Bootlegから見るピンク・フロイドPink Floydの真髄(2)「ザ・マン」「ザ・ジャーニー」
PINK FLOYD1969年の世界:組曲「The Man」&「The Journey」
1969年のPINK FLOYDこそ、3ヶ月で終わりを遂げた5人バンドからリーダーであったシド・バレットが正式に抜けて、新しい最もバンドとして成功する4人の活動の開始の年であった。しかしこの時のアルバムは、「モア」そして「ウマグマ」であるが、果たして単にこのアルバムの世界だけが彼らの世界であったかというとそうではない。暗中模索の中からの彼らの意志がどのように形成され、何を求めていたかを知るためには、この年の彼らのライブ活動を知ることが重要である。つまり、その後の彼らの活動もここが原点であり、それから分裂までの11年間がどう発展していったが実はピンク・フロイドの音楽というものに迫ることが出来る。
その当時のBootlegは数多いが、正確に記録されているものは意外に少ない。それだけ彼らのバンドの理解が困難であったとも言える。つまりこの1969年は彼らの目指したものは、いわゆる幻の組曲「The Man」そして「The Jouney」であった。これは1969年4月英国ライブに登場し、1970年2月フランス・ライブにて幕を閉じている(このフランス・ライブの後には、あの"Atom Heart Mother"の登場と流れていく)。この69年の彼らがロック界では初めての組曲を展開し、そしてそこには、イギリス男性の一日の生活を描いて、”人間への迫り”が関心の中心となっており、そしてそれに伴った曲作りに没頭するのは自己のバンドのアッピールとともに、彼らの音楽に於ける”道の探り”に他ならない。ここにみる多くの曲はロジャー・ウォーターズにより作られ、演奏においてはリック・ライトがのオルガンがかなりのウェイトを占めている。そして新しくメンバーの重要なギタリストとしてのデイブ・ギルモアは、ギターそのものは曲のサポート役になっており、むしろ当時の売りとしてヴォーカルにおいて登用されているところが面白い。
「THE MAN」SUITE
1.Daybreak, 2.Work/Afternoon, 3.Doing It, 4.Sleepng, 5.Nightmare, 6.Daybreak/part two
「THE JOURNEY」SUITE
1.The Beginning, 2.Beset By Creatures Of The Deep, 3.The Narrow Way/part three, 4.The Pink Jungle, 5.The Labyrinth Of Auximens, 6.Behold The Temple Of Light, 7.The End Of The Beginning
以下に、Bootlegの紹介をする。
■ PINK FLOYD「The Man and The Journey」
Ayanami-125 Live at Royal Festival Hall,London,England 4/14/1969
1969年4月の初めて、「The Man」「The Journey」の登場したライブを納めている貴重品。「The Man」は6つの曲より構成され、「The Journey」は7っの曲が見られる。(アルバムの裏面の写真参照=クリックにて大きくなります)
面白いことに、”Sleep”の後の”Nightmare”がまだ登場していない。その代わりこの”Sleep (Sleeping)”の実験的アプローチが凄い。これはこの後の彼らの特徴にもなる。
それぞれの曲は後に別のタイトルが付けられオフイシャルなアルバムに登場するのであるが、(”Daybreak”は”GrantchesterMeadows”、”Nightmare”は「モア」の”Cymbaline”等)種々の擬音の挿入などは当時のロジャーの関心事を表している。
更に、このブートにはLive at Free Trade Hall,Manchester,England 6/22/1269も収録されているが、この方が音質は良い。
■ PINK FLOYD 「THE MAN & THE JOURNEY」
GREAT DANCE RECORDS 9207 Live at Concertgebow,Amsterdam 17/9/69
69年最後のこの両組曲の登場である。この年は5回披露されて彼らの実験は進んでいたが、ここに当時の彼らにとっては「モア」映画音楽の為に、この中の重要な”Nightmare”を提供。これは””Cymbaline”として、あの映画における魔性の女エステルのアパートで、彼女がLPをかけるとこの曲が流れる。実にフロイド・ファンとしてはゾクっとするシーンである。更には、「The Journey」の”The Begining”は、ロジャーの名曲”Green is The Colour”で映画「モア」に納められる。
このように実は、他のどのバンドも試みていなかった彼らの目指したトータル・コンセプト形式の両組曲は映画音楽に一部提供して空中分解してしまったのだ。当時ピンク・フロイドの4人にとっては、映画音楽に対する関心は非常に高かったと同時に、ライブの何倍ものギャラを得ることが出来たことは大きな事であったのだ。
■ その他のBootleg
このAmsterdamの好録音がthe swingin'pig recordsから出された「PINK FLOYD AMSTERDAM'69」TSP-CD-052である。
度肝を抜く好録音であるが、残念ながらすべてを収録していない。(このTSP盤は、その他ブート名盤が多く一時代をリードした)
これは、なんと上のブートから更に盗みどりしたアルバムだ。PINK FLOYD 「8th RD from the moon」BM 044/2
結果的には空中分解した新しい試みは、次第に次の企画に流れていくことになるが、この両幻の組曲こそ、後のピンク・フロイドを形成する原点であり、そんな意味において非常に興味深く、重要である。これらがブートで聴けることは、ありがたいことである。69年は試行錯誤とそれぞれのメンバーの個性とバンドとしての方向性をどう持つかという中で特に人間に迫ろうとした事は、「THE WALL」まで繋がってくる。(当時のライブの最も演奏された曲は”Careful with that Axe Eugene”である。これは「THE JOURNEY」にも使われるが、一般的にはアルバム「ウマグマ」のライブ録音2/5/69で知ることになる)
(参考)「THE MAN」「THE JOURNEY」がセットで演奏されたのは以下の5回のライブである。
①14/4/69 Royal Festival Hall,South Bank,London,England
②24/5/69 City Hall,Sheffield,Yorkshire,England
③22/6/69 Free trade Hall,Manchester,Lancashire,England
④26/6/69 The Final Lunacy,Royal Albert Hall,London,England
⑤17/9/69 Concertgebouw,Amsterdam,Netherlands.
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コメント
expo7000.tumblr で紹介させていただきました。
一度ご覧ください。
http://expo7000.tumblr.com/
投稿: expo7000 | 2008年2月26日 (火) 05時14分