ダイアナ・クラール Diana Krall : 好録音の SACD盤検証
9枚のアルバムで、4枚にSACD盤のリリース
名演もその録音が悪いと興ざめである。しかし、そうした意味ではロック系よりは明らかにジャズ畑ものは録音にもそれなりに力が入っているものが多い。従って古いアルバムでもそのマスター・テープから現在の技術を駆使して好録音盤がリリースされていることは嬉しいことだ。
そんな意味でもダイアナ・クラールのアルバムは、時代も古くないこともあるが、どちらかというと良好な録音が多い。しかもSACD盤も私の知る限りでは(手持ちの)4枚リリースされていてVerveの努力を評価したい。
そこでその4枚の音の世界を検証をしてみる。ご存じのとおり、SACDと言えども、その中にステレオものとサラウンドものがあり、更に普通のCDとしても再生可能なハイブリッド・タイプもある。
①「LOVE SCENES」 SACD:Hybrid type IMPULSE B0002841-36 , 2004 , (Original Release 1997)
このアルバムは、ドラムス抜きの3人の構成。(Diana Krall-piano, lead vocal , Russell Malone-guitar , Cristian McBride-bass)
ジャズのスタンダード集といっていいが、この小編成がなかなかリアルな音を聴かせる。ベースとともにダイアナの声も見事に録音されている。そしてホール感もあって手頃。ただし不思議なのは3者全てが中央から聴こえてくる。サラウンド再生でもホール感の強調のみ。
②「WHEN I LOOK IN YOUR EYES」 SACD VERVE 440 065 374-2 , 2002 , (Original Release 1999 )
このアルバムはRussell Malone のギターをはじめ、John Clatton のベースなど、ドラムス、オーケストラと編成は多彩。ダイアナのピアノ、ヴォーカルも冴え渡る。
比較的古めのジャズ曲をうまく現代風に演奏してみせる。サラウンドの音はリスナーを包み込むように構成され、楽器の配置も分離している。
③「THE LOOK OF LOVE」 SACD: Hybrid type VERVE 314 589 597-2, 2002, (Original Release 2001 )
スタンダード・バラード・ナンバーをどちらかというと少々おしゃれに歌いこなすアルバム。オーケストラの音からスタートして豪華。このあたりから彼女のアルバムはジャズというよりはポピュラーと言った方がいいかもしれない。ボサ・ノヴァのラテン・タッチが魅力。昔セルジオ・メンデスでお馴染みの”the look of love”も、なかなかお洒落に変身。
④「THE GIRL IN THE OTHER ROOM」 SACD: Hybrid type VERVE B0002293-36, 2004 , (Original Release 2004 )
このアルバムでは、ダイアナ彼女自身と亭主のElvis Costello とでのオリジナル曲が全編を主に支配している。オーケストラは無いが、ギター、ベース、ドラムスとの組み合わせに味のあるJazzyなアルバムに仕上がっている。彼女のピアノとヴォーカルも生き生きとして味がある。録音は分離、ホール感も見事。サラウンド効果も十分で、それぞれの楽器のダイナミックレンジも伸びている。オーケストラの無い分だけ、再びジャズ色が濃くなった。
さて、そのアルバムの内容の出来はそれぞれの評価があろうかと思うが、この中でもやはり Origonal Release が古いほど、ジャズっぽさは濃い。彼女のアルバムは年代を経てポヒュラーな曲仕上げになってきていることは周知の通りだ。
さて、ここではその演奏内容は別として、録音の出来とSACDとしての出来の良さに注目してみると上記アルバムに付けた注釈に現れているように、とにもかくにもベスト録音盤は④の「THE GIRL IN THE OTHER ROOM」である。特にサラウンドが見事、ただ四方から音が来るというのでなく、部屋の中央でどちらを向いて聴いても、それぞれの楽器が生き生きと定位置から聴こえてくる。彼女のヴォーカルも手に取るように繊細な部分までしっかり聴ける。こうした録音盤を聴くとやはりオーディオって良いものが欲しくなりますね。
取り敢えず、4枚の順位です。
1(Best) 「THE GIRL IN THE OTHER ROOM」
2 「WHEN I LOOK IN YOUR EYES」
3 「LOVE SCENES」
4 「THE LOOK OF LOVE」
・・・・・・・と、私の装置と耳ではこうゆうことになった。(参考までに)
| 固定リンク
« ロジャー・ウォーターズRoger Waters「ザ・ウォール・ツアー 2010」スタート | トップページ | ロジャー・ウォーターズRoger Waters 「ザ・ウォール・ツアー2010」第4報:いよいよ出そろってきたブート Bootleg »
「音楽」カテゴリの記事
- ダニエル・ガルシア Daniel Garcia Trio 「Wanderland」(2024.09.12)
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- サンディ・パットン Sandy Patton 「Round Midnight」(2024.09.03)
- ブリア・スコンバーグ Bria Skonberg 「What Is Means」(2024.08.27)
- クララ・ハーバーカンプ Clara Haberkamp trio 「Plateaux」(2024.08.22)
「JAZZ」カテゴリの記事
- ダニエル・ガルシア Daniel Garcia Trio 「Wanderland」(2024.09.12)
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- サンディ・パットン Sandy Patton 「Round Midnight」(2024.09.03)
- ブリア・スコンバーグ Bria Skonberg 「What Is Means」(2024.08.27)
- クララ・ハーバーカンプ Clara Haberkamp trio 「Plateaux」(2024.08.22)
「ダイアナ・クラール」カテゴリの記事
- ダイアナ・クラール Diana Krall 「Famous Blue Raincoat - 2024 TOKYO 3RD NIGHT」(2024.07.28)
- ダイアナ・クラールのニュー・アルバム Diana Krall 「THIS DREAM OF YOU」(2020.10.10)
- ダイアナ・クラール2019年東京ライブ Diana Krall 「3 DAYS IN TOKYO 2019」(2020.01.14)
- ダイアナ・クラールとトニー・ベネットのデュエットTony Bennett & Diana Krall 「LOVE IS HERE TO STAY」(2018.09.26)
- なんとなく好きな曲(1) 「Cry Me A River」~歌姫の競演(2018.06.18)
「女性ヴォーカル」カテゴリの記事
- サンディ・パットン Sandy Patton 「Round Midnight」(2024.09.03)
- ブリア・スコンバーグ Bria Skonberg 「What Is Means」(2024.08.27)
- クララ・ハーバーカンプ Clara Haberkamp trio 「Plateaux」(2024.08.22)
- クラウディア・ザンノーニ Claudia Zannoni 「STURDUST ~ Love Nancy」(2024.08.12)
- マデリン・ペルー Madeleine Peyroux 「Let's Walk」(2024.08.07)
「ピアノ・トリオ」カテゴリの記事
- ダニエル・ガルシア Daniel Garcia Trio 「Wanderland」(2024.09.12)
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- クララ・ハーバーカンプ Clara Haberkamp trio 「Plateaux」(2024.08.22)
- ジョヴァンニ・グイディ Giovanni Guidi 「A New Day」(2024.08.17)
- ダイアナ・クラール Diana Krall 「Famous Blue Raincoat - 2024 TOKYO 3RD NIGHT」(2024.07.28)
コメント