北欧からの女性ジャズ・ヴォーカル:メッテ・ジュール Mette Juul デビュー
説得力ある実力派の歌唱が魅力
「METTE JUUL / COMING IN FROM THE DARK」 Cowbel Music, Yamaha YMCJ-10005, 2010
このデンマーク発のアルバムをどうして聴くようになったか?、おかしなことに記憶がない。ジャケ買いでもないし、多分どこかの雑誌で取り上げていたのかも・・・。いずれにしても何回か聴いてきた経過で、ここで取り上げることにする。
このアルバムの特徴は、バックのアレックス・リール・トリオが知られていることだ。そしてこの女性ヴォーカリストのメッテ・ジュールは、アコースティック・ギターを弾きながらジャジーな歌を聴かせ自らのオリジナル曲を披露する。つまりシング・ソングライターである。多分これが彼女の1stアルバムだと思う。
このアルバムは、彼女のオリジナル5曲とジャズ・ポピュラー曲のカヴァー7曲の構成だ。プロデュースも、メッテ・ジュール&アレックス・リールとなっている。いずれにしても彼女のヴォーカルを支えるのが、アレックス・トリオ(Alex riel: drums, Heine hansen: piano, Jesper lundgaad: bass)で、ゲストにtrumpet(Palle mikkelbrog), Guitar(Poul halberg) が入る。
(list)
1. the way you close the door*
2. coming in from the dark*
3. old devil moon
4. comes love
5. embraceable you
6. valsen er min*
7. what is this thing called love
8. estate
9. in the wee small hours of the morning
10. little devile blue*
11. how many hours must i travel alone*
12. i wish you love
(*印 メッテのオリジナル)
メッテ・ジュールはデンマークで生まれ、2007年には国際ジャズ・アーティスト・コンペティションで優勝しているという実力派。彼女はジョニ・ミッチェルに影響を受けていると言うが、上の彼女自身の曲を聴くと、所謂そのお国柄のイメージが湧いてくるタイプで、フォークというのでなくトラッドぽいところがあるし、そのジャジィーな展開が面白い。なんと言ってもしっかりと歌うところが特徴だ。近頃はやりの呟き囁きフェイクの多用とは違う。
デンマークのローカルな曲を知っているともう少し理解度が増すのかも知れない。いずれにしても6曲目の”Valsen er min” は、彼女のオリジナル曲であると同時に、その他の曲は英語で唄っているが、これはデンマーク語で披露しているところが骨である。
スタートのオリジナル曲は、ボサノヴァ調でオープニングを飾りジャズ心を示しながら、2曲目にタイトル曲”coming in from the dark”を登場させトランペットと共に歌い上げるが、やはり聴き慣れたメロディーと違った作風に彼女の世界をアッピールされる。5曲目のガーシュインの曲”embraceable you”は、聴くものの心にじっくりと響いて私好み。”estate”はジャズ界を代表する曲だけあってそのアプローチは歪みのない歌唱で説得力十分。
その他、”in the wee small hours of the morning”、”i wish you love”など聴き応えは力のある歌唱力で堪能できる。
なんか久々に唄を聴いたという気持ちになるアルバムだ。彼女のオリジナル曲がうまく曲配列の中で印象付けられる。それはそれだけ独特のものであるからだ。トリオの演奏もさすが評価どおりの展開で、このアルバムへの貢献も大きい。とにかく実力派のデビュー・アルバムであった。さてさて、これからの世界評価がどう展開するか楽しみである。
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コメント
店頭で気になっていたメッテ・ジュール。このブログに後押しされて手に入れました。落ちついた歌唱で私好み。ギターを持っているせいか、エヴァ・キャシディを思い描いてしまいました。
投稿: 爵士 | 2011年8月19日 (金) 17時47分
爵士さん、コメントどうも有り難うございます。そちらも覗かせていただいてます。^^)
う~~ん、確かにエヴァ・キャシデイに見たところの雰囲気は似てますね。声の質は違うように思いますが・・・・。
このメッテ・ジュールは、しっかりと唄ってくれるところが好感持てます。これからも頑張って欲しい一人です。
投稿: 風呂井戸 | 2011年8月19日 (金) 19時24分