マデリン・ペルー Madeleine Peyroux (1) : 確かにレトロな中に不思議な安堵感
21世紀のビリー・ホリディと言われるが、ジャジーであるがブルース?フォーク?カントリー?のレトロな特異な世界
彼女の歌声に接したのはそれほど前のことではない。実はその時にふと映画などでみるアメリカの第二次世界大戦前の姿を頭に描いた。後からそれが現在30代のまだまだ若いマデリン・ペルーという歌手と知り興味をそそられた。
彼女は米国ジョージア州出身とか、1974年生まれと言うから今年で36歳。母はフランス人であったこともあって、13歳のときの両親の離婚により、パリに住むようになったという。
いくつかのストリート・ミュージシャンの世界に始まり、ローカルなグループでヴォーカルを担当して10代にしてヨーロッパ各地をツアーしていたというから意外に歴戦の勇士。
アルバム・デビューは、1996年22歳での「Dreamland」 (Atlantic)。このアルバムは古いスタンダード・ナンバーを取り上げて既にレトロな世界を聴かせたところは驚きと言っていい。
彼女のアルバムは現在4枚と思うが、その中でも私の好きなものを取り上げると・・・・
「Half the perfect world /ハーフ・ザ・パーフェクト~幸せになる12の方法」 Rounder Records emarcy/rounder 02602517032798 , 2006
彼女は、殆どの曲に楽器はギターを弾くが、支えるバンドは Sam yael (piano), Dean parks (Guitar), David piltch (Bass), Jay bellerose (Drums) というジャズ系、曲により Sax, Violin, Trumpet などが加わる。
収録曲は、4曲は彼女のオリジナル。しかし確かに不思議に何か過去に聴いたようなノスタルジックな気持ちに誘われる。そしてジャズ畑で一般的には取り上げられるアルバムではあるが、その世界はフォーク、カントリーぽかったり、そして聴くものに何か郷愁と安堵感を与えてくれるのだ。そして彼女の歌声はあくまでも自然であり、情熱的というニュアンスはなく、どちらかというとサラッと流すといっていいタイプである。
バック・バンドも叩き付けるような演奏はなく、どちらかというと静かに彼女の唄を支えてゆくという演奏に終始している。
21世紀のビリー・ホリディとも言われるが、私の印象としては黒人歌手の世界とは異なっていると思う。あくまでも白人のかっての素朴な世界の再現である。
(曲目リスト)
1. I'm all right
2. the summer wind
3. blue alert
4. Everybody's talkn'
5. river
6. a little bit
7. once in a while
8. the heart of saturday night
9. half the perfect world
10. la javanaise
11. california rain
12. smile
10曲目には、なんとパリ育ちであるだけにフランス語のシャンソンも登場する。いずれにしても、疲労を癒してくれるアルバムであることは間違いない。
いずれ手持ちのアルバム「Careless love」なども含めて、もう少し彼女の世界を考察してみたいと思っている。
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