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2010年5月15日 (土)

個性的ヴォーカル色が出てきたニッキ・パロット Nicki Parrott 第3弾「Black Coffee」

ベース奏者とヴォーカリストとして期待度は更に高い

Nickiparrott_4  オーストラリア出身の女性ペーシストでジャズ(スウィング系)を唄うということで話題でもあり、更に2008年スイングジャーナル誌最優秀ヴォーカル賞を受賞し、昨年来日ライブも行っているニッキ・パロットであるが、第3作アルバム「ブラック・コーヒー Black Coffee」を聴いてみた。前作の2ndアルバム「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン Fly me to the moon」を聴いて、嫌みのない比較的素直なヴォーカルで印象も良かったので、この第3作にも興味を持ってみた訳である。

 そもそも、私は彼女に関してはあまり詳しいことは知らない。又初めてアルバムを聴いたのも昨年である。当初ヴォーカリストというよりは、女性ベーシストとして特にレイチェル・Zのトリオのメンバーとして知れたと言っていいらしい。つまり、ヴォーカリーストとしての歴史はまだ浅い訳だ。1stアルバム「ムーン・リバー Moon River」の紙ジャケ盤のライナー・ノーツに高井信成がかなり詳しく彼女を紹介している。子供の頃はピアノそしてフルートを演奏したようだが、姉のバンドにベースが必要になって、彼女がウッド・ベースを弾くようになったらしい。姉と共にシドニーのニュー・サウス・ウェールズ音楽院にてジャズを学んだという。
 現在は、ニュー・ヨークを拠点に活躍している。

Blackcoffee 「Nicki Parrott / BLACK COFFEE」 Venus Records VHCD-1041 , 2010 (Dec.2009 録音)

 まず、前作と違って明らかに歌が上手くなっている。それは情感を歌い上げるところに深みが出てきたと言っていい。もともと暖かみのあるあまり力みがなくて、どちらかというと線は細くなく、聴きやすい歌声と言っていいのではないかと思っている。まあ、高音部に特徴のある魅力という点では、そう際だったものではないのだが、なんか可愛さがある。中・低音部を丁寧にオーソドックスに唄うのが特徴と言っていいかも知れない。それが全体の印象を暖かく良くしているポイントであろう。

 ウッド・ベースを弾きながら、スタンダード・ナンバーを歌い上げるのであるが、このスタイルはあまりみないので、それなりに関心を呼ぶところだ。今回のアルバムではバック・バンド・メンバーは次のようで、Drums のみ変わっている。そして姉のLisa Parrott が、サックスとクラリネットを演奏している。
 Nicki Parrott (Vo. Bass)    Harry Allen (Ten,Sax)
  Lisa Parrott (Sax, Clarinet)  John Di Maritino (Piano)
  Paul Myers (Guit.)   Dion Parson (Drums)

(曲目リスト)
    1.Dark.Eyes
    2.Black Coffee
    3.Why don't you do right
    4.Alright ,okay,you win
    5.Don't Smoke in bed
    6.Fever
    7.Go slow
    8.Hallelujah I love him so
    9.L've got my love to keep me warm
   10.Just one more Chance
   11.No moon at all
   12.Our day will come
   13.So in love
   14.Where or when
   15.When i fall in love

 2. Black Coffee , 5.Don't smoke in bed 、7.Go slow のような、静かにじっくり唄うところは、これからも彼女の特徴となるのだろうと思う。 又 6.Fever も、これまたベースの音と共に、ゆったりと聴かせるところは、、むしろ逆にリズムを効かせ熱唱するエヴァ・キャシディのタイプと好対照だ。このあたりは高音に訴えるものが若干弱いせいかも知れないが、このように控えめに唄うのが彼女のスタイルとなっていくのだろう。この曲をこのように歌うのは、珍しいほうだと思う。
 一方、4. Alright ,okey, you win は、スイング感たっぷりである。
 私としては、ギターとテナー・サックスにゆったり乗っての 10.Just one more chance のようなタイプが、やはり彼女には良いと思う。

 15曲の感想として、全曲の流れはゆったりしていて、変化は少ない方であるだけ、聴く方疲れない、又そうゆうタイプの歌唱法である。これはベーシストの表れなのかも知れない。取り敢えず、今後も聴いて行きたいと思う女性ヴォーカリストである。



 
 

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コメント

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投稿: cna training | 2010年5月31日 (月) 05時17分

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