である。我々はブート・ビデオにて今は見るしかない現在、このライブのオフィシャル録画録音盤を是非出して欲しいものだ(法廷による敗北によって、ピンク・フロイド曲の録画公開は、ロジャーはギルモア・フロイドから禁じられた為、ピンク・フロイド名義で作り上げた自分(ロジャー)の曲すら悲しい事に公開出来ない状況にあった。しかし「The pros & cons ・・・」の部分だけの公開はないのだろうか)。

② Jeff Beck ジェフ・ベック

Jeffbeck2  ロジャーがソロとして、そしてアンチ・ギルモア・フロイドとしての集大成の作品に選んだギタリストこそ、このベックである。

 ベックは、もともとブルースを基盤としヘヴィなサウンドを打ち出し、80年代に至るとシャープな切れ味のよい、そしてスリリングと表現されるギター・サウンドを作り上げていた。
 そこでロジャーは再び社会批判を展開する1992年の問題アルバム「死滅遊戯AMUSED TO DEATH」に彼を登用。これ又見事なロジャー世界にマッチングし、傑作と言われるアルバムに仕上げた。
  ロジャーはベックのギター・テクニックはもはや芸術家としての巨匠の域にあると語っている。

 なかなか一流どころとのツアーの難しさは、ロジャーはクラプトンと関係で経験済み。そんな事もあってのことか?、又アルバムの内容からの難しさの為か?、更にツアーに慎重になったロジャーの心境からか?、この後は残念ながらツアーは行われなかったが、今でも互いに機会あれば、双方のライブで共演してこのアルバム曲(主として”What God Wants ...”)を展開している。
  (参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/cat34792896/index.html

③ Syd Barret シド・バレット 

Sydbarret  やはり、ロジャーの基盤であるピンク・フロイドを顧みて、彼なしにロジャーもあり得ない。まさしく”狂人に勝るものなし”で、今彼の演奏をCDで聴いても何がというわけでなく引き込まれていく。
  これこそ長い間ピンク・フロイドというものが知り尽くされずにしかし何かを感じさせた源でもある。
 既に昨年死亡。冥福を祈るしかない。ロジャーの心中如何なるものか?。

④ David Gilmour デブィット・ギルモア

Davidgilmour  彼を挙げなければ、フロイド・ファンは納得しないであろう。彼のギター・ワークは高度な技量というのでなく、ブルージィーなギター・プレイを基礎にうまくストラトキャスターを泣かしたところに魅力があった。間のとりかたも非常に上手であり、ロジャーとの曲作りの違いの中で、むしろ相乗効果があげられたことが成功である。ただいかんせんロジャーとの共作がなくなってから、プログレッシブな(進化した)アプローチに欠けた世界になった。これが彼の営業成績とは裏腹に寂しがられるところである。

 Andy Fairweather-Low アンディ・フェアウェザー・ロウ

Andyfairwlow  現在、最もロジャー音楽に理解と協力をおしまないギタリスト。彼が真にその実力を発揮したのは1987年の「RADIO KAOS TOUR」である。彼のツアーにおける演奏は、ロジャーがロジャーの歴史の中で最も攻撃的になったこのツアーで、見事なテクニックを持ってしてサポート役となり、アルバム「The Wall」からの"hapiest Days of Our Lives"などは、その前後の"Another Brick in the wall"とともにギルモアとは全く違ったメタリックでしかも攻撃的ギター・プレイを披露している。その後、「The Wall - LIVE IN BERLIN」での功績から、その後のロジャーのツアーには必ず参加し、むしろ影になって支えて役に徹しているが、真の実力者だ。

 Snowy White スノーウィ・ホワイト

Snowywhite  彼は私の好きなギタリストだ。
 静かにそして心を騒がすテクニックありの技法は歴史的にもピンク・フロイドのサポート・ギタリストであり貴重な存在。
 彼もロジャーのソロツアーには「LIVE IN BERLIN」以来必ず同行。彼はレスポールをもののみごとに操り泣かせる渋さとテクニシャンの名ギタリスト。ロジャーは彼をけっして放しませんね。
 彼のブルース・バンドも素晴らしい。

⑦ Rick DiFonzo リック・ディフォンゾ

Rickdifonzo  この人はなかなか挙げてくれる評論家はいないんですが、ロジャーがフロイドを離れ”Bleeding Heart Band”を結成して、そのリード・ギタリストとして登用したギタリスト。
 最もじっくりお手並み拝見出来るのは、やはり「The Wall LIVE IN BERLIN」だ。是非DVDで見て欲しい。この大イベントを成功させたリード・ギタリストである。特にギルモアのギターなきロジャー・バンドにおいてピンク・フロイド作品のギルモア奏法は意図も簡単にこなしてる様は見事である。そしてスノーウィとの共演においても楽しませてくれた。

⑧ Jay Stapley ジェイ・スタップレイ

Jaystapley2_1  なかなかロックンロールを知り尽くした名プレイヤー。最近の話では、New CDに載る"Edge of the World"という曲を聴くと、大人のギタリストと感ずる。ロジャーとの関わり合いは「RADIO KAOS TOUR」だが、彼の良さは、これ又ロジャーの攻撃性をバックアップすべくテクニックを披露しているところだ。いわゆるギタリストそのものを知らしめている。軽快でしかも意外に繊細、そしてフロイド曲はギルモア調でなく敢えて自己流にギタープレイを展開するところは、ロジャーのライブにおいてフロイド時代の曲の別の意味での味付けがなされて非常に楽しめる。






⑨ Doyle Bramhall Ⅱ ドイル・ブランホールⅡ

Doylebramhall  なんと自分で作り上げたピンク・フロイド曲の演奏録画録音公開をギルモア・フロイドから禁じられていたロジャーであるが(しかしこのことは知られていないが、ひどい仕打ちですね。その為「The Pros and Cons of Hitch Hikingツアー」、「RADIO KAOSツアー」のオフィシャル映像はない)、ようやく解禁されて堂々のツアーを敢行し、DVD披露したのがあの「IN THE FRESH TOUR」だ。そしてそのリード・ギターとヴォーカル担当に抜擢された。やはりスノーウィ・ホワイトとツインで演奏した”Dog”が印象的。若きテクニシャンをアッピールした。残念ながら日本公演には参加なかったが、左効きプレイヤーとしても見るものに強力な印象を与えた。


 Dave Kilminster デイブ・キルミンスター

Davekilmnster2 しかし、ほんとにその時その時に適したギタリストを、よくロジャーは引っ張り込みますね。今進行中の「the dark side of the moon TOUR」のリード・ギターを担当。最近はロジャーも攻撃時代を過ぎて、過去のフロイド曲は出来るだけ旧来のままにアレンジなしで演奏している。それは彼も語っていたが、大衆が喜ぶからだという。それを見事にこのキルミンスターは演奏してみせる。多分使っているギターはブート・ライブ映像をこのところ2本見たが、おそらくテレキャスターではないかと思う。ギルモアも真っ青という演奏ぶり。そのうちオフィシャルDVDもでるでしょうから、その時に堪能しましょう。

 以上、ロジャー・ウォーターズに関わるギタリストのうち、私の偏見を持ってして、ベスト10人を選んでみました。長いロジャーの音楽活動の歴史の中では、時代時代によって演奏の目的が明らかに違っている。そしてその違いを、彼の選んだギタリストから見ることが出来る。ここに挙げた10人もまさに”10人十色”で、それぞれ個性が異なっている。よくもこれだけ異なったギタリストと演奏してロジャーが絶え間なく自己の主張を繰り返してきたことに感心すらするのである。

 

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2007年2月10日 (土)

ロジャー・ウォーターズ(genuine Pink Floyd)の世界に何を見るか?-9-

ロジャー・ウォーターズ健在なり 

「Roger Waters World Tour 2006,2007」=”THE DARK SIDE OF THE MOON  LIVE”

Darksidelive2_2  このシリーズも前回は「RADIO KAOS」を取り上げて1980年代のロジャーに迫ってみたのですが、ここでは小休止して、現在のロジャーを見てみたい。昨年から「DARK SIDE OF THE MOON  LIVE」を続けている彼ですが、今はAustraliaからChinaに移動です(残念ながら今回は日本にての企画はない)。

 そこでこのツアーのメンバーと演奏内容を若干分析してみたい。まず前回の「IN THE FRESH TOUR」でのGUITARのAndy Fairweather Low, Snowy White はそのままで、彼らに加えてDave Kilminsterが加わりこれはかなり強力。それにKEYBOARDSにJon Carrinが復帰。これも凄い。ロジャーの息子のHarry Watersもいる。DRUMSにはおなじみGraham Broad。SAXOPHONEにIan RitchieそしてVOCALISTに、これもおなじみKatie Kisson, P P Arnord, Carol Kenyonとなっている。

Rogerrio06a <progressive Rock>

ROGER WATERS 「 THE HEART OF THE SUN...LIVE」
Lisbon Portugal 2nd June, 2006 


 これは「THE DARK SIDE OF THE MOON  LIVE」の行われたいた最中の2006年6月2日の”RIO ROCK FESTIVAL”にて、同日出演したサンタナの後に、ロジャー・ウォーターズ・ショーとして行われたものの記録である。プロ・ショットで撮られたDVDである。

 今回のツアーは2時間半に及ぶ企画で各地で行われているが、ここではその前半のものが中心。ここに見るロジャーのこのバンドは7万人の前で圧倒的パワーと、洗練された厚みのある演奏を展開している。ツアーではピンク・フロイド「狂気」全曲演奏して喝采をあびているが、この”RIO ROCK FESTIVAL”では全12曲のみに限っての演奏となった。

Rogerrio06b_4 収録内容(←参照)は「the wall」からはもちろんであるが、注目はなんと常に賛否両論あるアルバム「the final cut」から”Gunner's Dream”, ”Southampton Dock” そしてなんと”Flecher Memorial Home”と反戦ソングをぶち挙げて、新曲”Leaving BEIRUT”を効かせ、彼の常に流れる戦争批判を展開してみせた。
 このあたりはまさにロジャーの真骨頂、そして脈々と流れる彼の精神は衰えていない。前回のTOURの成功から、彼は再び周囲との関係はどうあれ、主張はあくまでもしてゆくところを示したのである。幸いこのDVDは非常に画面サウンドとも良好で、我々を納得させる。今回は「アニマルズ」から”Sheep”を聴かせ、ビートを効かせたところはサービス精神もお見事。更に追加するが、Jon Carinが加わったことは曲の展開がワンレベル・アップしているし、ギターのDave Kilminsterはなかなか期待を裏切らない見事な演奏である。そしてSnowy Whiteとのコンビも生きている。

 いずれにせよ、今年の夏を迎えるまでこのツアーは続けられる。ロジャーの歳を超えてのエネルギーに驚くと同時に、彼を常に駆り立てる社会への批判精神はロック魂として受け入れたい。シド・バレットも亡くなった現在、今回の60歳を過ぎた彼のツアーが無事終えることを祈ることにする。又、オフィシャルな見事な画像とサウンドのDVDの登場を期待して待ちたい。

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2007年2月 3日 (土)

ロジャー・ウォーターズ(genuine Pink Floyd )の世界に何を見るか?-8-

「BLEEDING HART BAND」 としての”反核”の訴え

[BOOTLEG]「ROGER WATERS & BLEEDING HART BAND recorded Live at "colisseum",QUEBEC,may 22.1987.QUEBEC CANADA BM074  BM 074  by Phonocomp (Italy)

Bleedhbandcanada このブートは、RADIO KAOS TOUR の主としてピンク・フロイド時代の演奏の収録である。「狂気」「炎」「アニマルズ」「ザ・ウォール」「ファイナル・カット」からであるが、その他”IF”が入っている。このバンドがフロイドの曲をどう演奏したか?といったところが興味。参考まで、このCDの記録が間違いであろうというところがある。このQUEBECのライブはnov.7,1987が正しい。

[BOOTLEG] ROGER WATERS & THE BLEEDING HEART BAND 「SOUNDBOARD KAOS」 Ayanami-058  Live at Wembley Areana, London, England  Nov 21,1987

Sounfboardkaos

このブートCDの凄さは、サウンドの良さである。Capitol Radio で放送されたサウンド・ボード録音もので、下手なオフィシャル盤よりも優れものを思わせる。ここに収録されている曲は主に「RADIO KAOS」からである。ロジャーの得意の"Welcome to machine","If","Every Stranger's Eyes"なども加わっている。とくにこのアルバム「RADIO KAOS」の特徴である軽快さはそのままで、更にボンゴが加わったり、ツイン・ギターもだらだらしないで歯切れがいい。終盤の"Four Minutes"は圧巻で、そしてこのアルバムの救いであり、又ボブ・ゲドルフのライブ・エイドをテーマに、世界の支配者からの主導権奪取を展望的に歌い上げる"The Tide Is Turning"が最後を飾る。この曲は後にロジャーの最大イベントであったベルリンでの「ザ・ウォール」の最後でも使われている。ここに新しい時代の流れの中に未来展望が朗々と歌われているところは、ロジャーの社会や仲間その他からの裏切りからの被害妄想も、彼自身が時代の中で一つの整理が出来たのか?とも思わせる。(後に解るが、そんな甘いロジャーではなかった)

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 もうひとつ、この時のロジャーの世界は核の問題にも足を入れ、又障害を持つ人間の隠れた超人間能力などをテーマにしたことは、この後の彼の活動にも繋がって行く。コンセプト・アルバムというのは、反戦と人間性と社会悪のテーマにつつまれたロジャーの世界では当然のロック・アルバムの形であって、「RADIO KAOS」は、意外に知られないアルバムであるが、彼を知るにも、彼のフロイド脱皮としても重要である。

(このブログに載せてあるCDアルバムのジャケ写真は、”研究用として”公開されたものを使用という理由により、著作権に抵触しないと判断しています。・・・・・問題があればご連絡ください)

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ロジャー・ウォーターズ(genuine Pink Floyd)の世界に何を見るか?-7-

<Progressive Rock>

[BOOTLEG:VIDEO]ROGER WATERS & BLEEDING HEART BAND 「Rehearsal Session 1987」 WITH superband

Dvdroger1987_2 この時期は、ギルモアとボブ・エズリンの活動から、CBS幹部からフロイドらしくないとフロイド再編に誘導され、それに乗ったギルモアのフロイドが動いていった時であるが、それは ロジャー・ウォーターズとピンク・フロイドの決別であったが、それはそれとして、この「RADIO K.A.O.S」について考察してみよう。

 RADIO KAOS TOURはロジャーの結成した”The Bleeding Heart Band”で1987年の8月から11月に行われた。このバンド名から如何にロジャーの切実なる思いが入っていたか解る。彼の歴史の中でも最も心を投入していたのかも知れない。
  このブート・ビデオにはバンドのメンバーとで「KAOS」の曲や「WALL」の曲のリハーサルを劇場の舞台で行っているものを収録しているし、ロジャーとのインタビューが約30分記録されていて楽しめる。

 ドラムス:Graham Broad、ギター:Andy Fairweather-Low そしてJay Stapley、サキソフォン:Mel Collins、キーボード:Paul Carrack、ヴォーカル:Katie Kissoon & Doren Chanter、DJ:Jim Ladd、そしてロシャー(Roger Waters : Bass, Guitar)というピンク・フロイドよりはむしろ豪華な9人が中心。

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 曲は明らかにビートの効いたリズムカルな展開であり、ギターもいわゆるブルースが基調といえども軽快だ。コリンズのサックスも相変わらず即興性も含めて吹きまくる。ドラムスもメイスンとは違ってワンテンポ前に進む。ロックの原点に迫ろうとしたのか?と思われるほど、ロジャーの足踏みも軽快で、ピンク・フロイドからの脱皮は新鮮。キャラックのヴォーカル、キーボードもライトとは異なったメリハリを感ずる。
  テーマはロジャーらしく核戦争危機を描くコンセプトも明快。そのドラマチックなアルバム展開はお見事。しかしテーマの内容にも関わらず、とにもかくにも全体になんと言っても暗くない。よくこの時期にこの展開をロジャーは試みたなぁーと感心する程だ。彼がピンク・フロイドのしがらみから抜け出ようとした意味が見えてくる。又一方”ピンク・フロイド戦争”という闘いに望んでいる姿のはつらつさも感じ取れる。
 この試みは良かったか悪かったかどうかは別にして、彼の世界の一歩前進であったことは間違いない。彼のプログレッシブなロッカーの姿であった。

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