まだまだ続いているロック・バンドのイエス(YES)は?
イギリスのロック・バンドの”イエス”と言えば、かってのプログレッシブ・ロックという世界を思い出すわけであるが、そんな中で、キング・クリムゾン、ピンク・フロイドそしてE.L.Pと共に”プログレ四天王”といわれた1970年代が懐かしいわけである。しかし私はキング・クリムゾンやピンク・フロイドのように、どうも彼らのバンドにのめり込むことなく、意外に冷静に彼らの活動をリアル・タイムに見聴きしてきていた。
彼らの曲のパターンは、シンフォニック、組曲、変拍子、複雑な技法などなど表現され、聴く者を楽しませてくれたのは事実だ。
左写真は現在のイエス。ヴォーカルのベノワ・ディヴィットとキー・ボードのオリヴァー・ウェイクマン(リック・ウェイクマンの息子)というのが耳新しく、後は例のごとくのクリス・スクワイア、スティーブ・ハウ、アラン・ホワイトがいる。
そもそもイエスの誕生は1969年であり、既に40年以上の歴史を刻んだ。一般的にはイエスと言えばジョン・アンダーソンのヴォーカルということになろうが、それも数多くの複雑な歴史を刻んでいる(現在は病気ということでこのバンドからは離れている)。
この40年を振り返ってみると、このイエスに常時在籍していたのは創始者のクリス・スクワイアのみで、現在のメンバーのスティーブ・ハウやアラン・ホワイトも出たり入ったりしている。そうした出入りが最も激しかったというのがこのバンドとも言える。又、このバンドの”イエス”という名前の争奪戦もかってあった。クリス以外はこのバンドを脱退しては別のバンド活動したり、又復帰してくるということで、どれが”イエス”というバンドなのか訳が解らなくなった時代もあった。そもそもそうした不安定集団の元凶はジョン・アンダーソンの感覚的世界観であったようであるが、そのアンダーソンも脱退して復帰して・・・と、不安定なバンドといってよい。
思い起こせば、イエス名乗り騒動から一転して、全員参加の”8人イエス”という時もあった。来日しての代々木体育館のライブを思い出す。
現在は(2002年から)巡り巡って1970年代前半のイエスの絶頂期のメンバーに戻っている。しかしそのメンバーもアンダーソン、ウェイクマンの病気により補充された状態にある。それが現在のイエスなのだ。
ブルー・レイDisc「YES : Live at Montreux 2003」 Eagle Vision EVBRD 33311-9
イエスの映像ものは意外に多い。私のまわりをみると、最も多いのがレーザー・ディスク盤である。しかし、ここに取り上げた Montreux Jazz Festival ものは、ブルー・レイ盤で良好な映像に加え、音もDTS-HD(サラウンド録音)による迫力もの。多分かってのイエスとしての映像ものでは、メンバーも揃っているし(左スリーブ参照:クリック拡大)、最高の記録盤ということになろう。
いずれにしても、演奏能力の高いメンバーのバンドだけに映像ものも楽しい。
ギターはスティーブ・ハウがいい歳のおじさんになって奮戦している。昔からのイエス・ファンは、ギターは彼ということになるのだうが、私はイエスの低迷期に再興させたトレーヴァー・ラビンも実は大いに評価している(8人イエスでのハウとの激突は楽しかった。両者それぞれタイプが異なるだけに面白い)。
リック・ウェイクマンはキー・ボードを数台並べて、相変わらずのこのバンドの音楽構成には重要な役割を果たしている。やっぱりイエスにとっては彼は捨てがたい。ジョン・アンダーソンのヴォーカルは相変わらずで特に言うことはないが、彼のタンバリンの音は他のメンバーの緻密な演奏の中で少々うるさい。クリス・スクワイアのベースは相変わらず迫力がある。アラン・ホワイトのドラムスはJazzyなテクニシャンのビル・ブッフォードと異なって、ダイナミックなロックを演じている。
(収録曲)
1.siberian kharru、 2.magnification、 3.don't kill the whale、 4.in the presence of、 5.we have heaven、 6.south side of the sky、 7.and you and i 8.to be over、 9.clap 10.show me、 11.rick wakeman solo melody、 12.heart of the sunrise、 13.long distance rundaround、 14 the fish、 15.awaken、 16.i've seen all good peaple、 17.roundabout
このライブ演奏は、曲目をみてわかるとおりヒット・パレードである。ハウ、ウェイクマンのソロ以降の後半になって、見事な盛り上がりをみせる。やはり彼らのプログレと言われたロックが、特に"Awaken"などを筆頭に演奏の楽しさも教えてくれたのを思い出させる。
ただ、いずれにしてもこのメンバーのイエスは、この後のDVD盤「SONGS FROM TSONGAS 35周年記念コンサート 2004」と共に、これで見納めでもある。
とにかく、このイエスというバンドは過去の歴史において、ビル・ブラッフォードのいた時代などの魅力、そしてABWHなど、話題に事欠かない。
今回は、いずれにしても昔からのファンにとってのイエスとしては最後になるであろうブルー・レイ・ディスク盤の紹介をしたが、いずれ更にもう少し彼らを回顧してみたいところである。
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コメント
輪廻転生ですか。
いいバンドはいい。
いつまでも続いて欲しいですね。
輪廻転生でも引き継ぎでも。
投稿: daikaisui | 2010年9月28日 (火) 14時21分
daikaisuiさん、ファン心が滲み出ていますね。
投稿: 風呂井戸(*floyd) | 2010年9月28日 (火) 22時35分