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2011年4月 1日 (金)

キャメル CAMEL の一考察(4) : 哀愁の2枚「ハーバー・オブ・ティアーズ」、「ラージャーズ」

アンディ・ラテイマーの絶好調~哀愁の美

Harbouroftears 「CAMEL / Harbour of tears ハーバー・オブ・ティアーズ-港町コーヴの物語-」 Camel Productions PCCY-00864 , 1996

 ライブ・アルバムを抜くと12thアルバムとなる。アンディ・ラティマーのコンセプト・アルバムの3作目といってもいい。アイルランドにおけるラティマーの祖母が体験した哀しき一家離散の悲劇がテーマ。
 彼の父親の死によって、彼のルーツを探ってゆくうちに、英国により征服されたアイルランドの悲劇を知った。それはアイルランド人が英国の植民地に追い立てられるように移住させられるということで、祖国を捨て家族は離散するアイルランドの歴史的民族悲劇を取り上げたのだ。
 オープニングの曲”Irish air”はアイルランドの民族の歌である。いきなり無伴奏で女性ヴォーカル(メイ・マッケンナ)が聴かれ、そしてそれを支えるが如く同曲をインストゥルメンタルで続いてバンドが演奏し、フルート、ギターを中心に旋律を語り、物語が始まる。
 全曲ラティマーが作り、良き伴侶のスーザン・フーヴァーが歌詞を担当している。
 作品の印象は、アルバム「Dust and Dreams」の続編的哀愁のアルバムであるが、そこには美しさがあり見事である。中間部の曲”Under the moon”では、ラティマーのソロ・ギターの音は涙ものである。
 このアルバムのライナー・ノーツを担当した伊藤政則は、”涙の港と呼ばれたコーヴから旅立った人々は、そのコーヴの港を遠くの沖の船の上から眺め、水平線に消えようとするエメラルドの祖国を記憶の中に刻み込もうとしたに違いない。・・・・コーヴは、その美しい海に多くの人々の涙を飲み込んできたのである”と記している。彼にとってもこのアルバムは大きなインパクトがあったと推測する。

Rajaz 「CAMEL / Rajaz  ラージャーズ-別れの詩-」Camel Productions PCCY-01414,  1999

 前作から3年の経過でリリースされた13thアルバム。アンディ・ラティマーが彼とスーザンとの共作によるコンセプト・アルバム前3作から又一歩飛躍した感のある作品。
 実は、私はこのアルバムを聴いた当時は、”おやこれでラティマーはキャメルを封印するのか?”と思った内容だった。
 砂漠に連なるラクダの隊商、そこに流れる静かにして苦労に耐える姿と、会っては分かれる彼らの祈りにも似たRajaz(詩)が流れる。そんな情景を描きつつ、ラティマーは一つの区切りをつけたと思う。
 メンバーは、ラティマーに加えてベースのcolibn bassは長いコンビ。そして ton scherpenzeel(key.), dave stewart(drums) が参加、更にbarry phillips のチェロが加わる。

Andrewlatimer1  曲は”the final encore”では、キャメルの過去の曲名を繋いで詩を作り上げ、4曲目の”Rajaz”は、ラティマーの総決算の曲だ。アコースティック・ギターから始まり彼のヴォーカル、そしてチェロとフルートの響きが哀愁を帯び、最後に彼のエレクトリック・ギターが感動を呼ぶ。なんと”6曲目の”straight to my heart”では、彼の自伝を語っている。”sahara”というインスト曲は、彼のヴォーカルと感想のギターが美しい。最後の曲”lawrence”では、静かに消えゆく姿をイメージさせ、このアルバムを閉じる。

 おそらく今でも私はそう思うのだが、ラティマーは自己の主導によってコンセプトアルバムを過去(1980年代から90年代に)に作り上げた。そしてこのアルバムでは、全ての曲を作り、歌詞をスーザンとともに書き、全てを自分のヴォーカルにして、キャメルの締めくくりをしたと思われるのだ。
 そして美しい哀愁のある曲を彼の演奏でたっぷり聴かせ、まさに曲の歌詞と言い、演奏と言い、その内容はスーザンが言うとおり”Farewell”であった。
 キャメルの”さよなら”であった。

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