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2010年5月27日 (木)

イーデン・アトウッド Eden Atwood (2) まさにジャズ・ヴォーカルの一級品

声帯手術後の復活、更にジャズ・ヴォーカルの完成へ

Eden2b   先般取り上げたイーデン・アトウッド Eden Atwood であるが、私の大推薦の2004年のアルバム「This Is Alway-The Ballad Session」以来、沈黙を保っていた。ところが5年の経過があっての昨年(2009年)になって、日本盤でニューアルバムがリリースされた。そして同時に、日本に於いては11月から12月の間、各地でのライヴ・ツアーが行われた。
 いずれにしても、前回紹介したように、多くの不幸を背にした女性ヴォーカリストの復活で、特に日本での話題は大きかったと言える。又、ヴォーカリストの生命でもある声帯の手術を2007年に受けたと言うことで、その後のヴォイスの変化などにも注目を集めたわけだ。

Turnmeloose 「EDEN ATWOOD / TURN ME LOOSE ターン・ミー・ルース」 XQAM-1512 , 2009

 かっての1993年 CONCORD よりのデビー時は(しかし私が初めてアトウッドを知ったのは2000年以降)、キュートというか可憐と言っていいのかそんな印象すらあったと言われる彼女である。今回のアルバムはそんな時より十数年経ているわけで、中堅どころと言うかベテランになっての現在、まさにキュートといった感覚は全くなく、むしろダイナミックで変化の多いジャズ・ヴォーカルの完成品とすら思わせるものに仕上げてきた。
 手術後の問題の声の質の変化だが、もともと音質はややハスキーな部分があって、変わった部類の方であったが、今回のアルバムではいっそうそのハスキーさは顕著になったと言っていいし、又線が太くなったという感があり、高音部の繊細な美しさという点では後退している。又、録音では前作よりは彼女の声が前面に出てきて、若干ホール感程度のエコーが効かされている。この点は過去のモノとは変化していると思う。

Turnlist  曲目は、左(クリック拡大にて参照)のとおりで、古いスタンダードから比較的最近のもの、そして自作の”true north”まで多彩だ。しかしその節回しは見事で堪能できるが、細やかな繊細な世界というのとは異なる。
 比較的新しいところの”Pure Imagination” では、かっての彼女の世界をふと思い出させるし、このアルバムでは私の好むところ。
 更に”I'll Close My Eyes”では、スタートは無伴奏で、そしてそのあと静かなピアノをバックに唄い挙げて、彼女の実力をみせつける。
 もともと、私の好みが彼女のアルバムでは「This Is Always - The Ballad Session」というところからもお解りと思うが、どちらかというとスロー・バラードでじっくりと唄い、そしてトランペットがバックで静かに奏でる夜のムードたっぷり型がいい。そんな意味では、このアルバムはクラブにおける聴衆と一緒にジャズを楽しむタイプで、会心作であることには間違いないと思うが、私にとっては若干前作の後ろに置かれることになる。

 新人女性ジャズ・ヴォーカルが多く登場している昨今の中で、こうしたベテラン・クラスの健闘もそれなりの味があっていい。我々にとってはこの分野が多彩であることは楽しみが増えることで歓迎である。

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2010年5月25日 (火)

日本デビューした期待のヘイリー・ロレンHalie Loren

それなりに個性ある女性ヴォーカリストのヒット・パレード的アルバム登場

Halieloren  JAZZYな女性ヴォーカリストが又日本盤でお目見えした。アラスカ生まれのヘイリー・ロレン Halie Loren だ。2009年”Just Plain Folks Music Awards 2009”にてベスト・ヴォーカル・ジャズ・アルバムに選ばれて、日本でも3枚のアルバムが輸入盤で売られていた。その3rdアルバム(2008年)の日本盤がVictorからつい最近発売されたのだ。

 そもそもは、自己のオリジナル曲のアルバムをインディ・レーベルから「Full Circle」というタイトルで21歳で2006年にデビューしている。オレゴン大学進学し音楽を学んで、米国地方都市に住んでいるという現在24歳という若さであるが、なかなか聴かせるヴォーカルで、今後の美貌のシンガー・ソングライターとして期待の星といったところか。


Photo 「Halie Loren / They Oughta White a Song... 青い影」 Victor VICJ61618 , 2009

 2008年の3rdアルバム13曲に、今年リリースされたライブ・アルバム「Stages」から4曲がボーナス・トラックとして加えられ17曲収められたアルバムだ。

(MUSICIANS)
  Halie Loren : Vocals
  Matt Treder : Piano
  Mark Schneider : Bass
  Brian West : drums
  Tim McLaughlan : Trumpet

 全17曲の中には、彼女自身のオリジナル曲5曲あるが、その他はまさにヒット・パレードといっていい有名曲。”枯葉”、”サマー・タイム”など、過去の有名ヴォーカルにとらわれず、自分の曲としてしっとりと歌い上げているところは見事である。”God Bless The Child”は、ブルース調を唄い込み、トランペットの音も聴きどころ。このようにジャズ・スタンダード曲もあるが、ロックからもあの英国プログレと言われたプロコル・ハルムの”青い影”とか、U2の”終わりなき旅”などが歌われる他、ジャズ畑でよく歌われる”Fever” なども登場する。
 ロレンのオリジナル曲の”How should i know”は、これもしっとりとしていて彼女の方向性が見えてくる。

 彼女の歌唱法は基本的にはブルージーに歌い聴かせるところであろう。声の質とか歌唱法はサラ・マクラクランに非常によく似ている。特に高音部での若干裏声に変化するところはそっくりだ。サラ・マクラクランはフォークそしてロック的ニュアンスが当初強かったが、このロレンはジャズ調に傾いた仕上げである。それも14.5歳頃にダイアナ・クラールに夢中になったようであり、そのことは伺えるところだ。又、ピアノを担当しているマット・トレダーの影響がそうさせているのかも知れないとのこと。
 いずれにしても、トータルに疲れない曲造りとヴォーカルで、聴く方もリラックスして聴けるアルバムである。
 ジャズ調の女性ヴォーカルの多い昨今であるが、その中でも今後の発展が期待できると思う一人である。
 
 

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2010年5月24日 (月)

映像で迫るダイアナ・クラールDiana Krall (2) 「リオ」、「モントリオール」

やはり映像盤に堪えうる最右翼のジャズ・ピアニスト&ヴォーカリスト

Diana_krall3  もともと、Jazz演奏はライヴものがいい。しかも良好な映像とサウンド盤であれば尚更のことだ。その中でも見栄えとしてもダイアナ・クラールはピアニストでありヴォーカリストということと、美貌からもライブ映像は最も適している。

 私が観ている映像物は 3枚で、一枚は先般紹介した大ヒットとロング・セラー記録の「Live In PARIS」 (2001) であるが、最近の「Live In RIO」 (2009) も好評で、更に世界のジャズ界の一大イベントの、スイスはモントリオールジャズ・フェスティバルの映像「Live at The Montre'al Jazz Festival」 (2004) であるが、これらどれをとっても甲乙付けがたい演奏と記録映像であって、人気ものであるだけにVerveの力の入れようが大きいことが伺える。ここでは「パリ」以外の2枚に触れてみたい。

Montjazzfesa_2 「diana krall / LIVE AT THE MONTRE'AL JAZZ FESTIVAL」 DVD , Verve B0003780-09 , 2004

Diana Krall : Vocals,Piano
Anthony Wilson : Guitar
Robert Hurst : bass
Peter Erskine : Drums

ミュージシャンは「パリ」と異なり、バックにオーケストラはなく、以上の4名で、ギターのAnthony Wilson のみが同一メンバー。そんなわけで、逆にクラールのピアノがダイレクトに伝わってきて、又メンバー同士のプレイも、ジャズ演奏としての味付けが良好だ。とにかく、「PARIS」「RIO」の2映像モノより、彼女のピアニストとしての演奏がこのライブは充実している。
 選曲は、アルバム「Girl in The Other Room」 (2004) が主であるが、単なるスタンダード・ジャズでなく、クロス・オーバー的なニュアンスもあり実に楽しい。
 彼女は、パリのようなドレッシィでなくジーパン姿で、大観衆の前ではあるが、リラックスして演奏している姿が印象的。輸入盤で安く、リュージョン・フリーDVD (5.1と書いてあるが、5.0盤だと思う)でお勧め盤。


Liveinrioa 「diana krall / LIVE IN RIO」 blu-ray Disc , Verve. eagle vision EVBRD 33333-9  , 2009

 
あの人気のあったパリ・ライヴの再現というか続編というか、あのメンバーでのボサ・ノヴァの本場リオ・デ・シャネイロでのライヴ映像盤。
 画像はブルー・レイで、サウンドはDTS-HDという最新充実盤で目下評判が高い。
 最新アルバム「クワイエット・ナイツ」(2009) からの曲が主であるが、その他過去の代表曲を演奏する。

DIANA KRALL BAND
  Diana Krall : Vocals , Piano
  John Clayton :  Bass
  Jeff Hamilton : Drums
  Anthony Wilson : Guitar
  Paulinho DaCosta : Percussion
Liveinriob 演奏曲リストは左を参照して欲しい(クリック拡大)。
 いつも思うのだが、クラールのピアノの配置は、一般のジャズ・バンドと異なっている。やや向かって右寄りに位置し、その背後に取り囲むようにベースとドラムス、そして彼女の背の方向になる左にギターとパーカッションという形だ。
 会場はかなり広い。それぞれの観客にはテーブルがあり、ローソクの光りと飲み物が配置され、この会場にいるものは、これは気分は最高であろう。

 とにかく、ぐっと落ち着いたムードのライヴで、非常にエレガントという表現に値するもので、これはとにもかくにも私好み。そして彼女の低音からの響き渡るヴォーカルは安定感たっぷり。いつも思うのだが、あまり技巧がないのが、むしろ取り柄であると言いたい。
 これは「パリ」ライヴから年数を重ね、ますます充実したバンドになってお目見えした。そこにブルー・レイによる緻密映像とサウンドで、「パリ」を超えた映像モノと断言できる。クレイトンのベースも安定しているし、ハミルトンのドラムスも支えるがごときブラシ・テクニックを多用して気分が良い。ウィルソンのギターも健在だ。

 ボサノヴァ調の曲仕上げもいい。一方”いつもさよならを”のような曲のように、オーケストラをバックにした静かな音一つ一つを大事にした演奏曲にも引きつけられる。
 メイン曲”Quiet Nights”には、会場からの合唱が入ったり、”Boy From Ipanema”は完全に会場の合唱と一体となった演奏。 その他”cheek To Cheek” のアップ・テンポの演奏もバンド・メンバーの息の合ったところを見せる。彼女の転がすがごときタッチのピアノ演奏も美しい。

 このダイアナ・クラールは、とにもかくにも映像モノが良い代表格であろう。そんな世界をここに紹介した。
 

 
 
 

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2010年5月21日 (金)

ニッキ・パロット Nicki Parrott (2) 過去の2アルバム検証

 基本的には癒し系か?

Nickiparrott3   先日オーストラリア出身ジャズ女性ベーシストでありヴォーカリストであるニッキ・パロットの最近作のアルバム「ブラック・コーヒー Black Coffee」(2010年)を紹介したが、もともと私が初めて接したアルバムは、その前作の2nd「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン Fly me to the moon」 (2009年)であった。
 前回も触れたが、彼女の声の質は中・低音部ではむしろ渋めできつさのないソフトでゆったりとした歌声であるが、高音部になって可愛さというかややキュートな感じがあるところが魅力なのかも知れない。
 スイングジャーナル誌でのヴォーカリストとしてのお墨付きがあったこともあって、確かに最近日本でも人気上昇中らしい。ウッドベースを弾くというスタイルも確かにそう多くはない。もともとヴォーカリストというよりはベース奏者としてのスタートであり、それなりの実力者でもあるようだ。
 現在では彼女のヴォーカルを前面にしたアルバムは3枚であるので、1stのアルバムも含めて、ここに紹介しておこう。


Flymetothemoon 2nd アルバム「nicki parrott / Fly me to the moon フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」 Venus Records VHCD-1023 , 2009

Nicki Parrott (Vocal,Bass)
John Di Martino (piano)
Lisa Parrott (Barit.,Sop.Sax)
Mark Sganga (Guitar)
Harry Allen (tenor sax)
Billy Drummond (drums)
 以上のようにピアノ、ギター、ドラムスにベースとサックスといった構成である。ここでは、1stメンバーのギターは変わっているが、その他1stと異なるのは、姉のリサがソプラノ・サックスで参加している。

 いわゆるスタンダード・ナンバーが中心の曲群を、特に大きな編曲することなく、どちらかというとオーソドックスに演奏し、そしていやみなくソフト・タッチにゆったり歌い上げるというパターン。
 1stが非常に評判良かったが、私はこの2ndの方が、一段ジャズ的センスの進歩があるように思う。
 とにかくアルバム・タイトル曲”Fly me to the moon”はあまりにも有名であり、多くの歌手がこなしてきているわけであるが、ギター・サウンドから入ってニッキはどちらかというと素直に歌う。中間部のヴォーカルのないギターの響きに加えベースが加わって次第にソロに近いベース演奏の部分がある。このあたりが一つの特徴を出していると言うことであろう。そんな点からも健闘していると言っていいと思う。

Moonriver 「Nicki Parrott / Moon River ムーン・リバー」 Venus Records VHCD-3013 , 2007

 彼女の1stアルバム。演奏メンバーはピアノ、ギター、ドラムスのトリオにニッキのベースとテナー・サックスの5人編成。アルバム・タイトルの有名な”Moon River” からスタートして、この曲での中盤で既にベース演奏が主役をなす。このパターンなのだと主張しているかのごとくの演奏。
 スイングする曲の展開は意外にありきたり、それよりむしろバラード曲に彼女のヴォーカルが生きてくる。
 もともと音楽に子供の頃から濃密な接触をして、オーストリア芸術委員会の助成を得て、ジャズ・ベーシストの道を歩むべくニューヨークに渡米し学んだとのことで、ジャズとしての基本には身についているだけあって、クセのないジャズ・ヴォーカルを展開する。そして天性のキュートな中高音部における唄い回しが、聴くものを楽しませてくれる。
 バックの演奏陣では、マルティーノのピアノがリードして、リズムを生かした曲ではギターのポール・マイヤーズが健闘。バラード調では、ハリー・アレンのテナー・サックスが生きている。

 ニッキの作曲の一曲が登場するが意外にリズムカル。いずれにしても基本的にはスタンダード・ナンバー・アルバムで無難な仕上げ。アルバム全体の印象は、ナイトと言うより、アフタヌーンのムードのアルバムと言っておこう。

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2010年5月19日 (水)

静かな夜の落ち着いた気分に、イーデン・アトウッド Eden Atwood

美人女性ヴォーカリストの苦悩の結果描くジャズの世界


Edenatwood  このところ女性ヴォーカリストの話題が、多くなってしまっているが・・・、今回は美人女性として名の通っているジャズ・ヴォーカリストのイーデン・アトウッドだ。昨年5年ぶりにアルバム「TURN ME LOOSE」をリリースした彼女であるが、2007年に声帯に出来た腫瘍手術を受けた後wて゜も健在ということで、ファンをほっとさせたことであろう。
 もう彼女もアルバム「No One Ever Tells You 」でその名も知らしめてから十数年の経過がある。その後女優やファッションモデルとしても活躍していたこともあって、既にベテラン歌手だ。
 
 昨年「ジャズ批評」に載せられた記事で知ったことだが、彼女は”アンドロゲン不応性症候群”という体質があり、実は性染色体は”XY”なのだそうだ。つまり男性なのである。性ホルモンの男性ホルモンの感受性がなく、女性の体型に成長しているのだ。このことは彼女自身が公表しているのでプライバシーの侵害にはならないと思うが、そうした苦悩の人生がバックにある。その為、養子をもらい自分の母乳(ホルモン投与により可能)で育てたという経験を持っている。つまり女性としての人生を全うしているのだ。
 
 今回のアルバムで五枚目になると思われるが、ここで取り上げるのは私の好みから長いブランク前の過去の4枚のアルバムから、その最後のものである。
Thisisalways 「EDEN ATWOOD / This Is Always   the ballad session」 Groove note records GRV1022-2  2004

Vocals : Eden Atwood
Piano : Bill Cunliffe
Trumpet : Tom Harell
Bass : Darek Oleszkiewicz
Drums : Larance Marable

 ピアノトリオ+トランペットというバックでの彼女のスロー・バラードのオンパレードだ。スタジオ・ライブでの録音の形をとっている関係か、確かに音場は狭い。そして彼女の歌は、比較的バラードといえどもパワーは感ぜられず引っ込み気味であるが、例のややハスキーな声が丁寧な歌として響く。一方名手といえども、ちょっと Harell のトランペットが右から出過ぎの感もある。
 しかし、全体のムードは凄い。静かな夜のしっとりとした世界感、そしてややデプレッシブ(鬱的)な情景そのものだ。それを一枚のアルバムを通している。ここまで徹したアルバムもそうはないと思う。

 (曲目リスト)
    1. Without a song
    2. This is always
    3. Day by Day
    4. Blame it on my youth
    5. Deep Purple
    6. You're nearer
    7. Serenata
    8. You leave me Breathless
    9. Come rain or come shine
   10. for all we know
 
 確かに、彼女のこのアルバムの声は、録音法であろうがまさに目の前で語るがごとく変な脚色がない。そして 2. This is always は、ピアノの語りに彼女の歌が静かに乗り、そして安心して聴けるトランペトと、このアルバムのタイトル曲となっているだけに完璧な出来で出色だ。
  静かなベースをバックに語るがごとく歌うのは、4曲目の Blame it on my youth である。こうなると、少しも聴きそらす事が出来ずに聴き入ってしまう。ここでは後半静かにトランペットがサポートするが、それも適度でこの曲は私好みそのもの。 6曲目の You're Nearer も同様なパターンである。
 全体に、こうしたパターンで進行するが、全く飽きさせない。いずれにしてもジャズ・ヴォーカルとして聴くものを堪能させるテクニックは、女性ヴォーカルもの近年は多しと言えども、一枚も二枚も上にある。

 彼女の性的問題以外にも、両親が早くに離婚し、又父親は自殺といった多くの不幸な現実を経てきていることから、私自身の印象にその暗さという部分を必要以上に感じてしまうためだろうか、このアルバムは類を見ない夜の世界である。しかしこのあたりは、イーデンの表現技術の熟練の結果なのであろうと思う。
 このアルバムは私は非常に好きなアルバムであるので、まずはここで取り上げた。

(試聴)

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2010年5月15日 (土)

個性的ヴォーカル色が出てきたニッキ・パロット Nicki Parrott 第3弾「Black Coffee」

ベース奏者とヴォーカリストとして期待度は更に高い

Nickiparrott_4  オーストラリア出身の女性ペーシストでジャズ(スウィング系)を唄うということで話題でもあり、更に2008年スイングジャーナル誌最優秀ヴォーカル賞を受賞し、昨年来日ライブも行っているニッキ・パロットであるが、第3作アルバム「ブラック・コーヒー Black Coffee」を聴いてみた。前作の2ndアルバム「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン Fly me to the moon」を聴いて、嫌みのない比較的素直なヴォーカルで印象も良かったので、この第3作にも興味を持ってみた訳である。

 そもそも、私は彼女に関してはあまり詳しいことは知らない。又初めてアルバムを聴いたのも昨年である。当初ヴォーカリストというよりは、女性ベーシストとして特にレイチェル・Zのトリオのメンバーとして知れたと言っていいらしい。つまり、ヴォーカリーストとしての歴史はまだ浅い訳だ。1stアルバム「ムーン・リバー Moon River」の紙ジャケ盤のライナー・ノーツに高井信成がかなり詳しく彼女を紹介している。子供の頃はピアノそしてフルートを演奏したようだが、姉のバンドにベースが必要になって、彼女がウッド・ベースを弾くようになったらしい。姉と共にシドニーのニュー・サウス・ウェールズ音楽院にてジャズを学んだという。
 現在は、ニュー・ヨークを拠点に活躍している。

Blackcoffee 「Nicki Parrott / BLACK COFFEE」 Venus Records VHCD-1041 , 2010 (Dec.2009 録音)

 まず、前作と違って明らかに歌が上手くなっている。それは情感を歌い上げるところに深みが出てきたと言っていい。もともと暖かみのあるあまり力みがなくて、どちらかというと線は細くなく、聴きやすい歌声と言っていいのではないかと思っている。まあ、高音部に特徴のある魅力という点では、そう際だったものではないのだが、なんか可愛さがある。中・低音部を丁寧にオーソドックスに唄うのが特徴と言っていいかも知れない。それが全体の印象を暖かく良くしているポイントであろう。

 ウッド・ベースを弾きながら、スタンダード・ナンバーを歌い上げるのであるが、このスタイルはあまりみないので、それなりに関心を呼ぶところだ。今回のアルバムではバック・バンド・メンバーは次のようで、Drums のみ変わっている。そして姉のLisa Parrott が、サックスとクラリネットを演奏している。
 Nicki Parrott (Vo. Bass)    Harry Allen (Ten,Sax)
  Lisa Parrott (Sax, Clarinet)  John Di Maritino (Piano)
  Paul Myers (Guit.)   Dion Parson (Drums)

(曲目リスト)
    1.Dark.Eyes
    2.Black Coffee
    3.Why don't you do right
    4.Alright ,okay,you win
    5.Don't Smoke in bed
    6.Fever
    7.Go slow
    8.Hallelujah I love him so
    9.L've got my love to keep me warm
   10.Just one more Chance
   11.No moon at all
   12.Our day will come
   13.So in love
   14.Where or when
   15.When i fall in love

 2. Black Coffee , 5.Don't smoke in bed 、7.Go slow のような、静かにじっくり唄うところは、これからも彼女の特徴となるのだろうと思う。 又 6.Fever も、これまたベースの音と共に、ゆったりと聴かせるところは、、むしろ逆にリズムを効かせ熱唱するエヴァ・キャシディのタイプと好対照だ。このあたりは高音に訴えるものが若干弱いせいかも知れないが、このように控えめに唄うのが彼女のスタイルとなっていくのだろう。この曲をこのように歌うのは、珍しいほうだと思う。
 一方、4. Alright ,okey, you win は、スイング感たっぷりである。
 私としては、ギターとテナー・サックスにゆったり乗っての 10.Just one more chance のようなタイプが、やはり彼女には良いと思う。

 15曲の感想として、全曲の流れはゆったりしていて、変化は少ない方であるだけ、聴く方疲れない、又そうゆうタイプの歌唱法である。これはベーシストの表れなのかも知れない。取り敢えず、今後も聴いて行きたいと思う女性ヴォーカリストである。



 
 

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2010年5月11日 (火)

ロジャー・ウォーターズ(元ピンク・フロイド):「2010 ザ・ウォール・ツアー」 第2報

期待度が高い「ロジャー・ウォーターズ:2010 THE WALL TOUR」

Picture207_2  
Rockinrio
 今秋からの北米のロジャー・ウォーターズの「2010 ザ・ウォール・ツアー」が盛り上がりを見せている。先頃追加公演の発表もあり、又2011年に渉って行われるのもほぼ確実となってきた。(果たして、日本公演は??)
 アルバムをリリースしてから30周年を迎えて、彼はこの「ザ・ウォール」のコンセプトが当時、個人的な問題という印象が強かったが、実はそうではなく当時から一歩進んでの、一般的、普遍的なテーマ、更に政治的、社会的問題意識の中から作り上げられたものであることを語っている。今回敢えて「ザ・ウォール」を取り上げるのは、過去のそれに終わらず今日の諸問題に対しての新展開した「THE WALL」を臭わせている(イスラエルの築いた壁、パレスチナ問題への問題意識は明らかだ)。そして彼の人生最後のツアー説もある。
 Photo1
ロジャー・ウォーターズのメッセージのStreet Art(左) も巷に諸処に刺激的に登場して、多くの関心を呼んでいるようだ。(彼の首尾一貫した反戦の訴えは明白だ)
 Every gun that is made
  Every Warship launched
  Every Rocket fired
  Signifies    In the final sense
  A  THEFT
  from those who hunger and are not fed 
  those who are cold and clothed
(如何なる銃、進水した戦艦、発射されたロケットは、飢えそして着るモノもない貧困者からの窃盗だ)
 ここに記されている米国34代大統領Dwight D. Eisenhowers との関係は不明だが、彼の文章からの引用のようだ。
 
 特に”Facebook”ブログにおいて、彼はかっては考えられない態度で気軽にファンと対応していて、概要が次第に解ってきている。
 先に私のこのブログでも紹介したバンド・メンバーについても、新しい確実な線が4月末に彼の口から語られた。
Wall_2010_staging 更に、Staging Plan の概要(左)も見えてきたが、250フィートの広さの場所に、どのような手法を使って”壁”を構築し、それを破壊するかも、諸々の憶測を呼んでいる。時代は画像投影技術も格段の進歩があり、又サウンド・システムの進歩も重なって、かっての一つ一つ壁のレンガを積み上げるような手法とは異なるであろうと言われている。コンビューター・グラフィックスや新アートの登場がありそうだ。
 かっての30年前の「ウォール・ライブ」は、多くのファンを集めての成功ライブであったが、ウォーターズの構想の舞台装置には莫大な資金を投入したため、大赤字を出した経験があるだけに、それと同じことはしないと思われる。
 
 いずれにしても、彼から示されたバンド・メンバーを記す。
    Graham Broad (Drums)
    Dave Kilminster (Guitar)
    G.E.Smith (Guitar)*
    Snowy White (Guitar)
    Jhon Carin (Keyboards)
    Harry Waters (Keyboards)
    Robbie Wyckoff (lead Vocals)*
    Jon Joyce (Backing Vocals)
    Mark Lennon (〃)*
  Michael Lennon (〃)*
    Kipp Lennon (〃)*
                                *印:新メンバー

       



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2010年5月10日 (月)

私の映画史(8) 「赤い河」 (原題:Red River、1948年、米)

テキサス開拓者の厳しい環境下の人間模様

 戦後、日本においてアメリカ映画が解禁され、どっと日本に流れ込んできたアメリカ映画。私が初めて西部劇映画というものに接したときの印象は大きかった。拳銃というものを武器として持ち歩き、相手とお互いに向き合っての銃による決闘は殺人事件としては取り扱わない社会感覚を理解するには、日本と違う異国の世界を知ることになる。
Photo_5    私が初めて観た西部劇は子供の頃観たもので、「ユタから来た男 THE MAN FROM UTAH」(1934公開、ロバート・ブラッドベイ監督、ジョン・ウェイン主演。もちろん私が生まれる前の作品である(左))であった。この映画の痛快さに感動し、それ以来西部劇映画に病みつきになり、数多くの名作と言われるものも含めて観てきたが、この映画の内容は一部のシーンのみ記憶にあるのみで、つい最近DVD化(酷い画像であるが)され、何十年ぶりに懐かしく接することが出来た。

 そうした多くの西部劇の中で、必ず名作として挙げられるのは「駅馬車」、「真昼の決闘」、「荒野の決闘」、「シェーン」、「捜索者」などなど数は尽きないが、私の一押しの映画は、ハワード・ホークス監督の初の西部劇作品の「赤い河」(1948年)である。
 先日紹介したキネマ旬報社の「映画遺産200(外国映画編)」で、”映画人・文化人が語る、心に残る珠玉の10本”という企画の中で、121人の中でこの映画を取り上げたのは原田眞人監督(”突入せよ!あさま山荘事件”(2002年)など)ただ一人であったが、彼はあらゆる外国映画のトップにこれを選んでいた。

Photo_2 映画「赤い河」 原題:Red River 
 1948年(日本公開1951年)、モントレー・プロ、ユナイト・アメリカ映画
(スタッフ)
  監督: Howard Hawks
  製作: Haward Hawks
  脚本: Borden Chase
  音楽: Dimitri Tiomkin
(キャスト)
  John Wayne (Thomas Dunson)
    Mongomery Clift (Matthew Garth)
    Walter Brennan (Groot)
    Joanne Dru (Tess Millay)

 南北戦争前の1951年、一つがい2頭の牛を連れての開拓者ジョン・ウェイン扮するダンソンは親友グルート(ウォルター・ブレナン)と2人でテキサスに牧場を作る夢に燃え、新天地を求めて南に向かう。途中コマンチに襲われた幌馬車隊から一人逃げ延びた少年マシュウ(モンゴメリー・クリフト)を救い養子にする。
Scene4  リオ・グランデ近くに土地をみつけ、彼らは十数年後には牛は一万頭にも及ぶ大牧場にまで苦労の結果発展させていた。 時は流れ、南北戦争も終わったが、牛を売るテキサスには買い手がない。そこで牛が売れるミズーリまでの1600キロを9000頭の牛を移動させる難事業を計画。  
 この映画では、牧場を作り上げるまでに7人の対立者と戦い殺し、難事業を男の意地で作り上げてきたダンソンの執念を描いて行く。そして南北戦争から帰って来た養子のマシュウと共に牛移動の難事業に出発した訳だ。
 この苦しい難行の中で、ダンソンの狂気じみた厳しい行動に、次第に養子の若きマシュウは反感を持つようになる。こうした難事業に当たる男の執念と部下に対する毅然とした厳しさは、ついに脱走者まで生むことになる。その連中を捉え見せしめに縛り首処刑をしようとするダンソンに、ついにマシュウも許せず反抗してしまった。そして銃で傷ついた恩義ある義父のダンソンをおいて、今度はマシュウがリーダーとなって牛の移動を始める。しかもダンソンと共に苦労してきた親友のグルートも、マシュウの側について行ってしまう。
Scene5  しかし、マシュウは、義父ダンソンの男の執念の凄さを知っているだけに、後から追ってくると思うダンソンに脅えての旅となる。
 マシュウはその後インディアンとの戦いや、恋する女性(ミレー)も出来、何とか牛の大群を鉄道の敷かれた都市アビリーンに運び難事業を達成する。
 しかし、養子マシュウと親友グルート更に部下たちに牛を連れ去られ、おいて行かれたダンソンは奪還のため部下を募って、追撃に進む。こうした悪役めいたジョン・ウェインのダンソンの演技は、緊迫感があってなかなかの見所。

Scene3  最後に養子マシュウとの対決となるが、傷ついたダンソンがマシュウに銃を向けるもマシュウは銃を抜かない。ダンソンは銃を投げマシュウを殴り挙げる。「腰抜けめ!」と2度3度と殴ると、次の瞬間マシュウもダンソンを殴った。義理の親子の殴り合いとなる。
 そこに心配していたマシュウの恋人ミレーが銃を撃つ。この殴り合いは最終的には共に苦労してきた”愛する男同士の戦い”であることを察知して、ミレーが結末を付けたのだっだ。あっけにとられた男同士は、そこでお互いを称えるのであった。

 この映画の価値は、単なるアクションをみせるだけの西部劇でなく、西部開拓者の執念と言えるまでの厳しい中に達成されてきたことを描いている。その中に見える人間模様は時代感覚を超えて、我々に訴えてくるところが見事であった。古い映画であるが、良好なモノクロ映像でDVDにて鑑賞できるので、私は昔懐かしく鑑賞しているわけであるが、お勧めである。(かって、VHSでもリリースされていたが、ワーナー・ホーム・ビデオのDVD盤は良好)

 ハワード・ホークスは、後に人気のあった西部劇「リオ・ブラボー」を作成するが、やはりこの映画のジョン・ウェイン、ウォルター・ブレナンを起用し、この映画「赤い河」の牧場のマークを「リオ・ブラボー」ではベルトのバックルに付けたり、ライフルを投げて受け取っての決闘シーンなど、後にもこの映画をイメージし再現させている。監督自身にとっても重要な映画であったと言うことであろう。

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2010年5月 7日 (金)

私の映画史(7) 「モア」 (ルクセンブルグ映画 , 音楽:ピンク・フロイド)

未知なる世界を求めた青年の悲劇

 もう20年以上にもなるだろうか?、ピンク・フロイドが音楽を担当した3本の映画は、取り敢えず諸々の手段で観ることに成功した。その中で最も印象深いのは、このバーベット・シュローダー(バルベ・シュローデル)製作・監督の1970年の映画「モア」であった。
 この映画はルクセンブルグと西ドイツ資本の合作。日本公開時には私は観ていない。その後にVHSビデオが発売され、それにより私は接することが出来たもの。しかしその後近年まで容易に手に入らなくなっていたが、ついに2004年、2008年DVD発売となっている。
Barbetschroeder  もともとイランのテヘラン生まれである監督のシュローデルではあるが、主としてフランスにて教育を受け、大学では哲学を修めたという人物で、当時のいわゆるヌーヴェルヴァーグ運動に参加し、初の監督作品がこの「モア」であった。(彼の作品は特異なものが多いが、昨年、江戸川乱歩の小説「陰獣」を、これもなかなかインパクトが強かった映画「いのちの戦場」(2007)に主演したブノワ・マジメルをここに起用して映画化している)

More  さて、この映画「モア」であるが、その作品評価には賛否両論があったのを記憶している。しかし、私にとっては若き青年が未知なる世界を求め、それに冒険的にアプローチしてゆく姿には妙に共感が持てたし、そこにある若さというものを見事に描いている映画だと思う。
 しかし、この青年は自分にとって失い得なかった女性によりセックスとドラッグの魔力にはまってしまうことになるが、それから立ち直ろうとする理性ある努力する姿に哀しさが迫ってくる。
 そして最後には、ドラッグにより破滅し、自ら死に至らしてしまう残酷性は、やはり当時の若者の中に盛り上がりのあった自己認識を高めようとする”サイケデリックな文化”、更に”ヒッピー文化”に対して、その価値観を認めながらもある意味での警鐘として、一つの迫り方をした傑作映画であると評価する。

映画 「モア」 (原題:「More」 、1970年、製作国:ルクセンブルグ)
(スタッフ)
  監督 製作 : Barbet Schroeder
  脚本 : Paul Gegauff ,  Barbet Schroeder
  撮影 : Nestor Almendros
  音楽 : The Pink Floyd
(キャスト)
  Klaus Grunbarg  (Stefan)
    Mimsy Farmer  (Estelle)
    Michel Chanderli (Charlie)

Mimsyf  この映画にて、最も重要なポイントは青年をして虜にしてしまう女性(エステル)である。その役柄に選ばれたミムジー・ファーマー(左)は、十分にその役柄をこなしている。彼女はアメリカ・イリノイ生まれで、1963年に映画「スペンサーの山」に、あの名優ヘンリー・フォンダと共演。この映画では常にジョン・ウェインの相手役であったモーリン・オハラも出演している。こんな中でスタートした彼女は、俳優としての道は、かなり鍛えられたのではないかと想像される。しかしどうゆうことによるか不明だが、このアメリカ映画俳優が、フランス色の濃いルクセンブルグ映画「モア」の重要な鍵となる女性役に抜擢された訳だ。
 そして、ドラッグにひたり若き人生を空虚感に満ちた生活で流れていく女性と、一方不思議な魅力を発散する女性役をショートヘア・カットの美貌で見事に果たして、この映画を成功させた。しかしこの役柄のイメージが非常に強く、彼女の将来の役者人生にそれがついて回ることになったという。

Photo_2  主人公の青年ステファン役はドイツの演劇界からのクラウス・グリュンパークであるが、彼の好演も光る。
 なにはともあれ、それを支えるのがピンク・フロイドの音楽だ。ピンク・フロイドは当時リーダーのシド・バレットがドラッグと精神障害の為抜け、その後の立て直しにロジャー・ウォーターズが当時奮戦していた。そしてこの頃、最も報酬面でも恵まれていた映画音楽に対しての関心も強く、1969年のライブの定番曲や、ロック界初のコンセプト組曲作品”The Man”&”The Journey”の作品を分解してまで、この映画に投入した。そしてそれらの曲群が効果的に使われているのである。

Musicpf
 オープニングでは、未知の旅に出たドイツ人青年ステファンが雨の中パリへのヒッチハイクするシーンで、”Main Theme”が流れ、黒と白の字のオープニング・ロールに続いて、”music by the pink floyd”と、ここだけピンク色の字が浮かぶところは印象的だ。(ピンク・フロイドに"the"が付いているところが懐かしい(↑))
 青年は、一目惚れした女性エステルのホテルの部屋を訪れ、そして彼女がレコード盤に針を落とすと、流れてくる曲はウォーターズ作のギルモアが唄う”Cymbaline”で、私などはそのシーンにゾクっとしたことを思い出す。
 美しいイビザ島におけるシーンに於ては、当時のこれもウォーターズの人気曲”Green is The Colour”が風景にとけ込むように美しく流れ、更にはドラックが体を襲ったときの衝撃を”Cirrus minor”の曲とともに表現し、インパクトがあって印象的だ。このことは映画に於ける映像と音楽の醍醐味は、その相乗効果の素晴らしさであることを如実に示している。

 映画にとって重要な因子の映像に関しても、この作品に於いては、担当の Almendros の素晴らしい情景描写のセンスが評価され、当時話題にもなった。

 時代の流れをいち早く敏感に感ずる中で書かれた脚本の現実的価値の高さに加え、当時のロックの最先端を歩んだピンク・フロイドの妖しい美しさと幻想的な曲、それにジャズ的因子とロックの融合が試みられたプログレッシブな曲の多様性が、この映画では極めて有効的に働いて傑作に仕上げられた。

 青年の純粋さと、そこに潜む危険性とに焦点を当て、新しい時代の波を描いた作品であるが、そこには”哀しい残酷性”が描かれていて、胸を痛めたことを記憶している映画である。

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2010年5月 3日 (月)

MONOCHROME(27) 京都

雨の京都 四題

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Photo

Kyoto2

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