キース・ジャレットの世界 Keith Jarrett (2) 即興演奏の魅力
キースの重要なパターンはインプロヴィゼーション
キース・ジャレットのアルバムを聴いていると、彼には5っのパターンがあると思う。一つはスタンダーズのピアノ・トリオを代表するスタンダード・ナンバーの演奏。又1970年代の”アメリカン・カルテット”、”ヨーロピアン・カルテット”などの活動。重複するところもあるが彼自身のピアノ演奏に加えてソプラノ・サックス、リコーダー、パーカッションなどを操るマルチ・プレイヤータイプの曲演奏。最も圧倒されたピアノ・ソロ演奏。そしてスタンダースのメンバーを中心としたインプロヴィゼーションの世界。
「Keith Jarrett CHANGES チェンジズ」 ECM Records ECM-1276 , 1983
そんな中で、私にとって非常に驚かされたのは、ゲイリー・ピーコックの呼びかけからスタートした”スタンダーズ”と言われるようになったキース・ジャレット(p)、ゲイリー・ピーコック(b)、ジャック・デジョネット(ds)のトリオがスタンダード・ナンバーに新しい解釈を展開し注目を浴びていた中で、1983年に登場したこのアルバム「CHANGES」のインプロヴィゼーションの世界であった。
1.Flying, part one
2.Flying, part two
3.Prism
この1.2.の2曲は、即興要素がこれほど美しいメロディを生んで盛り込まれたスタンダード曲演奏も珍しい。そこがキースを愛する原点でもある。そして3.はキースのオリジナル、ここにはキースの世界へのピーコックの力強いアプローチが聴かれる。
もともと、当初のこのトリオ・メンバーのアルバム「テイルズ・オブ・アナザー」(1977年)は、考えてみればゲイリー・ピーコックのオリジナルにキースとジャックが色づけしたインプロヴィゼーションのアルバムだったわけで、そのスタイルは決して不思議なことではなかったのだ。そして後にあまりにもスタンダード・ナンバーの展開に魅力を発揮した彼らであったため、スタンダードの名曲を聴かせるトリオと錯覚していた訳だ。
従ってほゞ同時期にこの「CHANGES」の出現には驚きつつも、私にとっては彼らのピアノ・トリオの真髄はここにあり、そして魅力はこのようなインプロヴィゼーションの発想から作られてくるところにあると信じるまでに至ったアルバムである。
もともとこの3人は全く異なった世界での活躍していた訳で、それらがこのように合体しての演奏は、それぞれの世界の相乗効果であったことは間違いないであろう。
そしてこのシトリオがスタンダード・ナンバーを展開して喝采を得ていた中で、このアルバムが登場した。
「Keith Jarrett CHANGELESS チェンジレス」 ECM Records POCJ-2026 , 1987
「CHANGES」の続編と言っていいのか、再び彼らトリオのライブ即興の世界が襲ってきた。彼らの全米ツアーでの録音である。(1987年10月)
1. Dancing
2. Endless
3. Lifeline
4. Ecstacy
1. はデンバー、2. はダラス、3. はレキシントン 4. はヒューストンのライブもの。全てキースのオリジナル。こちらはとにかく何度となく繰り返される単調なモチーフが、不思議に展開の複雑にして深遠な世界に引っ張り込んで行く。そしてこの全4曲が別の日の演奏とは思えない関連性が感じられるのだ。
このアルバム・ジャケットの円は輪廻の世界に繋がる世界観を表しているとも言われる。その意味の感ずる曲の流れには、不思議な抑揚があり、それによって一つの世界をトリオの統一感で描ききっていると言える。
私が引き込まれていくのは、2. 3. の曲造りに心が惹かれ、そして 4. で頂点に運び込まれる。この流れがたまらなく魅力を感ずるところである。
キース・ジャレットの魅力は、彼がその演奏に集中し、その時に生まれる曲の即興性に聴くものも一緒にその極限に引っ張られて行くところにあるのではないだろうか?。
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