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2009年11月13日 (金)

マリリオン marillion 回顧(2):「過ち色の記憶」

プログレッシブ・リヴァイヴァルのポンプ・ロック

 ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、イエス、EL&P、ジェネシスなど・・・ロックのスタイルにキーボードなどの楽器の導入によって、ジャズやクラシックの技法を融合させて、一種の音楽性を追求した1960~70年代のロック(日本流に言えばプログレッシブ・ロック)も、”ロックを原点に”のパンク、ニュー・ウェーブの嵐により、その存在が消えかかった時、あの時代への郷愁は決して失われていなかった。
 その最右翼がマリリオンのネオ・プログレッシブと言われた世界だ。彼らは音楽の構築美を追究し、そしてストーリーのあるコンセプトを持ちつつ、ドラマテックな展開の曲を前面にしたアルバム作りをして見せた。
 そんな中でも忘れられないのが、私が彼らの音楽性に注目するきっかけとなった1985年の3rdアルバムだ。
Misplacedchildhood marillion 「Misplaced Childhood 過ち色の記憶」 EMI Records 1985

 キー・ボードが、ギターが全曲連続性に、物語風にメロディアスで不思議な世界に誘ってくれる。メンバーは現在のマリリオンのSteve Rothery(Guit.), Mark Kelly(Key), Pete Trewavas(Bass), Ian Mosley(Dr.) の4人に、ヴォーカルは当時話題のこのアルバムでバンドを離れたFish(Derek Dick)である。彼のヴォーカルはまさに彼独特の癖のあるハスキーで粘りっこいところは物語を語るにはある意味ではピッタリというところであろうが、どうも私は一つとっつきにくいところでもあった。
 しかし、バンドのサウンドは私の好みのピンク・フロイドにも通ずるところがあり、ドラマティックで、そしてギターも十分にキー・ボードに負けずと宇宙空間を作り上げる。そんなところに引きつけられて、私のマリリオンとの関わりの歴史がスタートしたのだ。
 このアルバムのスリーブ・デザインもなかなかのもの(クリックで拡大して見て欲しい)。この少年の眼光が表情が、彼らの描きたかった世界を表している。少年をテーマにある意味では混沌とした社会に挫折しながらも、それでも立ち向かいながらも、光明を求めて行くところが描かれているように思えてならない。全10曲の終章は力強く締めくくってくれる。
 このアルバムこそ、社会を見つめるマリリオンの初期の傑作であろう。

 1987年、4thアルバムからヴォーカルはFishから Steve Hogarth に変わって、彼らの長い歴史がスタートすることになる。そして何度かのイメージ・チェンジも繰り返し現在に到達しているわけであるが、その間の名作は前回紹介した6thアルバムの「Brave」であったと思う。

Somewherelondondvd  近年の彼らを知る上に恰好の映像ものがある。
 DVD / 「Somewhere in London」 MVDvisual MVDV4766 2007 = "The Somewhere Else Tour 2007" London 15&16 June 2007

 14thアルバム「Somewhere Else」リリース後の現在のメンバーによるライブ・アルバム。とにもかくにも肥ったギターのSteve Rothery はあまり見たところはよくないが、他の4人は、なかなか渋く歳をとってスマートで、演奏にも余裕があって見応えがある。 
 彼らのライブの姿は意外にオフィシャルなものが少ない中で、このDVDは映像、サウンドもしっかりしていて、ファンであれば是非持っていたいもの。
 アルバム「Somewhere Else」よりの曲を主体に演奏されているが、2枚組DVDでDisc2には、"Here's Some We Played Earlier"として過去のアルバムの特徴ある曲を7曲収録している。会場の聴衆と大合唱してみたりで、マリリオンの愛され方が見えてくる。ライブものの楽しさが十分味わえるし、近作の先日紹介したアコースティック・アルバム「L=M」の雰囲気も、十分に想像できる。

 これからのマリリオンは、目下はメジャー・レーベルからは解約され、彼らのスタイルがどのように受け入れられていくかは難しい局面にいる。そして彼らの活動が、どうゆう形で進行するか?まさに想像がつかないが、健闘を期待して回顧してみた。

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