美しいものは無条件に受け入れます : シャロン・コアーSharon Corr 「deam of you」
遅まきながら、お姉さんの歌声を聴かせていただきました
ザ・コアーズ The Corrs に関しては一度も触れなかったが、1990年代後半からの話題の兄弟姉妹グループだった。確かにアイルランドのケルト・サウンドは世界が好感を持って受け入れている。そのサウンドをベースにしてのいわゆるフォーク・ロック・スタイルは大いにアッピールしたし、特に3姉妹の三女のリード・ヴォーカリストのアンドレア・コアー Andrea Corr にはうっとりさせられたものだ。
しかし、私の場合はアルバムを追いかけるほどの関わりは持ってこなかった。それでも取り敢えずはとベスト盤は持っている。やっぱり時にはこうした世界は心が安まるからなんとなく棚においておきたいのだ。
ところが2005年の4作目のアイリッシュ・トラッド・カヴァー・アルバム「Home」は原点回帰的な作品であったが、それ以降はニュー・アルバムはないと思う。姉妹3人が一緒に音楽活動というのは女性であるが故の妊娠、出産など難しいというのが現実であろう。
ただ、アンドレアのソロ・アルバムがその後リリースされたが、ザ・コアーズのイメージから離れてしまっていた為かあまりパッとしなかった記憶がある。
さて、そうこうしているうちに月日は経ったわけであるが、昨年(2010年)の秋に、長女のシャロン・コアー Sharon Corr のソロ・アルバムがリリースされた。(左)
「SHARON CORR / Dream of You」 RHINO Records , 2010
実は、私はこのアルバムは聴いてなかったんですが、つい最近友人より突然送られてきた。このところ”女性ヴォーカル”を多く取り上げてはいるが、どちらかというとJazzyなものが多いところに、一つの刺激を頂いた感がある(有り難いところです)。そんな訳でここに感想を書くことになった。
(List)
1. our wedding day
2. everybody's got to learn sometime
3. it's not a dream
4. mna' na he'ireann
5. buenos aires
6. so long ago
7. amalltown boy
8. cooley's reel
9. butterflies
10. dream of you
11. real world
12. love me better
多分、彼女は二児の母で既に40歳になっていると思うが、ここに来てある程度の音楽活動が出来る状態になったと見るべきだろう。もともとザ・コアーズでもヴァイオリンを奏でて、主としてバッキング・ヴォーカルを務めていたわけだが、このアルバムを聴いてみると、哀愁のある美しいメロディーに、三女のリード・ヴォーカルのアンドレアにも勝るとも劣らずの清々しい声に圧倒される。
彼女のヴァイオリンを主体としたインスト曲もあり、そのあたりは聴き応え十分。スタートの”our wedding day”はオープニングに相応しいアイリッシュ・トラッドのムードをヴァイオリンの音が歌い上げる。
3曲目”it's not a dream”は彼女のヴォーカルを堪能するに十分な曲。
しかしなんと言っても4曲目”mna' na he'ireann”に登場するは、ジェフ・ベックである。これもインスト曲であるが、彼女のヴァイオリンとジェフ・ベックのギターが哀愁の世界を構築する。このあたりはこのアルバムの中での私好みの頂点である。
このアルバムのタイトル曲”dream of you”はポップな曲であるが、私にとってはあまり印象に残らない曲だった。”butterflies”とか”real world”、”love me better”の方が聴き所の味のある出来だ。
彼女のシンガー・ソングライターとしての作品7曲が登場しているが、自己のヴァイオリンを生かしてアイルランドを意識した作風にこのアルバムを仕上げたところは、美しさが滲んでいて成功であったのではないか。
私は、こうした美しい世界は無条件に受け入れます。さてさて、ザ・コアーズはどうなっていくのでしょうか?。
(視聴)
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コメント
良いの出してきましたね〜。
ここでシャロンが読めるとは思ってなかったので嬉しいです♪
コアーズ凄く好きなんですよね。シャロンのソロは大人の味気たっぷり、そしてベック。絶妙なプレイが良いんです。子育てが一段落した後、またコアーズが戻ってきてトラッドをやってくれるのを待っているんですよ。
投稿: フレ | 2011年4月11日 (月) 21時41分
フレさん、いっやっ~~そこまで思い入れがあるとは思っていませんでした。シャロン・コアーは、昨年フレさんのブログで拝見して、私も一度は聴こうと思っていたアルバムですが、聴いてなかったんです。ここに来て、有り難いことに私の友人からプレゼントがありまして聴くことになりました。
そして聴くと同時にフレさんのブログの記事を思い出してトラックバックさせていただいた次第です。とにかく彼女のヴァイオリンと清々しさがいいですね。(ヴァイオリンと女性ヴォーカルというとリリ・ヘイデンも好対照に別世界でいいですし)無条件に万歳です。
投稿: 風呂井戸 | 2011年4月11日 (月) 23時33分