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2010年9月29日 (水)

ロジャー・ウォーターズRoger Waters「ザ・ウォール・ツアー 2010」スタート

  圧倒的なグラフィックス映像をバックにしての壮大なロック・ショー

 ロジャー・ウォーターズの「ザ・ウォール・ツアー2010」がこの9月15日カナダからスタート。ピンク・フロイド時代の1979年のアルバム「ザ・ウォール THE WALL」の完全演奏と、バックには圧倒的なグラフィックス映像の展開で既に話題が沸騰している。
 
Intheflesh2  スタートの曲”In the flesh?”からバックのグラフィックスが曲に合わせて変化し、火花がステージに飛び散り、戦闘機が頭上を飛び衝突炎上。冒頭から観衆を興奮させる手法だ。今回のライブ・ステージは、これでもかこれでもかとあの手この手で圧倒してくる。例のごとくステージ上に壁が築かれ、倒壊させるところはベルリン・ライブと同じ。しかしこの壁に映されるコンピューター・グラフィックスを駆使しての映像は圧巻。

 前半、”The thin ice”、”Another bricks in the wall-P.1”、”The happiest days of our lives”は、左右に既に壁は築かれており、その中央で比較的淡々と演奏を聴かせる。
Walltourrogerwatersantherbrick2_3  そして”Another Brick in the wall-P.2”では、Dave Kilminster、Snowy White、G.E.Smith の3人のギターが響き、近年のウォーターズの手法である地元の少年少女約20~30名ほどをステージに上げて合唱させ、”We Don't need education ・・・・ Hey, teacher, leave the kids alone ”と、ステージ上の巨大な教師の動く人形に向かって叫ばせる。ここまでやってしまうのかと・・・・。
Rogerwaterswalltour2   続く”mother”では、ピンク・フロイド時代の若きウォーターズ(1980年, EARLS COURT)の巨大な演奏映像がシンクロして映し出され、ここでウォーターズとRobbie Wyckoff が歌い上げる。もともとやや猫背のウォーターズであるが、歳を重ねてその程度は増した感があるが、ギター弾き語りのヴォーカルはまたまだ声量と高音部も十分で健在であった。
 ”Goodbye blue sky”は中央の円形スクリーンと左右の壁に戦争下の戦闘機が飛び暗黒の世界のムードを盛り上げる。
 ”Young Lust”これがなかなか気合いが入っている。当時ピンク・フロイドのこのようなハード・ロックには聴くものをして驚かされた。この演奏では左右の壁への女性の映像が印象的だ(かって30年前、ウォーターズとギルモアが一つのマイクに口を寄せて”Ooooh I need a dirty woman”と唄った曲だ。当時は若かった。この歌詞からも・・・・・)。
Goodbycw  前半の終章の”Another bricks in the wall -P.3”から”Goodby cruel world”への次第に盛り上げていく世界は相変わらず見事。最後は壁が完成して中央のウォーターズのみの世界となる。(ここでIntermission)

 後半にはいると壁の裏での”Hey you”の演奏が始まる。ベルリンではポール・キャラックの印象的な歌をWyckoffが健闘。
 さて”Vera”から一つのクライマックスでもある”Bring the boys back home ”には、ウォーターズの熱唱だ。ここに例のアイゼンハワーの言葉がステージ・バック全体に築かれた壁に映し出される。" ・・・・・・A THEFT from those who hunger and are not fed those who are cold and clothed"が強烈に訴えてくる。そしてお待ちかねの”Comfortably numb”に繋がっていく。
2010davekilm  ”Comfortably numb” はいつもどおり語りかけるようなウォーターズの歌に始まり、築かれた壁のやや左上に天に放射するライトをバック浴びてギルモアのパートをWyckoffが歌い、右上にはDave Kilminster がやはりバックライトで登場し、例のギターを熱演する。完璧な演奏だ。最後に壁に描かれるグラフィックスに観衆が沸く。
 そして”In the flesh””Run like hell”とロックの醍醐味を聴かして、終章に向かっての盛り上がりは凄い。”The trial”はあのジェラルド・スカーフのアニメーション映像がめくりめくって展開し、ウォーターズの最後の熱唱が観られる。完全にオペラと化す。うーーん、ウォーターズは歳を考えれば凄いパワーだ。
  興奮の中でベルリン同様壁が壊される。そして”Outside the wall”で幕を閉じる。

 この「ザ・ウォール・ライブ」は、ピンク・フロイドの時代に圧倒的観衆を集めたが、大赤字を出したことで有名だ。それは舞台および道具立て更には多くのスタッフに多大な費用を要したためだ。それを顧みず、ロジャー・ウォーターズはそれに勝るステージを作り上げた。もうこれは彼の意地以外の何者でもない。昔のライブ・メンバーではスノーウィ・ホワイトしかいない。彼はこのライブに参加してどう思ったことか?。このホワイトのギターも相変わらず渋い。ギターと言えば今回おなじみのアンディ・フェアウェザー・ロウに変わって G.E.Smithがギターで参加している。なかなかスライド・ギター・テクニックなどで、老獪な演奏を展開しているところも見物である。
 更に今回はロジャー・ウォーターズのライブには何時も同行するキャティー・キースンらの女性ヴォーカル陣はいない。全て男性群のパワーで迫ってくる。
 今回のツアー・メンバーは、ドラムスのGraham Broad、キーボードにJon Carin、Harry Waters。そしてバッキング・ボーカルに4人の男性群。以上合わせて12人である。

 とにかく久々のロジャー・ウォーターズの迫力のライブに圧倒される。残念ながら日本での公演は目下企画されていない。
 しかし、もうすぐブート映像などで完璧なライブは見れることは間違いない。そのあたりで取り敢えずはお茶を濁すとしようと思っているところだ。
(今回は、ネット上に現れた映像を参考にこのライブの模様を纏めてみた)

 
 

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2010年9月28日 (火)

サンタナ SANTANA(6):ニュー・アルバム「SANTANA/GUITAR HEAVEN - the greatest guitar classics of all time」

グラミー9冠の「スーパーナチュラル」発売10周年記念のニュー・アルバムは歴代ロック・ヒットのカヴァー集

 サンタナのこの10年間というものは、「スーパーナチュラル」成功以来様々なジャンルのアーティストと組んでの活動に驚かされてきた。特に若い層のポップな世界かと思うと、ジャズ畑のブルースにその活動が見られたり、そのあたりの凄さは今やサンタナ・ワールドと言ってもいいのかも知れない。

Guitarheaven 「SANTANA / GUITAR HEAVEN - The greatest guitar classics of all time」 ARISTA 88697-45964-2-RE-1, 2010

 前宣伝も行き届いていて、こんなヒット・パレードならやっぱり持っていたいアルバムだと言うことです。かってのサンタナに心酔した気分とは近年はちょっと異なるのだが、「スーパーナチュラル」の成功には喝采を浴びせた。しかし、その後の「Shaman」にはジャケ・デザインの品のなさからかどうもいまいちの感覚であった。
 ならばと、今回のアルバムには期待をしていたところである。

Guitarheavenlist さて収録曲は左のとおりだ(クリック拡大参照)。見てびっくりのロック名曲集。そしてそれぞれの曲にゲスト・ヴォーカリストをヒューチャリングしている。
 とにかくオープニングがツェッペリン「胸いっぱいの愛を」とくるから当に迫力満点。
 続いて2.はストーンズだ。懐かしロック・ムードに浸れるが、後半ボンゴ、コンガが響いてサンタナのギターが炸裂。やっぱりこりゃサンタナだ。 
Santana  3.エリック・クラプトンの世界にロブ・トーマスを引っ張り込んでラテン・リズムに仕上げて結構結構。
 4.ジョージ・ハリソン、えっチェロにヨーヨー・マ!!、これがサンタナのギターと共に心に響くんですね。India.Arie のヴォーカルもいい。私にとってはこのあたりがグッとくるんです。
 5.デフ・レパードの曲。これはお好きにどうぞ。
 6.ACDC、うーーん、NASでラップになっちゃうんだろうなぁ。どうも私の好みとは別物だが、サンタナのギターには脱帽。
 7.ドアーズ、こうしたパーカッションは私好み。サンタナのギターの音も好きです。Chesterのヴォーカルも力みがなくいいです。
 8.ディープ・パープル、いっやーー!ヒット・パレードの極致。ギタリストも楽しいでしょうね。
 9.ウァン・ヘイレン、私にとってはこれはどうでもいいです。
 10.Tレックス、やっぱりサンタナですから、こうしたパーカッションのリードの仕上げはいいです。
 11.ジミ・ヘンドリックス、哀愁のヴォーカルと泣きギター、これを聴いてこのアルバムも私は納得するのだ。
 12.ジェフ・ベックの”迷信嫌い”、ギター・マニア向け。

 結論は、これこそ”サンタナの商売反則技”。音と曲の出来は、”高速道路をとばす車のカー・オーディオ向き”というところ。
 ”サンタナの造ったアルバムの世界”を聴くというのはもう昔話なのだろうか?・・・・・。ちょっと寂しさを感ずるのは私だけであろうか?。
 

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2010年9月27日 (月)

イエスYESの回顧(2) : ”90125イエス”から”8人イエス”、そして分解

商業化ロック・バンド”8人イエス”は何だったのか?

 プログレッシブと言われたロック・バンドにとっては、パンクやニュー・ウェイブの台頭は厳しい時代となった。イエスも例外ではない。1977年にはあのピンク・フロイドはいち早くロジャー・ウォーターズの手により「アニマルズANIMALS」で社会に打って出た。
Photo  イエスの場合は前作「リレイヤーRelayer」(1974)では新しいセンスの導入がされたパトリック・モラーツのキー・ボードがあったが、彼の脱退によって再びリック・ウェイクマンがメンバーに復帰して「究極 Going for the one」の発表となる。このアルバムはジャケ・デザインがロジャー・ディーンのあの独特な絵画からガラっと変わって、ピンク・フロイドを扱って来たヒプノシスに変わる(ピンク・フロイドは逆にヒプノシスを切ってロジャー・ウォーターズが自ら手がけた)。彼らは新しい時代への対応を試みたのだった。
 そして翌年にはこのイエスも「トーマト Tormato」をリリースして順調のようであったが、かってのような成功はなく、次第に内部も混乱して、看板のアンダーソンとウェイクマンが脱退。
 残されたクリスはニュー・ウェーブの流れにもある意味での妥協をして「ドラマ Drama」(1980)を完成。しかし鳴かず飛ばずのイエスと化してしまった。このあたりはニュー・ウェーブ時代の敗北でもあった。(しかしこの時代、プログレ系の中でのピンク・フロイドは、前作「アニマルズ」では攻撃的ロックへ変換し、評論家には意外性によりパッシングを受けたがライブなどは大成功し、更に続くロジャー・ウォーターズのコンセプトによる「ザ・ウォール」で圧倒的に世界制覇を成し遂げ、商業的にも巨大化するのだった)
 
90125yes  しかしそんなイエスの低迷期の中で、クリス・スクワイアとアラン・ホワイトはニュー・バンドを企画。そしてトレヴァー・ラビン(ギター)が彼らに合流して新スタイルの完成をみる。更にあの難し屋のジョン・アンダーソンとトニー・ケイも結局のところここにに復帰して、最終的にはイエスのバンド名を使って「ロンリー・ハート-90125」がリリースされ(1983)、一大ヒット作となる。 
 ここには、かってのイエスとは一線を画しラビンの主導によるポップなセンスの入ったハード・ロック化したアルバムとなった。しかしスタート曲”Owner of a lonely heart”がイエスとしても過去最大のヒット曲となったのだ。とにかくライブでもロックの一つの格好良さという因子を見事に演じたのであった。この変身があの変革期の時代にイエスを残すことになる。ここにも時代の変遷の中でのロック・バンドの生き残りへの姿を垣間見ることになった。トレバー・ラビンと元祖クリスの功績は大きかった。
 続くアルバム「ビック・ジェネレイター Big Generater」(1987)リリース後には、完全にラビンのペース化したイエスに再びリード・ヴォーカルのジョン・アンダーソンは不満を抱き脱退する。イエスの看板ヴォーカルの脱退はイメージの変換を求められ苦悩するのだっだ。

 そしてジョン・アンダーソンは脱退したにもかかわらず、過去のメンバーを集め自分の”イエス”を造ろうとするも、これに反発したクリスはその命名は譲らず、クリス側の新生イエスが裁判沙汰で勝利する。結局のところアンダーソンのわがまま集団は、”アンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン・ハウ ABWH”名のバンドを結成してアルバム「閃光」をリリースした。これにはブラフォードが参加したことが大きく、彼の連れてきたトニー・レヴィンの加入で、キング・クリムゾン仕立てのイエスとなって成功したのだった。その為なんと実質2つのイエスが存在することになった。
 
 こうして常にイエスに在籍していたのはベーシストのクリスのみとなり、彼はABWHと対抗してイエスの存続に努力するのだった。
 しかしABWHも取り敢えず成功はするも、次作では曲数の不足から、ジョン・アンダーソンはこともあろうに自分の脱退した古巣のイエス軍団のトレーバー・ラビンに曲提供の協力要請してしまう。その結果ラビンと共にクリスも協力することになり、結局のところ両者が一体化してイエスとして売り出す商業的発想が行われ、ABWHもイエスの一員になることに成功するのであった。
Unionalb なんとここに正式メンバー8人のイエスが誕生し、両者の別々にレコーディングされた曲のまぜこぜのアルバム「結晶 UNION」(1991) のリリースとなった。このアルバムは一つ一つの曲の出来に比してアルバムとしての印象はインパクトに欠けていた。
 しかし話題性としては大きく、ツアーに入っての各地でのライブは成功する。私も今から約20年前(1992.2.29)にうまく乗せられて代々木のライブの観衆の一員となっていたのである。とにかく2つのグループで困惑したファンを一同に集めてのまさにお祭り騒ぎであった。
8  ダブル・ギター、ダブル・ドラムス、ダブル・キーボードにクリスのベースとアンダーソンのヴォーカルという8人構成(左:クリック拡大)のこんな集団が長続きするとは誰も思わなかった。
 実際に8人での創作活動などはみるべきものもなく、いわゆるお互いのエゴをごまかすことが出来たのは経済的裏付けによってあった。そんな意味で形づくられたバンドの姿であった訳だ。
 ファンも過去と現在のイエスにお目にかかれたと言うだけでいずれにしても歓喜したが、作品としては得るものがなかったことに気づくのであった。
 そして当然のごとく、ツアー終了で解体となる。その結果最終的にはABWHメンバーは抜けて再び”90125のイエス”に戻るのであった。ところがこのメンバーを嫌って脱退したはずのジョン・アンダーソンのみは再びこのイエスに入り込むのである。
 
 めくりめくる変調子と個々の演奏のシンクロするテクニックの綾が売り物であったイエスは、それと似たメンバー交代劇を繰り返していたのである。(続く)

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2010年9月22日 (水)

まだまだ続いているロック・バンドのイエス(YES)は?

輪廻転生のロック・パンド

 イギリスのロック・バンドの”イエス”と言えば、かってのプログレッシブ・ロックという世界を思い出すわけであるが、そんな中で、キング・クリムゾン、ピンク・フロイドそしてE.L.Pと共に”プログレ四天王”といわれた1970年代が懐かしいわけである。しかし私はキング・クリムゾンやピンク・フロイドのように、どうも彼らのバンドにのめり込むことなく、意外に冷静に彼らの活動をリアル・タイムに見聴きしてきていた。
 彼らの曲のパターンは、シンフォニック、組曲、変拍子、複雑な技法などなど表現され、聴く者を楽しませてくれたのは事実だ。

Yes2010_3  左写真は現在のイエス。ヴォーカルのベノワ・ディヴィットとキー・ボードのオリヴァー・ウェイクマン(リック・ウェイクマンの息子)というのが耳新しく、後は例のごとくのクリス・スクワイア、スティーブ・ハウ、アラン・ホワイトがいる。

 そもそもイエスの誕生は1969年であり、既に40年以上の歴史を刻んだ。一般的にはイエスと言えばジョン・アンダーソンのヴォーカルということになろうが、それも数多くの複雑な歴史を刻んでいる(現在は病気ということでこのバンドからは離れている)。
 この40年を振り返ってみると、このイエスに常時在籍していたのは創始者のクリス・スクワイアのみで、現在のメンバーのスティーブ・ハウやアラン・ホワイトも出たり入ったりしている。そうした出入りが最も激しかったというのがこのバンドとも言える。又、このバンドの”イエス”という名前の争奪戦もかってあった。クリス以外はこのバンドを脱退しては別のバンド活動したり、又復帰してくるということで、どれが”イエス”というバンドなのか訳が解らなくなった時代もあった。そもそもそうした不安定集団の元凶はジョン・アンダーソンの感覚的世界観であったようであるが、そのアンダーソンも脱退して復帰して・・・と、不安定なバンドといってよい。
 思い起こせば、イエス名乗り騒動から一転して、全員参加の”8人イエス”という時もあった。来日しての代々木体育館のライブを思い出す。

 現在は(2002年から)巡り巡って1970年代前半のイエスの絶頂期のメンバーに戻っている。しかしそのメンバーもアンダーソン、ウェイクマンの病気により補充された状態にある。それが現在のイエスなのだ。
Livemontreux2003 ブルー・レイDisc「YES : Live at Montreux 2003」 Eagle Vision EVBRD 33311-9

 イエスの映像ものは意外に多い。私のまわりをみると、最も多いのがレーザー・ディスク盤である。しかし、ここに取り上げた Montreux Jazz Festival ものは、ブルー・レイ盤で良好な映像に加え、音もDTS-HD(サラウンド録音)による迫力もの。多分かってのイエスとしての映像ものでは、メンバーも揃っているし(左スリーブ参照:クリック拡大)、最高の記録盤ということになろう。
 いずれにしても、演奏能力の高いメンバーのバンドだけに映像ものも楽しい。
 ギターはスティーブ・ハウがいい歳のおじさんになって奮戦している。昔からのイエス・ファンは、ギターは彼ということになるのだうが、私はイエスの低迷期に再興させたトレーヴァー・ラビンも実は大いに評価している(8人イエスでのハウとの激突は楽しかった。両者それぞれタイプが異なるだけに面白い)。
Membera Memberb  リック・ウェイクマンはキー・ボードを数台並べて、相変わらずのこのバンドの音楽構成には重要な役割を果たしている。やっぱりイエスにとっては彼は捨てがたい。ジョン・アンダーソンのヴォーカルは相変わらずで特に言うことはないが、彼のタンバリンの音は他のメンバーの緻密な演奏の中で少々うるさい。クリス・スクワイアのベースは相変わらず迫力がある。アラン・ホワイトのドラムスはJazzyなテクニシャンのビル・ブッフォードと異なって、ダイナミックなロックを演じている。
 (収録曲)
  1.siberian kharru、 2.magnification、 3.don't kill the whale、 4.in the presence of、  5.we have heaven、 6.south side of the sky、 7.and you and i 8.to be over、 9.clap 10.show me、 11.rick wakeman solo melody、 12.heart of the sunrise、 13.long distance rundaround、 14 the fish、 15.awaken、 16.i've seen all good peaple、 17.roundabout
 このライブ演奏は、曲目をみてわかるとおりヒット・パレードである。ハウ、ウェイクマンのソロ以降の後半になって、見事な盛り上がりをみせる。やはり彼らのプログレと言われたロックが、特に"Awaken"などを筆頭に演奏の楽しさも教えてくれたのを思い出させる。
 ただ、いずれにしてもこのメンバーのイエスは、この後のDVD盤「SONGS FROM TSONGAS 35周年記念コンサート 2004」と共に、これで見納めでもある。

 とにかく、このイエスというバンドは過去の歴史において、ビル・ブラッフォードのいた時代などの魅力、そしてABWHなど、話題に事欠かない。
 今回は、いずれにしても昔からのファンにとってのイエスとしては最後になるであろうブルー・レイ・ディスク盤の紹介をしたが、いずれ更にもう少し彼らを回顧してみたいところである。
 

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2010年9月15日 (水)

私の映画史(11) ソフィア・ローレン「河の女」(1955年イタリア映画)

ソフイア・ローレン Sophia Loren 高松宮殿下記念世界文化賞受賞

Sofia_loren22  ここにきて、あのイタリア女優のソフィア・ローレンが日本で話題になるとは考えてもみなかった。彼女は1934年生まれであるので今年76歳になる。しかし私にとってはもっと年齢が高いと思っていた。そして最近の活動は全く知らなかったので、こんなに元気であることも驚きであった。
 昨日のニュースで知ることになったのだが、優れた芸術の世界的創造者達を顕彰する「第22回高松宮殿下記念世界文化賞」の”演劇・映像部門”に選ばれた。この他、”音楽部門”ではマウリツィオ・ポリーニ(68歳)も受賞となった。

 さて、そのソフィア・ローレンであるが、約20年前にアカデミー賞名誉賞受賞という話は記憶にあるが、その後も映画に出演しているようで驚きだ。何故かというと私にとっては彼女のインパクトのあった作品は、もう既に50年も前にさかのぼるからだ。時代はあの戦争後日本がようやく大きな発展を遂げようとしていた時代。音楽では日本に洋楽の楽しさを教えて話題になったあのペレス・プラードがマンボというスタイルを広げた直後の1955年である。

Photo 「河の女 La donna del fiume (Woman of River)」 イタリア映画 日本公開1956年

 この映画の主演がソフィア・ローレンである。彼女は体格もよく美人ということで話題になるが、当時の私にはあまり美人には感じなかった。むしろ個性的な顔貌による迫力は他の女優とは一線を画していたと思っていた。この映画は主題歌「マンボ・バカン」がヒット。そして初めてローレンがマンボ・ダンスを一般に見せたという話題もあった。
 考えてみると当時21歳であったとは考えられない彼女の迫真に迫る演技には今思うと脱帽ものだ。

(監督)マリオ・ソルダーティ
(製作)カルロ・ポンティ(後にローレンと結婚)
(出演)ソフィア・ローレン(Nives)
     リク・バッタリア(Gino lodi)
     ジェラール・ウーリー(Enzo cinti)


 私が何故この映画を、私自身の「映画史」に取り上げるかというと、若き私にとつての人間の相(さが)と人情のきびというものに圧倒的なインパクトがあったからだ。ローレンの名を挙げると日本では映画「ひまわり」(1970)と言うことになろうかと思うが、私にとってはそれ以上の名作と今でも思っている。
Photo_2 (あらすじ)
 ポー河の河口漁村における若き男女の物語。ジーノは漁師であり密輸もやり更に女誑し。魚工場で働く女ニイヴェス(ソフィア・ローレン)をもてあそび捨てる。しかし彼女に想いをよせる警官エンツォはジーノの密輸の摘発を彼女に迫る。数ヶ月後彼女はジーノの子供を身籠もったことを知る。その後ジーノは逮捕されるも脱獄。又ニィヴェスはジーノの子供を産み育てるも、その愛児が突然行方不明となりジーノの仕業かと思ったが、河中から溺死体で発見される(死体を発見する母親の悲惨なシーンは、ローレンの心搏の演技で、この映画のクライマックスでもある)。ジーノも我が子の死を眼前にして自分の生き方とニイヴェスの愛を心底に感じながら刑に服する。ニイヴェスは彼の帰りを待ちながら生き抜く決意をする。

 ローレンは、この映画で若き躍動の女性をマンボを踊る姿で見せ、一方現実の厳しさの中で一児を懸命に育てる母親としての姿を演じた。何故この映画を当時観ようと思ったかは全く記憶がない。ただ若き私には強烈な印象が残っているし、ソフィア・ローレンという女優の存在を知らしめた作品であった。(この2年後には米映画「失われたものの伝説 Legend of the lost 」に抜擢され、ジョン・ウェインの異色作に出演している)

 今回、日本に来て授賞式に出席の予定のようである。この映画DVDでは見当たらないので、記念にリリースして欲しいと思っているところだ。

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2010年9月10日 (金)

ドリーム・シアター Dream Theater 解体?再出発?

マイク・ポートノイの脱退の衝撃

 ドリーム・シアターのドラムスのマイク・ポートノイが脱退するニュースが流れてきた。彼の場合、リーダー的存在であるだけにこのバンドの行く末に暗雲がかかったというのは事実だ。

Dreamtheater  プログレッシブ・メタル・バンドという新しい分野の開拓者でもある彼ら。私が日本で初にお目にかかったのは、”「Images and Words」 ツアー”での中野サンプラザでのライブだった。考えてみるともう十数年というか二十年近く前の話になる。やはり新しい道の頂上を目指している彼らは何とも言えず輝いていた。
 しかし、最新作は昨年の「Black clouds & Silver Linings」だったが、ちょっと彼らの壁に当たってのもがきが見え隠れするアルバムだった(このブログ2010.8.3の”進化はあるか?マンネリか?”参照)。特に三枚組の一枚はレインボー、クイーン、アイアン・メイデン、キング・クリムゾンのカヴァー集という疑問が残ったもの。彼らはかってもピンク・フロイドのカヴァーも得意だったが、どうもサービスであったと思うが不安の一歩でもあった。
 私はもともと1stからのファンだったので、当初ヴォーカルがチャーリー・ドミニシからジェイムズ・ラブリエに変わったときに心配した。しかしその後の発展がいつのまにかそのことは忘れさせてくれたが、ケヴィン・ムーア(キーボード)の脱退はこのグループに変化があっと思っている。私は彼の幻想的と言っていいのか、何か精神安定剤的演奏が救いであったし、プログレと言われる因子の一つでもあったと思う。メタル的攻めとムーアの音楽性の対比によるバランスが面白かったのだ。現在のジョーダン・ルーデスとはちょっと違った感覚の世界であったと思う。

Mike_portnoy2  それはさておき、ここにきてマイクの脱退は驚きだった。創始者であるから尚更だ。しかし彼には腱鞘炎という不安材料があることは伝えられていたが、どうも今度のこの事件は、彼のこれからの音楽的方向性に関係しているようだ。ドリーム・シアターから若干の期間を離れて次の作業を希望したが、メンバーからは受け入れられなかったという。
 残るメンバーも彼抜きでの決意は出来ているようで、これから新作に臨むという。我々にとっては歴史的にも一つの世界を構築したロック・バンドとしてなくなって欲しくないところであり、又今後それぞれがそれぞれの道で発展して欲しいものと祈らざるを得ない。
 

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2010年9月 9日 (木)

ハービー・ハンコック Herbie Hancock (3) : やはりアルバム「River」は凄い

Herbie_hancock4d051_2   ジョニ・ミッチェルに敬意の作品

 多くのミュージシャンをフューチャリングして、そして一つの世界を構築する最近のハービー・ハンコック。前回は最新作アルバム「Imagine Project 」をレビューしてみたんですが、私にとっては、前作(2007年)のジョニ・ミッチェルをトリビュートしたアルバム「River」が忘れられず、つい比較してしまうのである。つまり両者全く思想の異なるアルバムであると思うし、比較の仕方がこれ又難題である。しかし好みはどっちか?と言われると個人的であって答えは出しやすい。そんな意味でここで取り上げると言うことは、こっちが好みなんです。

River 「Herbie Hancock / RIVER the joni letters」 VERVE B0009791-02 , 2007

 昔私がハンコック・ファンに遂になってしまったアルバム「Secrets」 (1976)、そしてその後のVSOPなどの活動を思い起こすと、ちょっと考えられない作品がこのアルバムだ。
 そして、あのカナダ出身の芸術家と言ったほうがいい泣く子も黙る女性ミュージシャン(シンガー・ソングライター)であるジョニ・ミッチェルJoni Mtchell とハンコックはどうゆう関係にあるのかは知らないが、しばらく音楽活動が途絶えていた彼女の再起を歓迎してのトリビュート・アルバムなのだ。
 彼の多くのアルバムは全て所持しているわけではなく、ただしグラミー賞最優秀アルバム賞ということになると買わざるを得なかったこの作品。ほんとに手に入れて良かったと思うのである。ここで改めてレビューする。

  1. Court and Spark : featuring Norah Jones
  2. Edith and the Kingpin : featuring Tina Turner
  3. Both Side Now (instrumental)
  4. River : featuring Corinne Bailey Rae
  5. Sweet Bird (instrumental)
  6. Tea Leaf Prophecy : featuring Joni Mitchell
  7. Solitude (instrumental)
  8. Amelia : featuring Luciana Suza
  9. Nefertiti (instrumental)
10. The Jungle Line : featuring Leonard Cohen

  7 (Duke Ellington)、9 (Wayne Shoter) の2曲以外の8曲はジョニ・ミッチェルの作品だ。そして招かれた女性ヴォーカルがジョニ・ミッチェル本人の他4人の錚々(そうそう)たるメンバーである。

 (バンド・メンバー)
    Herbie Hancock : Piano
    Wayne Shorter : Sop. and Tenor Saxophone
    Dave Holland : Bass
    Vinnie Colaiuta : Drums
    Lionel Loueke : Guitar

 とにかくハンコックのピアノ・サウンドがクリアで心地よく説得力のある響きがあり、ウェン・ショーターのサックスがムードを盛り上げるそんなアコースティック・ジャズ・アルバムである。
 スタートは、ハンコックの静かなピアノにより始まり、いかにもトリビュートといった感が満ちている。ヴォーカルはノラ・ジョーンズが先陣をきって登場。そして続いて2曲目には昔CCRの”プラウド・メアリー”を歌ってヒットし、1980年代にはグラミー賞を獲得したロックのティナ・ターナーが懐かしの声で迫る。女性ヴォーカルは続いて4曲目に英国のこれはどちらかというとソウフルなスタイルで話題の若いところのコリーヌ・ベイリー・レイ。5曲目はジニ・ミッチェルが歌う。そして8曲目にはブラジルの優雅な歌姫のルシアーナ・ソウザ、彼女とショーターのサックスとの競っての歌い上げが印象深い。このようにハンコックの招集能力は凄い。そして最後の曲はがらっと変えて、レオーナード・コーエン(このブログ2010.3.22に紹介しているので参照)の年季の入った男の語りに近いヴォーカルが登場してこのアルバムを締める。
Wayneshorter  こうした多彩な女性ヴォーカルを中心に、詩情豊かに仕上げたジャズ・アルバムということであるが、実は私は3、5、7、9曲目のインストゥルメンタルの4曲の演奏に注目している。ハンコックとショーターの一つの境地でもあるのかと思うのだが、この達観した人生観といった演奏に感じられる。静かな中の人間の精神性を描いているように思えてならない。私の好きなアルバムなのだ。

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2010年9月 7日 (火)

ハービー・ハンコック Herbie Hancock (2):70歳の挑戦か?「IMAGINE PROJECT」

世界各地でのミュージシャンとの共演は「平和と地球規模の責任」と

Herbie1  今年の4月で70歳を迎えたハービー・ハンコックがニュー・アルバムをリリース。彼の記念アルバムのようだが、その規模は大きい。
Imagineproject 「Herbie Hancock / The IMAGINE PROJECT」 Hancock Records HR 0001 , 2010

 このところ数年、彼は自ら前面に出るというのでなく、多くのミュージシャンとの交流を楽しんでいるかのごとくの様子が窺えたが、このアルバムはそんな世界観からか?と・・・聴いてみると、いやいやなかなか彼のピアノ・プレイが十分に押し出されているいる。
 もともと、彼の歴史の中で(私のこのブログ2010.2.14「ハービー・ハンコックの衝撃」参照)、彼の音楽活動の多面性には驚かされるところであったが、それは彼の挑戦の歴史でもあると思ってきた。そして現在もその延長線にあると言ってもいいのかも知れない。
 前作「River the joni letters」はグラミー賞最優秀アルバム賞を受賞して、そこに出た言葉には”現在になってようやく音楽の分野においても世界的規模に平等感が生まれたと感じた”と言っている。彼の音楽活動の人生でも、マイルス・デイビスなどの過去における評価に不満もあるのだと思う。

 それはさておき、このアルバム”イマジン・プロジェクト”と題されて、世界各地でレコーディングするという離れ業に加えて、参加ミュージシャンの多様性に圧倒される。収録10曲で以下の通りである。

   1. IMAGINE  featuring : P!nk, Seal, India.Arie, Jeff Beck
   2. DON'T GIVE UP featuring : P!nk, John Legend
   3. TEMPO DE AMOR  featuring : Ce'u
   4. SPACE CAPTAIN  featuring : SusanTedeschi, Derek Trucks
   5. THE TIMES, THEY ARE A'CHANGIN'  featuring : The Chiftains, Lisa Hannigan
   6. LA TIERRA  featuring Juanes
   7. TAMATANT TILAY/EXODUS  featuring : Tinariwen, K'naan, Los Lobos
   8. TOMORROW NEVER KNOWS  featuring : Dave Matthews
   9. A CHANGES IS GONNA COME  featuring James Morrison
  10. THE SONG GOES ON  featuring : Chaka Khan, Wayne Shorter, K.S.Chithra

Herbie_hancock_2  ジョン・レノン、ピーター・カブリエル、ボブ・ディラン、サム・クック などなどの曲が取り上げられ、バーデン・パウエルの曲も登場する。アメリカ、英国、フランス、ブラジル、インドなどで録音している。曲の展開のカラーはアフリカ色が強い。単にジャズという世界とは異なって、やはり民族音楽的ニュアンスをハンコックの実にクリアなピアノ・サウンドが支え、とにかく一曲一曲の完成度が高い。それなりのミュージシャンが揃うとやはり中身が濃い。よくもまあこれだけの企画を成功させたものと、ハンコックの実力には敬服する。近年彼の得意な一つのパターンとして、多彩なミュージシャンを生かして彼のアコースティック・ピアノの響きを展開するこの手法も板についている感じがする。サンタナも彼の場合はギター・サウンドで同様な世界を構築しているところが面白い。この両者、東洋思想に傾倒したところも似ている。

 一曲目には、ジェフ・ベックがフューチャリングされているが、彼のギターをじっくり聴こうと期待しない方がいい、わずかにそれらしく聴こえる程度。イマジン・プロジェクトとは言えども、ボブ・ディランの曲”The times,They are A'Changin'”の意味も大きそうで、The Chieftains そしてLisa Hanniganが頑張って Larry Klein がBass を担当している。
 Bass といえば、この企画ではあの Tal Wilkenfeld 嬢が何曲かに参加して、サム・クックの”A Change is Gonna come” ではその実力を発揮している。 この企画の流れのハービー・ハンコック70歳記念ライブでは、彼女がBassで参加しているがヴォーカルも女性としてはクリスティーナ・トレインと共に披露している。
 
 聞き応えは十分なアルバムである。ただし前作の「River」のような詩情豊かな作品(実は私はあのタイプのほうが好みであるが)とは異なるので、別の楽しみ方をして欲しい。

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2010年9月 3日 (金)

ヘイリー・ロレン Halie Loren(2) 1st「Full Circle」の意外性

まさにオルタナティブ・ミュージック(alternative Music )の世界

Borders1_feb_08  今年、日本デビューのヘイリー・ロレンだが、アラスカ出身、サラ・マクラクランやダイアナ・クラールなどに憧れ、ピアノを演ずるシンガー・ソングライターとして、今年の5月25日にこの私のブログで取り上げた。
その時の話題は、初の日本盤リリースの3rdアルバム「They Oughta Write a Song...青い影」を中心に展開したわけだが・・・・このアルバムは、17曲が納められていて、どちらかというと彼女のオリジナル5曲に加えてジャズ畑のスタンダード・ナンバーを多く取り上げている。そしていわゆるジャズの演奏とヴォーカルを聴かせてくれたわけだ。しかし一方更にこのアルバムの収録曲をみると、日本盤アルバム・タイトルとなった曲”青い影”は昔私の好みだったロックのプロコムハルムの曲であるし、”終わりなき旅”はやはりロックのU2の曲である。このような曲を取り上げるところから彼女自身の世界はどんなものなのか?、いわゆる彼女のアルバム「青い影」は明らかにジャズ・アルバムといっていいものであるが・・・しかしその原点は?と、少々興味があって彼女のインディーの1stアルバムを外国から取り寄せてみた。

Fullcircle_2 Halie Loren 「 Full Circle」
White Moon Productions , 2006

 これが2006年の彼女の1stアルバムである。これはジョニ・ミッチェルの”River”一曲を除くと全て彼女のオリジナル曲で埋め尽くされている。そして意外や意外、全くのジャズ・アルバムとは異なる。ある意味では私の予想というか疑問に関しても納得の回答でもあった。
 曲によっては、ギター、ドラムス、チェロ、サックスなども登場するが、彼女のヴォーカルとピアノが主たるものである。まさしく彼女自身のアルバムなのだ。

 (メンバー)
    Halie Loren : Vocals, Piano, Synthesizer etc
    James M.House : Guitar, Bass, Percussion
    Chris Ward : Guitar, Bass
    Brian West Drums, Percussion
    Dale Bradley : Cello
    Paul Biondi : Saxophones

                      
 そしてその曲はどんなものかと言うと、ジャズ系世界でも話題になったとは言うが、私が聴いてみるに、これは当にオルタナティブ・ミュージックという分野と感じ取った。
 なるほど、彼女のお気に入りのミュージシャンはロックからジャズその他広い分野に及んでいるようで、その結果の彼女のオリジナル作品集は、やはり、かなり独創的で多彩である。究極は、ジャズというよりはロックに近いオルタナティブな世界である。
 そして、日本デビューアルバムの「青い影」は、むしろ彼女の世界に通ずる一般的受けを狙ったアルバムで、最近の流行のJazzyのタイプに仕上げてあるが、彼女の本質はこの1stアルバム「Full Circle」の、やや前衛性の加味された創造性に満ちたオルタナティブな曲なのだと思う。
 彼女の発声はこの1stにおいても、高音部への変化において裏声に変わるところが特徴的で、その点は変わっていない。

 さて、そんな原点探索が出来たことにより、この次のアルバムに興味は移る。つまりこの1stのタイプに帰って行くのか?、それとも「青い影」を延長してジャズもしくはジャズィな路線で行くのか?予測は難しいが、「青い影」の好評からこのジャズ路線ということになるかも知れない。しかしどうもこの1st「Full Circle」のほうに私はシンガー・ソングライターの芸術性において軍配を挙げてしまうのである。

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2010年9月 2日 (木)

大型新人?クリスティーナ・トレイン Kristina train

ブルー・ノートからのポスト・ノラ・ジョーンズとの呼び声も高い女性シンガー・ソングライター

With_herbiehancock  このところ女性ヴォーカルでも、JazzまたはJazzyといった感覚のものに多く焦点を当ててきたが、カントリーやブルースの影響のある一部ゴスペルっぽい自作曲で売り出したクリスティーナ・トレインKristina Trainを聴いてみた。
 彼女はシンガー・ソングライターであり、ブルー・ノート・レコードではかなりの力を入れている新人。十代に目を付けられるも、大学進学してからのテビュー。ニュー・ヨーク生まれで、ジョニ・ミッチェル、ジャニス・ジョプリンなどを聴いて育ったという。主として彼女は楽器はヴァイオリンを演奏する。
 最近ハービー・ハンコックとの共演(ハンコックの70歳記念ライブ:写真参照)などもあってかなりいい役割を果たしたようだ。それも私が聴いてみたくなった一つの理由でもある。既に来日も果たしているし、デビュー・アルバムはインディーからでなくブルー・ノートという名門からということで、日本盤のリリースもある。

Spiltmilk 「Kristina Train / apilt milk」 Blue Note Records 50995 01568 25 , 2009

 これがデビュー1stアルバムである。収録曲は11曲。来日の際は彼女自身のヴァイオリンとその他ギター、キーボードという極めてシンプルなバンドであったようだが、このアルバムはそれなりにその他にベース、パーカッション、ドラムス、トランペット、ストリングスなどがバックを支えている。しかし、それにも増して彼女のヴォーカルは特に高音部にゆくと声量とその歌いっぷりに迫力がある。低音部においては、ややハスキーでボリュームのある声で、むしろジャズ向きのニュアンスがあるが、高音になるに従って、古典的ロックのジャニスの雰囲気が出てくるという面白いパターン。彼女の曲自身は、スタート時はどちらかというと説得するようなゆったりした低音で始まる。そして次第に盛り上げていくというスタイルだ。私はむしろこのスタートしたままの展開で最後まで押し切った曲もあっていいのではと思うのだが・・・・。(ジミー・ホーガスのプロデュースで英国ロンドンで録音されている)
 いずれにしても、言い換えると新人らしい精一杯の歌唱と言うことで(熱唱タイプ)、その歌唱力は十分あるので、今後どう発展していくかがある意味では楽しみがある。又現代風の美貌も持ち合わせているので期待株であることは間違いなくここで取り上げてみた。ただし、ポスト・ノラ・ジョーンズというキャッチ・フレーズがあるようであるが、私は別物のタイプと思う。こうしたエモーショナルなタイプも時にはいいものである。

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