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2010年5月19日 (水)

静かな夜の落ち着いた気分に、イーデン・アトウッド Eden Atwood

美人女性ヴォーカリストの苦悩の結果描くジャズの世界


Edenatwood  このところ女性ヴォーカリストの話題が、多くなってしまっているが・・・、今回は美人女性として名の通っているジャズ・ヴォーカリストのイーデン・アトウッドだ。昨年5年ぶりにアルバム「TURN ME LOOSE」をリリースした彼女であるが、2007年に声帯に出来た腫瘍手術を受けた後wて゜も健在ということで、ファンをほっとさせたことであろう。
 もう彼女もアルバム「No One Ever Tells You 」でその名も知らしめてから十数年の経過がある。その後女優やファッションモデルとしても活躍していたこともあって、既にベテラン歌手だ。
 
 昨年「ジャズ批評」に載せられた記事で知ったことだが、彼女は”アンドロゲン不応性症候群”という体質があり、実は性染色体は”XY”なのだそうだ。つまり男性なのである。性ホルモンの男性ホルモンの感受性がなく、女性の体型に成長しているのだ。このことは彼女自身が公表しているのでプライバシーの侵害にはならないと思うが、そうした苦悩の人生がバックにある。その為、養子をもらい自分の母乳(ホルモン投与により可能)で育てたという経験を持っている。つまり女性としての人生を全うしているのだ。
 
 今回のアルバムで五枚目になると思われるが、ここで取り上げるのは私の好みから長いブランク前の過去の4枚のアルバムから、その最後のものである。
Thisisalways 「EDEN ATWOOD / This Is Always   the ballad session」 Groove note records GRV1022-2  2004

Vocals : Eden Atwood
Piano : Bill Cunliffe
Trumpet : Tom Harell
Bass : Darek Oleszkiewicz
Drums : Larance Marable

 ピアノトリオ+トランペットというバックでの彼女のスロー・バラードのオンパレードだ。スタジオ・ライブでの録音の形をとっている関係か、確かに音場は狭い。そして彼女の歌は、比較的バラードといえどもパワーは感ぜられず引っ込み気味であるが、例のややハスキーな声が丁寧な歌として響く。一方名手といえども、ちょっと Harell のトランペットが右から出過ぎの感もある。
 しかし、全体のムードは凄い。静かな夜のしっとりとした世界感、そしてややデプレッシブ(鬱的)な情景そのものだ。それを一枚のアルバムを通している。ここまで徹したアルバムもそうはないと思う。

 (曲目リスト)
    1. Without a song
    2. This is always
    3. Day by Day
    4. Blame it on my youth
    5. Deep Purple
    6. You're nearer
    7. Serenata
    8. You leave me Breathless
    9. Come rain or come shine
   10. for all we know
 
 確かに、彼女のこのアルバムの声は、録音法であろうがまさに目の前で語るがごとく変な脚色がない。そして 2. This is always は、ピアノの語りに彼女の歌が静かに乗り、そして安心して聴けるトランペトと、このアルバムのタイトル曲となっているだけに完璧な出来で出色だ。
  静かなベースをバックに語るがごとく歌うのは、4曲目の Blame it on my youth である。こうなると、少しも聴きそらす事が出来ずに聴き入ってしまう。ここでは後半静かにトランペットがサポートするが、それも適度でこの曲は私好みそのもの。 6曲目の You're Nearer も同様なパターンである。
 全体に、こうしたパターンで進行するが、全く飽きさせない。いずれにしてもジャズ・ヴォーカルとして聴くものを堪能させるテクニックは、女性ヴォーカルもの近年は多しと言えども、一枚も二枚も上にある。

 彼女の性的問題以外にも、両親が早くに離婚し、又父親は自殺といった多くの不幸な現実を経てきていることから、私自身の印象にその暗さという部分を必要以上に感じてしまうためだろうか、このアルバムは類を見ない夜の世界である。しかしこのあたりは、イーデンの表現技術の熟練の結果なのであろうと思う。
 このアルバムは私は非常に好きなアルバムであるので、まずはここで取り上げた。

(試聴)

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