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2009年12月23日 (水)

サラ・マクラクランの評価はどこに求められるか?(1)

女性シンガー・ソングライターの歩み

Sarmc13  サラ・マクラクラン Sarah McLachlan という歌の上手いシンガー・ソングライターがお目見えして、早20年になる。ピアノそしてギターを操りながら、あの高音部への展開に特徴がある感情豊かな歌声は聴くものに確かにアッピールする。
 私は、当初より彼女のアルバムは聴いてきた一人あるが、それも魅力を感じつつも、さりとて熱烈なファンというところには至らずに来たというのが現実だ。
 友人と女性歌手の話で、サラ・マクラクランを取り上げたら、”なかなかそれなりにいいね”という返事が返ってきて、”うん、やっぱり”とそんな感じでいるところである。つまり聴くものの評価は確かに誰もが持っているようである。
 彼女のアルバムはライブ版、ベスト盤、フリーダム・セッション盤など多彩に多くリリースされているが、基本的には6枚のアルバムがその骨格である。

Closer 取り敢えず彼女の概要を知るには、この「closer the best of Sarah Mclachlan」 ARISTA BVCP-21638, 2008 (左)が最も手っ取り早い。 
 過去のアルバムからの全16曲を網羅しているベスト盤だ。もともとクラシックの教養があって、ピアノ、ギターを主として演奏しての彼女の作り上げる曲と歌は、ヒーリング・エイジといったところから、オルタナティブ・ロック、フォーク・ロックといった分野にあるといって良いのか、一概に決めつけられない。曲そのもののイメージは癒やし系といっていい雰囲気が醸し出されるが、歌詞の内容はもう少しシュビアだ。
    1.Vox
    2.The path of Thorns
    3.Into the Fire
    4.Possession
    5.Hold On
    6.Good Enough
    7.Building a Mystery
    8.Sweet Surrender
    9.Adia
   10.Angel
   11.I Will Remember You
   12.Fallen
   13.Stupid
   14.World On Fire
   15.Don't give up on Us
   16.U want me 2

 日本で、大騒ぎされる歌手でないのは、一般向けのポップではなく、分野としては渋い範疇なのかも知れない。歌手のテーマも単なるラブ・ソングでなく、人間性、社会性としての深遠な世界にも踏み込んでいる。
 しかし、美しく流麗なメロディーと彼女の美声に虜になっているファンが多いのも事実である。特にあの高音で発声が裏返るところは彼女の一つのポイントであろう。
 そしてこのアルバムはベスト盤であるだけ、それぞれの曲は魅力的であるが、最も愛された曲は10.”Angel”であろう、これは確かに名曲だ。私なんかは6.”good Enough”のような流れも好きであるが、12.”Fallen”の説得力ある歌には魅力が感じられる。又14.”World On Fire”のような曲は問題意識をもっての厳しさの姿勢も見えてきて緊張感を与えられる。

 やはりサラ・マクラクランは曲作りに長けてしかも歌唱力は強力であることへの評価は当然としても、中身においての社会や人間を追求するコンセプトが、評価のポイントの大きな部分なのかも知れない。

 彼女は1968年カナダ生まれで、幼少時からピアノを中心にクラシック声楽を学んで、音楽との関わりは強い。17歳で既にニュー・ウェイブ系のバンド活動をして、19歳にしてファースト・アルバム「タッチ Touch」(1988)をリリースしている。

Surfacing  もともと私は、そのアーティストの作品鑑賞としては、やはりベスト盤はあくまでもさわりであって、アルバムを一つの作品として初めて評価の対象になると考えている。その意味では、やはり彼女のベスト・アルバムは4th「サーフェシング Surfacing」 ARISTA BCCM-37912 , 1997 (左)であろうと思う。
 これを聴いてみると解るが、サラ流の美しくうねりのあるメロディーが快くアルバム全体に流れ、彼女のデビュー以来約10年の完成度を感じさせる。例によって彼女の声は抱擁感のあるそして静かに訴える魅力を秘めている。
  2曲目の”I Love You”には、囁くような歌声でまさに彼女の世界に引き込まれる。一方3.”Sweet Surrender”はオルタナティブ・ロックだ。そして4.”Adia”、7.”Angel”はもう文句なしだ。6.”Witness”というスロー・ロック・ナンバーも好きだ。そして9.”Full Of Grace”も魅力的。このアルバムは、サラにかぎらずポピュラー・ミュージック界の宝であるとも言っていいように思う名盤である。

 彼女は、自己のミュージック・アルバム作り以外の活動も多方面からの讃辞がある。そんな面を考察しながら、次回、もう少しサラ・マクラクランの活動や魅力に迫ってみたい。

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