久々のロック話 :キャメルが味わえる デビッド・ミナシアンDavid Minasian / 「Random Acts of Beauty」
まさにキャメルの世界の再現(アンディ・ラティマーも参加)
このところ、Jazzyなヴォーカルの美女狩りにうつつを抜かしていましたが、なんと昔のパソコン通信といった時代にお世話になった関西の”ロックおじさん”(勿論、パソ通時代はおにいさん)にちょっとおしかりを受けたのか?(笑)、このデビッド・ミナシアンのアルバムのご示唆を頂きました。
確かにロジャー・ウォーターズの「ザ・ウォール・ライブ」、スノーウィ・ホワイトの「ブルース・ライブ・アルバム=Snowy White Blues Project/in Our Time...Live」などは取り上げたんですが、やっぱりロック話は少々粗になっていました。
ところで、このデビット・ミナシアン David Minasian ですが、あのキャメルの二番煎じであることは間違いない(特にアンディ・ラティマー主導の後期キャメル)。しかし決して悪いアルバムではないと・・・・・・、そうは思っていたんですが、ここでは取り上げなかったんですね。この彼のアルバムは手元にありますのでやっぱりここで取り上げておきます。
「DAVID MINASIAN / Randaom Acts of Beauty」 ProgRock Records PRR-843 , 2010
とにかくキャメルですね。しかも冒頭の12分を超える”Masquerade”という曲では、キャメルのギタリストのアンディ・ラティマーAndrew Latimer がフューチャーリングされていて、彼のギターとヴォーカルが聴けるのです。なにせ、私のロックの歴史においても重要なアンディが重病の為、キャメルのニュー・アルバムにはここ何年とお目にかかれずいる訳ですが、確かにこのアルバムに1曲のみですが、登場したことは重大ニュースでした。最近の情報だと彼は骨髄移植を受けて成功したと言われていて、と言うことは白血病であったか?と想像はするのですが、四肢の機能異常もあるとか?、それでも実は今か今かとキャメルのニュー・アルバムを待っているのが現実です。
さて、このデビッド・ミナシアンのアルバムですが、彼はクレジットをみるとマルチ・プレイヤーと言っても、それは並のものでない。主としてはキーボード・プレイであるが、それも grand piano, mellotron, harpsicord, moog, organ などなどが挙げられ、その他 Cello, Violin, oboe, flute ,clarinet そして Guitar , Bass ,Drums など、いってみれば全楽器をこなすといった恐ろしさだ。彼はもともと5歳の時からピアノをひき始め、音楽の道のプロへの試みもあったようだが、映像もののプロデュースの道が主たる活動の場となった。しかし映画のサウンドトラックなども製作し、音楽の才能と技能はやはり十分にあったようだ。キャメルとの関係は特に映像もののディレクターとして活躍した。
そんな関係からアンディ・ラティマーとも交流があって、そして親友となり今回のアルバムにも繋がったわけだが、それ以前にも1984年には、「Tales of Heroes and Lovers 」というアルバムをリリースしている。このアルバムはイエスのアルバムを思わせるジャケ・デザインで、もともと彼はシンフォニック・ロックに興味があったと言っていいのだろう(私は未聴)。
とにかく、ジェネシス、イエス、ジェスロ・タル、ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、ルネッサンスなどなどプログレッシブ・ロック・バンドにインスパイヤーされていたということで、当然キャメルには大きな影響を受けている。そしてこのキャメルばりのアルバムの出現は自然な姿と言うところであろう。
1. Masquerade
2. Chambermaid
3. Strorming the castle
4. Blue rain
5. Frozen in time
6. Summer's end
7. Dark waters
収録は7曲であるが、5.の”Frozen in time”は14分を超える壮大なインスト曲だ(ここではアコースティック・ギター、アコースティック・ピアノも気持ちよく聴ける)。 そしてこのアルバムの曲群は彼のキーボードがうねりにうねって流れ、もちろんメロトロンも活躍。そして泣きのギターが押し寄せてくる。とにかくメロデックでシンフォニックで、過去の気分に私なんかは浸ってしまう。1.は先に触れたように、アンディ・ラティマーのギターとヴォーカルが聴かれ、もうキャメルにどっぷり浸かれる。その他の曲のギターも、ラティマー節を聴かせてくれるが、それはなんとデビッドの息子のジャスティン・ミナシアンJustin Minasian が演奏している。3.”Storming the castle”は軽快なリズムも飛び出す。4.”Blue rain”を聴くとヴォーカルも捨てたものではない。
6.の” Summer's end”などは、ほんとに涙ものである。
これこそ死語のプログレッシブ・ロックであって、今となれば懐かしのクラシック・ロックなのだ。そして比較的ゆったりと聴けるロックである。時にこうしたアルバムもいいものだ。
最後に、私流に少々難を申し上げると、どうもこのジャケが良くないのでは?、特にこうしたアルバムにこの女性はいらなかったなぁ~~と思うのである。取り敢えず昔はジャケ買いをした経験からもジャケのデザインには未だに興味があるし、重要に思っている私で・・・こんなところも察して欲しいのである。
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コメント
示唆したつもりはなかったのですが、方向性変えさせてしまって申し訳ありません。
アンディー ラティマーとメロトロンで高齢者狙いの商売かという見方をしていたのですが、5.で魂抜かれました。ワルツから浮遊する流れは、イタリアンPFM的でもあります。はっきりしないボーカルはもう一つですが、ジャスティン ヘイワードも1枚噛んでいるらしいので、その影響かなと。
今は、パラスのXXV聞いてます。これも、2曲目までは、安物のオペレーション マインドクライムかとバカにしてたんですが、5曲目であっちの世界に飛ばされてしまいまい、先に進めません。この歳になってポンプとは、進歩の全くないのがプログレッシブ者です。
投稿: nr | 2011年3月 5日 (土) 23時28分
ジャケに女出すんだったら、肉食ってそうなのより、栄養失調気味に描くべきだと私も思います。
投稿: nr | 2011年3月 5日 (土) 23時30分
nrさんどうもです。キャメル(おっと違ったデビッド・ミナシアンです)と違って、パラスは、なかなか好対照ですが、どっちもこっちこもなかなのもの。
パラスXXVは、昨日、DVDとのカップリング盤を仕入れてきました。仕入れて解ったんですが、もう大分前にこのバンドの話聞いたことあったんですが、そのままでしたね、私は。これ聴いてみて解ります、解ります・・・最初確かにベースが元気ですけどクイーンズライチ(・・ライチと言えば古いおっさんです^^))だ。しかしメタル色加味したポンプと言っていいのか?久々にこの世界にどっぷり浸からせていただきました。やっぱりこうした世界は捨てられません。このバンドの初期から総決算したくなりました。(笑)
投稿: 風呂井戸 | 2011年3月 6日 (日) 15時25分
わっはっは。デビッド・ミナシアンの「Random Acts・・・・」のジャケ話ですが、女性もいらない、土星のような惑星もいらない、当然お城もいらない・・・。そうです、波と水平線の上には暗い空を配置してくれればそれだけでいい。
投稿: 風呂井戸 | 2011年3月 6日 (日) 15時33分