クレア・マーティン Claire Martin (2) : 英国を代表する女性ジャズ・シンガーの魅力のポイント
成熟した女性シンガーとしての魅力を発散
英国の女性ジャズ・ヴォーカリストのクレア・マーティン Claire Martin の実力は一口に語ることは難しい。いくつかのアルバムを聴いてみると、それぞれ同じパターンでないところが彼女の幅広い実力を物語っている。従って一つのアルバムを気に入ったからと言って、もう一枚は必ずしもお気に召すかどうか?。
いわゆるコンテンポラリーな範疇にも実力を発揮している彼女であるが、私の場合はそうではなくいわゆる彼女本来のジャズ畑の線で、大人のバラード調に魅力を感ずる。そして前回触れなかったアルバムの中で、ここでそんな意味での魅力盤に触れておこう。
「CLAIRE MARTIN / SECRET LOVE」 SACD LINN Records AKD-246 2004
このてのアルバムは、やはり録音の善し悪しもかなり気になるが、これも LINNレコードのSACDでマルチ・チャンネル録音盤。それなりのクオリティーで聴くことが出来る。
(ミュージシャン)
claire martin : vocals / gareth williams : keyboards / laurence cottle : bass / clark tracey : drums / nigel hitchcock : alto saxophone
その外、ギター、テナー・サックス。ハーモニカ、パーカッションなど加わる。
1. secret love
2. but beautiful
3. the meaning of the blues
4. jive
5. love is a bore
6. where do you start?
7. god give me strength
8. get happy
9. my buddy
10. cheek to cheek
11. do'nt misunderstand
12. something cool
収録曲は、スタンダード・ナンバー中心のもの。オープニング曲”secret love”はジャズ・ヴォーカル・アルバムの宣言のようにスタートして、続いて”but beautiful”になると、ギターを主力としたバックで、ぐっとムードが盛り上がってくる。”the meaning of the blues”は、ハーモニカのバック演奏から始まり静かな夜の世界に突入。このあたりはいかにも私好み。”where do you start?”は、ギターのみのバックで彼女なりきのアレンジの効いた語りヴォーカルを聴ける。”my buddy”も、ピアノそしてサックスの比較的静かな流れに乗っての唄は説得力ある。”cheek to cheek”、時にこのようなアップ・テンポの曲を挿入してコント・ラストを付けるところはニクイ選曲で、gareth williams のピアノ、clark traceyのドラムスが健闘。そしてがらっとテンポはスローな”do'nt misunderstand”に流れてゆく。
やっぱりクレア・マーティンは、ジャズ・ヴォーカルが魅力的であると思う。そうはした意味でもこのアルバムはお勧めアルバムだ。
「claire MARTIN / PERFECT SLIBI」 multi-channel SACD LINN Records AKD-316 2008 (2000)
このアルバムは2000年にリリースしたものを、リマスターしてマルチ・チャンネルSACDとして2008年に再発されたもの。
ジャズの世界から離れてのポピュラー系 コンテンポラリーである。私のようにジャズ系スロー・バラードを期待して聴くと、ちょっと違うじゃないか?と言いたくなる。しかし相変わらずのややハスキーな中低音を生かしての歌いぷりは、見事であり、ところどころの節回しにジャズが臭ってくるところが、やっぱりクレア・マーティンはベースはジャズであることが感じられる。このアルバムのジャケ・デザインはかなり内容の印象をうまく反映していると思う。かなり明るめの印象のアルバムだ。
このアルバムでは”shadowville”、”more than you'll ever know”の2曲は私にとっては聴きどころであった。特に後者はエレクトリック泣きギターのブルース調ナンバーで私好み。いずれにしても少々おしゃれなアルバムといったところか。
しかし、このクレア・マーティンというシンガーは、このように10年前のアルバムにも成熟した女性の味を漂わせているところが、特徴なんだろうと思うし、それが魅力になっていると思うところだ。
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