恐怖のキング・クリムゾンKing Crimson 「Red」
40周年記念(Anniversary)エディションの「レッド(Red)」
まさに恐るべき時が来てしまった。キング・クリムゾンだけは、このブログでは取り上げないように注意をしてきて早3年、ついにその決意を翻すことになってしまった。
1974年のあのニュー・ヨークはセントラル・パークで彼らの最後の勇士を拝んで以来、あれやこれやとブートレグを買いあさる何年間を経て、どうもディシプリンそしてエイドリアン・ブリューのいるキング・クリムゾンってちょっと違うんじゃないか?と、思いながらも、考えてみれば1974年までの回顧に引きづられ巨額の投資をしてしまった。ブートレグ泥沼に加えてロバート・フリップの魔術的過去の遺産のリリース。そして現存するバンドの攻めにあって、今日にいるわけだ。今こうしてこのブログで取り上げると言うことは、再びフリップの魔術の世界に誘われそうで怖いのである。
思えば、英国ロック界のビッグ・ニュースは1969年にリリースされたアルバム「クリムゾン・キングの宮殿 In The Court Of The Crimson King」をもってして、なんとあのビートルズをけ落としたというロック・グループのキング・クリムゾンの登場であった。しかし、日本にはそのニュースは届くが、なんとそれがなかなか手に入らない。ローカルな地にいた私はこの驚愕のアルバムを手にしたのは年単位で後になっていた。しかしその驚きは今でも忘れないし、まさにその直前のピンク・フロイドのアルバム「神秘」「モア」「ウマグマ」との出合とともに、約40年の私のロックの歴史が始まったのであった。
King Crimson 40周年記念エディション「レッド Red」 WHD Entertaiment IEZP-17 HQCD+DVD
なんたることか、LPは当然としても、その後のCD時代になって、アルバム「Red」のリリースは3回目になる。ここに登場したものはCD1枚とDVD1枚。特にDVDは5.1サラウンド(DTS版も)+ボーナス映像(1974年フランスTV局収録)であり、そうなれば当然とびついてしまう。又CDも英国初回仕様ジャケットのHQCD版(+ボーナストラック)、ロバート・フリップ翁の魔術は40周年にして再び三度我々に無理強いして来るのだ。
しかし、この記念エディションはやっぱり買っておくべき価値があった。だから恐ろしい。サラウンド・サウンドも日常的になっている今日、そのものは珍しいところではないが、ここに登場する曲は以下の通りである。
1.Red
2.Fallen Angel
3.One More Red Nightmare
4.Providence
5.Starless
(Bonus tracks)
6.Fallen Angel Trio Version
7.Providence Full Version-Taken from The Great Deceiver
8.A Voyage to the Centre of the Cosmos-Taken from The Great Deceiver
彼らの演奏がサラウンドになるとどうなるか?それは是非聴いて欲しいが、あのスリリングな部分はDTSの音の効果も重なって更に強調され、私にとっては名曲中の名曲Starlessを聴くと、この曲の展開は如何にすばらしかったかが再認識される。又あの「The Grat Deceiver」からのライブ版の2曲もリアルで聴き応えある。
映像は以下のものだ
Larks' Tongues In Aspic P.II
The Night Watch
Lament
Staress
懐かしの、Cross, Wetton, Bruford とFrippの演奏が楽しめる。
アルバム「Red」に関しては、今から10年前(2000年)に30周年記念エディションとして紙ジャケ見開きケース入りで、左の24ビット・リマスター盤(Dicipline Global Mobile PCCY-01427)も発売され、当然買わされたわけであるが、これには’74年リリース当時の新聞記事などの記録されたブック・レット付のものであった。この時も70年代のクリムゾンに想いを馳せたものであった。
ところが実は、その前にも買わざるを得ないCDがあった。
これが、更に10年前の1989年に、当時「Red」Re-Mastered by ROBERT FRIPP and TONY ARNOLD (E'G VJCP-2307)ということで、買ったもの。(左)
とにもかくにも、フリップ翁のマジックにして正規のオフィシャル盤も1974年のリリース盤(日本はなんと遅れて発売)以外に、ことあれば手を変え品を変えして我々に迫り、そしてその思惑には従わざるを得ない私の弱みがある。しかしその度に結果的には10年周期で楽しんでいるわけで・・・思えば幸せなのかも知れない。
キング・クリムゾンの1969年-1970年代に構築したロックの世界は、無二の世界といってもいい。ジャズ的センスも加味しながら、メロトロンという広がりのある空間を描いた楽器の導入。クラシック・ヴァイオリンの味付けでスリリングな音を作り、インプロヴィゼイションの楽しさを教えてくれた。さらにパーカッションの妙、そして何か深遠な世界に導く詩とともに、フリップのギターも静かにそして時として荒々しく新鮮であった。
今、この40周年の時を迎えて懐かしの感動を押さえられないのは私だけではないであろう。
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コメント
こんばんは、お邪魔します。「レッド」の映像が気になります。やはり一度は目にすべきものでしょうね。「クリムゾン・キングの宮殿」6枚組ボックスセットも購入されるのでしょうか。
マウロ・パガーニの「地中海の伝説」の解説書は今回は伊藤直継という人が書いています。この人のおかげでブズーキという楽器を知りました。かなりPFM系に詳しい人のようですが、淡々と書かれているところが信頼がおけそうです。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2009年12月 8日 (火) 22時19分
プロフェッサー・ケイさん、コメントどうも。
「レッド」の映像は、価値あります。ただ、どこかで見たような気がするんですが・・・・。
「宮殿」の映像は、期待しない方がいいですね。
投稿: 風呂井戸 | 2009年12月 8日 (火) 23時55分