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2010年2月 5日 (金)

サンタナ SANTANA の衝撃(4) 2004モントルー・ジャズ・フェスのパフォーマンス

まさに不死蝶の歩み:サンタナ

 しかし、サンタナというバンド、そしてそのリーダーのカルロス・サンタナは、意外性の衝撃を我々に与えながら来たというのが、彼(ら)の過去40年以上の歴史だと思う。
 我々の知るところのウッドストックのデビュー、そしてアルバムデビュー(1st, 2nd, 3rd)の過去になかったラテン・ロックの衝撃は、ロックの一つの時代を作ってくれた。その後のカルロスの世界観による変化自身も、原点に於けるジャズ・バンドの感覚の上に構築されたこれもある意味でのプログレッシブな進化であったと思う。

 しかし、音楽自身の進化そのものが必ずしも大衆受けするわけでもなく、そんな中でその後のサンタナ・バンドの原点回帰、一方又カルロス自身のソロ・アルバム活動という両面を持ちながら(私自身は、彼のソロ活動アルバムのほうが好むようになっていたが)、なんとか自己の音楽活動を維持してきたと言っていい。
 あれは何年の来日だったか?(もう十数年前)、大阪でのサンタナ・バンドのライブでは当日券でも入場出来、決してソールアウトする人気は亡くなっていたが、しかし入ってみればこれだけ楽しいライブもそうはないと思ったものだ。

Carlos_santana_2  それこれしているうちに1992年の「Milagro ミラグロ」も楽しいアルバムではあったが、その後は私の世界から決して主たる対象群からは外れていたサンタナではあった。ところが、1999年「Supernatural スーパーナチュラル」の大ヒットには驚かされたものだ。もう10年以上も前であったのに、つい先日のような感覚になる。
 彼のテクニックからしても、その時代の若い世代やあらゆる分野の音楽を、自己のものへの昇華することはもはや難題でないということを証明してみせた。それは見事であった。そして、デビュー以来30年を経て世界No1のヒット・アルバムを作り上げたことには敬服の至りである。

Bluesatmon

Hymnsforpease  ここに、2004年のカルロス・サンタナの企画によるサンタナ・バンドと多くのジャズ・ミュージシャンによるスペシャル・コンサートの2つのDVDによる映像とサウンドの記録盤がある。
 スイスはモントルーでの2004年7月のジャズ・フェスティバルである。
1)DVD「Carlos Santana plays Blues at Montreux」VABG-1263 2004
2)DVD「Santana HYMNS FOR PEACE(平和の賛歌)」 VABZ-1294 
 彼は、成功アルバムの後には必ず彼のジャズ心の企画が行われるが、そんな意味でも興味深い。

1)は、7月12日には”カルロス・サンタナ・プレゼンツ=ブルース・ナイト”として、カルロスの敬愛する3人のブルースマンが集まってコンサートを展開。それにカルロスがゲスト参加という形で、彼らと競演を果たした映像記録である。
 コンサートに出演したのは、ボビー・パーカー Bobby Parker、 クラレンス・ゲイトマウス・ブラウン Clarence 'Gatemouth'Brown、 バディ・ガイ Buddy Guy というそうそうたるブルース界のメンバー。彼らがそれぞれ自分のステージをこなしたわけだが、そこにカルロスがブルースマンとしてギターを持って参加したのだ。
 これを見ても如何にカルロスはブルースが好きか良く解るし、又彼自身のベースにはブルースがあることが良く解る。
 クラレンス・ゲイトマン・ブラウンは、肺ガンで2005年に亡くなっているが、この2004年の演奏では、ほとんどカルロスは脇役に回っているが、まさに楽しい競演だ。
 ボビー・パーカーとは、彼のストラト・キャスターによるブルースに更にカルロスのブルース・ギターが競演して圧倒される。
 バディ・ガイはシカゴ・ブルースの第一人者の貫禄十分に、カルロスのブルース・ギターを生かしながら盛り上げていく曲造りには感動ものだ。

2)は、7月15日に、このフェスティバルのハイライト「HYMNS FOR PEACE (平和の賛歌)」として、カルロスの永遠のテーマである世界平和の為に行われた一大イベントである。
 カルロスの呼びかけに答えてハービー・ハンコック(私は1970年代、彼の音楽の虜になったことがあった)、チック・コリア、ウェイン・ショーター、スティーブ・ウィンウッド、ジョン・マクラフリンらが結集。このイベントはカルロス・サンタナのみでなく、サンタナ・バンドが演奏して、それにゲスト参加者がそれぞれの持ち味を披露してジャズ演奏の曲を展開する形はパワフルそのもの、圧巻である。カルロスの体当たりの演奏も見物で、彼にとっては最高の舞台であったと思われる。

Swingofdelight
 こうしたカルロスの活動は、この最近に限ったことではない。LP盤の復活で思い出したかっての左のアルバムもあった。
「DIVADIP CARLOS SANTANA  THE SWING OF DELIGHT」 CBS SONY 52AP 1951-2  1980

 サンタナ・バンドでなく、カルロス・サンタナのソロ・アルバムとしてリリースされたもの。LP2枚組で当時話題の MASTER SOUND (Digital Recording マスター・カット)盤。
 1980年に、ここでも、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、ウェイン・ショーター、トニー・ウィリアムスなどのジャズ・メンとの競演を行っている。
 このように、彼は商業的ラテン・ロック・アルバムを成功させた裏には、彼のギターによるジャズ・センスの世界を必ず構築する作業がある。ここに彼の姿が見えてくるのである。

 

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コメント

うわ! 最後のVSOPセッションは今発注しました!

投稿: /ten | 2010年2月 5日 (金) 22時32分

ありゃ、/tenさん、そっちのほうも・・・・お好みだったんですか? ^^)

投稿: 風呂井戸(*floyd) | 2010年2月 5日 (金) 23時20分

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