新生ナイトウィッシュNightwishの登場
<Symphonic Metal Rock>
Nightwishのニューアルバム
「Dark Passion Play」
SPIN-FARM / JPN / UICO9022/3 / 2007
女性リード・ヴォーカリストを擁してのフィンランドのナイトウィッシュであるが、新しい出発となった。
それはすでに"amaranth"などで見ての通り、新ヴォーカリストにTaja Turunenに変わってのスウェーデンのAnnette Olzonの登場だ。
既にお披露目は済んではいるとはいえ、新アルバムの出来は非常に気になるところであった。このところどうもその気になって期待してのアルバムに巡り会わない私にとっては久々の期待の一枚であるのだ。
さて、結果は?・・・・・・
歴史的には新ヴォーカリストへの変身は、そのバンドにとってはかなり厳しい状況に追い込まれるというのが常である。私の予想としては、一定期間後にTajaそしてバンド両者の不振により、再び再結成ということになろうと踏んでいた。それほどTajaの存在はNightwishというまれにみる受け入れらたバンドのイメージは大きい。しかし、その予想をひるがえす出来の新アルバムであったことに安堵しているというのが私の偽らざる感想である。
冒頭の14分に及ぶ”The poet and the pendulum”などから、リーダーTuomasは、このバンドはヴォーカルにより左右されるものでなく、あくまでも曲の出来、演奏能力、そしてオーケストラ、合唱団を使っての総合芸術としてのものと訴えてくるように思う。確かに壮大な曲作りは、前作「ONCE」から一歩も退いていない。ROCKがこうした世界への発展は喝采してよいだろう。ただオーケストレーションの世界に近づくと、メンバーそれぞれの個性的演奏が隠れてしまう寂しさがある。これはROCKの醍醐味の一つを奪うことにもなりかねない。そんな中で"meadows of heaven"のようなバラード曲において、それぞれのバンド構成の個人の演奏を見え隠れさせているところはうまい。前作「ONCE」で取り入れたジョン・トゥ・ホークスの民族音楽のように、今作でもアコースティックな演奏で2曲みられ、彼らの作り上げている曲との対比をうまくこなしている。いずれにしても"Master passion greed"という曲にみられるように、かっての同胞Tajaを、こうした結果に導いた彼女の夫に対しての恨み辛みは凄い。やはり彼らがTajaを失うことのダメージは相当のものであったに相違ない。
しかし、ここに彼らの6枚目のアルバムは登場した。新ヴォーカストの線の細さ、高音の迫力不足は若干残念であるとはいえ、曲の出来はレベルが高い。ヴォーカルに頼らない曲作りには成功していると評価する。これはTajaのヴォーカルから生まれるゴシック・メタル調から、シンフォニック・メタルへの道としてプラス指向で歩もうとしている姿であろう。
相変わらずベーシストMarcoの歌は旨い。これがあればこのバンドはTuomasの作曲能力が高いがため、十分我々を楽しませてくれる。もう少しこのアルバムを聴きこみたい昨今である。
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