サンタナ SANTANA (8) : 原点回帰「SANTANA / THE WOODSTOCK EXPERIENCE」
ウッドストック1969年の花
サンタナについては、当ブログで何回とその衝撃デビュー前の実態に焦点を当ててきたが(① 2010.1.30 ”サンタナの衝撃(2)”、② 2011.4.23 ”初期サンタナ「on the road to woodstock」”など参照)、やはり彼らの実質的デビューであったのは、ウッドストック69でありそれを語らずには始まらない。
1966年頃のサンタナ・ブルース・バンド結成して以降、諸々の活動を経て1967年にはサンタナとなり、実質彼らのバンドはメンバーチェンジを重ねながらウッドストック時に固まった。
ウッドストック69の音源や映像はDVD「Woodstock 愛と平和の音楽の3日間」、CD「1st 記念盤」などで、”saver”、”soul sacrifice”、”fried neckbones” が視聴出来たが、ウッドストック開催40周年記念盤として2009年にジェファーソン・エアプレインやジャニス・ジョプリンなど5組のバンドの未発表音源が出されていて、その中にサンタナがある。あらためてここに紹介だ。
「SANTANA / THE WOODSTOCK EXPERIENCE」-recorded live at the woodstock music & art fair, saturday, august 16, 1969- Columbia/Legacy 88697/48242 2 , 2009
サンタナは時代と共に変化しそれなりのロック・ワールドを築いてきたわけであるが、実質デビューはこのウッドストックであり、R&B、ラテン、メキシカン、アフロキューバンそしてブルース、ジャズを混成したラテン・ロックと表現された新ロックを展開したことで一躍話題になった。このウッドストック・デビューはあまりにも衝撃的で、今でも多くのものが当時のサンタナをこよなく愛されいるといっても過言でない。
この時のメンバーはグレック・ローリー(key,vo)、デイブ・ブラウン(b)マイケル・シュリーヴ(d)ホセ・チェピート・アリアス(tim)マイケル・カラベロ(cong)そしてカルロス・サンタナ(g, vo)の6人(このメンバーは3rdアルバムまで続く)。
このメンバーはそれぞれが別の異なった得意分野を持っていて、例えばカルロスはブルースの世界に傾倒し、グレッグはジミー・スミスなど、又マイケル・カラベロはジミ・ヘンドリックス、マイケル・シュリーヴはマイルス・デイビスに入れ込んでおり、更にチェピートはアフリカン・ミュージックと多彩なパターン持ったバンド構成であった。そして各人が刺激し合いながら曲を作り演奏した結果がサンタナであったという。
このアルバムでは、過去に未発表であったものを含めてウッドストック69ライブの8曲が聴ける(左、クリック拡大)。
最初のヒット曲”Evil Ways”始め、あのステージにおけるパフォーマンスに観衆は酔った。
そもそもこのウッドストックに彼らを売り込んだのはビル・グラハムであり、彼の思惑どおり衝撃的な一事件であった。もともとヴォーカル曲をやる気がなかった彼らに一般にアッピールするには歌が必要としてやらせたのも彼だった。それがこの”Evil Ways”の曲にあらわれているのだ。
この時、後に常に演奏されるようになった”Jingo”や”Soul Sacrifice”も演奏されている。特に”Soul Sacrifice”には、聴衆も熱狂的になった。カルロス・サンタナのギターとグレッグ・グローリーのキー・ボードのコンビネイションも見事であるが、それに加えて印象深かったのはマイケル・シュリーヴのドラムスである。ドラムとパーカッションの響き渡るリズム隊の演奏にオルガンとギターのインター・プレイは荒々しい中に官能的であって、その新鮮さに驚きが隠せなかった。
こうしてサンタナのデビューは見事だった。そしてその音源がこうした形で我々にも届いている。このアルバムは当時リリースされた1stとカップリングされて記念盤として出されたものだ。
現在は既に40年以上も経過していると言うことが不思議なくらいにこの当時のサンタナは我々の脳裏に鮮明に残っているのだ。その後ジャズ的世界が見え隠れしたり宗教的世界に救いを求めて行くカルロスの姿など波瀾万丈なロックを絶やさず築いてきたサンタナであるが、そうであるからこそ尚更デビュー当時の衝撃は貴重な歴史である。
こうしたwoodstock69を語るときに忘れてはならないのは、その時代的背景である。反体制活動と若者の意識改革、そしてヒッピー文化、フラワー・パワーなどの若者文化。一方アンダー・グラウンド的なサイケデリックな感覚の流行。アフリカン・アメリカンの公民権活動と反差別闘争、ブラック・パワー・ムーブメント。それに加えてベトナム反戦運動と個人の尊重感覚。諸々が若い世代で燃えていた時代である。その時代背景下のウッドストックの意味づけを知らないと、当時のロックの世界は理解されない。サンタナが衝撃を与えたのはその中での一事件なのである。
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