NZ女性ヴォーカル: Brooke Fraser, Whirimako Black
そもそも今年の地震騒ぎはNZ(New Zealand)からだった。あのビル崩壊の悲しい事件。そして3.11には、誰をも現状は想像をもしなかったであろう日本の危機、東日本大震災の悲劇。
そんな時ではあるが、これらの事件とは全く関係ない事情で私に届いたNZ土産の女性ヴォーカル・アルバムの6枚のCD。とにかく聴いてみた。まずはそのうちの2ヴォーカリスト、Brooke Fraser とWhirimako Blackに焦点を当ててみる。
「Brooke Fraser / flags」 columbia , 2010.10
これはニュージランドのシンガーソングライターであるブルック・フレーザーの3rdアルバム。彼女は目下NZでは押しも押されぬポップ界の人気ものとか。日本でも知る人ぞ知るというところのようだ。1983年12月生まれというから現在は27歳というところか。
全て自己の作詞作曲の1stアルバム「What to Do with Daylight」(2003.10)と、米国デビュー・アルバムの2ndアルバム「Albertine」(2006.11)、そしてこの3rdアルバムの3枚を同時に聴いてみたところの感想だが、3枚それぞれ別の個性をみせるが、基本的にはフォーク調のロックの世界ではあるが、しかしどこかに心に響いてくる民族性が感じられる。彼女の父親はフィジー出身のラクビー選手とか。そんな環境が曲に出てくるのか。
そしてやっぱり魅力は彼女の声の質であろう。柔らかく透明感あり聴きやすい。唄い回しも丁寧だ。アコギのみのバックでの唄なども聴きどころである。
歌詞諸々内容的には単なる明るいポップではない。表現によるとCCM(Contemporary Christian Music )という範疇に入るものらしい。
特に2ndアルバムではその点が顕著となる。トップを飾る”shadowfeet”という曲は英文学者でキリスト教伝道者C.S.Lewisの小説からインスパイアされたと言われている。死生観をテーマにしているようだ。
更に、世界の子供をボランティア・寄付・募金により支援している国際NGO団体ワールド・ビジョンの公式アーティストとしても存在しているとか、彼女の世界がこんなところからも見えてくる。
彼女はNZのウェリントン出身ということで、15歳で雑誌記者になって2002年には編集者になったという。その後オークランドを中心に音楽活動に入り、注目を浴びたようだ。
目下リリースされているのはこの3枚のようだが、DVDもカップリングされている特別版もあるようなので、映像ものも見てみたいところ。
ルックスは結構いけてるところもミソなんでしょう。私から見るとやはりフィジーの血をひいている面立ちで、その為というわけではないだろうが、顔が長い方で、イモージェン・ヒープにも似ている印象だが・・・?、そのあたりの感想は各自におまかせのところ。
しかし、日本でも若い者達を中心にもう少し聴かれてもいいアルバムであることは事実である。
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「Whirimako Blake / Soul Sessions」 Mai Music , 2006
年期の入ったジャズ・ヴォーカリストの Whrimako Black です。NZのマオリ族の女性で、1961年生まれというので50歳ですね。びっくりするのは、アルバム・ジャケの写真でも解るように、民族的習慣なのか?口から顎にかけての刺青だ。
それはそれとしてこのアルバムは、殆どジャズの有名スタンダード・ナンバーで埋め尽くされている。
(List)
1. stormy weather*
2. georgia on my mind*
3. good morning heartache
4. black coffee*
5. cry me a river
6. misty*
7. what a differebce a day makes
8. summertime*
9. the look of love
10. our love is hero to stay*
11. autumn leaves*
彼女のアルバムは、2000年から6枚今日までリリースされているようで、このアルバムは5枚目の2006年のもの。
静かに優しく聴かせるムードはなかなかのもの。バック・バンドもギターを中心にゆったりと支えていて気持ちが良い。
又、歌詞は11曲中7曲(*印)がマオリ語で歌われていて(残りは英語)、これまた一種独特のジャズとはいえ、ソウルっぽいし、トラディショナルな世界も感じられ面白い。これはなかなか掘り出し物だ。
”cry me a river”は、flugelhornから始まり、guitarが静かにバツクを務め、じっくりと歌い上げ、後半は独特な節回しがなされて魅力あるものに仕上がっている。”the look of love ”は、昔のセルジオ・メンデス調を思い出させるが、これも又ヴォーカルが主体で聴かせる。それぞれの曲のこうした作りは日本で言うと民謡調といえる気分があって好感が持てる。”autumn leaves”は誰もが唄うところであるが、マウイ語でちょっと違った気分で聴けるところがミソ。
先にも書いたが、やっぱりこれは私にとっては掘り出し物の世界で、もう少し別のアルバムも聴いてみたくなったところである。
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