イリアーヌ・イリアス Eliane Elias : ボサノヴァとジャズ・ピアノとヴォーカルと(1)
ニューアルバムはボサノヴァ・アルバムだった
とにもかくにもジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト、そして特にボサノヴァはこの女性を抜きにしては語れないと言ってもいいイリアーヌ・イリアス Eliane Elias。私にとってもここ20年大切なミュージシャンである。その彼女のニュー・アルバムが、この5月にリリースされていたが知らないでいた。時々訪問しているブログでのこのアルバムの紹介があって知り、さっそく手に入れたというところ。
「eliane elias / light my fire」 CONCORD CPI-32761-02 , 2011
イリアーヌのジャズ・ピアノには定評がある。彼女はボサノヴァの本場ブラジル出身ではあるが(1960年生まれ)、最初のアルバム「Amamda」(1985) 以来アメリカでの活動である。クラシックピアノを弾くのはは子供の頃からの活動であったが、早くからビル・エヴァンス、ハービー・ハンコックそしてキース・ジャレットと一流ジャズ・ピアニストに憧れて成長したという。
知られているところでは、1980年前はブラジルでのプロとしての活動をしていたが、認められてアメリカに渡る。なんといっても美貌とピアノのプレイで注目を勝ち取った。
1985年にデビュー・アルバム「Amanda」をトランペッターの夫ランディ・ブレッカーと製作。(その後彼とは離婚しているのだが、不思議に今回のアルバムにその元夫の2曲に登場している。このあたりの関係はちょっと不思議だが・・・)
彼女の特徴はピアニストとしての存在が大きいが、ヴォーカリストとしての評価も高い。1990年代にボサノヴァを唄い込んで、広く知れ渡った。
しかし、ジャズ・ピアニスト・ヴォーカリストとしての実績も大きく、両分野に特にこだわりなく取り組んできた。
このアルバムは、ボサノヴァ・アルバムだ。彼女のアルバム造りは意外にジャズとボサノヴァを明瞭に分けて楽しませてくれている。
曲目は左のとおりで、そのボサノヴァ調は特に従来と変わっていない。曲9と10と12は彼女のオリジナル。ジャス・ピアノ・プレイも見事だが、シンガー・ソングライターとしての実力も発揮している。しかしこのアルバムは今までのボサノヴァ・アルバムとの比較ではそう際だったものはないが、やはりアルバム・タイトル曲の”light my fire”は、ドアーズの曲であるが、ゆったりとした展開でやや切ないムードたっぷりの仕上がりでこのアルバムでは一押しだ。彼女の唄の低音の魅力も十分楽しめる。エレクトリック・ギターと彼女のピアノもなかなか良い。 スティービー・ワンダーの”my che'rie amour”もボサノヴァ・ムードが不思議に合ってしまっているから、彼女の技巧はさすがといったところ。
その他あの有名な曲”take five”が又聴きどころ。元夫のrandy brecker のtrumpetが効果を上げている。こうしたムードのこの曲もいいものだ。
このニュー・アルバムは過去のものから特別出色というのでなく、前作の「Plays Live」のジャズ盤から、またまたボサノヴァを聴かせて入れたと言うところに意味があると言ったところか?。
とにかく現夫のMarc Johnsonのbassが全曲に入り、不思議に元夫が2曲に登場し、更にもと夫との娘のAmanda Breckerがヴォーカルで登場したりと、面白いというか不思議というか、そんな世界である。
しかし彼女のジャズ・ボサノヴァ・ピアノの演奏と低音の充実したややハスキーなヴォーカルは非常に心地よく、そして目下50歳を過ぎての健闘に喝采を浴びせるのだ。
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