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2010年1月21日 (木)

LP-Playerの復活(3) ボサ・ノヴァのギター名手バーデン・パウエル

私の愛聴LP盤の復活の最右翼=BADEN POWELL

 懐かしのLP盤を聴いていて、あの’60年代の熱き時代を回顧する中で、”セルジオ・メンデスとブラジル’66”を楽しんだ若き時の思い出の中で、ボサ・ノヴァとなると、どうしてもここで触れざるを得ないのが、ブラジル・ギター名手のバーデン・パウエルRoberto Baden Powell de Aquino(1937.8.6-2000.9.26) がいたことである。1960年代のことで、多くのアルバム(LP)を手に入れていたわけでなく、当時唯一惚れ込んで手に入れたアルバムがあった。

Bpauel Baden Pouwell TEMPO FELIZ テンポ・フェリス/バーデン・パウエルの芸術」 PHILIPS SFX-7299 (録音1966)

 
 このアルバムがリリースされたのは1966年であり、私が手に入れたこの盤は、来日記念盤という帯があるので1970頃か?と思うが、どうも正確なる記憶はない。ボサ・ノヴァ・ビートのセルジオ・メンデスを知った後に、ボサ・ノヴァに興味を持ったことにより、このアルバムに接することになったと思う。
1967bpauelphotob  このアルバムから受けるギターの世界は、静かな中に人間模様が描き出され、私にとっては、日本とは異なるブラジルという国に伝統的に流れてきた人間愛が感じられたというのが、愛聴盤となった所以である。
 演奏メンバーと楽器は下記の通りでクァルテットの構成である。
  バーデン・パウエル(ギター)
  マウリーシオ・アインホルン(ガイータ)
  エジソン・ローボ(ベース)
  シーコ・バッテイラ(ドラムス)
 この構成の中のガイータというのが、聞き慣れない楽器であったが、どうもこの盤の解説の大島守によると、鍵盤付のハーモニカか普通のハーモニカらしいという。音色からはまさにハーモニカであるが、この音がバーデン・パウエルのギターとマッチして、哀愁があって素晴らしい世界を与えてくれるのだ。

(曲リスト)
  1.VOU POR AI
    2.APERO (哀訴)
    3.A CHUVA(雨)
    4.DEIXA(離別)
    5.CONSOLACA~O(なぐさめ)
    6.SEM SABER
    7.PRO FORMA
    8.TEMPO FELIZ(幸福な時)
 曲1.は、静かにハーモニカとギターで語りかけるように曲が展開して、もうこれで虜になってしまう。  曲2.、は愛の心の訴えるギターの音色が聴きどころ。 曲3.は、静かな心休まるギターが美しく、後半登場するハーモニカも全くの精神安定剤だ。 曲4.は、パーカッションが入ってリズミカルな曲。離別というタイトルとイメージが異なるが、どうも”放っておきなさい”という意味でもあるようだ。  曲5.は、セルジオ・メンデスも演奏しているバーデンの曲、旋律を冒頭ではハーモニカが旋律を奏でて、ギターがむしろリズムを刻んで、この関係が見事である。次第にドラムスをバックにギターが主役となってメロデックな演奏を聴かせる。 曲6は、ギター演奏のテクニックが素晴らしい。 曲8は、なんと言ってもアルバム・タイトルになっている曲で、締めくくりの曲として美しく心地よい。
 とにもかくにも、このアルバム、私にとっては歴史的宝物と言いたいものだ。

Bpauelbest  ところで、ここに来て2009年になって、彼のベスト・アルバムが ユニバーサルから例の高音質のSHM-CDでリリースされている。さっそく先日手に入れて聴いてみた。
 「Baden Powell Best Selection 華麗なるボサ・ノヴァ・ギター バーデン・パウエル」 UICY-80009
 
 これには、1960年代の演奏21曲が集められていると記されている。上に紹介した私の愛聴LP盤に収められた曲は5曲ここにお目見えする。ただし、テイクが異なっていて、ここでは愛聴盤クァルテットのものは収められていない。主としてパーデン・パウエルのギターの演奏が前面に出たものが多く、それにフルートとの競演ものが多い。これはこれなかなか聴かせてくれるもので、音も良好でお勧め盤でもある。ただ、私にとっては紹介したハーモニカの加わるクァルテットのLP盤のイメージが強烈であり、ちよっと寂しい気持ちでこのベスト盤と接しているというのも事実である。

 LP盤を、過去を懐かしんで最近聴いている中で、どうしても離すことの出来ないアルバムのあったことを、40年ぶりに再認識しているところだ。


 

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