ヘイリー・ロレン Halie Loren(2) 1st「Full Circle」の意外性
まさにオルタナティブ・ミュージック(alternative Music )の世界
今年、日本デビューのヘイリー・ロレンだが、アラスカ出身、サラ・マクラクランやダイアナ・クラールなどに憧れ、ピアノを演ずるシンガー・ソングライターとして、今年の5月25日にこの私のブログで取り上げた。
その時の話題は、初の日本盤リリースの3rdアルバム「They Oughta Write a Song...青い影」を中心に展開したわけだが・・・・このアルバムは、17曲が納められていて、どちらかというと彼女のオリジナル5曲に加えてジャズ畑のスタンダード・ナンバーを多く取り上げている。そしていわゆるジャズの演奏とヴォーカルを聴かせてくれたわけだ。しかし一方更にこのアルバムの収録曲をみると、日本盤アルバム・タイトルとなった曲”青い影”は昔私の好みだったロックのプロコムハルムの曲であるし、”終わりなき旅”はやはりロックのU2の曲である。このような曲を取り上げるところから彼女自身の世界はどんなものなのか?、いわゆる彼女のアルバム「青い影」は明らかにジャズ・アルバムといっていいものであるが・・・しかしその原点は?と、少々興味があって彼女のインディーの1stアルバムを外国から取り寄せてみた。
Halie Loren 「 Full Circle」
White Moon Productions , 2006
これが2006年の彼女の1stアルバムである。これはジョニ・ミッチェルの”River”一曲を除くと全て彼女のオリジナル曲で埋め尽くされている。そして意外や意外、全くのジャズ・アルバムとは異なる。ある意味では私の予想というか疑問に関しても納得の回答でもあった。
曲によっては、ギター、ドラムス、チェロ、サックスなども登場するが、彼女のヴォーカルとピアノが主たるものである。まさしく彼女自身のアルバムなのだ。
(メンバー)
Halie Loren : Vocals, Piano, Synthesizer etc
James M.House : Guitar, Bass, Percussion
Chris Ward : Guitar, Bass
Brian West Drums, Percussion
Dale Bradley : Cello
Paul Biondi : Saxophones
そしてその曲はどんなものかと言うと、ジャズ系世界でも話題になったとは言うが、私が聴いてみるに、これは当にオルタナティブ・ミュージックという分野と感じ取った。
なるほど、彼女のお気に入りのミュージシャンはロックからジャズその他広い分野に及んでいるようで、その結果の彼女のオリジナル作品集は、やはり、かなり独創的で多彩である。究極は、ジャズというよりはロックに近いオルタナティブな世界である。
そして、日本デビューアルバムの「青い影」は、むしろ彼女の世界に通ずる一般的受けを狙ったアルバムで、最近の流行のJazzyのタイプに仕上げてあるが、彼女の本質はこの1stアルバム「Full Circle」の、やや前衛性の加味された創造性に満ちたオルタナティブな曲なのだと思う。
彼女の発声はこの1stにおいても、高音部への変化において裏声に変わるところが特徴的で、その点は変わっていない。
さて、そんな原点探索が出来たことにより、この次のアルバムに興味は移る。つまりこの1stのタイプに帰って行くのか?、それとも「青い影」を延長してジャズもしくはジャズィな路線で行くのか?予測は難しいが、「青い影」の好評からこのジャズ路線ということになるかも知れない。しかしどうもこの1st「Full Circle」のほうに私はシンガー・ソングライターの芸術性において軍配を挙げてしまうのである。
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コメント
10月21日ニュー・アルバム「After Dark」がリリースされます。曲目からみて彼女のオリジナルものでなく、「青い影」の延長の一般受けを狙ったどちらかというとポピュラーな曲群をカヴァーしたJazzyに仕上げたアルバムのようですね。(どうも予想通りでした。「青い影」お気に入りの方はご期待を)
投稿: 風呂井戸 | 2010年9月12日 (日) 21時10分