フェイツ・ウォーニングの魅力(2)
物語がある世界が魅力
フェイツ・ウォーニングの前回取り上げた5thアルバム「PerfectSymmetry」(1989)に続いて、2年後に6thアルバムが登場した。
「Parallels」 Metal blade 9 26698-2 1991
この2枚はジャケからみると、共通性があり、ある意味では2部作であったのか?、いずれにしてもメンバーは前作のRay Alderのヴォーカル、そしてリード・ギターと全曲作曲しているJim Matheosと他3人の変動なく、このバンドのある意味での頂点にあった作品とみる。このメンバーは次作まで継続するわけで、この3作は、彼らのロックにおけるHM/HRを造り上げてきたバンドとしての発展方向に、プログレッシブな感覚と手法を導入、そしてここに彼らの世界の一つの形を造り上げたといっていいのだろう。いずれにしても Jim Matheos=フェイツ・ウォーニングのパターンが確立している。
複雑なテクニカルにすぐれた曲づくりと、醸し出す知性的なムードはプログレッシブ・メタルと表現される原点であろうし、けっして忘れていないヘヴィメタル奏法を展開するところもにくいところだ。この頃になると、私は彼らの新作を楽しみにするバンドの一つになっていた。そして何にも勝る彼らの曲には、私はlyricsの理解は不十分ではあるが、なにか物語を感ずるところであると断言する。当時は彼らに触発されたと思われるドリーム・シアターが成功の道を歩んでいるところで、その影になっていたところであるが、作品的質は高い。
7thアルバム「INSIDE OUT」 XRCN-1148 1994
この作品を聴くと、前作に比して聴きやすくなってきたことがわかる。 そして面白いことにRayのヴォーカルも初期のハイトーンのスタイルが変化して語りかけるものに変わりつつある。全体にヘヴィメタル・スタイルは後退している。前作はラッシュを手がけたことのあるテリー・ブラウンのプロデュースによるものであったことにもよるのか、不思議にこの作品になって、ふとラッシュを思い起こすところが見え隠れするところが面白い。多分彼らのどこかにはラッシュの姿は当然あるのであろうし、それは不思議なことではないと想像する。
曲では”inward bround”という2分少々のインスツゥメンタルのギターをゆったり聴かせる短い曲も挿入されていたり、それに続いての”Monument”では、テンポのあるそしてテクニカルな演奏で聴かせる曲を展開させ、彼らの力みのない余裕を感じさせる作りとなっている。
しかし私の好みからは、プログレッシブ・メタル感覚の強い前作アルバムの「Parallels」 のほうになる。
どうも彼らを語ると多くなってしまう。このあとに彼らのバンドも一つと言わず、少なくとも二つの山がある。そのあたりは又次回に譲ることとする。
参考までに、フェイツ・ウォーニングの1984年のオリジナル・メンバーは以下の通りである。John Arch (Vo), Jim Matheos (G), Victor Arduini (G), Steve Zimmerman (Dr), Joe DiBiase (B)
そしてこの91年,94年の2枚のアルバムでは、Jim Matheos(G), Joe Dibiase(B)の二人 のみが残っており、vocal は4thアルバムからの Ray Alder、 もう一人の Guiter は Frank Aresti で、drums は Mark Zonder という布陣になっている。
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