「プレイ・バッハ」50周年を迎えたジャック・ルーシェの記念アルバム
Jacques Loussier 「PLAYS BACH / THE 50TH ANNIVERSARY RECORDING」
TELARC / USA / CD-83693 / 2009
ジャック・ルーシェの「プレイ・バッハ」シリーズを当初から愛聴してきた私にとっては50年という歴史に感動せざるを得ない。ここに50周年記念アルバムの登場だ(TELARC CD-83693)。
彼のバッハをジャズでというしゃれたセンスが受けて、バッハ演奏には必ず出てくる彼の名前であるが、近年は第3期のトリオでバロックの多くを取り上げたり、ヘンデル、ベートーベン、モーツァルト、ショパン、ドビュッシーなどに挑戦。しかしやはり2006年には再びブランデンブルグ協奏曲でバッハに戻っていた。
今回は、驚き1985年から約10年間の第2期のメンバーであるベースにヴァンサン・シャルボニエ(シャルボン)と、ドラムスはアンドレ・アルピノというメンバーで、彼のピアノ演奏が楽しめる。録音時期は定かでないが、フランスのStudio MiravalとロンドンのAdvision Studio となっているが、ボーナース・トラックとして中野サンプラザのライブ音源がついている。しかも、"THIS IS THE BEST PLAYING OF MY LIFE -jacques loussier"と付けられている。
特に、”Toccata and fugue in C major”のOvertur(5曲目)のシャルボニエのベースのソロとそれを一気の展開でルーシェの演ずるピアノのスピード感、Adagioの両者の絡み合い。それに続くFugueにおけるアルピノのドラムスの響きに続いてのルーシェのピアノの演奏はまさに絶品である。更に9曲目の”Prelude No.2 in C Minor”とボーナス曲”Chorale No.1"SLEEPERS AWAKE"”では、懐かしのシャルボニエのベース・ソロ部分も堪能でき、それをうまくルーシェのピアノが導いて確かに楽しめる演奏が収められているである。
録音はかなり良好であり、特に日本の中野サンプラザものが生き生きとしている。
とにもかくにも、50年前にバッハを取り上げてのモダン・ジャズ界に新風を巻き起こしたジャック・ルーシェも75歳となった。彼のリリースしてきた多くのアルバムと歩んで来た私にとっても、この50年は人生の主たる部分であったこともあって、ここで感動せざる得ない。
(収録曲)
1.PARTITA IN E MAJOR
2.INVENTION FOR TWO VOICES NO.8
3.SICILIANA IN G MINOR
4.VIVACE FROM CONCERTO IN C MINOR
5.6.7.TOCCATA AND FUGUE IN C MAJOR
8.MINUET IN G MAJOR
9.PRELUDE NO.2 IN C MINOR
10.CHROMATIC FANTASY
11.CHORALE NO.1 "SLEEPERS AWAKE"
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コメント
ジャニスへの書き込みありがとうございました。今度ぜひEva Cassidyについて教えてください。残念ながら国内盤が出ていないというのは本当でしょうか。
そして唯一孤高のサイケデリック・ロック・バンドはピンク・フロイドだったと今でも思っているのです。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2009年5月14日 (木) 22時17分
エヴァ・キャシディEVA CASSIDY は、残念ながら私が知ったのは彼女が亡くなってからです(多分、日本では多くがそうであると思います。1996年、33歳で癌死)。友人からのCDの紹介でした。とにかくジャンルは決めがたく、ジャズ、ブルース、ソウル、カントリー、ロック調などで、シンプルなアコースティック・ギターでじっくり唱い上げるところが聴きどころです。USA盤が容易に手に入ります。
投稿: 風呂井戸 | 2009年5月16日 (土) 21時33分