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2011年4月27日 (水)

これは期待の新人サスキア・ブルーイン Saskia Bruin :「Step Inside Love」

魅力の大人のムード漂うジャズ・ヴォーカル

Stepinsidelove_3 「Saskia Bruin / Step Inside Love」 Rip Curl Recordings RCIP-0152 , 2011

 久々にこれはと思う女性ジャズ・ヴォーカルに巡り会った感じだ。オランダ出身で、1987年より英国で活動というから誕生日は解らないが、まあ30代以上は間違いなさそうで、これまた遅咲きか?なかなか味のある唄が聴ける。日本初登場。
 早く言うとダイアナ・クラール調であるが、声の質は若干違う。なかなか低音は豊かで魅力あり、又中から高音域はニッキ・パロットに似たところがある。
 曲の流れはゆったりと心地よくマイルドに、そしてややけだるさもあって、主としてボサノバ・リズムを聴かせてくれる。

(members)
   saskia bruin (vo)
   chris ingham (p)
   andrew j.brown (b)
   russell morgan (ds)
   colin watling (ss)
   phil brooke (g)
   andy watson (g)
   heinz hunt (ts)

 バックの演奏は、これまた控えめで静かにムードを盛り上げる。流れるようなピアノ、それにギターが絡みながら旋律を奏でて気持ちの良い曲を作る。もちろん曲によってサックスも登場。かなり充実している。
Saskia2  彼女自身ピアノ、サックスもこなすと言うし、又もともと魅惑的ラテンサウンドにインスパイヤーされ、クールジャズの世界にも影響を受けてきたらしい。

(list)
   1. the look of love
   2. fell like making love
   3. virginia moon
   4. comes love
   5. estale
   6. step lnside love
   7. i got lost in his arms
   8. and we will fly
   9. once i loved
  10. wondering
  11. you're my thrill
  12. close your eyes
  13. call me
  14 i can't give you anything but love
    (13,14はボーナス・トラック)

 選曲はなかなか名曲が並んでいる。アルバム・タイトル曲”step inside love”はビートルズの曲だが、6番目に登場してなかなか彼女自身の解釈を推し進めて、この曲でも落ち着いた癒し系ヴォーカルを聴かせるのだ。スタート曲はおなじみバカラックの”the look of love”だが、冒頭から出来るだけぬくもり感のあるゆったりとした仕上げで、表現によってはウィスパー調というのかそんな歌声で引き込んでゆく。
 そして立派なのは、最初から最後までこのパターンで押し切っている。それなのに飽きさせないのが不思議なくらいだ。最後の”close your eyes”では、納得の低音ヴォーカルが聴かれる。

 とにかく、まだまだ日本への情報は少ないアーティストだ。このアルバムも2009年の自主製作盤(英国)と思われる。実はその道の通が日本に持ち込んで話題になり、ボーナス・トラックを追加して今年のリリースになったようだ。それも本国より日本での評価が高いとも窺える。このアルバムのパターンは、取り敢えず私好みであるのだが、多分ジャズ・ヴォーカル愛好家にはそれなりの評判をこれから更に勝ち取るであろうと予想される。そんな意味でも今後に期待の一枚であったが、気になるのは本国英国での成り行きだ。日本から大いにサポートしていくのも良いのかもしれない。
 最後に、これを紹介してくれた友人に感謝する。

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2011年4月26日 (火)

ウィズイン・テンプテーション Within Temptation のニュー・アルバム「The Unforgiving」

ゴシック・メタルからポップ化したロックへの変身は、いやに評判が良い!

Unforgiving 「Within Temptation / The Unforgiving」 ROADRUNNER Records 1686-179172 ,  2011

 待望のオランダのウィズイン・テンプテーションのニュー・アルバムの登場。女性ヴォーカルを立ててのバンドの宿命か?、シャロン嬢(もう”嬢”というのはやめようか)の出産(第2子だと思ったが)のため前作から4年経過しニュー・アルバムが完成した。
 このところ新作までの埋め合わせと言うことか?、ライブ盤が登場し、しかも一昨年にはアコースティック・バージョンという意外なライブ・バージョンも我々の手にもたらされたのだが(当ブログ2010.3.16”ウィズイン・テンプテーションのアコースティック・スタイルの賛否両論”参照)、その後このバンドがどんな方向に向かうのか、それなりに興味があったところである。

 まず、結論から言ってしまうと、なんとあの荘厳で叙情的とも表現されたシンフォニック・コジック・メタルからポップなシンフォニック・ロックへの変身だ。しかもジャケは、ここに見るようにかってのイメージからは想像できなかった意外なものになっている。
 どうも今度のアルバムはコミックのストーリーに沿って製作されたコンセプト・アルバムだというのだ。

Wtband2011 バンド・メンバーは左の5人になって、かってのツイン・ギターとキーボード、ベース、ドラムスとシャロンのヴォーカルの6人バンドから、ドラムスのステファン・ファン・ハストレットが消えている。

 冒頭にストリングスとオーケストラをバックにナレーションが入り、彼らの得意なコシック系の異様空間に導いてくれるかと思いきや、2曲目から最後の12曲目まで一気にオーケストラとのシンフォニック世界は吹っ飛んで、ポップに、軽快なロックに圧倒される。これならキーボードにバックをまかせてオーケストラはいらなかったのでは?とも言いたくなる。
 はっきり言うと、私の期待とは全く別の世界。しかし逆にこの快走感は見事と言いたくなる。
Sharondenadel2  9曲目のアコーステック・ギターとシャロンのヴォーカルから始まる”Lost”は、このアルバムでは唯一ゆったりとしたリズムで聴ける。
 しかし恐るべきは、このアルバムに登場する曲が、それぞれ見事なメロディー・ラインを持ち、ロック感覚に花咲いて完成度が高い。恐ろしやウィズイン・テンプテーションというところだ。
 
 さて結論的にこのアルバムの評価となると・・・・、う~~ん、私にとっては壮大で荘厳なそしてコシックな異様空間のシンフォニツク・ロックを期待していた人間にとっては、ちょっと寂しさがある。シャロン・デン・アデルのヴォーカルも、語り聴かせるような部分ももう少し取り入れて欲しかったなぁ~~と、若干残念なのである。
 しかし、しかし・・・・・、この線はメロディーが極めて解りやすく、バンド演奏もオーケストラと共にシンフォニック・ハードポップといっていい万人向けの格好良いロックになっている。そうそう、これはこれ楽しむという意味においては最高クラスであり、世界に広くアッピール出来るアルバムであったと言っておこう。多分ヒット・チャートでも過去を凌ぐところに至るだろう事は間違いない。
 

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2011年4月23日 (土)

サンタナ SANTANA (7) : 初期サンタナ「On the road to Woodstock」

原点の楽しさはここにあり・・・・

Ontheroadtow 「SANTANA / On the road to Woodstock 」 Rokarola Records 250283 ,  2011

 近年はロック、ジャズ(ブルースを含めて)などを始め多くのミュージシャンと演奏を楽しんでいるカルロス・サンタナCarlos Santana ではあるが、やはり彼の原点であるサンタナ・ブルース・バンドからラテン・ロックと言われたあの1969年のウッドストックの衝撃的デビューまでの初期バンドであるサンタナの姿に、今でも多くのファンがいることは事実だ(私を含めて)。そんな事情で今年も又ウッドストック・デビューまでの彼の姿を浮き彫りにするアルバムが40年以上経ったとはいえこのように登場しているのだ。

 いずれにしても、キーボード・プレイヤーでヴォーカリストであったグレック・ローリーGregg Rolie とジャム・セッションで知り合ってから、サンタナは友人を集めて”サンタナ・ブルース・バンド”を結成したのは1966年。
Earlysantana  そして1967年には、オーナーのビル・グレアムのリードで、ブルースからラテン・ロックへと方向を変え、バンド”サンタナ”として活動開始。その後マイク・シュリーブ(dr.)、ホセ・チェピート・アリアス(per.)などの加入で6人バンドであの歴史的1969年ウッドストック・フェスティバルに参戦、衝撃的デビューを飾った。同時に発売された1stアルバムは圧倒的支持を得た。
 こんなデビュー直前の彼らの演奏を集めたのがこのアルバムだ(以前に1968年フィルモア・ライブ・アルバム「Live at the Filmore'68」を紹介したが(当ブログ2010.1.30参照)、これはスタジオ録音が中心)。

Ontheroadlist  収録曲は左のとおりのCD2枚組で19曲(クリックにて拡大)の142分に及ぶ。
 CD1は、初期バージョンの”soul sacrifice ”からスタート。この曲は意外に録音も良い。”acapulco sunrise”、”let's get ourselves together ”と2、3曲目を聴いてみると、やはりサンタナのギターとグローリーのキーボードが主力である様子が良く解る。”latin tropical”、”el corason madara”は双方とも11分を超える曲であるが、ラテン・リズムをベースにJazzyな演奏でなかなか面白い。又サンタナのギター・サウンドも荒削りとはいえ唸り挙げてなかなか名演、そして近年の音とは違うところが聴きどころ。”la puesta del sol”も10分越えの演奏を展開してじっくり盛り上げていくところはジャズ的手法を展開。おなじみ”jingo”も10分に迫る演奏だ。今こうして初期のものを聴いてみると、パーカッションとベースで刻むリズムを延々と続けるところがなかなか新鮮で良い。
 CD2は、トップの”santana jam”が14分の演奏で楽しませてくれる。これは是非サンタナ・ファンには聴いて欲しい。”fried neckbones and home fries”は文句なしの貴重版。”as the years go by”は、後半サンタナの泣きギタターが登場。”trvelin' blues”はサンタナのブルース・ギターに堪能出来る。最後の”jammin' home”はこの時代のサンタナを象徴した演奏だ、一聴してほしいところ。

 とにかく、こうした録音が現在公開してくれることは歓迎だ。音質は古い録音ものとは言え、やや硬いがクリアであり文句は言えない。いやはや懐かしさ満点のアルバムであり、サンタナ・ファンにはお勧め盤。

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2011年4月20日 (水)

好評のルーマー Rumer 「SEASON OF MY SOUL」

遅咲きとはいえフレッシュ感あり・・・・・

 単なるポピュラーと言うにはちょっと特異なジャンルになりそうなデビュー・アルバムが登場した。あのカーペンターズを思い起こさせるバート・バカラック推薦の英国からの新人女性ヴォーカリストのお目見えだ。

Seasonsofmy 「Rumer / SEASONS OF MY SOUL」 ATLANTIC 5052498455225 , 2011

 うたい文句は”あなたを包む、イノセントな歌声”というところだ。既に今年32歳になるルーマー Rumer (本名 Sarah Joyce) は、シンガーソングライターで、このアルバム収録11曲の殆どの曲を書いている。
 確かに中・高音部はあのカレンを一瞬想像させるところもあるが、低音部はややハスキーになる。いずれにしても確かに評判どおりの魅力を秘めた声の質であることは事実。

 オープニングの”am i forgiven”を聴くと、ポップスそのものの印象であるが、2曲目”come to me high”から、何となく陰影のある曲に変わる。3曲目はヒット曲の”slow”、この曲あたりからゆったりとそしてじっくりと心に訴えるように聴かせる。
 そしてアルバム中盤の”aretha”あたりは美しく響き、”thankful”に続いて”healer”の2曲は悲しみと幸せの裏腹の2面を聴かせているように感ずる。
 いずれにしても曲の質は、基本的にはポップスであり、しかしややソウルっぽいところもあるも静かにメロディアスに流がして聴かせるテクニックは見事。最後の”goodbye girl”は4thシングルであるが、ビック・ヒットとなっているようだ。広がり感のある唄で好感の持てる仕上がり。

1  簡単に言うとどうも彼女の自叙伝的展開にアルバムは作られている。彼女の人生を語ると多彩な事に驚かされる。そしてそうしたところからのこのアルバムの流れは展開していることが解る。
 ロンドンを活躍の場としていたわけだが、そもそも幼少期は父親の仕事からパキスタンからの人生だとか。7人兄弟姉妹の末っ子で、兄弟から音楽は学んだようだ。
 諸々人間を変えたり作り上げたりする事件はいろいろと多いが、彼女の場合、両親の離婚、真の父親は別人であったとか、更に母親の死など悲観的事実がある中での多種多彩に渡る仕事をこなしたりと、人生の道には語ることが山ほどあるようだ。
 こうしたネガティブ環境であるにもかかわらず、逆に彼女の才能が築かれそして生きて作られた曲群がこのアルバムを構成しているとみていい。

 時には、こうしたあまり普段接していない分野のアルバムを聴いてみるのも悪くはない。その中でのこのルーマーのアルバムは、彼女の30歳過ぎてのデビュー作であるが、ここまで一つの世界を作り上げてしまうと、次作はどうなってしまうのか?なんて余計なことも気になるとある人には言わせるほどの出来の良さであった。しかし遅咲きではあるが、私にとっては印象は結構フレッシュであったと思ったことを付け加えておく。

2
(花の季節 : 「しだれ桜」 = 我が家の庭から・・・・)

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2011年4月18日 (月)

信州の春は杏(あんず)の花から・・・・

今年は一週間遅れで・・・・・・

 信州でも、北の地方は春は杏(あんず)の花からスタートする。
 今年は、ここ数年では最も遅い開花だった。しかし確実に春は訪れている。

Dsc_0205_2

Dsc_0198

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ところで、我が家の”しだれ桜”は・・・・・・・
       ようやく蕾もふくらんで、いよいよ今日は開き始めた。

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2011年4月17日 (日)

NZ女性ヴォーカル: Brooke Fraser, Whirimako Black

 そもそも今年の地震騒ぎはNZ(New Zealand)からだった。あのビル崩壊の悲しい事件。そして3.11には、誰をも現状は想像をもしなかったであろう日本の危機、東日本大震災の悲劇。
 そんな時ではあるが、これらの事件とは全く関係ない事情で私に届いたNZ土産の女性ヴォーカル・アルバムの6枚のCD。とにかく聴いてみた。まずはそのうちの2ヴォーカリスト、Brooke Fraser とWhirimako Blackに焦点を当ててみる。

Brookefraserflags  「Brooke Fraser / flags」 columbia ,  2010.10

 これはニュージランドのシンガーソングライターであるブルック・フレーザーの3rdアルバム。彼女は目下NZでは押しも押されぬポップ界の人気ものとか。日本でも知る人ぞ知るというところのようだ。1983年12月生まれというから現在は27歳というところか。

 全て自己の作詞作曲の1stアルバム「What to Do with Daylight」(2003.10)と、米国デビュー・アルバムの2ndアルバム「Albertine」(2006.11)、そしてこの3rdアルバムの3枚を同時に聴いてみたところの感想だが、3枚それぞれ別の個性をみせるが、基本的にはフォーク調のロックの世界ではあるが、しかしどこかに心に響いてくる民族性が感じられる。彼女の父親はフィジー出身のラクビー選手とか。そんな環境が曲に出てくるのか。
Whattodowithdaylight Albertine  そしてやっぱり魅力は彼女の声の質であろう。柔らかく透明感あり聴きやすい。唄い回しも丁寧だ。アコギのみのバックでの唄なども聴きどころである。
Brooke_fraser  歌詞諸々内容的には単なる明るいポップではない。表現によるとCCM(Contemporary Christian Music )という範疇に入るものらしい。
 特に2ndアルバムではその点が顕著となる。トップを飾る”shadowfeet”という曲は英文学者でキリスト教伝道者C.S.Lewisの小説からインスパイアされたと言われている。死生観をテーマにしているようだ。
 更に、世界の子供をボランティア・寄付・募金により支援している国際NGO団体ワールド・ビジョンの公式アーティストとしても存在しているとか、彼女の世界がこんなところからも見えてくる。

 彼女はNZのウェリントン出身ということで、15歳で雑誌記者になって2002年には編集者になったという。その後オークランドを中心に音楽活動に入り、注目を浴びたようだ。
 目下リリースされているのはこの3枚のようだが、DVDもカップリングされている特別版もあるようなので、映像ものも見てみたいところ。
 ルックスは結構いけてるところもミソなんでしょう。私から見るとやはりフィジーの血をひいている面立ちで、その為というわけではないだろうが、顔が長い方で、イモージェン・ヒープにも似ている印象だが・・・?、そのあたりの感想は各自におまかせのところ。
 しかし、日本でも若い者達を中心にもう少し聴かれてもいいアルバムであることは事実である。

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Whirimakoblacksoulsessions  「Whirimako Blake / Soul Sessions」 Mai Music , 2006

 年期の入ったジャズ・ヴォーカリストの Whrimako Black です。NZのマオリ族の女性で、1961年生まれというので50歳ですね。びっくりするのは、アルバム・ジャケの写真でも解るように、民族的習慣なのか?口から顎にかけての刺青だ。
 それはそれとしてこのアルバムは、殆どジャズの有名スタンダード・ナンバーで埋め尽くされている。
 
 (List)
   1. stormy weather*
   2. georgia on my mind*
   3. good morning heartache
   4. black coffee*
   5. cry me a river
   6. misty*
   7. what a differebce a day makes
   8. summertime*
   9. the look of love
  10. our love is hero to stay*
  11. autumn leaves*

 彼女のアルバムは、2000年から6枚今日までリリースされているようで、このアルバムは5枚目の2006年のもの。

Whirimakoblack  静かに優しく聴かせるムードはなかなかのもの。バック・バンドもギターを中心にゆったりと支えていて気持ちが良い。
 又、歌詞は11曲中7曲(*印)がマオリ語で歌われていて(残りは英語)、これまた一種独特のジャズとはいえ、ソウルっぽいし、トラディショナルな世界も感じられ面白い。これはなかなか掘り出し物だ。
 ”cry me a river”は、flugelhornから始まり、guitarが静かにバツクを務め、じっくりと歌い上げ、後半は独特な節回しがなされて魅力あるものに仕上がっている。”the look of love ”は、昔のセルジオ・メンデス調を思い出させるが、これも又ヴォーカルが主体で聴かせる。それぞれの曲のこうした作りは日本で言うと民謡調といえる気分があって好感が持てる。”autumn leaves”は誰もが唄うところであるが、マウイ語でちょっと違った気分で聴けるところがミソ。

 先にも書いたが、やっぱりこれは私にとっては掘り出し物の世界で、もう少し別のアルバムも聴いてみたくなったところである。

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2011年4月10日 (日)

美しいものは無条件に受け入れます : シャロン・コアーSharon Corr 「deam of you」

遅まきながら、お姉さんの歌声を聴かせていただきました

267pxthecorrs  ザ・コアーズ The Corrs に関しては一度も触れなかったが、1990年代後半からの話題の兄弟姉妹グループだった。確かにアイルランドのケルト・サウンドは世界が好感を持って受け入れている。そのサウンドをベースにしてのいわゆるフォーク・ロック・スタイルは大いにアッピールしたし、特に3姉妹の三女のリード・ヴォーカリストのアンドレア・コアー Andrea Corr にはうっとりさせられたものだ。
 しかし、私の場合はアルバムを追いかけるほどの関わりは持ってこなかった。それでも取り敢えずはとベスト盤は持っている。やっぱり時にはこうした世界は心が安まるからなんとなく棚においておきたいのだ。
 ところが2005年の4作目のアイリッシュ・トラッド・カヴァー・アルバム「Home」は原点回帰的な作品であったが、それ以降はニュー・アルバムはないと思う。姉妹3人が一緒に音楽活動というのは女性であるが故の妊娠、出産など難しいというのが現実であろう。
 ただ、アンドレアのソロ・アルバムがその後リリースされたが、ザ・コアーズのイメージから離れてしまっていた為かあまりパッとしなかった記憶がある。

Dreamofyou   さて、そうこうしているうちに月日は経ったわけであるが、昨年(2010年)の秋に、長女のシャロン・コアー Sharon Corr のソロ・アルバムがリリースされた。(左)

「SHARON CORR / Dream of You」 RHINO Records  , 2010

 実は、私はこのアルバムは聴いてなかったんですが、つい最近友人より突然送られてきた。このところ”女性ヴォーカル”を多く取り上げてはいるが、どちらかというとJazzyなものが多いところに、一つの刺激を頂いた感がある(有り難いところです)。そんな訳でここに感想を書くことになった。
  (List)
    1. our wedding day
    2. everybody's got to learn sometime
    3. it's not a dream
    4. mna' na he'ireann
    5. buenos aires
    6. so long ago
    7. amalltown boy
    8. cooley's reel
    9. butterflies
   10. dream of you
   11. real world
   12. love me better

Sharoncorr2  多分、彼女は二児の母で既に40歳になっていると思うが、ここに来てある程度の音楽活動が出来る状態になったと見るべきだろう。もともとザ・コアーズでもヴァイオリンを奏でて、主としてバッキング・ヴォーカルを務めていたわけだが、このアルバムを聴いてみると、哀愁のある美しいメロディーに、三女のリード・ヴォーカルのアンドレアにも勝るとも劣らずの清々しい声に圧倒される。
 彼女のヴァイオリンを主体としたインスト曲もあり、そのあたりは聴き応え十分。スタートの”our wedding day”はオープニングに相応しいアイリッシュ・トラッドのムードをヴァイオリンの音が歌い上げる。
3曲目”it's not a dream”は彼女のヴォーカルを堪能するに十分な曲。
 しかしなんと言っても4曲目”mna' na he'ireann”に登場するは、ジェフ・ベックである。これもインスト曲であるが、彼女のヴァイオリンとジェフ・ベックのギターが哀愁の世界を構築する。このあたりはこのアルバムの中での私好みの頂点である。
 このアルバムのタイトル曲”dream of you”はポップな曲であるが、私にとってはあまり印象に残らない曲だった。”butterflies”とか”real world”、”love me better”の方が聴き所の味のある出来だ。

 彼女のシンガー・ソングライターとしての作品7曲が登場しているが、自己のヴァイオリンを生かしてアイルランドを意識した作風にこのアルバムを仕上げたところは、美しさが滲んでいて成功であったのではないか。
 私は、こうした美しい世界は無条件に受け入れます。さてさて、ザ・コアーズはどうなっていくのでしょうか?。

(視聴)

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2011年4月 6日 (水)

まさに春到来!!

2011残雪撮影

2011年は、4月になっても寒い日が続いていたが、ようやくここに来て信州にも春が到来した。・・・・・・・・・・
と、なると恒例の私の行事は「高原残雪撮影」であるのだが・・・・・。

2011_2
20112
 今年は、融雪は遅いにもかかわらず、思いの外残雪量はそれほど多い年ではない。
 高原の自然の美しさを見ると”東北関東大震災”、”福島原発事故”から一日も早く国民挙げての力を投入して復興して欲しいものだ。

20113_2 
 この融雪融氷の始まった高原の池にはつがい(?)の鴨が・・・・、今回の震災を忘れさせるが如く春を感じて泳いでいた。
 特に”福島第一原発事故”は、"想定外の天災"では絶対に片付けてはいけない。こうした自然破壊の因子をもった原子力エネルギー使用には、"想定外"というものがあってはいけないことぐらいは常識である。本当に"想定外"というのであるのなら、想定できなかった無能力さを反省することが必要だ。これは人災なのである。
 現在の福島県始め周辺の善良な市民の困惑と被害の状態を、しっかり政府・政治家を始め学者も含めて原子力エネルギー関係者は脳裏にたたき込んで猛反省すべきである。

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2011年4月 3日 (日)

ダナ・ローレン Dana Lauren : USA産の若き女性ジャズ・ヴォーカリスト

バンドに支えられてのオーソドックスにして魅力あるジャズを唄う

 このところどうも私の環境下では、カナダに話題が多い女性ジャズ・ヴォーカリストであるが、久々にUSAよりのダナ・ローレンというヤング・パワーが聴かれた。

Stairwaytothestars 「Dana Lauren / Stairway to the Stars~featuring Arturo Sandoval」    2008

 これは2008年の彼女のデビュー・アルバム。どうも昨年リリースされた2ndアルバムからみるとこれは彼女がまだ10代の学生の時の作品だ。
 このアルバムの彼女を支えるバンドは、トランペットのアウトゥーロ・サンドバル(Arturo Sandoval)を中心としてピアノ(Dave Siegel)、テナー・サックス(Felipe Lamoglia)、ベース(Chuck Bergeron)、ドラムス(John Ysarling)というメンバー。これがなかなかム-ディーな演奏を展開して、ダナの歌声が、とても10代とはおもえない堂々とした唄っぷり。どちらかというと近年の流行のキュートなそしてシルキー・ヴォイスといったタイプではなく、やや太めのハスキータイプで安定感のあるジャズ・ムードを作り上げる。
 もともとあのキューバのトランペッターで、アメリカに亡命しているアウトゥーロが、2006年のニュー・ポート・ジヤズ・フェスティバルで彼女を聴いて感動し、プロデュースして、このアルバムを作成したとか。自ら4曲にトランペットを吹いている。曲はスタンダード・ナンバーが中心。

 (List)
   1.mean to me
   2.but beautiful
   3.if i were a bell
   4. sometimes i'm happy
   5.i've grown accustomed to his face
   6. devil may care
   7. i thought about you
   8. i could write a book
   9. you hit the spot
  10. how high the moon
  11. corcovado
  12. stairway to the stars

 スタートの”mean to me”を聴くと、なんか久しぶりの安定感のあるゆったり広がるジャズ・ヴォーカルを聴いた思いになる。”I've grown accustomed to his face ”のスロー・ナンバーなどは下手な技巧がなく聴きやすくしかも大人っぽい。”I could write a book”はリズム・カルなピアノ・プレイに後押しされての楽しさがある。”corcovado”はトランペットの音とその作り出すムードはなかになかのもの。ダイアナ・クラールとも十分渡り合える。
 もともと6歳からピアノを弾き、子供の時から母親からはジャズ音楽をしっかりと教育されたようで、こうした環境がここに見られるのかも知れない。

Itsyouornoone 「Dana Lauren / It's You or No One」 danalauren , 2010

 彼女の昨年リリースされた2ndアルバム。バック・バンドはメンバーががらっと変わっている。テナー・サックスにJoel Frahm、ピアノにManuel Velera といったところが話題か。そして前作には組まれていなかったギターが入る。このアルバムもやはりスタンダード・ナンバーをバンド陣が十分演奏を盛り上げ、それに色づけするが如く彼女が唄ったタイプのものだ。
 こちらのアルバムはどちらかというと、彼女のジャズ・ヴォーカルも板についてきて、若干テクニカルなジャズ演奏をバックにしてのやや進歩したアルバムだ。従って一歩ジャズ・マニア向きになっている。

 このアルバムでは彼女は21歳とか、前作より確かに高音部の唄い回しは旨くなっている。しかし相変わらずの太めのハスキー・ヴォイスの訴える力は見事。ポピュラーな曲”on the sunny side of the street”は、ベースの音だけをバックに、過去の多くのヴォーカリストに負けず劣らず歌い回しているのは見事である。
 映像を見ると声の質と平行したなかなかグラマラスな体格で、ゼスチャーもたっぷりでライブでは会場を楽しませているようだ。

 USA産の新人女性ジャズ・ヴォーカリストを取り上げてみたが、さてさて日本ではこれからどんな扱いになるのか楽しみでもある。私にとっては、ジャズ盤としてはやはり2ndアルバムの方が進歩していると思うが、1stアルバムのタイプの方が好みであったことを付け加えておく。
 

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2011年4月 2日 (土)

キャメルの一考察(5) : あの9.11にも触れたキャメルの最終盤「ノッド&ウィンク」

キャメルの最終盤は・・・・・??

Anodandawink 「CAMEL / a nod and wink  ノッド&ウィンク」 Camel productions PCCY-01599,  2002

 「ラージャーズ」で終焉を迎えたかと思っていたキャメルであるが、突然この14thアルバムが2002年リリースされた。
 考えてみれば、キャメルがこの世に出現してから30年の経過を経た。その中で近年はアンディ・ラティマーの力によって、1992年「怒りの葡萄」で復活し、「ハーバー・オブ・ティアーズ」、「ラージャーズ」の3作を作り上げ、彼の得意とする哀愁のある美の世界を構築した。そしてキャメルの締めくくりをしたと今でも私は思う。

 しかし、ここに新作の出現を見たわけであるが、これは明らかにラティマーが彼自身のキャメルを完成させた後、ここに30周年記念作として30年間のバンドの流れを顧みたのだ。今は別の道を歩んでいる共にした仲間に思いを馳せ、特にピーター・バーデンスの死が多分このアルバムを作らせたと思う。スタートからの仲間であるラティマーとバーデンスとはバンドにおいては力を2分していた。このキャメルというもののロック・バンドとしての音楽観も対立する部分も多かった。しかしその中で作り上げたキャメルである。バンドを離れていたバーデンスではあるが、彼のの死という思いもよらない事件でラティマーは過去の友全てをこのアルバムにクレジットさせ、30年を振り返っての作品としたのだった。つまり、彼の音楽活動から必然的に生まれる意欲によって作ったアルバムというよりは、彼が過去を振り返っての纏めとして形を表したアルバムとしての意味付けがなされるものと思う。
  このアルバムの印象は極めて真摯な穏やかな作品である。ラティマーのロック活動における攻撃性や、近作の批判的哀しさというものとは別物である。ただ、あの9.11をテーマにした曲”for today”がラティマーらしく、このアルバムでは異色作であるが、これで締めくくる。

 そして現在に至るまで、この作品以降の新作はない。その大きな要因はラティマーの重病によることが大きいというか、それによるものであろうが、血液疾患での悪性腫瘍である疾病であったようで、その後骨髄移植は成功したという。それでも特に両手関節の疼痛があり、復帰は困難と見られていた。しかし、先頃David Minasian のアルバム「Randdom acts of Beauty」に一曲登場して、我々を喜ばした訳だ(当ブログ2011.3.4参照)。
 
Fortodayinverginia  私にとってのキャメルの目下の最終盤は、このブートレグである。

「CAMEL / for today in Virginia」 ~Live at the Birchmere.Alexandria.Vierginia. USA, 30th June 2003 ~ Amity 199

 これは、上のアルバム「ノッド&ウィンク」リリース後に行われたツアーの2003年のライブもの。
 (Members)
    Andrew Latimer : Guitar, Flute, Vocals
    Colin Bass : Bass, Acoustic Guitar, Vocals
    Denis Clement : Drums
    Tom Brislin : Keyboards
 とにかく気心知れた4人による極めてロック・サウンドのライブ音源である。内容は「ノッド&ウィンク」からの曲が中心というのでなく、”lady fantasy” からスタートして殆ど過去のヒット曲で前半は埋められ。つまり新アルバムのツアーというのでなく、彼とコリン・バスとの音楽活動と見ていい。
 これはブートとはいえ、サウンドは極めて良好。4人の演奏がライブであるだけ手に取るように聴ける。バーデンスの曲”arubaluba”までも登場する。しかし、”for today”は10分を超える熱演であったが、これで締めくくり、アンコールは”never letgo”だ。
 私にとっては、なかなか貴重なブートであるのだ。

 最後に、一日も早いキャメルの復活を祈るのである。

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2011年4月 1日 (金)

キャメル CAMEL の一考察(4) : 哀愁の2枚「ハーバー・オブ・ティアーズ」、「ラージャーズ」

アンディ・ラテイマーの絶好調~哀愁の美

Harbouroftears 「CAMEL / Harbour of tears ハーバー・オブ・ティアーズ-港町コーヴの物語-」 Camel Productions PCCY-00864 , 1996

 ライブ・アルバムを抜くと12thアルバムとなる。アンディ・ラティマーのコンセプト・アルバムの3作目といってもいい。アイルランドにおけるラティマーの祖母が体験した哀しき一家離散の悲劇がテーマ。
 彼の父親の死によって、彼のルーツを探ってゆくうちに、英国により征服されたアイルランドの悲劇を知った。それはアイルランド人が英国の植民地に追い立てられるように移住させられるということで、祖国を捨て家族は離散するアイルランドの歴史的民族悲劇を取り上げたのだ。
 オープニングの曲”Irish air”はアイルランドの民族の歌である。いきなり無伴奏で女性ヴォーカル(メイ・マッケンナ)が聴かれ、そしてそれを支えるが如く同曲をインストゥルメンタルで続いてバンドが演奏し、フルート、ギターを中心に旋律を語り、物語が始まる。
 全曲ラティマーが作り、良き伴侶のスーザン・フーヴァーが歌詞を担当している。
 作品の印象は、アルバム「Dust and Dreams」の続編的哀愁のアルバムであるが、そこには美しさがあり見事である。中間部の曲”Under the moon”では、ラティマーのソロ・ギターの音は涙ものである。
 このアルバムのライナー・ノーツを担当した伊藤政則は、”涙の港と呼ばれたコーヴから旅立った人々は、そのコーヴの港を遠くの沖の船の上から眺め、水平線に消えようとするエメラルドの祖国を記憶の中に刻み込もうとしたに違いない。・・・・コーヴは、その美しい海に多くの人々の涙を飲み込んできたのである”と記している。彼にとってもこのアルバムは大きなインパクトがあったと推測する。

Rajaz 「CAMEL / Rajaz  ラージャーズ-別れの詩-」Camel Productions PCCY-01414,  1999

 前作から3年の経過でリリースされた13thアルバム。アンディ・ラティマーが彼とスーザンとの共作によるコンセプト・アルバム前3作から又一歩飛躍した感のある作品。
 実は、私はこのアルバムを聴いた当時は、”おやこれでラティマーはキャメルを封印するのか?”と思った内容だった。
 砂漠に連なるラクダの隊商、そこに流れる静かにして苦労に耐える姿と、会っては分かれる彼らの祈りにも似たRajaz(詩)が流れる。そんな情景を描きつつ、ラティマーは一つの区切りをつけたと思う。
 メンバーは、ラティマーに加えてベースのcolibn bassは長いコンビ。そして ton scherpenzeel(key.), dave stewart(drums) が参加、更にbarry phillips のチェロが加わる。

Andrewlatimer1  曲は”the final encore”では、キャメルの過去の曲名を繋いで詩を作り上げ、4曲目の”Rajaz”は、ラティマーの総決算の曲だ。アコースティック・ギターから始まり彼のヴォーカル、そしてチェロとフルートの響きが哀愁を帯び、最後に彼のエレクトリック・ギターが感動を呼ぶ。なんと”6曲目の”straight to my heart”では、彼の自伝を語っている。”sahara”というインスト曲は、彼のヴォーカルと感想のギターが美しい。最後の曲”lawrence”では、静かに消えゆく姿をイメージさせ、このアルバムを閉じる。

 おそらく今でも私はそう思うのだが、ラティマーは自己の主導によってコンセプトアルバムを過去(1980年代から90年代に)に作り上げた。そしてこのアルバムでは、全ての曲を作り、歌詞をスーザンとともに書き、全てを自分のヴォーカルにして、キャメルの締めくくりをしたと思われるのだ。
 そして美しい哀愁のある曲を彼の演奏でたっぷり聴かせ、まさに曲の歌詞と言い、演奏と言い、その内容はスーザンが言うとおり”Farewell”であった。
 キャメルの”さよなら”であった。

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