ジャック・ルーシェJ.Loussierとプレイ・バッハ(その2)
ジャック・ルーシェ、再びバッハへの挑戦開始
前回紹介した「ブランデンブルク協奏曲第2番/第5番」の2LPは、それまでの第1~5集までとはジャック・ルーシェ・トリオがオーケストラとの競演したということで、意義は異なっていた。と、同時に1976年に日本でリリースして私がこのアルバムを手にした時は、実は彼らはバッハ演奏のLP制作には既に終止符を打っていたのが後に解った。
このトリオは1971年1973年と二度来日して、日本にもファンは根付いていたのであるがこの1976年の後、約10年という長い期間、過去の彼らのアルバムを楽しむしかジャク・ルーシェを聴くすべはなかったのである。
そして、約10年後の1985年(ジャック・ルーシェがバッハを演奏してデビューして20年後)、なんと再び我々の前に、LP時代からデジタルCD時代に変化しての新トリオでプレイ・バッハはお目見えすることになった。
ジャック・ルーシェのピアノを中心に、ベース:新進気鋭のヴァンサン・シャルボエ、ドラムス:ベテランのアンドレ・アネピノのトリオとしてスタートする。バッハ生誕300年しとての世界的記念事業にも刺激されたことは事実であろう。そして我々の前には、以前にも増してスリリングな演奏をするトリオが甦って来たのだった。
<Jazz>
「The Newest PLAY BACH in Digital Recording (デジタル・ブレイ・バッハ)」KING RECORDS / K32Y6030 / 録音1984/発売1985
かっての好演の11曲を新トリオにてデジタル好録音にてリリース。もちろん私はすぐさま飛びつくことになった。バッハの曲群がジャズという手法はとっていても、けっして原曲を崩すことなく自然なアドリブを要所に導入し、現代にバッハを生かしている演奏には、非常に好感がもてた。
しかし、面白いことに全くタイミングを一にして、あのジャズ界では押しも押されぬMJQ(彼らの演奏にジャック・ルーシェも触発されてジャズ界に入ったとも言われている)のピアニスト、ジョン・ルイスもバッハを演奏してアルバムをリリース
「プレリュードとフーガ」
(左:全て写真はクリックで拡大します)。このことは我々には何重にも楽しみを与えてくれたし、又ルーシェにとってもこの上ない刺激になったと思われる。
そしてルーシェの活動は更にエネルギーを高めてバッハの協奏曲への挑戦の結果も翌年1986年発表する。
<Jazz>
「PLAY BACH "Bach To The Future"」
KING RECORDS / K32Y6105 / 1986
ここには、バッハをジャズで・・・それは自己の20年の歴史から自分なりきに築いてきたルーシェの自身がみなぎっている。まさに名盤。前作の過去の演奏の焼き直しでなく、見事に新しいレパートリーの開拓を成し遂げている。
こうして、再スタートを切ったジャク・ルーシェは、この後も更なるバッハへの挑戦を続けて行く。これは私自身の1960年代からのリアル・タイムなロックと平行してのジャズ分野における重要な位置を占めている。
(従って、更にジャク・ルーシェは”その3””その4”と、この私のブログでは過去を振り返りつつ、書き込みを続けて行くことになるでしょう)
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