健在なり元祖オリンパス・ペンF (OLYMPUS-PEN F)
デジタルで復活したカメラ=オリンパス・ペン
カメラのデジタル化は驚くべき速さで進んだ。コンパクトから一眼まで、数え切れないほどのデジタル機がしのぎを削って販売されている。性能その他からいってもフィルム・カメラの135(35mm)機は既に末席に置かれ、そしてその存在も風前の灯火となっている。
既にそのデジタル機もマンネリ化に入りつつあった昨年、強力なインパクトがオリンパスから出された。往年の名器”女王”と呼ばれた「オリンパス・ペンF」のイメージで作られた”オリンパス・ペンE-P1”の登場だった。ファインダーなしのマイクロフォーサーズ一眼レフで、そのデザインは明らかにペンFからの流れであった。
オリンパス・ペンの登場は1959年、まさにこのE-P1の登場は50周年記念であったのだ。デザイン優先の思想は、こうしたコンパクトに近い機器であると、ストロボ内蔵から始まって多機能・高画素を売り物にするが、あえてその事よりデザイン勝負のカメラの登場だ。結果は大成功、2009年の目玉商品になった。
左は、私のオリンパス・ペンF(OLYMPUS-PEN F)である。1963年発売時に初めて父親から買ってもらった記念すべきマイ・カメラ1号だ。(この写真のものは、後に買った2代目)このスタイルで一眼レフ(上に3角ペンタ部のないスマートさは類をみなかった)で、レンズ交換可能なハーフ・サイズ一眼なのだ。 当時貴重なフィルムも改良され、フィルム撮影枠18×24mmの大きさで勝負したカメラだ。
この写真のように、露出計が内蔵されていないため、レンズの右のシャッター・スピード・ダイヤルに露出計を外付けして使用した。フイルムを横に巻くために、撮影枠はこのまま構えると縦位置となる。それが又新鮮であった。
内部構造は、ポロプリズムというものを使ったユニークな一眼光学系と、チタン製の半月板を高速で回転ざるロータリー・シャッターのフォーカルプレーンシャッターで、1/500秒までスピードライトを同調出来た。このように機能的にも魅力的なカメラであった。
思い返せば、このカメラの発売はあの60年安保闘争と東京オリンピックの間の日本がまさに成長してしてゆく時期で、大学卒の初任給は1万2-3千円という時に2万6500円もした高級機だ(今で言えば20-30万円)。当時はカメラはまだまだ一生ものの感覚があった。早い話が当時学生であった私にとっては宝物であったのだ。又カラー写真もこのころから一般にも撮ることが出来るようになってきた時でもある。
いずれにしても、この美しいボディと斬新な機能のカメラとして花形であった。
そして1966年になると、左(これも現在私の所有物:今も撮影に使う現役である)のTTL露出計内蔵とセルフタイマーの付いた改良機オリンパス・ペンFTが登場する。あの美しいドイツ式”F”という花文字の部にセルフタイマーが付き、フィルム巻き上げもFは1作動2回巻きであったものが1回となった。
このオリンパス・ペンの生みの親は米谷美久(まいたによしひさ)氏である。確か早稲田大学理工学部卒であったと思う。彼の設計思想は自分で撮ることを考え、そして3世代後のカメラを頭に入れておくと言う話を聞いたことがある。
今こうして、50年経ってデジタル・カメラという昔では考えられなかったカメラに”ペン”の名を冠して、デザインを尊重して作られたカメラが゜登場したことは、カメラの新しい認識を作ったともいえる。そしてこのデザインが若き世代に好まれたことは、実に快感である。既に高評の下に「E-P2」「E-PL1」と矢継ぎ早にオリンパスはペン・シリーズを打ち出している。
元祖オリンパス・ペンに、私の青春時代の思いを馳せながら、デジタル時代の現在に復活したオリンパス・ペンも健闘して欲しいが、それでもまだまだフィルム時代の”女王”と言われた花形を大切にしながら撮影対象に向かっている私なのです。
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