キース・ジャレット keith Jarrett の世界(6) いくつかの余話
[1] ピアノの音
何時も思うのだが、何でキース・ジャレットのピアノの音はこれ程透明感ある純粋な響きなのか?と不思議に思う。それはキース自身の奏法に一種のテクニックの特徴があろうことは当然としても、現ECMにおける一つの録音法の為かもしれないとも想像してみるのだ。
しかしかっての初期のATLANTICもの(「SOMEWHERE BEFORE」)とか、MCAのImpulse時代のもの(「FORT YAWUH」、「TREASURE ISLAND」など)と比べると、Impulseが最も線は太い録音タイプで、ベースも低く響いてくるが、しかしキースのピアノの透明感ある美しさは大きくは変わっていない。と、するとやはり当然のことなのであろうが、キースの造り出すピアノの音というものがあるのだと思うのである。
彼の使用しているピアノはどこでも彼の要求で多分スタンウェイだと思う。このピアノはクラシックからジャズまで多くの愛好者がいる。クラシックでは内田光子は多分そうだったと思うが、比較は正しいかどうかは別として、彼女のモーツァルトのピアノ協奏曲を聴いても、キースのピアノの音と同じかというとそうではない。ジャズではダイアナ・クラールもそうだが、やっぱりちょっと違うのだ。ピアノの音と一概に言っても、素人の私から見てもなかなか多様なのである。
[2] スリーブ・デザイン
私自身は、どの種の音楽においてもアルバムのスリーブ・デザイン(ジャケット・デザイン)が非常に気になる方だ。
① Keith Jarrettのアルバムで、やはりNo1の私好みは・・・・
「AT THE DEER HEAD iNN / Keith Jarrett, Gary Peacock, Paul Motian」 ECM POCJ1225 (1994) (↑)である。
このアルバムは1992年9月に、彼が十代から演奏に関わった”The Deer Head”というクラブにての30年ぶりの昔の仲間との再会という感覚で演奏されたものという。1994年にリリースされたもの。
Photo: David W.Coulter 、Cover Design: Barbara Wojirsch となっている。
夜の街灯に照らされて浮かぶ歴史ある建物の風情と、道路の奥に光る次の街灯の遠くに思いを馳せる情景。もう深夜を思わせる静かな世界だ。実際、この演奏の日は霧のかかった秋の夜の演奏であったとか、そこに流れるキースのトリオの音とくれば、まさに最高なのだ。このジャケを眺めながら、ジャズというものの世界を何度か自分なりきに作り上げ、聴き惚れたアルバムである。
この日の演奏のドラムスが、ポール・モチアンであるが、16年ぶりの共演であったと。なにかこの狭いクラブのバラバラな拍手もジャズの原点を知る思いである。
そしてさらに ②「The Out-of-Towners」(ECM 2005)、③「The Mwlody At Night, With You」(ECM 2009)、④「Mysteries」(Impulse1975) の3枚のアルバムのスリーブ・デザインも私好みだ。又それぞれの演奏も素晴らしいアルバム。②の即興性は魅力的であるし、③のキース闘病中からの作品には心の響きがある。④のimpulsed時代の前衛性はキースの原点でもある。
やはり音楽アルバム(LP, もちろんCDも)というのは、聴く上で、このデザインの印象も非常に大きいと言える。従ってLP時代のあの大きさのジャケットが懐かしいわけです。(それぞれクリック拡大)
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