ロジャー・ウォーターズにみるギタリスト・ベスト10
ロジャー・ウォーターズの世界に携わったギタリスト・ベスト10
ロジャー・ウォーターズはベーシストであるがゆえん彼の目指す曲作りにはギタリストとの関係は重要である。と、言うことは彼が40年以上の歩みの中で試みてきたROCKにおいて、その時の彼の目指したものそして試みたものが、ギタリスト選びに見えてくる。ここで名作に携わったギタリスト・ベスト10を私なりきの偏見で評価してみたい。
① Eric Clapton エリック・クラプトン
まさしく、ロジャー・ウォーターズにかかわったギタリストのNo1は、シドでもなく、ギルモアでもなくこの人である。彼の「the pros & cons of HICH-HIKING」-WORLD TOURをみれば、そのすばらしさは一目瞭然。当時のライブ・ビデオを見ると、フロイド時代の曲をロジャーと展開しているときはかなりよそ行きの感じの演奏であったが、この「The pros & cons ・・・」になると俄然彼の実力が我々を圧倒してくる。テクニック、サウンド、そして感動を与える微妙な音色は、他を寄せ付けない。ライブにおいては、正規レコード盤の演奏から数段上の威力である。我々はブート・ビデオにて今は見るしかない現在、このライブのオフィシャル録画録音盤を是非出して欲しいものだ(法廷による敗北によって、ピンク・フロイド曲の録画公開は、ロジャーはギルモア・フロイドから禁じられた為、ピンク・フロイド名義で作り上げた自分(ロジャー)の曲すら悲しい事に公開出来ない状況にあった。しかし「The pros & cons ・・・」の部分だけの公開はないのだろうか)。
② Jeff Beck ジェフ・ベック
ロジャーがソロとして、そしてアンチ・ギルモア・フロイドとしての集大成の作品に選んだギタリストこそ、このベックである。
ベックは、もともとブルースを基盤としヘヴィなサウンドを打ち出し、80年代に至るとシャープな切れ味のよい、そしてスリリングと表現されるギター・サウンドを作り上げていた。
そこでロジャーは再び社会批判を展開する1992年の問題アルバム「死滅遊戯AMUSED TO DEATH」に彼を登用。これ又見事なロジャー世界にマッチングし、傑作と言われるアルバムに仕上げた。
ロジャーはベックのギター・テクニックはもはや芸術家としての巨匠の域にあると語っている。
なかなか一流どころとのツアーの難しさは、ロジャーはクラプトンと関係で経験済み。そんな事もあってのことか?、又アルバムの内容からの難しさの為か?、更にツアーに慎重になったロジャーの心境からか?、この後は残念ながらツアーは行われなかったが、今でも互いに機会あれば、双方のライブで共演してこのアルバム曲(主として”What God Wants ...”)を展開している。
(参照)http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/cat34792896/index.html
③ Syd Barret シド・バレット
やはり、ロジャーの基盤であるピンク・フロイドを顧みて、彼なしにロジャーもあり得ない。まさしく”狂人に勝るものなし”で、今彼の演奏をCDで聴いても何がというわけでなく引き込まれていく。
これこそ長い間ピンク・フロイドというものが知り尽くされずにしかし何かを感じさせた源でもある。
既に昨年死亡。冥福を祈るしかない。ロジャーの心中如何なるものか?。
④ David Gilmour デブィット・ギルモア
彼を挙げなければ、フロイド・ファンは納得しないであろう。彼のギター・ワークは高度な技量というのでなく、ブルージィーなギター・プレイを基礎にうまくストラトキャスターを泣かしたところに魅力があった。間のとりかたも非常に上手であり、ロジャーとの曲作りの違いの中で、むしろ相乗効果があげられたことが成功である。ただいかんせんロジャーとの共作がなくなってから、プログレッシブな(進化した)アプローチに欠けた世界になった。これが彼の営業成績とは裏腹に寂しがられるところである。
⑤ Andy Fairweather-Low アンディ・フェアウェザー・ロウ
現在、最もロジャー音楽に理解と協力をおしまないギタリスト。彼が真にその実力を発揮したのは1987年の「RADIO KAOS TOUR」である。彼のツアーにおける演奏は、ロジャーがロジャーの歴史の中で最も攻撃的になったこのツアーで、見事なテクニックを持ってしてサポート役となり、アルバム「The Wall」からの"hapiest Days of Our Lives"などは、その前後の"Another Brick in the wall"とともにギルモアとは全く違ったメタリックでしかも攻撃的ギター・プレイを披露している。その後、「The Wall - LIVE IN BERLIN」での功績から、その後のロジャーのツアーには必ず参加し、むしろ影になって支えて役に徹しているが、真の実力者だ。
⑥ Snowy White スノーウィ・ホワイト
彼は私の好きなギタリストだ。
静かにそして心を騒がすテクニックありの技法は歴史的にもピンク・フロイドのサポート・ギタリストであり貴重な存在。
彼もロジャーのソロツアーには「LIVE IN BERLIN」以来必ず同行。彼はレスポールをもののみごとに操り泣かせる渋さとテクニシャンの名ギタリスト。ロジャーは彼をけっして放しませんね。
彼のブルース・バンドも素晴らしい。
⑦ Rick DiFonzo リック・ディフォンゾ
この人はなかなか挙げてくれる評論家はいないんですが、ロジャーがフロイドを離れ”Bleeding Heart Band”を結成して、そのリード・ギタリストとして登用したギタリスト。
最もじっくりお手並み拝見出来るのは、やはり「The Wall LIVE IN BERLIN」だ。是非DVDで見て欲しい。この大イベントを成功させたリード・ギタリストである。特にギルモアのギターなきロジャー・バンドにおいてピンク・フロイド作品のギルモア奏法は意図も簡単にこなしてる様は見事である。そしてスノーウィとの共演においても楽しませてくれた。
⑧ Jay Stapley ジェイ・スタップレイ
なかなかロックンロールを知り尽くした名プレイヤー。最近の話では、New CDに載る"Edge of the World"という曲を聴くと、大人のギタリストと感ずる。ロジャーとの関わり合いは「RADIO KAOS TOUR」だが、彼の良さは、これ又ロジャーの攻撃性をバックアップすべくテクニックを披露しているところだ。いわゆるギタリストそのものを知らしめている。軽快でしかも意外に繊細、そしてフロイド曲はギルモア調でなく敢えて自己流にギタープレイを展開するところは、ロジャーのライブにおいてフロイド時代の曲の別の意味での味付けがなされて非常に楽しめる。
⑨ Doyle Bramhall Ⅱ ドイル・ブランホールⅡ
なんと自分で作り上げたピンク・フロイド曲の演奏録画録音公開をギルモア・フロイドから禁じられていたロジャーであるが(しかしこのことは知られていないが、ひどい仕打ちですね。その為「The Pros and Cons of Hitch Hikingツアー」、「RADIO KAOSツアー」のオフィシャル映像はない)、ようやく解禁されて堂々のツアーを敢行し、DVD披露したのがあの「IN THE FRESH TOUR」だ。そしてそのリード・ギターとヴォーカル担当に抜擢された。やはりスノーウィ・ホワイトとツインで演奏した”Dog”が印象的。若きテクニシャンをアッピールした。残念ながら日本公演には参加なかったが、左効きプレイヤーとしても見るものに強力な印象を与えた。
⑩ Dave Kilminster デイブ・キルミンスター
しかし、ほんとにその時その時に適したギタリストを、よくロジャーは引っ張り込みますね。今進行中の「the dark side of the moon TOUR」のリード・ギターを担当。最近はロジャーも攻撃時代を過ぎて、過去のフロイド曲は出来るだけ旧来のままにアレンジなしで演奏している。それは彼も語っていたが、大衆が喜ぶからだという。それを見事にこのキルミンスターは演奏してみせる。多分使っているギターはブート・ライブ映像をこのところ2本見たが、おそらくテレキャスターではないかと思う。ギルモアも真っ青という演奏ぶり。そのうちオフィシャルDVDもでるでしょうから、その時に堪能しましょう。
以上、ロジャー・ウォーターズに関わるギタリストのうち、私の偏見を持ってして、ベスト10人を選んでみました。長いロジャーの音楽活動の歴史の中では、時代時代によって演奏の目的が明らかに違っている。そしてその違いを、彼の選んだギタリストから見ることが出来る。ここに挙げた10人もまさに”10人十色”で、それぞれ個性が異なっている。よくもこれだけ異なったギタリストと演奏してロジャーが絶え間なく自己の主張を繰り返してきたことに感心すらするのである。
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