ケイティ・メルアのニュー・アルバム「the house」
一つの転機か?過去のアルバムから一歩脱皮 「Katie Melua / The House」 DRAMATICO DRAMCD0061, 2010
比較的日本では広く行き渡って聴かれているというわけではないが、私の注目歌手の一人であり、ここでも何回か取り上げているケイティ・メルアのベスト及びライブ盤を除くと、4thアルバムとなるニュー・アルバムの登場である。今回も日本からのリリースは今のところない。
3rdアルバム「Picture」以来久しぶりだ。グルジア(旧ソビエト)出身の英国での活動の彼女、かなりの評価を得ているにもかかわらず、どうゆう訳か日本版のリリースがない。(レコード会社の関係か?) 収録曲は左のごとくの12曲(クリック拡大参照)。そのうち11曲は助けを得ながらも彼女のオリジナル曲ということで、相変わらず自己の力を示している。ただし1stアルバムからの彼女の世界を造って来たかってのMike Battの関係した曲は1曲のみとなっている。そして演奏からも彼のピアノは消えている(彼はExective Producerと記されている)。そして今回は、彼女自身はアコースティック・ギターの演奏のみのヴォーカル中心の作品となっている(バンド構成はDrums , Guitars , Bass , Keybords )。
そんな訳か、今回のアルバムはイメージが若干変わっている。基本的には、ややJazzyな印象は後退して、どちらかというとポップスである。 さてさて、その内容であるが、スタートの”I'd love to kill you”は多分彼女自身の静かなアコースティック・ギターに乗ってのラブ・ソング。これは3rdまでの彼女の世界である。しかし2曲目の”The flood”となるとイメージが変わる。若干アジア的世界観というか?、彼女のグルジアの雰囲気か?、そして一転して迫り来るパワーを感ずる曲である(シングル・リリースしていた曲)。そしてそれに続く”A happy place”と続いて、彼女の訴えを歌い上げているような展開となる。このあたりがこのアルバムの一つの焦点のような気がする。
そして4曲目には”A moment of madness”は、ちょっとタンゴ調の大人の世界に変わる。
私の好みは、やはり失恋曲(?)”Red Balloons”とか、8曲目の哀しげなギターの音をバックにしての”The one i love is gone”あたりが好みである。
そしてタイトル曲の”The House”は、このアルバムでは中身が濃い。スロー・テンポの曲であるが、彼女の歌が凝縮してている。ここに彼女の別の一つの世界が示されている。彼女の人生の中にあるかっての哀しい中身でも示していそうな世界でもある。これはお勧めである。
いずれにしても、このあたりは日本盤がリリースされ、専門家のライナー・ノーツも拝見したくなるが、目下のところはそれはない。
この盤は、やはり最後の曲の締めによって、やはり良いアルバムという結論を持った。
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