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2011年4月 2日 (土)

キャメルの一考察(5) : あの9.11にも触れたキャメルの最終盤「ノッド&ウィンク」

キャメルの最終盤は・・・・・??

Anodandawink 「CAMEL / a nod and wink  ノッド&ウィンク」 Camel productions PCCY-01599,  2002

 「ラージャーズ」で終焉を迎えたかと思っていたキャメルであるが、突然この14thアルバムが2002年リリースされた。
 考えてみれば、キャメルがこの世に出現してから30年の経過を経た。その中で近年はアンディ・ラティマーの力によって、1992年「怒りの葡萄」で復活し、「ハーバー・オブ・ティアーズ」、「ラージャーズ」の3作を作り上げ、彼の得意とする哀愁のある美の世界を構築した。そしてキャメルの締めくくりをしたと今でも私は思う。

 しかし、ここに新作の出現を見たわけであるが、これは明らかにラティマーが彼自身のキャメルを完成させた後、ここに30周年記念作として30年間のバンドの流れを顧みたのだ。今は別の道を歩んでいる共にした仲間に思いを馳せ、特にピーター・バーデンスの死が多分このアルバムを作らせたと思う。スタートからの仲間であるラティマーとバーデンスとはバンドにおいては力を2分していた。このキャメルというもののロック・バンドとしての音楽観も対立する部分も多かった。しかしその中で作り上げたキャメルである。バンドを離れていたバーデンスではあるが、彼のの死という思いもよらない事件でラティマーは過去の友全てをこのアルバムにクレジットさせ、30年を振り返っての作品としたのだった。つまり、彼の音楽活動から必然的に生まれる意欲によって作ったアルバムというよりは、彼が過去を振り返っての纏めとして形を表したアルバムとしての意味付けがなされるものと思う。
  このアルバムの印象は極めて真摯な穏やかな作品である。ラティマーのロック活動における攻撃性や、近作の批判的哀しさというものとは別物である。ただ、あの9.11をテーマにした曲”for today”がラティマーらしく、このアルバムでは異色作であるが、これで締めくくる。

 そして現在に至るまで、この作品以降の新作はない。その大きな要因はラティマーの重病によることが大きいというか、それによるものであろうが、血液疾患での悪性腫瘍である疾病であったようで、その後骨髄移植は成功したという。それでも特に両手関節の疼痛があり、復帰は困難と見られていた。しかし、先頃David Minasian のアルバム「Randdom acts of Beauty」に一曲登場して、我々を喜ばした訳だ(当ブログ2011.3.4参照)。
 
Fortodayinverginia  私にとってのキャメルの目下の最終盤は、このブートレグである。

「CAMEL / for today in Virginia」 ~Live at the Birchmere.Alexandria.Vierginia. USA, 30th June 2003 ~ Amity 199

 これは、上のアルバム「ノッド&ウィンク」リリース後に行われたツアーの2003年のライブもの。
 (Members)
    Andrew Latimer : Guitar, Flute, Vocals
    Colin Bass : Bass, Acoustic Guitar, Vocals
    Denis Clement : Drums
    Tom Brislin : Keyboards
 とにかく気心知れた4人による極めてロック・サウンドのライブ音源である。内容は「ノッド&ウィンク」からの曲が中心というのでなく、”lady fantasy” からスタートして殆ど過去のヒット曲で前半は埋められ。つまり新アルバムのツアーというのでなく、彼とコリン・バスとの音楽活動と見ていい。
 これはブートとはいえ、サウンドは極めて良好。4人の演奏がライブであるだけ手に取るように聴ける。バーデンスの曲”arubaluba”までも登場する。しかし、”for today”は10分を超える熱演であったが、これで締めくくり、アンコールは”never letgo”だ。
 私にとっては、なかなか貴重なブートであるのだ。

 最後に、一日も早いキャメルの復活を祈るのである。

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