映画の話(4) 「大いなる陰謀 Lions for Lambs」
少しは気楽に映画の話でも・・・と、思いつつも何か結構重い感覚を持ちながら話さざるを得ない映画を取り上げてしまった。
「LIONS for LAMBS 大いなる陰謀」
2007, 20世紀フォックス映画 日本公開2008.4 ,DVD発売2008.8
監督:ロバート・レッドフォード
脚本:マシュー・マイケル・カーナハン
制作:ロバート・レッドフォード他
キャスト&スタッフ:
マレー教授=ロバート・レッドフォード
ジャニーン=メリル・ストリーブ
アーヴィング上院議員=トム・クルーズ
トッド=アンドリュー・ガーフィールド
アーリアン=デレク・ルーク
アーネスト=マイケル・ペーニャ
これはこの夏のDVDで観たんですが、アメリカ映画としては、なんか久々に考えさせられる映画と言っておこう。目下大統領選で熱いアメリカではあるが、又ある意味では反ブッシュ、反共和党キャンペーン映画ともとれる。3大スターの共演というだけでも興味はそそるところがあるが、イラク戦争、アフガン戦争をテーマとしてのアメリカという国における政治の貧困、マスコミの風見鶏的行為の罪悪、そして教育者と若者の立場をうまくミックスさせて話を進めていく。今現実に動いているアフガンに問題意識を持つが故に軍人として志願する大学生の純粋さと、又それは一方貧困者の選ばざるを得ない道であるという面まで追求している。9.11以来のアメリカのテロとの戦いとしてとってきた道は、結果的に何をもたらしたか?、今戦場で失われていく若者の姿はどう生かされていくのか?。
T・クルーズ演ずるは、対テロ強行派の次の大統領を狙う野心家上院議員、ジャーナリストの対イラクにおける対応について反省と批判精神をもつM・ストリーブ演ずる女性。そして戦争を経験したレッドフォード演ずる大学教授の若者に対しての挑戦。アフガンで無惨にも死んで行く非白人の大学生志願兵をとりまいて、それぞれの立場での対話を延々と描くところは、アメリカ映画としては珍しく単なる派手なアクションを無視した作品で若干引きつけるところとしては弱い面もあるが、それでも3スターの演技はそれを救っているとも言える。
今、現実に起こっている社会現象に、はっきりと問題意識を訴えたところは評価して良いのであろう。
日本に於ける我々にとっても、政治とマスコミの貧困は同様の問題を抱えているとしか思えない。少なくとも教育畑ではそうでないことを祈るしかないが、果たして・・・・。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- ティグラン・ハマシアンTigran Hamasyan 「They say Nothing Stays the Same(ある船頭の話)」(2020.04.24)
- ピンク・フロイド PINK FLOYD アルバム「ZABRISKIE POINT」の復活(2020.06.01)
- ロジャー・ウォーターズRoger Waters 「US+THEM」Film 公開(2019.09.30)
- 抵抗の巨匠・アンジェイ・ワイダの遺作映画「残像」(2018.03.05)
コメント