ニュー・ボサ・ノヴァのセルジオ・メンデス ~Part2~
進化するセルジオ・メンデスの歩み
”セルジオ・メンデス&ブラジル’66”は、1971年には”ブラジル’77”となり、更に’70年代末には”ブラジル’88”と発展して行くわけであるが、彼の音楽スタイルは、ブラジルを基盤としての多彩な時代の流れを取り入れて多様に変化しつつ現在まで繋がっているわけだ。特に’70年代はスティービー・ワンダーも参加する交流があったり、フュージョン系のアルバム(アルバム・タイトル「SERGIO MENDES」1975年)もリリースしたりと多彩である。
特に、私の思い入れはブラジル’66時代であり、その後の流れには希薄になってしまったが、近年2006年には、少なくとも10年の音沙汰無し後の復活で、左の「SEGIO MENDES -timeless-」Concord/Hear 0013431231523 リリースして驚かされた。
このアルバム、ヒップ・ホップ&RAP と彼のかってのブラジル’66時代のニュー・ボサ・ノヴァ・ビートとの混成ミュージッックを開拓したのだ。とにかく40年経過して、その時代の流れを吸収する能力には恐れ入ったというところ。これはヒップポップアーティストであるウィル・アイ・アムとの合作と言っていい。特に私の知らない分野の多くの面々をゲストに迎えてのこのダンス・ミュージックは、世界の若い世代にブラジル・ミュージックを広げたという成果も大きかったようだ。
とりあえず、昔のブラジル’66時代からの変化を知ろうとして、このCDアルバムは手元にあるが、一口で言うと、楽しい世界と言っていいと思う。
とにかく、私にとってはセルジオ・メンデスは60年代のある意味でのラテン・ロックというブラジル’66時代が全てであって、その当時の女性ヴォーカルのラニ・ホールなんかは非常に懐かしい。彼女は当時のプロデューサーのハープ・アルパートと結婚して、その後の音楽活動も長く、映画007の主題曲”never say never again”の世界的ヒットなどもある。
昔のLPでは少々頼りないため、何年か前に買ったブラジル’66時代のベスト盤が左のアルバム「SERGIO MENDES & BRASIL'66 BEST SELECTION」 EMC-504 である。
これには、”mais que nada”を代表に18曲が収録されている。復刻のためノイズありの断りがありますが、取り敢えずはベスト盤としての意味はあるものだ。ただ欲を言えば、ビートルズの”Daytripper”は収められているが、”Fool on the hill”がないのが寂しい。などなどそれでもCDのベスト盤として、ときには聴いてきたわけであるが・・・・。
ところが、2008年には、UNIVERSAL CLASSIC & JAZZ から「SERGIO MENDES & BRASIL'66 BEST HITS THE LOOK OF LOVE」 UCCU-8009 がリリースされている。
これはブラジル’66時代のかなり出来の良いベスト盤で20曲が収められ、取り敢えず私は納得の一枚である。音質も改善が計られていて、セルジオの60年代衝撃のボサ・ノヴァ・ビートを知るにはお勧めの一枚である。
私にとっては、セルジオ・メンデスは、ブラジル音楽のボサ・ノヴァというもののポップな発展形を楽しませてくれた若き時代の宝でもあり、古きLP盤を再検証しているなかで、懐かしき思い出を引き出してくれたアーティストである。彼は1941年生まれで、今年は69歳になると思われるが、なんか70歳記念の新展開なんかもありそうな雰囲気を感じているというところだ。
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コメント
セルジオ・メンデスの訃報を3日前に新聞で知り、この方の音楽は聴くことはなかったにも関わらず深く脳裏に刻まれているビッグネームです。1969年末期に洋楽に触れ始め、当時の音楽雑誌にはこの方の名前を見る機会が非常に多かったからかもしれません。
投稿: ローリングウエスト | 2024年9月10日 (火) 15時14分