ギター職人スノーウィ・ホワイト(2): レスポールを愛するギタリストの歩み
気品あるブルーズ・ロック・ギタリスト ピンク・フロイドにてのサイド・ギタリストとしての功績から評価を得たスノーウィ・ホワイトであるが、彼の代名詞はやはり”気品あるギター職人”と言うのが私の印象だ。ロジャー・ウォーターズがピンク・フロイドを離れ、エリック・クラプトンなど多くのギタリストとの共演を経て、再起を賭けたブリーディング・ハート・バンドを引き連れてのベルリンの壁崩壊を期しての一大イベント「ザ・ウォール・ライブ」においても、リック・ディフォンゾRick DiFonzo と共にギターを担当し、素晴らしい演奏を披露した。しかも極めて真摯な態度は観るものに快感であった。そしてその後もウォーターズのライブ(世界ツアー)には常に同行し、リード・ギターの一翼を担っている。2001年、日本に来た際(東京国際フォーラム)は珍しくストラトを握っての演奏であったが、やはり彼にはゴールド・トップ・レスポールが一番似合うし、彼自身のお気に入りでもある。
「SNOWY WHITE / WHITE FLAMES」 1983 Towerbell Records , 1992 Repertoire Records REP 4293-WY
これは私の大切にしているホワイトが30歳を過ぎてリリースした1stアルバムである。これぞスタートとして十分なホワイトの姿そのもののアルバムだ。派手に突っ張らない中に、何とも言えない味がある。ここに納められた全曲はホワイト自身の作であり、ブルース・ロック調の曲やジャズイな展開もみられ曲もある。その中で、クマ原田のBass、リチャード・ベイリーのDrumsによって造られるリズムに乗っての彼のギター・サウンドが展開する。又ヴォーカルも担当している。
なんといっても納められた9曲の中の”Bird Of Paradise”は一度聴くと既に頭に焼き付く快感の曲。この曲全英チャートの3位まで上ったもの。
スノーウィ・ホワイトは1949年生まれで、本名はテレンス・ホワイトというらしい。10歳になってからアコースティック・ギターを手にするようになる。ジョン・メイオール、エリック・クラプトン、ピーター・グリーンなどに魅力を感じブルーズ・ギタリストを目指したとか。70年代初めにHEAVY HEARTというバンドに属したときにクマ原田と知り合ったようだ。このあたりは1994年に伊藤政則が、アルバム「Highway to the sun」のライナー・ノーツに詳しく書いている。
「SNOWY WHITE / HIGHWAY TO THE SUN」 Canyon international PCCY 00521 1994
ホワイトの6thアルバムである。これは日本盤のリリースもあり、日本においては最も知れたアルバムと思う。(これ以前にSnowy White's Blues Agency というブルース・バンドでアルバムを2枚出している)
このアルバムはWhite Flames Muic というバンドを形作って演奏であるが、ホワイトとクマ原田の共同プロデュースである。
そしてここで聴かれる曲はやはり殆どホワイトの作品で、ブルーズ・アルバムといっていいものに仕上がっている。又注目はポール・キャラック、クリス・レアそしてゲイリー・ムーア(”keep on working” この曲は約9分に及ぶもので、異色のムードがあり素晴らしいの一言である)がゲスト参加している。更にあのデヴィッド・ギルモアもゲスト参加(”Love, pain & sorrow”)というなにかホワイトの人柄が見えてくるのだ。
とにかく一口に言うと癖のない曲と演奏である。その点がある意味では少々物足りないと言うことにもなるのだが、ギターの音色とリズムカルなテンポは英国ロックの気品を感じさせる分野に属すると言える。
いずれにしても今年のライブ盤と来年のスタジオ録音盤を楽しみにしている今日この頃である。
| 固定リンク
« ギブソン・レスポールを操るギター職人スノーウィ・ホワイトSnowy White | トップページ | 聴きやすいジャズ・ヴォーカル/ピアノを演ずるキャロル・ウェルスマンCarol Welsman »
「音楽」カテゴリの記事
- ビル・エヴァンス BILL EVANS 「FURTHER AHEAD - Live in Fland 1964-1969」(2025.05.12)
- 「ピンク・フロイド伝説-LIVE AT POMPEII」 5回目のお披露目 Pink Floyd「AT POMPEII ‐ MCMLXXII」(2025.05.07)
- イェスパー・サムセン 「Jasper Somesen Invites Anton Goudsmit Live!」(2025.05.02)
- セリア・ネルゴール Silje Nergaard 「Tomorrow We'll Figure Out the Rest」(2025.04.27)
- マテウス・パウカ MATEUSZ PALKA TRIO 「MELODIES.THE MAGIC MOUNTAIN」(2025.04.22)
「ROCK」カテゴリの記事
- 「ピンク・フロイド伝説-LIVE AT POMPEII」 5回目のお披露目 Pink Floyd「AT POMPEII ‐ MCMLXXII」(2025.05.07)
- サンタナの近況 - Santana「 ONENESS TOUR 2024」(2025.02.22)
- ニック・メイスン 「NICK' MASON'S SAUCERFUL SECRETS」-POMPEII 2023(2025.02.02)
- [回顧シリーズ] サンタナ SANTANA 「Tanglewood 1970」(2025.02.07)
- デヴィット・キルモア David Gilmour 「MADISON SQUARE GARDEN 2024」(2025.01.28)
「ピンク・フロイド」カテゴリの記事
- 「ピンク・フロイド伝説-LIVE AT POMPEII」 5回目のお披露目 Pink Floyd「AT POMPEII ‐ MCMLXXII」(2025.05.07)
- ニック・メイスン 「NICK' MASON'S SAUCERFUL SECRETS」-POMPEII 2023(2025.02.02)
- デヴィット・キルモア David Gilmour 「MADISON SQUARE GARDEN 2024」(2025.01.28)
- ピンク・フロイドの頭脳・ロジャー・ウォーターズ「新『狂気』」10月公開 Roger Waters 「The Dark Side Of The Moon REDUX」(2023.07.23)
- ロジャー・ウォーターズ 2023欧州ライブ プロショット映像版 Roger Waters 「THIS IS NOT A DRILL - LIVE FROM PRAGUE 2023」(2023.06.23)
「ロジャー・ウォーターズ」カテゴリの記事
- 「ピンク・フロイド伝説-LIVE AT POMPEII」 5回目のお披露目 Pink Floyd「AT POMPEII ‐ MCMLXXII」(2025.05.07)
- ロジャー・ウォーターズ Roger Waters 「The Dark Side of The Moon Redux」(2023.10.08)
- ピンク・フロイドの頭脳・ロジャー・ウォーターズ「新『狂気』」10月公開 Roger Waters 「The Dark Side Of The Moon REDUX」(2023.07.23)
- ロジャー・ウォーターズ 2023欧州ライブ プロショット映像版 Roger Waters 「THIS IS NOT A DRILL - LIVE FROM PRAGUE 2023」(2023.06.23)
- ロジャー・ウォーターズ 「ロシアのウクライナ侵攻」について国連で発言(2023.02.15)
「デヴィット・ギルモア」カテゴリの記事
- 「ピンク・フロイド伝説-LIVE AT POMPEII」 5回目のお披露目 Pink Floyd「AT POMPEII ‐ MCMLXXII」(2025.05.07)
- デヴィット・キルモア David Gilmour 「MADISON SQUARE GARDEN 2024」(2025.01.28)
- ピンク・フロイド Pink Floyd 「Animals 2018 Remix」(2022.09.20)
- ピンク・フロイド Pink Floyd 「HEY HEY RISE UP」(2022.08.06)
- 箱根アフロディーテ50周年記念の年として・・ピンク・フロイド(2021.12.01)
「スノーウィ・ホワイト」カテゴリの記事
- スノーウィ・ホワイト Snowy White 「SOMETHING ON ME」(2021.07.16)
- スノウィー・ホワイトのニュー・アルバム Snowy White and The White Flames 「THE SITUATION」(2019.07.20)
- スノーウィ・ホワイトSnowy WhiteライブDVD&CD「Live at Rockpalast」(2017.05.19)
- スノーウィ・ホワイトSnowy White久々のアルバム「RELEASED」(2017.05.15)
- ロジャー・ウォーターズRoger Waters 映像盤 : 「ROGER WATERS THE WALL」(2015.12.05)
コメント