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2010年2月 1日 (月)

サンタナ SANTANA の衝撃(3) 「キャラバンサライ」からの新展開

形作られたものは一種のプログレの世界だ・・・・

 カルロス・サンタナが本当にやりたかったのは何なのか?・・・ 1971年マイルス・デイヴィスとの交流。1972年には新アルバムレコーディング中に、バディ・マイルズとの共演を果たしたのは何か(アルバム「ライブ! Carlos Santana & Buddy Miles! Live!」)?、そしてバンド結成の友グレッグ・ローリーの脱退。
 又一方にはジャニス・ジョプリン、ジミ・ヘンドリックスの死に遭遇してということもあってか?・・・・・・、さらに’60年代末の自己意識改革の時代背景の中で、アメリカ白人社会にロックという手段で穴を空けたとはいえ、ラテン系メリカ人の潜在意識から生まれたものか?いずれにしても追いやられた究極の精神状態から、東洋思想を基盤にした精神世界への傾倒していく姿が現れる。

Photo 4th 「キャラバンサライ Caravanserai」 Columbia KC31610 1972 → CBS SONY SOPN-38

 混迷の中からこの新アルバムが誕生した。今回私のLP盤の回顧として、実はこのサンタナのアルバムは私にとっては、貴重盤の一つである。LP盤の特徴として再生時のスクラッチ・ノイズは避けられないところだが、それが次第に強くなったため、当時買い換えた2枚目のLP盤がこれだ。それほど、サンタナのこのアルバムはお気に入りであった。特にこの盤は”SQ4チャンネル・ステレオ録音盤”で、今で言えばサラウンド盤である。(当時もサラウンド・サウンドには魅力があって、このようなカッティングされたものと、マトリックス・サラウンドという方式もあった)
   肉体は溶けて宇宙に変わる
   宇宙は溶けて静寂の音に変わる
   音は溶けてまばゆい光りに変わる
   そして光りは無限の歓喜に抱かれる
    (from "形而上学的瞑想" by Pramahansa Yogananda)
・・・・・・・と、このアルバムには記されている。

 巨大な太陽をバックに浮かぶラクダの隊商のシルエット、そしてもう一つの得体の知れない冷徹な光りを放つ物体のジャケ。そしてLP盤に針を落とすとコオロギの泣く声に続きサックスとベースの音が静かに物語の開始を宣言し、キーボードとパーカッションがスタートして、
2曲目の”Waves Within 躍動”に繋がってギターの叫びが開始する。当時の感動が今でも記憶に残っている。
 ある人はこのアルバム前の3枚でサンタナは終わったと言い、私はこのアルバムから私の期待するサンタナがスタートしたと言ったものだ(ロックからみれば、コンセプト・プログレであった)。確かにこのアルバムは情熱的ラテン・ロックと一線を画した。インストメンタル中心のフュージョン系アルバムとも言っていい。これは旧サンタナとニュー・サンタナの混成で作り上げられたアルバムで、両方の良さが凝縮したあだ花でもある。

 その後のニュー・サンタナ・バンドによる新作録音が1973年春に行われ、直後7月に初来日を果たす(アルバム「ロータスの伝説 Lotus」)。
 又、カルロスとジョン・マクラフリンとの共演盤「魂の兄弟たち Love Devotion Surender」(ヒンズー教の導師スリ・チンモイの教えがテーマ)が登場する。

Welcome 1973年5thアルバム「ウェルカム WELCOME」 CBS SONY 25AP 819  1973

 メンバー・チェンジによって、このアルバムはデビュー・アルバムのメンバーは、カルロスとチェピート、マイケル・シュリーヴの3人のみ。
 スタート曲はあの”家路”をシュリーヴの尊敬するアリス・コルトレーンの編曲を取り入れた。全9曲中5曲がインスト曲。締めくくりのタイトル曲”Welcome”は、ジョン・コルトレーンの曲、カルロスの静かに歌い上げるギターも聴きどころ。このアルバムのジャズ/フュージョン系のサウンドは、前作の「キャラバンサライ」からの流れでもある。しかし単なるフュージョンといってもカルロスのギター・サウンドには彼なりきの色があって訴えるものがある。そうは言っても、かってのラテン・ビートを期待したものからは落胆の声。反対にこうした進化は私の歓迎したところ。
 トム・コスター(org, ei-p, acous.p)の軽快なプレーもみられ、又フルートとエレピのユニゾンも楽しい。女性ヴォーカルの導入はセルジオ・メンデス風のところもある。
 B面トップの”母なるアフリカ mother africa” では、シュリーブのドラムスが堪能できて楽しい。取り敢えずニュー・サンタナ・バンドは私の興味をそそったアルバムだった。

Photo_2 6thアルバム「不死蝶 Borboletta」 CBS SONY SOPO-17  1974

 一般的にはサンタナのアルバムとしてはあまり評判が良くなかったもの。しかし私にとっては極めて愛着のあったアルバムだ。リターン・トゥ・フォーエヴァーの面々の参加で、フュージョン的色彩は相変わらず。
 このアルバムは確かに多彩すぎるほど、各種の音楽スタイルが交錯する為、アルバムとしての纏まりに疑問を持った批評が多かった。しかし、カルロスが彼のミュージシャンとして、 宗教感覚を持ちながら広い分野のジャズとロックの融合をはかりながら作り上げたものは、一種のプログレッシブ・ロックであって、そしてサンタナとしての世界を形作った名作であると私は確信している。
 オープニングのサウンド・エフェクト”春の訪れ spring manifastations”から”花の歌 canto de los flores”への流れは広がる世界への導きを感ずる。そして”新たなる旅立ち life is new”でレオン・パティロが歌い上げ、続いておもむろにカルロスのギターが登場する。この導入は見事である。そして”果てしなき世界 give and take”でリズムは満開。私から見るとかなり計算された曲の配列でトータル・アルバムの色彩を感ずる。A面の最後”熱望 aspiration” は、まさにジャズの世界、バックにコンガがリズムを刻み、サックス、ギターか゜絡んで聴き応え十分。
 B面では、”here and now”、”シナモンの花flor de canela”、”漁夫の契promise of a fisherman”の3連発は、再び不死蝶の世界に、パーカションの連打に乗って各種の楽器が盛り上げる。決して散漫でないアルバムだと思う。私の愛するサンタナでは最右翼のアルバムだ。

 こうして、この3年間の3作はデビュー当時のラテン・ロック・ビートを引っ提げてのサンタナでなく、ここには、カルロスの精神的世界感覚が作り上げられ、又アルバム作りにもプログレッシブにジャズ手法の取り入れとその形作りが完成したと言っていい。非常に貴重な3連作であった。
 これに続くアルバム「AMIGOS」、「FESTIVAL」は、再び大衆受けする商業ベースに回帰したカルロスが見られ、支持を回復する。これで良いのかも知れないが、もはや私の興味は半減していったのである。

 
 

           
 

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コメント

奇遇です。私が一番最初に買ったのはSQ4ch盤でした。お年玉で。

「復活した永遠なるキャラバン」のサックス、「宇宙への歓喜」のイントロのギター、「果てしなき道」のフルートが前後左右に動き回り、「リズムの架け橋」のパーカッション群がリアスピーカーから鳴り響く。もう4chで聞けないだけに貴重な体験でした。

しかしながら、4つのトラックに分散した事によって、音が希薄で、逆に2chのCBSコロンビア盤で聞いたとき、パーカッションの輪郭、アタック音のミキシングに驚愕したものです。

1stから不死蝶までは、A面の各曲が繋がって、いましたね。

投稿: nr | 2010年2月 1日 (月) 21時58分

nrさん、コメントどうもです。
SQ4チャンネル懐かしいですね。^^)
私の持っているキャラバンサライのCDは、ありふれた盤ですが、調べてみるとSACD盤が出ているんですね。でも残念ながらサラウンド録音はしてないです。かって4チャンネルがあったんですから、現在はサラウンド出てもおかしくないですよね。レガシー盤とか、40周年とか、流行ですから頑張って欲しいです。
 そうそう、「不死蝶」のほうは外盤の安いCDと、2006年の紙ジャケのデジタル・リマスターを持っていますが、やっぱりサラウンド盤はないんですね。
 
 ああ、あの頃は私も若いと思って頑張っていた。(笑)

投稿: 風呂井戸(*floyd) | 2010年2月 1日 (月) 22時39分

追伸:しかし、今見てみると、2006年紙ジャケ・デジタル・リマスターCDが1890円で、あの40年近く前のLPは、「キャラバンサライ」2400円で「不死蝶」2500円ですから、ほんとに高かったですね。お年玉で買うといっても相当の覚悟をしたんでしょうね。(笑) 私は働いてましたから・・・まだ何とか出来ましたが・・・。

投稿: 風呂井戸(*floyd) | 2010年2月 1日 (月) 22時54分

風呂井戸さん,こんにちは。ご無沙汰しています。TBありがとうございました。

Santanaの音楽に何を期待するのかによって,"Caravanserai"の評価って随分と変わってくるんでしょうね。私は初期3作も好きなら,これも好きだし,"Lotus"も好きですが。でも一番聞く機会が多いのは"Moonflower"だったりして(笑)。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

投稿: 中年音楽狂 | 2011年8月 6日 (土) 13時29分

お邪魔いたします

もしやと思い、貴ブログ過去ログを探索、
サンタナの深い論考シリーズを拝読することができ心より感服です!

高校時代、周りは圧倒的プログレファッショ、そこで私がサンタナというだけで蔑視されてました、それが30年後の今、貴論考で「返り討ち」を果たした思いです、笑

 蛇足…77年前後の来日、
ステージ最前列で、カルロスに木彫の仏像を手渡した思い出がよみがえりました
ありがとうございました!(^。^)


投稿: ゆきねこ | 2015年3月23日 (月) 11時02分

ゆきねこさん、コメント有り難うございます。こんな拙い過去のアーティクルをお読み頂いて恐縮です。やっぱりサンタナの魅力は、おおむねの評論家はこの3作は当時、”・・・らしくない”と否定的であったと思いますが、私はこれによりよりサンタナを更に評価し愛したものでした。
 そうでしたか、ゆきねこさんの”思い入れ”が手に取るように解りました。最も感受性豊かにして熱中できる頃の思い出は、人生に於いて大切なものですよね。その心を大いに誇りに思って・・・良いのではと思います。

投稿: 風呂井戸 | 2015年3月23日 (月) 17時20分

拝復
密林にて road to woodstock 注文しました!
ご教示誠にありがとうございました

蛇足、、サンタナを教えてくれたのはラテン音楽マニアの母なんでした グレッグのオルガン、チェピートのティンバレスが大好きだった母にも聴かせます タイムマシンがやってくる気分です^_^


投稿: ゆきねこ | 2015年3月24日 (火) 19時13分

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