リック・ライト(ピンク・フロイド)の評価
リック・ライトの死の波紋
少なくとも、リック・ライトの死により、改めてピンク・フロイドが注目されたのは事実だ。そしてピンク・フロイドにおける彼の役割と評価は、ここ数日の多くのブログでもサウンド面においてピンク・フロイドへの貢献を讃辞している。
私は、あるロックを愛しているブログに、以下のようなコメントを入れたので紹介しよう。
”残念ですね。シドに続いてリック・ライトの死亡のニュースは。皆さんがおっしゃるようにピンク・フロイドのサウンド面の貢献はリック・ライトは大きかったと思います。そもそも歴史的には、シド以降のサイケデリックからプログレッシブと言われるようになるバンドの一つのポイントは、キー・ボードにあると思います。”エコーズ”のような残響音を中心にした音ではありませんが、「モア」なども、この時はギターよりキーボードが効果を発揮しています。”
しかし、彼の音楽的技能的進化は”エコーズ”を頂点として、その後はその延長・繰り返しに終わり、又「炎」の後は、彼の個人的家庭的事情で、ピンク・フロイドへの貢献は低下してしまった。当時はパンクの嵐で、多くの形骸化したバンドが潰れる中、ロジャー・ウォーターズのピンク・フロイドを続ける為の努力はすざまじく、しかしそんな中でもライトの協力度が低下していたことは、本人の認めるところのようだ。多くのファンを魅了したのは「炎」までのピンク・フロイドで、その意味ではライトの功績大きくそれを評価するのは良く解る。しかし時代的考証をすると、パンクの吹き荒れる中、あの「アニマルズ」「ザ・ウォール」の世界があったからこそ、変化するロック界で更にピンク・フロイドの価値観が高まったのも事実で、当時のロック界でこれがあってピンク・フロイドは生き延びたと同時に巨大化したのも忘れてはならない。
ウォーターズがライトを切ったのは、以前からのライトのAOR的音楽手法はあまり好まなかったのも事実であり、そして「アニマルズ」作成には、全く貢献度がなかったこと、彼のAORでは生きれないと判断した事、ウォーターズのコンセプトをライトがあまり理解するところが無かった事などが原因と考えられる。
いずれにしても、ライトの死のニュースに当たり、我々にピンク・フロイドという無二の世界を与えてくれたピンク・フロイドの一員としてのライトの活動に感謝し、冥福を祈りたい。
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コメント
こんにちは。コメントをありがとうございます。
>私は、あるロックを愛しているブログに、以下のようなコメントを入れたので紹介しよう。
いやあ、照れてしまいます。(←勝手に自分のことと思っているらしい)
>ウォーターズがライトを切ったのは、以前からAOR的ライトの音楽手法はあまり好まなかったのも事実であり、そして「アニマルズ」作成には、全く貢献度がなかったこと、彼のAORでは生きれないと判断した事、ウォーターズのコンセプトをライトがあまり理解するところが無かった事などが原因と考えられる。
おお、そうなんですか。確かに音の進歩は感じられませんでした。特にコンセプトを理解することがなかった・・・ここは結構、ショックですね。
実は私は近頃、ライトの脱退が「解雇」に近いものだったと知り、ショックを受けたものです。おまけに今回の死。ダブル・ショックであんなおセンチな文章書いたのかもしれません。それにコメント寄せていただいて本当に感謝しております。
これからもよろしくお願いします。
投稿: ぷくちゃん | 2008年9月19日 (金) 04時40分
ぷくちゃん、コメント有り難うございます。ライトの「解雇」に近いモノだったは、ショックだったとおっしゃってますが、特に「アニマルズ」「ザ・ウォール」に関しての貢献度のなさはひどかったようです。ただ報酬だけはしっかり頂いて、「ウォール・ライブ」の赤字分は関係なかったことで、一番よかったのはライトということも言われています。貢献できない状況の一の原因は、”ピンク・フロイド”前の”シグマ6”時代の女性ヴォーカルのジュリエット・ゲイルと結婚していたんですが、彼女との離婚騒動であるようです。フロイドのメンバーそれぞれも女性問題が亀裂の一つの因子になっていることも、次回には検証したいと思っています。
投稿: 風呂井戸 | 2008年9月23日 (火) 16時54分