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2009年9月15日 (火)

JAZZYなメロディ・ガルドーの世界(3)「MY ONE AND ONLY THRILL」

静かな世界であっても、沈んではいない熱い訴えが・・・・・

 

Mono2 考えてみると、彼女はまだ24歳、何故あのような”小さな音がとても大切”と言う感覚の世界が構築出来たのであろうか?>ささやくような静かな歌声は実に緻密で、我々を引きつける。19歳の時の瀕死の重傷の交通事故、そしてその後遺症との戦い(今でも左手にステッキを持って歩く)、ある意味での人間の極限を知ってしまった世界からのメッセージなのか?。
 今年の夏に初めて、友人から送られたメロディのCDアルバムによって、このような単なるJAZZYと言う表現以上の奥深い静かな中に熱い訴えが感じられる世界を知ることになった訳だが、もともと女性ヴォーカルの為には、男性作家の曲と歌詞がいいと、実は私は長年思ってきたという偏見の持ち主であるが、ここに来てメロディによって完全に覆された。

 

Mg  さて、今年リリースされた2ndアルバム

 

「MY ONE AND ONLY THRILL」 Universal classics and  jazz UCCU-1186  2009

プロデューサーがラリー・クライン(ジョニ・ミッチェル、ハービー・ハンコックなどのプロデュースで実力派)という本作は、その為か一歩マイナーからメジャーへの作品に、バンドの層も厚くなると同時に内容が充実した。

    baby I'm a fool
    if the stars were mine
    who will comfort me
    your heart is as black as night
    lover undercover
    our love is easy
    les etoiles
    the rain
    my one and only thrill
    deep within the coners of my mind
    over the rainbow

 ”baby I'm a fool ”でスタート。曲の初めからストリングスが入って、そしてギターが後追いしてくる。明らかに1st とは異なった展開であるが、やはりメロディの歌声が流れると、もう彼女の世界そのものだ。ストリングスは、むしろ間をつなぐがごとくに流れ、彼女のヴォイスが時にリズム・カルにそして又ゆったりと語るがごとく聴くものを包み込む。
 3曲目”Who will comfort me”  の思わず体でリズムとってしまう展開こそニュー・ジャズィー・バンドとの組み合わせで見事である。先日のMARUCUBEのオープニングの曲で、初めて眼の前にしたこれぞメロディ・ガルドーだという感覚が私の脳裏にあっての忘れられない世界である。こんなタイプも実に彼女にはピッタリだ。
 続いての”Your heart is as black as night ”は、夜に向けての流れを意識させ、さらに”Lover undercover 秘密の恋人”で聴くものを静かに包み込み最後はストリングスで締めくくる。
 6曲目 ”Our Love is easy”は、easyな中の不安な世界を感じさせ、”Les E'toiles 流れ星” のラテン・ミュージック的曲展開は見事に尽きる。
 そして”The rain”は1stの"夜と朝の間のムード"の続編だ。この世界を歌い込むメロディの人間的深さを知らされる。
 アルバム・タイトル曲の”My one and only Thrill”こそ、彼女の曲の全てを網羅した名曲だ。一度聴いただけで、変な表現だが頭に取り付いてしまう。ピアノとストリングス・オーケストラをバックにしての繊細にしてダイナミックな唄い込みと間のとり方はハイレベルだ。
 そして”Deep within the corners of my mind”で、このアルバムでの彼女の作品は終わり、唯一のカヴァー曲”Over the rainbow”が、最後にラテン・タッチでまさに初めて聴く編曲を聴かせ、そしてアルバムを閉じる。
 
 このアルバム、無駄な曲が一つもなくその充実ぶりは、時間の経過とともに高い評価を得ることは間違いないと確信する。ここまで完成すると・・・次作が如何なるものとなるのか?作成に当たっては、相当なプレッシャーが彼女を襲うかも知れない。負けないで欲しい。いや、彼女の不幸の克服の姿を見れば、更なる展開は案外たやすい事なのかも・・・・・・。

* このメロディ・ガルドーの2ndアルバムの感想は、この夏、私にCDを送ってきた友人に捧げたい。( 多分、彼は笑って見てくれると思う ) *

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コメント

 なるほど・・・男が騙されやすいタイプですね。
jazzというよりやっぱラテン(ボサノバ?)って感じでしょうか。眼を瞑ってずーっと聴いていると、なぜか、カトリーヌ・ドヌーブの映画のワンシーンが浮かび上がってきます。
でも、絶対に騙されないぞ!

投稿: ten | 2009年9月27日 (日) 01時14分

tenさん、コメントどうも。騙されちゃったほうが・・・幸せかも。^^)
 プロデューサーのラリー・クラインは、どうもブラジリアン・タッチをJAZZなどに意識的に取り入れていると、ライナー・ノーツ内本順一が言ってますが、そんな影響でしょうかね。
 でもこの内本順一氏は、先日のMARUCUVEのメロディー・ガルドーとのコンタクトの会を知らなかったようで・・(私は、うまく行けて若干話や握手をすることも出来たという接触できて幸いでしたが)どうも残念がっているようです。

投稿: 風呂井戸 | 2009年9月27日 (日) 20時07分

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