ロジャー・ウォーターズとリリ・ヘイデン(女性ロック・ヴァイオリニスト)
コーチェラ(Coachella music Festival)にみたロジャー・ウォーターズの試み
アメリカ最大級のミュージック・フェスティバルであるCoachella Valley Music and Arts Festival (カルフォルニア州インディオにて1999年より行われている)は、今年は4月の25,26,27日の3日間大成功のうちに行われたが、その最終日のメイン・イベントは、ロジャー・ウォーターズの”Dark Side Of The Moon”と題された昨年来の世界ツアーの内容での演奏だった。ピンク・フロイド時代のアルバム「狂気Dark Side Of The Moon」全曲披露と、その他アルバム「炎」「アニマルズ」「ザ・ウォール」「ザ・ファイナル・カット」そして彼自身のソロ・アルバムからの曲群を約2時間の演奏であったわけだが、やはり彼の力の入れた曲は、大衆に訴えるべく、一般的には従順でおとなしいとされる羊が自己満足の無知状態から目覚め復習に燃え暴動を起こす「アニマルズ」からの”Sheep”、ブッシュのイラク戦争に反対しての「ザ・ウォール」からの”Bring The Boys Back Home”であったと思われる。そして締めくくりのトリの曲は”Comfortable Numb”であった。その”Comfortable Numb”においては、なんとあの魅力的な泣きギターの演奏部分を、女性ロック・ヴァイオリニストのリリ・ヘイデンLili Haydn を招聘してヴァイオリンで演奏させたのだ。
本来なら、このツアーにおけるリード・ギターのDave Kilminster と Snowy White が演奏する部分であるが、彼らのギターは中間部のみであり、その他はリリ・ヘイデンのヴァイオリンの音色の熱演であった。まさにピンク・フロイド時代のギルモアのパートであり、ロジャーは意識してのことか?更にここにヴァイオリンを導入するという発想は聴衆をして驚かせた。彼女は1969年カナダのトロントに生まれクラシック・ヴァイオリンを学んだが、後にロック、ジャズ分野に進出して、1997年にはデビュー・アルバムを発表。注目の的となった。このコーチェラでは彼女のロジャー・ウォーターズとの競演で、我々にとっても彼女の存在に興味を持つことになった。更にCoachellaでは、その他前半においてウォーターズの最近の曲"Leaving Beirut"でも、このリリ・ヘイデンが熱演している。通常なら Katie Kissoon が哀愁のあるヴォーカルで聴かせるパートを、この日はリリがヴァイオリンとヴォーカルで歌い上げ、曲のスタート部と締めくくりにおいての彼女ならではの熱演が見られ圧倒された。
彼女のDiscographyを紹介しよう。
①Lili(1997) ②Light Blue Sun(2003) ③Goodbye Stranger Ep (2007) ④Place Between Places (2008)
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