ジャック・ルーシェとプレイ・バッハ(その6)
ジャック・ルーシェに求められたもの
1997年のヴィヴァルディから2005年のモーツァルトまで、バッハから離れ多くのクラシック作曲家の名曲への挑戦が行われたわけであるが、一方やはりジャック・ルーシェ・ファンはじめジャズ・ファンのジャック・ルーシェ・トリオに求められたものは1960年代、そして1985-1995年のプレイ・バッハにあった。
TELARCからは諸々の作曲家のジャズ化したジャック・ルーシェ・トリオのCDがリリースされる中、2000年にはジャク・ルーシェが初めて認められプレイ・バッハを録音したDECCAからは1959年から1963年の初期プレイ・バッハを、「オリジナル・プレイ・バッハ・シリーズ」としてデジタル・リマスタリングして音質の向上を図ってCDとして発売した。(これが、私が大切にして所持しているLPのCD版である)これもなかなか好評で、如何にこのトリオに対してのバッハ演奏の期待が大きいかが窺い知れた。(このシリーズの#4は、カンタータ、コラール前奏曲などをルーシェはピアノとオルガンを演奏し、プレイ・バッハの中では最も異色である)
こうした流れの中で、2006年になってTELARCから、ニュー録音の「ジャック・ルーシェ・トリオ:バッハ ブランデンブルグ協奏曲」UCCT-1173 が発売された。
久々のプレイ・バッハで、しかもブランデンブルグ協奏曲の第1番から第6番まで全てを網羅した。過去にブランデンブルグ協奏曲はこのトリオは2回挑戦している。これが3回目となるが、ただしその前2回ともオーケストラをバックにおいての共演であったが、今回はトリオのみにて演奏しきった。このアルバムを手にしてみると、やはりいかにものびのびした彼らの演奏が聴かれる。こうして70歳を超えたジャック・ルーシェは再びバッハへの思いを演奏してゆくことになるのかも知れない。
なお、ジャック・ルーシェが70歳を迎えた2004年には、TELARCから記念アルバムとして1963年・1964年録音もの(第2期トリオ)の「ジャック・ルーシェ・トリオ/ベスト・オブ・プレイ・バッハ」UCGT-7001として、SACDのHybrid Disc で5.1サラウンド版としても発売している。このあたりはやはりバッハ演奏の彼らの絶頂期であったのであろう。
とにもかくにも、第3期トリオのバッハ演奏もスタートしている。この後も彼らの演奏に期待したいものだ。
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