ヘイリー・ロレン Halie Loren (3) : ニュー・アルバム「After dark」登場
日本盤第2弾は、てんこ盛りの17曲
今春日本アルバム・デビューで、少なからずの評判を勝ち取ったシンガー・ソングライターのヘイリー・ロレン、来日公演を控えてのニュー・アルバムが登場した。
このブログでも2回に渉って検証してきたが、彼女のJazzyな世界の源にも若干踏み込むことが出来た。もともとジャンルを問わないスタイルが実は彼女そのものなのだ。
さて、今回の日本盤2作目は?と、ここでアプローチしてみよう。
「Halie Loren / After dark アフター・ダーク」 Victor VICJ-61641 , 2010
基本的には14曲のアルバムにボーナス・トラック1曲プラス日本ボーナス・トラック2曲の計17曲の収録サービスだ。
前回彼女の1stアルバム「Full Circle」に触れたわけであるが、それは当に彼女のオリジナル曲でのオルタナティブ・ミュージックという世界だったわけだ。
しかし日本盤デビュー「青い影」は、どちらかと言えばジャズ畑で取り扱われるタイプのヒット・パレード的曲群のアルバムだった。これが意外に評判が良く、日本に於いても注目株となった。又、彼女自身の美貌もその一役を担っているのかも知れないが・・・・。
さて、このアルバムであるが、やはり基本的にはJazzyな世界を目指したものではあるが、4曲のオリジナル・ナンバーに加えてシャンソン(”バラ色の人生”も登場)が出てきたり、1stアルバム調のカントリー風あり、そしてサラ・ブライトマンのナンバー1ヒットの”Time to say goodbye”まで登場するというあれやこれやのてんこ盛り(ただし、サラの二番煎じでなく、ギターのバックで新解釈歌唱といっていい)。残念ながらアルバムとしての統一感はない。つまりジャズ系の後退作でありポピュラー・ミュージックといっていいのかも。
バンド・メンバーは、前作と同じである(左)。( Piano: Matt Treder, Bass: Mark Schneider, Drums: Brian West )
彼女のピアノ弾き語りはなく、ヴォーカルに徹しているようだ。それはそれで良いのだが、私にとっては残念なのは、このジャンルの中途半端な世界は少々残念であった。もともとの彼女のオリジナルなオルタナティブの世界は興味あるところであるが、ジャズ系でゆくのであるなら、もう少しその線をしっかり追って欲しかった。
彼女の歌声は相変わらずで、高音部への裏声に変化するところは特徴的。そしてこのアルバムの作風は彼女の唄が前面で、全てバンド演奏は一歩退いてのサポート役である。まあ、演奏の綾には面白みはあまりない。
注目曲としては、オープニング曲のアルバム・タイトルとなっているオリジナル曲”After dark”、これはクラシックなムードある心打つ曲だ。私が好むものとしては、7曲目の”Ode to Bille Joe”がドラムスとベースのリズムに乗ってなかなか粋に歌う。その他なんと日本盤のボーナス・トラックの”I fall in love too easily”, ”My foolish heart” の2曲がジャズ演奏されたものでいい。つまり雑多の中でも、ジャズ流に演奏され歌ったものがこのアルバムでは光っていた。やはりその世界に主力を於くともっと私にとってはこのアルバムは価値が上がったのかも知れない。
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