ジャック・ルーシェJ.Loussierとプレイ・バッハ(その3)
円熟味を増す2代目ジャック・ルーシェ・トリオ
1985年の新トリオ(ジャック・ルーシェ(P)、ヴァンサン・シャルボニエ(b)、アンドレ・アルピノ(per))は、バッハ生誕300年を記念して各界からルーシェのジャズ・バッハへの期待が大きく、その為誕生したと思って良いのだろう。
前回紹介した「デジタル・プレイ・バッハ」「バッハ・トゥ・ザ・フューチャー」の2枚のアルバムは大きな歓迎を受けた。
フランスのクラシック・トランペット奏者のギ・トゥブロンを迎えて、このトリオに加えての新しい試みの
「ザ・グレイテスト・バッハ THE GREATEST BACH」(K32Y6252)を発表。
選ばれた曲は”パルティーダ第1番変ロ長調BWV.825”、”管弦楽組曲第2番ロ短調BWV.1067”だった。
更に1988年には
「ブランデンブルグ協奏曲第1.3.5番」(K32Y-6251)
これはオーケストラをバックに披露したアルバムで、新しい試みにてリリース。
決してクラシックとしてのバッハのスタイルにとらわれるのではなく、ジャズとしてのバッハをトリオを生かして演奏している。
当時のこのトリオはジャック・ルーシェにとっても最も円熟していたのではないだろうか。そしてレーザー・ディスクによる映像ものもお目見えする。
1989年ミュンヘンでのライブ録音・録画されたもので
「プレイ・バッハ89」
・・・・として登場。この時にはシャルボニエのベースも非常に評判よく、又ルーシェ自身のインプロヴィゼイションも以前に増して充実したと評された。この映像ものはまさに私にとっての宝物である。
1994年「プレイ・バッハ・トゥデイ」 (TOSHIBA-EMI/TOCJ-5921)
そして1995年「恋人達のコンチェルトConcertos for Lovers」(TOSHIBA-EMI/TOCJ-5961)を発表する。
もうバッハのジャズ演奏では世界の注目を一身に浴びる存在であった。
その後の彼らのトリオは名実ともに評価を受けていたが、この二代目トリオ結成12年を経て、ベーシストのシャルボニエが卒中にて倒れるアクシデントが起きる。ルーシェにとってはそれを契機に又新しい世界を開拓することになる。
シャルボニエが倒れる以前の1993、94年録音ものを、ルーシェのブレイ・バッハのファースト・アルバム以来の40周年記念として
「The Bach Book Jacques Lossiier Trio 40th Anniversary Album」(TELARC/PHCD-1587)
が1999年に発売されたことも、(既にこの時にはルーシェは新しいベーシストを迎え、バッハ以外の曲にもアプローチを開始しているにもかかわらず)如何に当時のトリオが受け入れられたか解る。
今日、ルーシェのクラシックのジャズ・トリオ(3代目新トリオ)による演奏はこの10年非常に多岐に渡る作曲家の作品に及んでいる。この2007年には、やはり1992年録音ものを・・・・
「ブレイズ・バッハ・アンコールPlays Bach Encore!」(TELARC/CD-83671)
として、2代目トリオものを発売している。プレイ・バッハは、この2代目トリオで一つの頂点に達し完成したとみてよいのであろう。そして新しい動きが1996年に出てくるのだ。
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