精神安定剤(2)ケイティ・メルアKatie Meluaの世界
歌唱力から生み出す安堵感の中の官能美
ケイティ・メルアという歌手の歌声は、これも私の友人から知らしめられた。
まさに精神安定剤としての効果十分。この若さからは信じられない心地よさの世界は不思議なくらいだ。
英国の歌手であるが、KATIE MELUA という名前は英国としてはちょっと首をかしげる。それもそのはず、旧ソ連のグルジア出身1984年生まれという。バツーミ(グルジア)からモスクア、ベルファスト(北アイルランド)を経てロンドンに移り住んだという。グルジアの内戦の厳しさを幼少時に目に見てきたと思われる。そんな経歴の中から15歳にテレビの勝ち抜き番組にて優勝してのデビューらしい。
作曲は17歳ぐらいから始めていて、ジョニ・ミッチェル、エヴァ・キャシディなどに影響受け、アイリッシュ・フォークやインド音楽にも傾倒したという。
いずれにしてもエリザベス女王から讃辞の言葉を受けたとか、英国ではポスト・ノラ・ジョーンズというレッテルも張られるぐらいの存在に早熟ながら地位を構築している。
しかし、2003年には1stアルバムを発表しているにもかかわらず、私は知らずに経過してきていた。今これを知って非常に感激している。
又、彼女のアルバムを作成リリースしているのはDRAMATICOというレーベルだが、なかなか録音と音作りがいい。この点も私は楽しませていただいているし、まさに精神安定剤である。
1stアルバム「CALL OFF THE SEARCH」 / KATIE MELUA DRAMATICO B0002666-12 2003
オープニングの曲”call off the search”から、静かなピアノ、ヴァイオリンをバックに語りかけるように唱って、次第にストリングス更にトランペットなどがバックに静かに流れる19歳とは思えない大人ぽさの曲。3曲目”the closest thing to crazy”は彼女の代表曲といっていい。多分彼女のアコースティック・ギターをバックに歌い上げる。低音が非常に心地よいし、高音に移っていくところにあどけなさと、又甘い官能的なところをチラッと見せるところがにくい。これは誰もが絶賛する曲であろう。4曲目”my aphrodisiac is you”は、ジャス的アプローチを見せる。5曲目”learnin' the blues”、6曲目”blame it on the moon”は10代とは思えない大人の曲を歌い上げる。このアルバム12曲の中で、彼女を見いだしたプロデューサーのマイク・バットの曲が6曲と大半を占めている他に、彼女自身の曲も2曲ある。しかしマイク・バットの造り上げる世界が多分このアルバムには大きいのであろうと想像するが、それをこなしきったケイティ・メルアに喝采を送りたい。
多分2ndアルバムと思われる「PIECE BY PIECE」 / KATIE MELUA DRAMATICO B0006868-02 2006
このアルバムも素晴らしい。オープニングは”shy boy”エレクトリック・ギターをバックにジャズィーにリズムカルにスタート、静かに説得ある歌声。おお、成長したなと思わせる。2曲目”nine million bicycles”は、もう完全に彼女の世界。これも代表的な曲と私は押す。3曲目はタイトル曲でメルア自身の作曲”peace by piece”、このアルバムの最初の山が訪れる。これぞメルアだと言っていい。私のお気に入りのいい曲だ。このアルバムは彼女の22歳の時のモノと思われるが、彼女自身の曲が5曲に増え、バットの曲は4曲となっており彼女の成長をもの語る。6曲目”spider's web”も彼女の曲で、このあたりで彼女の世界が明確になってくる。これもやはりこのアルバムではポイントの美しい曲。彼女が高音の魅力も見せる印象に残る曲である。続いてはバットの曲”blue shoes”は、大人の世界に変身する。ここがメルアの魅力を一層高める因子にも繋がる。9曲目”thankyou , stars”は彼女の特徴が納得させるべく唱われ、12曲目の最後の曲”i do believe in love”まで、全く飽きさせない。そして聴き終わったときにいつの間にかストレスが解消されたごとくの世界に包まれ、しかも女性ヴォーカルの快感をおいていってくれるところは、なんといってもお勧めのアルバムなのである。
続いて、もう2枚のアルバムの紹介、感想は次回に譲る。
(視聴)
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