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2011年3月31日 (木)

キャメル CAMEL の一考察 (3) : オフィシャル・ライブ盤の魅力

キャメル演奏の魅力はライブで・・・・

 ブートレグでは多くのライブものがあるのはキャメルも例外ではない。しかしこうしてみるとオフィシャルなものでも、意外にライブ盤が揃ってきているキャメルだ。数枚挙げてみる。

Aliverecord 「CAMEL / A LIVE RECORD ライブ・ファンタジア」GAMA RECORS  POCD-1825/6 , 1978

キャメルの初オフィシャル・ライブ・アルバム。1977年、5thアルバム「Rain Dances」リリースした際に、ゲストとして Mel Collins(Sx, Fl, Clarinet) 、Brian Eno(Key.)など多数迎え、その後ライブも活発に行った。その当時の1974-1977年収録ものである。従って、バーデンス、ラティマー、ウォード、ファーガソンに加えて、Mel Collins, Richard Sinclair が参加している。
 タイミングとしてはこの直後に「Breathless」をリリースしたわけで、初期と第2次キャメルの様子が比較できるアルバムとして面白い。
 過去のヒット曲を並べ、特に「Snow Goose」をDavid Bedford指揮のロンドン・シンフォニー・オーケストラと共演し、全曲2枚目のLPのC、D面に収録している。

Ontheroad1981 「CAMEL / ON THE ROAD 1981 」Camel Production PCCY-01097, 1997

 まあ不思議な言葉であるが、オフィシャル・ブートレグというところで、BBC音源によるアルバム「NUDE」リリース後のツァー収録である(1981年4月ハーマンスミス・オデオン(ロンドン))。

 これはラティマーによるライブ盤リリース活動の一環で、十数年後の1997年になってのリリースものだ。この時は既にバーデンスは抜けていて、オリジナル・メンバーはAndrew LatimerとAndy Wardのみ。BassにColin Bassが登場している。彼は「リモート・ロマンス」から参加して既に重要なメンバーになっている。他はKit WatkinsとJan SchelhaasのKeyboardsだ。つまりバンド:キャメルもいよいよラティマー主導のものとして動いていることが判る。
 収録曲は”never let go”でスタートするが、主として「NUDE」からの10曲であり、アルバムでは Mel Colinsのフルート、サックスが入るが、このライブでは既にいない。

Pressurepointcd 「CAMEL / PRESSURE POINTS~Live in Concert」Esoteric Recordings ECLEC 22162,  2009

 前回紹介した1984年の「Stationary Traveller」リリース後映像盤(LD)でお目見えした5月11日、Hammersmth Odeon のライブもののCD盤。しかもこの"ECLEC 22162"は、24-bit リマスター盤でサウンドも向上し収録曲も6曲追加の全16曲で2009年にCD2枚組でリリースされたもの。LD映像盤よりも3曲多い。
 この時のキャメルは実に中身が濃い演奏であった。いや過去に於ける最高のスタッフと演奏を行ったと言ってもいい。特に既にバンドから離れていた Mel Collins (Sax) とPete Bardens (Organ)もゲスト参加している。従って Keyboards が4人スタッフと豪華で、Andy Latimer のギターも冴え渡る。
 内容は、過去のヒット曲集とアルバム「Stationary Traveller」からの曲であり、初のオフィシャル映像盤としても収録したことよりも、かなり力の入ったライブもの。
 この活動で、キャメルは一端幕を閉じたわけで、そんな意志の入ったライブものとして見ると、なかなか感動ものである。キャメル・ファンとしては必聴盤。

Neverletgo 「CAMEL / NEVER LETGO」 CAMEL Productions CP-004CD , 1993

 この盤はあのアルバム「怒りの葡萄 Dust and Dreams」リリース後のライブもの。いわゆるオフィシャル・ブートレグである。
 既に、ラティマー・キャメルとなっての完成域に入っている。
 これは前回にも取り上げているので参照して欲しい。

Commingofage 「CAMEL / COMING OF AGE」 CAMEL Productions PCCY-01232 , 1998

アルバム「怒りの葡萄」で復活を遂げたラティマー率いるキャメルは、コンセプト・プログレ・アルバムの型を完成させた。
 そして4年後の1996年には、ラティマー自身のルーツであるアイルランドの歴史にみる悲劇の舞台を描くに至ったアルバム「Harbour of Tears :港町コーヴの物語」をリリースし、そして97年のワールド・ツアーよりのライブ録音もの。このツアーは日本でも大阪、名古屋、東京、川崎と訪れ歓迎された。ここに収録されたものは、3月13日カルフォルニアはロスのBillboard Live である。
 とにかく精力的ライブで、なんと30曲披露。その中、28曲がこのライブ盤で聴ける(CD2枚組)。過去のアルバムからのヒット曲12曲に加え、「怒りの葡萄」から4曲。そして「ハーバー・オブ・ティアーズ」から12曲で、あの”父に捧げる詩”で幕を閉じる。
 メンバーは、アンディ・ラティマーとコリン・バースのコンビは当然で、それにFoss Patterson(Key. Vo.) と Dave Stewart(Drums)である。もともと哀愁と美しいメロディのアルバム「ハーバー・オブ・ティアーズ」であり、このライブ盤でも後半はじっくりとアイルランドの風土からの曲の流れに我々を導いてくれる。
 
 

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2011年3月26日 (土)

キャメル CAMEL の一考察(2) : アンディ・ラティマーの築いた世界「怒りの葡萄」

8年の沈黙を経て名盤「DUST AND DREAM 怒りの葡萄」のリリース
                                                                       Andrewlatimer2          アンディ・ラティマーの奮戦によって1984年10thアルバム「Stationary traveller」のリリースが出来たキャメルであったが、既にここに来ては、かってのキャメルではなかった。このバンドの原点メンバーであり、そしてただ一人の残党あるアンディ・ラティマー主導のコンセプト・アルバムとして作り上げられ、そしてこのスタイルはむしろ私にとっては歓迎であった。それはまさにニュー・キャメルであったのだ。
 彼は直ちにこのアルバムをひっさげてツアーに出る。
 バンド・メンバーは、Andy Latimer(Guitar, Vocal)、 Colin Bass(bass)Paul Burgess(drums)、Ton Scheppenzeel(keyboards)、Chris Rainbow(vo. , key)の5名に、なんと既にキャメルから去っていた Pete Bardensと Mel Colins が加わって花を添えている。
 そしてそのライブの模様は、キャメル初めてのオフィシャル映像のLD(レーザー・ディスク)盤としてリリースされた。

Ldpressurep_2  「CAMEL / PRESSURE POINTS~LIVE IN CONCERT (PolyGram SM037-3345)
 この80年代の当時でもなかなかキャメルの映像はレアであったが、ここに素晴らしい映像とサウンドで我々の前に出現したのだった。
 あの哀愁の曲”stationary traveller” では、ラティマーのギターが泣き、Pan Pipesの音が心に響く。かってのヒット曲”rhayader”、”rhayader goes to town”、”Lady fantasy”なども演奏されるが(”Lady fantasy”の盛り上がりは凄い、アルバムとは比較にならない出来であった。ライブの醍醐味そのもの)、ライブ会場全体の印象は、詰めかけたオーディエンスにとって何か心打つライブであった。当時公にはなっていなかったが、多分メンバーは心に決めていた”キャメルの幕引き”のライブであったのだ。
 そして私には感動で迎えた1984年のキャメルであったが・・・・、これが見納めになることが後に明らかになったのだった。

Dustanddreams  しかし。簡単に事は終わらない。このキャメルの消えた1984年から8年という長い経過を経て、遂にキャメル復活のニュースが聴かれ、ここに出現したのが・・・・

「CAMEL / DUST AND DREAMS 怒りの葡萄」 Camel productions CP-001CD , 1992

 わたしにとっては衝撃であった。あの名作スタインベックの「怒りの葡萄 The Grapes of Wrath」にインスバイヤーされたアルバムの登場であった。資本主義社会の矛盾と陰の部分と人間の力強い生き様と哀愁を描いたこの作品は、あのジョン・フォードによっても映画化もされている(このブログ:2009年11月2日参照)私にとっての貴重な3本の指に入る作品だ。それを主として”staitionary travellar LIVE”のメンバーで作り上げリリースしたのだ。もちろんこれにはラティマーの伴侶のスーザンが協力とサポートが大きく働いている。(このもジャケ・デザインも素晴らしい。砂地に立つ男の子の表情が総べてを物語る。これはロック・アルバム史に残る傑作だと思っている)

 全編ラティマーの渾身の作品が並ぶ。全16曲が一つの世界を描ききる。悲劇の物語のスタート”go west”、”Rose of Sharon”に描かれる青春期女性の人生、”end of the line”のたたずむ道の厳しさ、”hopeless anger”、”whispers in the rain”に描かれる希望と絶望感。
 果たしてこのアルバムは、小説「怒りの葡萄」を知らないものにはどう捉えられるのか?、映画「怒りの葡萄」(残念ながら映画は小説の途中で終わってしまうが)を知らないものにはどう捉えられるか?・・・・このことは私には全く解らない。とにかく私の青春時代にとっては強烈なインパクトのあったこの小説が見事に頭に描かれるこの曲群、素晴らしいの言葉以上では語れない。ロックというジャンルを超えて一歩昇華している。
 ラティマーがこのスタインベックの小説に感動し、数年かけて構想を練った作品であったという。彼が少なくとも私の感動と彼の感動がどこかで一致したことが当時嬉しかったものだ。

Neverletgo  この後、彼はやはりツアーを敢行してステージでも全曲披露している。それが左の2枚組オフィシャル・ブートレグだ。

「CAMEL / NEVER LETGO」 CAMEL Productions CP-004CD, 1993

 このライブでは、1972年からのキャメルのヒット曲”never let go”でスタートし、”rhayader goes to town”、”echoes”、”ice”など登場し、そしてこのアルバム「Dust and Dreams」を再現し、”Lady fantasy”で幕を閉じる。
 ラティマー版キャメルのオンパレード。まだ手にはいるようだったら、録音、演奏もよいので是非ともお勧めである。

Refugee ちょっと、ブートレグの話になるとその気になってしまう私であるので、ここでキャメルの1984年の「Stationary travellar」LIVE の全模様を聴きたかったら、良好のものを紹介しておく。左のAYANAMIの2枚組ブートだ。

「CAMEL / refgee」 Live in utrecht, holland 5/15/1984  , Ayanami-120

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2011年3月24日 (木)

キャメル CAMEL の一考察(1):「スノー・グース」から「ステーショナリー・トラベラー」

叙情派プログレッシブ・ロックという世界を築いた不思議なバンドの変遷

 Minasianのアルバム「Random Acts of Beauty」(このブログ2011.3.4で紹介)で、久々のアンディ・ラティマーのギターが聴けたことで、私のロック史において重要なバンド”キャメルCAMEL”をここで思い起こすわけである。

 そのキャメルは、もともと英国の叙情派プログレッシブ・ロックとしての名声が高いが、結成は1972年、ピンク・フロイドで言うと7thアルバム「雲の影」、キング・クリムゾンでは5thアルバム「Eearthbound 」の頃で、プログレもピークを迎えた頃である。こうしてみると遅咲きの感あるが、重要メンバーのギタリスト、アンディ・ラティマーAndrew Latimer は、既に1968年より”STRANGE BREW”というバンドを始めており、彼自身は英国ロック旋風の新しい流れを求めた中に見い出すことができるのだ。そしてこのバンドの中断や再結成をしている時に、キーボード・プレイヤーを募集し、オーディションに合格したピーター・バーデンスPete Bardensを迎え、このラティマーとバーデンスの出会いこそがバンド”キャメル”を産むことになった。

Snowgoose  そんな経過の中で、何だかんだ言っても、やっぱり我々がキャメルを知り、そして彼らの曲を愛したのは1975年の3rdアルバム
「スノー・グース Music inspired by The Snow Goose / 白雁」(左)
・・・・・・があったからだと言える。

 1stからのオリジナル・メンバー(peter bardens(key.)、 andy latimer(giit.flut.)、 andy word(drum.)、 doug fergusons(bass))が、このアルバムに来て自己のスタイルを完成したと言っていい。バーデンスのムーグ、ハモンドB-3、メロトロン、そしてラティマーのギターとフルートと、当時のプログレ・ファンには納得の構成。そしてポール・ギャリコの短編小説「白雁」の純真な心の通いの世界にインスパイヤーされて、彼らの音楽的センスと技能を駆使して一つの世界を極めた美しき傑作アルバム。

 ところが実は、このアルバムを私はかって初めてLP時代に聴いて以来、未だにロックという感覚にならないんですね。それはオーケストラの導入なども一つの因子かも知れないが、ただそれだけでない、曲のスタイルやメロディーとあまり美しく出来上がったアルバムの構築にて、ロックというよりはイージー・リスニングに近い絵巻物音楽といった方が良いのか?、そんな世界なのだ。それは全くの私の偏見的個人的感覚なんですが。
Camelmember  さて、私のキャメルとのお付き合いの話になるが、そのスタートはやっぱりこの「スノー・グース」からで、その美しさに魅了されたわけだが、逆に1st、2ndにふり戻ってその後聴いてみると、なんと意外に2ndアルバム「ミラージュ(蜃気楼)MIRAGE」(1974年)は、結構ロックだったりする。そしてこれも私は見逃せない名盤だと思うのだ。ライブでは必ず演奏する”Lady Fantasy”は、このアルバムの最後の締めくくりの曲として登場。

 とにかく、このキャメルが日本でも聴かれるようになったのは私の経過と同じように「スノー・グース(白雁)」からと言っていいと思うが、その時はピンク・フロイドは既に「狂気」で一つの頂点を極めた後であり、彼らは自分たちの音楽の次の道に暗中模索するに至り、なんとか2年半ぶりのアルバム「炎」のリリースが出来た時である。一方キング・クリムゾンは、「レッド」をリリースして解散してしまった時である。このようにプログレッシブ・ロック運動は既に一つの収束を得た時であった。こうした時に彼らは逆に注目と期待を浴びて一つの波となり、翌年(1976年)には早速4thアルバム「Moonmadness」をリリースしたのだ。

Statinarytraveller 「CAMEL / Stationary Traveller」 DECCA pocd-1831 ,  1984

 さて、ここにいきなりキャメルのライブものを別にしての10作目を登場させる。つまり「スノー・グス」以降ここに来るまでのキャメルのアルバムは、私にとってはいずれも悪くはないが、その悪くないところが逆に印象が薄いのだ。
 バンド・メンバーもリチャード・シンクレア(bass)、メル・コリンズ(sax,flut)の加入や、当初のバーデンスの脱退などと変遷を経ている。
 そうそう、7thアルバム「I can see Your House from Here リモート・ロマンス」(1979年)はバーデンス+ラティマーから、ラティマーへの転機のアルバムだった(最後のインスト曲”Ice”にはラティマーの世界が開花する。私はこれ一曲で十分だった)。
 1981年には、あの戦後29年もフィリピンで一人戦って来た小野田寛郎をテーマにした8thアルバム「NUDE」のリリースも話題だった。しかしアルバムとしての完成度は高いとは言えず、そのスタイルにおいては中途半端であったと言わざるを得ない。

 そしてこの10作目「Stationary Traveller」に至ると、振り返ってみればスタート時のメンバーはアンディ・ラティマーのみで、彼一人のバンドと化している。更にこのアルバムは”東西ベルリンの悲劇的実情”をテーマにしていたのだ。ラティマーにしてこの問題を描く事の来たるところは何なのか?、一つの大きな疑問に当時向き合うことになったが、以前に小野田寛郎を取り上げたことにも関係していることが後に解ったのだ。
 (members)
      Andy Latimer : guitar, pipes, piano, vocals
      david paton : bass
      paul burgress : drums
      ton scherpenzeel : Key.
      susan hoover : lyrics

 このアルバム、曲を作ったのはラティマーであって、あのかってのキャメルとは一線を画したロック・アルバムの世界に突入していたのだった。これはむしろ”新星ロック・バンド・キャメル”ではないか!。
 それには1977年よりのラティマーの良き伴侶のスーザンSusan Hooverとの関係が重要であることが解った。それは8thアルバム「NUDE」から加わった彼女とラティマーのコンビの結果が、この3作目にしてようやく開花したものでもあったのだ。全ての歌詞はスーザンによって書かれた。彼女の父親の戦争との関わり、それによるのか彼女には戦争に対する問題意識そして反戦・平和思想があり、それがラティマーの触発を促したのだった。
 ラティマーにとっても、コンセプト・アルバムの世界への意欲が充実した。もともと繊細にして内向的でどこか哀愁のあるラティマーの本質が、こうしたアルバム造りへの気持ちと築き上げられた音楽思想に一致をみるに至ったのだ。

(list)
   1. pressure points
   2. refugee
   3. vopos
   4. clock and daggerman
   5. stationary traveller
   6. west berlin
   7. fingertips
   8. missing
   9. after words
  10. long goodbyes


 スタート曲の”pressure points”は、ベースとギターで力強くスタートする。こうゆうパターンもかってのキャメルにはなかった。このアルバムは基本的には力強いドラムスでビートを刻みロックの味付けが前面に出る。しかし3曲目”Vopos”にして、哀しきテーマが流れ、5曲目のインスト曲”stationary travellar”になると美しい旋律が流れ、ラティマーのpan pipesが心を打ち、更に彼のギターが哀愁を帯びる。全編を通じて曲の構成が見事で非の打ち所がない。私はキャメルの一押しの名盤と言いたいところだ。”after words”のピアノも美しい。最後の”long goodbyes”でキャメルは一つの終止符を打つことになってしまうのだが。

 このアルバムは、ラティマー+スーザンのコンビの結実であった。そしてこの後あの名盤「DUST and DREAMS」へは、8年間の空白が襲うのである。
                                  (続く)

(視聴)

 

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2011年3月21日 (月)

「灰とダイアモンド」のアンジェイ・ワイダ氏からの手紙 : 東北関東(東日本)大震災

”ポーランド冷戦下時代の反体制運動家・映画監督”からの日本人への励まし

 今回の大震災の直接的被害を受けなかった私であるが、平静を保ちながらも、何か平常時と違う感覚下にいる。このブログでも平静を保つ事が我々の目下必要なことと思いつつ、音楽などの感想を書いてはみたものの、何か地に足が付いていない。そうした時に、あのアンジェイ・ワイダ氏(このブログのタイトルのよって至るところ)からの励ましの手紙が日本に届いた。
               *        *        *
Andrzej_wajda 日本の友人たちへ。
 このたびの苦難の時に当たって、心の底からご同情申し上げます。深く悲しみをともにすると同時に、称賛の思いも強くしています。恐るべき大災害に皆さんが立ち向かう姿をみると、常に日本人に対して抱き続けてきた尊敬の念を新たにします。その姿は、世界中が見習うべき模範です。
 ポーランドのテレビに映し出される大地震と津波の恐るべき映像。美しい国に途方もない災いが降りかかっています。それを見て、問わずにはいられません。「大自然が与えるこのような残酷非道に対し、人はどう応えたらいいのか」
 私はこう答えるのみです。「こうした経験を積み重ねて、日本人は強くなった。理解を超えた自然の力は、民族の運命であり、民族の生活の一部だという事実を、何世紀にもわたり日本人は受け入れてきた。今度のような悲劇や苦難を乗り越えて日本民族は生き続け、国を再建していくでしょう」
 日本の友人達よ。
 あなた方の国民性の素晴らしい点はすべて、ある事実を常に意識していることとつながっています。すなわち、人はいつ何時、危機に直面して自己の生き方を見直さざるをえなくなるか分からない、という事実です。
 それにもかかわらず、日本人が悲観主義に陥らないのは、驚くべき事であり、また素晴らしいことであります。悲観どころか日本の芸術には生きることへの喜びと楽観があふれています。日本の芸術は人の本質を見事に描き、力強く、様式においても完璧です。
 日本は私にとっては大切な国です。日本での仕事や日本への旅で出会い、個人的に知遇を得た多くの人々。ポーランドの古都クラクフに日本美術・技術センターを建設するのに協力しあった仲間たち。天皇、皇后両殿下に同行してクラクフを訪れた皆さんは、日本とその文化が、ポーランドでいかに尊敬の念をもって見られているか、知っているに違いありません。
 2002年7月の、あの忘れられないご訪問は、私たちにとって記念すべき出来事であり、以来、毎年、私たちの日本美術・技術センターでは記念行事を行ってきました。
 日本の皆さんへ。
 私はあなたたちに思いをはせています。この悪夢が早く終わって、繰り返されないよう、心から願っています。この至難の時を、力強く、決意をもって乗り越えられんことを。
 ワルシャワより、
 アンジェイ・ワイダ

                   (信濃毎日新聞2011.3.21より)
 
 

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2011年3月16日 (水)

ディナ・ディローズ Dena DeRose (2):「STARS / The December 2nd Quartet」

本格的ジャズ・アルバムとして彼女のヴォーカルと演奏が楽しめる

Stars 「STARS / The December 2nd Quartet」 VEGA Records ART-7001 ,   2010

 ディナ・ディローズ(Piano, Vocals)を中心としたカルテットの演奏。彼女の近作(昨年リリース)である。


(personnel)
  "The December 2nd Quartet"
     Dena DeRose : piano , Vocals
     Dominick Farinacci : trumpet , flugelhorn
     Ray Drummond : Bass
     Akira Tana : Drums

     Benny Green : Piano (2.3.8.10)


 ディナと長いつきあいのベースのレイとドラムスのアキラ・タナに、トランペットのドミニクDominick Farinacci をフューチャリングして構成されたカルテット。そして4曲にピアノのベニーが参加している。
Dena1  音楽教職も兼ねて(ウィーンにて教授職)おり、ニュー・ヨークなどでも活躍中の彼女のピアノ弾き語りのジャズ・ヴォーカルは、淀みがなくスマートで、そして知性の感じられるところとして人気がある。
 最近は、2007年、2009年とスタンダード集をリリースしているが、今回のこのカルテットものもなかなか本格的ジャズとしての感覚から、評判が良かったもの。

(List)
   1. a dream is wish your heart makes
   2. stardust
   3. stars
   4. turn out the stars
   5. like a star
   6. stairway to the stars
   7. i wished on the moon
   8. star eyes
   9. stars fell on alabama
  10. when you wish upon a star
  11. what are you doing the rest of your life ?

 彼女のピアノ7曲及びヴォーカルは8曲、インスト曲3曲のオール星と月のテーマ曲で埋められている。楽しいのは、演奏にかなりの工夫とメンバーの実力を網羅しているところだ。そして、そこにディナのヴォーカルが色づけしてゆくパターン。もともと彼女のヴォーカルは、押しつけがましいところがないので、こうした曲作りには打って付けだ。
 なにせ”奇跡の一枚”と銘打っただけのアルバムであり、ちょっとそれは・・・・とも言いたくはなるが、ジャズを代表してのオーソドックスさはピカ一だ。聴きようによってはお手本といっても良いのかも知れない。

 オープニングの曲”a dream is a wish your heart make”では、無音からいきなり彼女の"a dream is ........"と、ヴォーカルでスタートで度肝を抜かれ、確かに予期せず圧倒される。2曲目”star dust”ではドミニクのトランペットによる旋律が流れ、我々には懐かしの世界に導かれる。そしてここではゲスト参加のベニーのピアノがサポートしてよき時代の気分に浸れる。3曲目”stars”では、再びディナのヴォーカルが登場、丁寧な節回しが印象的で、ベニーのピアノも全開する。完成されたジャズ曲の構築が成される。
 4.”turn out the stars”では、今度はディナのピアノ・プレイが堪能できる。5.”like a star”、6.”stairway to the stars”のディナのヴォーカルの安定感は素晴らしい。それに続いてのトランペットへの流れは美しい。7.”i wish on the moon”は、アキラのパーカッションとディナのヴォーカルとピアノが最高の気分にしてくれる。 
 8.”star eyes”は、ヴォーカルなしのテンポの効いた演奏で、続いてのスローなスウィング調の9.”stars fell on alabama”につなぎ、ディナのヴォーカルとピアノでこのアルバムの一つの締めくくりをする。
 10.”when you wish upon a star”は、アンコール的に有名曲を聴かせていただいて納得、11.”what are .........”でカルテットの総決算的演奏を展開してこのアルバムを閉じる。

 いずれにしても完成したジャズ・アルバムである。ここまで出来上がっていると”奇跡”と言いたくなるのかも知れない。
 ディナ・ディローズのアルバムでは、これはジャズを堪能出来るアルバムの最右翼である。そして仮に、彼女のヴォーカルを堪能したいなら、前回紹介したアルバム「A WALK IN THE PARK」であると言っておこう。
 

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2011年3月14日 (月)

3.11東北関東大震災

被災地にて災害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。
日本の力を信じて頑張ってください。

多くの亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
最愛のご家族・ご親戚・御仲間を亡くされた方々につつしんで哀悼の意を表します。

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2011年3月11日 (金)

ディナ・ディローズ Dena DeRose : エレガントな本格ジャズのシンガー・ピアニスト

スタンダード曲のみならず、オリジナルも聴かせる抜群のジャズ・センス

 先日、久々にエヴァ・キャシディEva Cassidyのニュー・アルバムに触れる事が出来、そして同時にかっての彼女の”imagine”もよかったこと思い出して、アルバム「imagine」をあらためて聴いた。更にそうしている中で、そう言えばあまり話題にならないが、ジョン・レノンのこの曲”imagine”に、かってオリジナルと違ったジャズとしての醍醐味を感じ取れたディナ・ディローズDena DeRose の名演奏と歌があったことを思い出したのだ。

Awalkin 「DENA DEROSE / A WALK IN THE PARK」 MAXJAZZ MXJ-502 , 2005

 ピアノの演奏の質も高く、又ヴォーカルも抜群のセンスを発揮するディナ・ディローズDena DeRose は、やっぱりここで一度は取り上げておかねばなるまい。
 彼女は活躍の場はニュー・ヨークだが、米国ニュー・ヨークはBinghamton にて1966年に生まれている。従ってこのアルバムのリリース時は(彼女の5thアルバムとなると思われるが)、39~40歳という円熟時だ。しかし1stアルバム(「Introducing Dena DeRose」Sharp Nine Records)は1998年の32歳という遅咲きであった。
 それには彼女がもともと幼少時よりピアノに接し、クラシカル・ピアノを身につけ、その後広いジャンルに活動したが、1980年代半ばに右手の関節炎、手根菅症候群を煩い、不幸にも活動が不可能となってしまったのだ。しかし数年後に彼女はジャズクラブでヴォーカルに挑戦して、頭角を現すことになる。
 そうこうしているうちに、幸いにも彼女の手の回復もみられ、本来のピアニストとしての技能とヴォーカリストとしての才能が開花することになったのだ。

Denaderose2  ここに挙げたアルバムは、かっての私にとって女性ジャズ・ヴォーカルの良さを教えてくれた(開眼させてくれた)一枚でもある。とにかく知性とセンスと優しさという面ではピカ一。もともとのピアニストとしての味が、全ての曲にそのセンスが生きているのだ。そして冒頭に触れたジョン・レノンの”imagine”を、このようなジャズ曲として生まれ変わらせたセンスに驚きを感じさせてくれたのであった。

(members)
   Dena DeRose : Vocals, Piano & Moog
   Martin Wind : Bass
   Matt Wilson : Drums

                    ・・・・・・・・・のトリオ構成、そして彼女のピアノが快く響く。

(List)
   1. meditation
   2. all my love
   3. how deep is the ocean
   4. home(with you)
   5. all the way
   6. the lonely ones
   7. in the glow of the moon
   8. imagine
   9. a Walk in the park(with james)
  10. i could've told you
  11. i concentrate on you

 全曲、彼女のアレンジであり、4.、7.、9. の3曲は、彼女のオリジナル。この3曲の中では”home(with you)”と”in the glow of the moon” の2曲は特に静かに歌われ、ピアノ・タッチは更に心の安らぎを導き私好み。特に後者は彼女のピアノ演奏が冴える。
 Duke Ellington の6.”the lonely ones”の、ベースからスタートしてドラムスの抑揚そしてピアノとのマッチングが見事で、スローな演奏の中の緊張感は素晴らしい。
 そして、”imagine” は、ジョン・レノンの曲が、こうも昇華してジャズに特化しての味付けがされるのかと驚かされるのだ。この”imagine”は忘れられない。
 冒頭でスウィングし、2曲目の”all my love”で美しいピアノの調べと美しい歌声に圧倒されて、このアルバムの世界に没入するというパターンである。私にとってはジャズ名盤中の名盤。

 このディナ・デローズは近作は昨年のカルテット作「STARS」というアルバムであるが、これもなかなか見逃せない。次回に触れたい。

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2011年3月 4日 (金)

久々のロック話 :キャメルが味わえる デビッド・ミナシアンDavid Minasian / 「Random Acts of Beauty」

まさにキャメルの世界の再現(アンディ・ラティマーも参加)

 このところ、Jazzyなヴォーカルの美女狩りにうつつを抜かしていましたが、なんと昔のパソコン通信といった時代にお世話になった関西の”ロックおじさん”(勿論、パソ通時代はおにいさん)にちょっとおしかりを受けたのか?(笑)、このデビッド・ミナシアンのアルバムのご示唆を頂きました。
 確かにロジャー・ウォーターズの「ザ・ウォール・ライブ」、スノーウィ・ホワイトの「ブルース・ライブ・アルバム=Snowy White Blues Project/in Our Time...Live」などは取り上げたんですが、やっぱりロック話は少々粗になっていました。
 ところで、このデビット・ミナシアン David Minasian ですが、あのキャメルの二番煎じであることは間違いない(特にアンディ・ラティマー主導の後期キャメル)。しかし決して悪いアルバムではないと・・・・・・、そうは思っていたんですが、ここでは取り上げなかったんですね。この彼のアルバムは手元にありますのでやっぱりここで取り上げておきます。

Randomactofbeauty 「DAVID MINASIAN / Randaom Acts of Beauty」 ProgRock Records PRR-843 , 2010

 とにかくキャメルですね。しかも冒頭の12分を超える”Masquerade”という曲では、キャメルのギタリストのアンディ・ラティマーAndrew Latimer がフューチャーリングされていて、彼のギターとヴォーカルが聴けるのです。なにせ、私のロックの歴史においても重要なアンディが重病の為、キャメルのニュー・アルバムにはここ何年とお目にかかれずいる訳ですが、確かにこのアルバムに1曲のみですが、登場したことは重大ニュースでした。最近の情報だと彼は骨髄移植を受けて成功したと言われていて、と言うことは白血病であったか?と想像はするのですが、四肢の機能異常もあるとか?、それでも実は今か今かとキャメルのニュー・アルバムを待っているのが現実です。
 
 さて、このデビッド・ミナシアンのアルバムですが、彼はクレジットをみるとマルチ・プレイヤーと言っても、それは並のものでない。主としてはキーボード・プレイであるが、それも grand piano, mellotron, harpsicord, moog, organ などなどが挙げられ、その他 Cello, Violin, oboe, flute ,clarinet そして Guitar , Bass ,Drums など、いってみれば全楽器をこなすといった恐ろしさだ。彼はもともと5歳の時からピアノをひき始め、音楽の道のプロへの試みもあったようだが、映像もののプロデュースの道が主たる活動の場となった。しかし映画のサウンドトラックなども製作し、音楽の才能と技能はやはり十分にあったようだ。キャメルとの関係は特に映像もののディレクターとして活躍した。
 そんな関係からアンディ・ラティマーとも交流があって、そして親友となり今回のアルバムにも繋がったわけだが、それ以前にも1984年には、「Tales of Heroes and Lovers 」というアルバムをリリースしている。このアルバムはイエスのアルバムを思わせるジャケ・デザインで、もともと彼はシンフォニック・ロックに興味があったと言っていいのだろう(私は未聴)。
 とにかく、ジェネシス、イエス、ジェスロ・タル、ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、ルネッサンスなどなどプログレッシブ・ロック・バンドにインスパイヤーされていたということで、当然キャメルには大きな影響を受けている。そしてこのキャメルばりのアルバムの出現は自然な姿と言うところであろう。

   1. Masquerade
   2. Chambermaid
   3. Strorming the castle
   4. Blue rain
   5. Frozen in time
   6. Summer's end
   7. Dark waters

Davidj  収録は7曲であるが、5.の”Frozen in time”は14分を超える壮大なインスト曲だ(ここではアコースティック・ギター、アコースティック・ピアノも気持ちよく聴ける)。 そしてこのアルバムの曲群は彼のキーボードがうねりにうねって流れ、もちろんメロトロンも活躍。そして泣きのギターが押し寄せてくる。とにかくメロデックでシンフォニックで、過去の気分に私なんかは浸ってしまう。1.は先に触れたように、アンディ・ラティマーのギターとヴォーカルが聴かれ、もうキャメルにどっぷり浸かれる。その他の曲のギターも、ラティマー節を聴かせてくれるが、それはなんとデビッドの息子のジャスティン・ミナシアンJustin Minasian が演奏している。3.”Storming the castle”は軽快なリズムも飛び出す。4.”Blue rain”を聴くとヴォーカルも捨てたものではない。
 6.の” Summer's end”などは、ほんとに涙ものである。

 これこそ死語のプログレッシブ・ロックであって、今となれば懐かしのクラシック・ロックなのだ。そして比較的ゆったりと聴けるロックである。時にこうしたアルバムもいいものだ。
 最後に、私流に少々難を申し上げると、どうもこのジャケが良くないのでは?、特にこうしたアルバムにこの女性はいらなかったなぁ~~と思うのである。取り敢えず昔はジャケ買いをした経験からもジャケのデザインには未だに興味があるし、重要に思っている私で・・・こんなところも察して欲しいのである。

 
 

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2011年3月 3日 (木)

エヴァ・キャシディ Eva Cassidy 15回忌のニュー・アルバム「simply Eva」

生々しいエヴァ・ヴォイスのアコースティック盤

Eva_cassidy  1996年に残念にも悪性黒色腫で33歳で亡くなったエヴァ・キャシディであるが、その15回忌に当たる今年早々にニュー・アルバムの登場となった。しばらく彼女の歌声からも遠ざかっていたのであるが、ロック・ブログを精力的に書いている親愛なるプロフェッサー・ケイ氏から、彼女のアルバムのBBCベスト10入りのニュースを知らされて、遅まきながらニュー・アルバムのリリースを知り、早速アルバムを入手して聴いているわけである。
 とにかく未だに彼女のピュアーな唄声には多くのファンがいて、こうしてニュー・アルバムがリリースされるというのは、関係者の諸々の思惑は別として、又彼女自身がどう思っているかということも別にして、私は取り敢えず歓迎である。

Simply 「Eva Cassidy / simply Eva 」 Blix Street Records G2-10199  2011.1

 とにかく彼女の死後の8枚目のアルバムとなるこのCDは、なんと言うか、やっぱりと言うか、アコースティック版、つまり彼女のスタジオやライブでの彼女自身のギターのソロ演奏と歌の録音盤である。
 かって、後から伴奏を付けたバージョン(アルバム「Somewhere」)もあったが、今回はそうした技巧はこらさずに、ストレートに編集したものと思われる。
 しかし、よくこうした好録音が残っているものだと感心するところだ。これも例の Bill Straw の編集によるもの。

   1. songbird
   2. wayfaring stranger
   3. people get ready
   4. true colour
   5. who knows where the time goes
   6. over the rainbow
   7. kathy's song
   8. san francisco bay blues
   9. wade in the water
  10. time after time
  11. autumn leaves
  12. i know you by heart

 収録曲12曲は、このようにおなじみのもの。そして彼女の弾き語りタイプの唄であり、録音も良く手に取るように彼女の例のピュアーな低音から高音いたるまでの美しい声が迫ってくる。とにかくアコースティック・ギター一本での彼女の歌であるが、ここまで説得力のあるのはやはり卓越した技量の持ち主であったと、今更思うところである。
 私の好きなアルバム「Live at Blues Alley」にも”autumn leaves”が、同様のスタイルで登場するが、どうもこれは別バージョンだ、こちらも悪くない。 ”time after time”も同名のアルバムと類似したバージョン。
 1、2、3、.9の曲はアルバム「Songbird」にやはり登場するが、それはバンドがバックにありそれなりに作られたもので聴き応えは十分あるが、このアルバムのアコースティック版は又結構シンプルでいけるので面白い。とにかく彼女の歌声を実感するにはこの上ないアルバムとなった。
 ”San francisco bay blues”は多分過去のアルバムには登場していなかったと思われるが、はつらつと歌い上げている。
 最後の a capella の54秒という短い”i know you by heart”の生々しさは凄い。うーんこれでこのアルバムを締めるテクニックには脱帽だ。

 久々にエヴァ節に酔ったニュー・アルバムであった。

(試聴) http://www.youtube.com/watch?v=Ce-5OWBNGNw

 

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2011年3月 2日 (水)

ダイアナ・パントン Diana Panton : 評判の癒やし系のヴォーカル

またまたカナダ発の女性ヴォーカリストの注目株

Dianap2  またしてもカナダの女性ヴォーカリストに焦点を当てることになった。最近、ジャズ系雑誌などで名前がちらほら見えてきたダイアナ・パントンだ。どちらかというとシュガー・ヴォイスとか、ガーリッシュ・ボイスとか、更にスゥイートでキュートとか、清楚でプリティーとか表現されていて、なんとなく興味がそそられる。
 一方、私の愛読雑誌の「ジャズ批評」でも、”ジャズ・オーディオ・ディスク大賞2010”のヴォーカル部門の銀賞に挙げられていた。
 そんな時に、友人からも勧められたことがきっかけで、ここに日本にてリリースされた2枚のアルバムを聴いてみることになった。

Pink 「Pink / Diana Panton Trio + 1  ピンク~シークレット・ハート」 ミューザック MZCF-1231 , 2010 (カナダ盤は2009年)

 昨年日本盤デビューのダイアナ・パントンの日本第2弾である(日本盤第1弾は、後でふれる彼女の2007年の2ndアルバム「ムーンライト・セレナーデ~月と星のうた」で、昨年9月にリリース)。実はこの第2弾は御本家カナダでは2009年10月にリリースされた彼女の3rdアルパム、それに2010年11月に日本盤用ボーナス・トラック”secret heart”を録音して追加しリリースされた。
 彼女は19歳の時にベーシストのドン・トンプソンに見いだされた。トンプソンが務めるジャズ教室のワークショップに参加した彼女は、ジャズヴォーカルの虜になる。しかしその後フランスに渡り、パリ大学でフランス文学の学位を取得するという教養も積んでいるようだ。そしてカナダに帰国してから2005年に1stアルバム「・・・yesterday perhaps」でデビューしている。
Pink_pink  従ってこの3rdアルバム「Pink」はその4年後のアルバムということになる。(左がカナダ盤のジャケ~なにかこちらの方が私好み)
 日本デビューからまだ半年であるが、彼女はそれなりのキャリヤーを踏んでいる。

 このダイアナ・パントンの一連のアルバムは、彼女のヴォーカルに、レグ・シュワガーのギターと師匠のドン・トンプソンのベース(ピアノ)のトリオ編成で作られている。そしてこのアルバムになって、イタリアの人気トランペッターのギド・バッソを招いてドラムレスのトリオ・バック・バンドを組んでいる。 

   1. wouldn't it be loverly 素敵でしょうね
   2. my ideal
   3. i walk a little faster
   4. my future just passed
   5. wonder why
   6. me myself and
   7. what ia there to say ?
   8. tea for two 二人でお茶を
   9. please be kind
  10. i wish i knew
  11. they didn't believe me
  12. love-wise
  13. hold me hold me hold me
  14. five minutes more
  15. wait till you see him
  16 secret heart

 比較的マイナーなナンバーが多くじっくり歌い上げる。冒頭からトランペットが響いてジャズ・ムードを盛り上げ、そこに彼女のあまり技巧を凝らしていない可愛い声が耳に優しく入ってくる。そしてなんと全編このパターンで押しまくる。なんとしても彼女の歌声は素直でやや細めの可憐な優しさが特徴的だ。いまやカナダの一つの流行なのか、あのエミリー・クレア・バーロウとも一脈通ずるところがある。こうしたものは癒やし系の愛好家にはたまらないところであろう。
 バック・バンドも静かにゆったりと流れ、ギターの他にヴィヴラフォンも登場して良き時代のジャズ・ムードに導いてくれる。とにかく心が洗われるような曲が展開して良盤であることは間違いない。
 ただ、私好みに若干横から見ると、ちょっと物足りないのは、ジャズ特有の一種の怪しげな危険的ムードがないところか?、そこまで要求するのかと迫ままれば、一歩引いて喝采を浴びせてもいいですけど。

Ifthemoon 「diana panton / if the moon turns green.....ムーンライト・セレナーデ~月と星のうた」 ミューザック MZCF-1229  , 2010 (カナダ 2007年)

 このアルバムが2010年9月に彼女の日本初登場のもの。月と星のラブソング集といったところか。もちろんこのアルバムでも彼女の清楚でソフトで可憐なヴォイスで包み込んでくる。
 アルバム・タイトル曲の”if the moon turns green”では、耳元で囁くように唄いあげて、とにかく慰められるアルバム。ここでもバックの落ち着いたムードある演奏が快感である。まさに月夜と星空の下にて聴いて欲しいと言いたい。

 ここにカナダ発の日本にては新星のジャズ・ヴォーカリストのダイアナ・パントンを聴いての感想を書いた。とにかく安らぎの癒やしを期待したい時にはトップに挙げたいアルバムである。

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